アウディA8
<世界中が注目するLEDを使った独自のフェイスメイク>
アウディA8アウディは、フラッグシップモデルであるA8をマイナーチェンジし発売を開始。やや遅れて、高級グレードであるA8 L W12ならびにS8を5月8日から発売する。

アウディA8は、2010年12月にフルモデルチェンジしたモデル。先代A8よりもひと回り大きなボディサイズとなり、軽量化技術のひとつであるアルミニウムボディASF(アウディ スペース フレーム)などを採用し、全車クワトロ(AWD)で8速ATなった。

新型アウディA8のボディサイズは全長5,145×全幅1,950×全高1,465mm。全長が5mをオーバーする大型のラグジュアリーサルーン。ライバルであるメルセデス・ベンツSクラスS400ハイブリッドが、全長5,116×1,899×1,493mmなので、A8は全長&全幅がやや大きく、全高が少し低い。S400ハイブリッドよりワイド&ローが強調されていることもあり、よりスポーティでスタイリッシュに見える。

そのスタイリッシュさがA8の魅力で、さらにその印象を際立たせているのがLEDを使ったフェイスメイクにある。今回もLEDを使ったフェイスメイクには気合いが入っていて、マトリクスLEDヘッドライトが採用された。このヘッドライトには、ロービーム用のLEDと、ハイビーム用の25個の小さなLEDによって構成されている。この小さなLEDが機能的で、ハイビーム時にカメラでセンシング。その状況に合わせて、必要に応じてLEDを個別に点灯・消灯し、対向車や先行車を眩惑することなく、正確に路面を照射することが可能な画期的なライティングシステムなのだ。

アウディは、LEDヘッドライトブームを作り出したメーカーでもあり、LEDをつかったフェイスメイクには世界中のメーカーがベンチマークしている。そのため、しばらくすると、アウディがLEDを使ってデザインしていた手法や、LEDの使い方をまねるクルマが多いのも事実。今回のA8は単にデザイン性でなく、機能性もある技術もあり今まで以上にA8の個性を高めている。

デザイン性や質感で個性をアピールするA8だが、フラッグシップ同士の戦いとなると、少々厳しい状況におかれている。A8も徐々に売れてきているとはいえ、メルセデス・ベンツSクラスと比べると、さすがに厳しい状況にある。ただ、単純にカッコいいだけでは、売れないのがこのクラスの難しいところ。現状では、1千万円超級のセダンとしてのブランド力はメルセデス・ベンツを超えることができていない。

アウディA8それを明確に物語っているのがリセールバリュー。Sクラスと比べると大きな差がついているのが現状だ。新車ではなく中古車での人気を表すリセールバリューだが、その傾向は新車でも同じということになる。逆にとらえると、スタイリッシュで高品質なA8がSクラスよりも大幅に安く買えるというのは、中古車好きにとっては大きな魅力のひとつともいえる。それも、A8はAWDなので降雪地域では絶大なパフォーマンスを発揮する。

A8に搭載されるパワーユニットは、スーパーチャージャー付きのV6 3.0 TFSI、ツインターボのV8 4.0 TFSI、自然吸気の6.3L W12FSI、2.0 TFSIをベースにしたハイブリッドと、計4つも用意されている。このエンジンラインアップの豊富さは、ライバルにはないものだ。Sクラスなどは、2タイプしかない。

4.0 TFSIに加えてW12エンジンにもシリンダーオンデマンドシステム(COD: 気筒休止システム)が搭載された。この新技術により、低燃費性能が大きく向上している。4.0 TFSIは、従来比+15psの435ps(320kW)と、パワーアップしながら燃費を9.8㎞/Lから10.4㎞/Lへと向上させている。

そして、SクラスのAMGと同様に、A8のハイパフォーマンスモデルとなるS8も登場する。S8は、最高出力520ps、最大トルク650Nmを発生する4.0 TFSI V8エンジンが搭載された。ハイパフォーマンスモデルとはいえ、環境性能を無視できない時代だ。そのため、気筒休止システムや、スタート ストップシステムのほか、エネルギー回生システムなどの基本的な低燃費技術が採用されている。

ドライビングアシスト機能として、駐車時に自動でハンドル操作をしてくれる360°ディスプレイ(サラウンドビューモニター)のついたパークアシスト付アウディパーキングシステムが全車に標準装備された。このクラスでオプションなのか? と、少々微妙な感じがあるが、標準のアウディプレセンスに加えて、オプションのアウディプレセンスプラスを選ぶと、自動ブレーキ機能のアウディブレーキガードや、自動ステアリング修正機能が付いたアクティブレーンアシスト、ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロールなど最新の安全装備が追加される。これくらいの安全装備は、フラッグシップモデルなのだから標準装備にしてほしい。さらに、オプションのナイトビジョン アシスタント(A8 L W12は標準装備)は、歩行者のみでなく、大きな動物なども認識できるようになったのは大きな進化だ。

A8の選び方は、4種類ものパワーユニットが用意され選択肢も豊富だが、2.0Lのハイブリッドは選びにくい。このボディサイズでFFというのは、高級車として多少無理があることと、車重に対してパワー不足感もある。それに、アウディと言えば、やはりクワトロという選択が満足度を高めるからだ。また、このクラスの多くがFR車が中心。色々理由があるにせよ、A8のようにAWDがメインとなる車種は珍しいが、積雪地方の顧客にとっては、逆にメリットの方が大きい。

A8の価格設定は、Sクラスに対して安めの設定。ただし、A8はSクラスに標準装備されている同様な安全装備プレセンス プラスが、オプション設定。そのため、実際の価格差は縮まる。さらに、アピールポイントのマトリクスLEDヘッドライトもオプション設定なので、随分標準装備を減らして安くしているように見えるので、購入時には装備類を同じにして価格の比較をすることをお勧めする。

■価格:A8 hybrid ¥9,980,000~A8 L W12 quattro ¥21,450,000