ホンダは2008年5月29日、新型ミニバン「フリード」を発表した。フリードは人気コンパクトカー「フィット」をベースとした、後席両側スライドドア付きのホンダ最小ミニバンだ。先代フィットをベースにした3列シートミニバン「モビリオ」と、ハイトワゴン「モビリオ スパイク」の実質的な後継モデルとなる。そのため新型フリードでは7人乗りと8人乗り仕様の各3列シート版に加え、荷室を大きく確保した5人乗り2列シート版「FLEX(フレックス)」が一挙に用意される。搭載されるのはフィットRSに搭載される1.5リッター i-VTECエンジン1機種のみ。FFに加え4WDモデルが用意される。

この記事の目次 CONTENTS
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ガリバーズEYE
常識にとらわれず自由に発想
『This is サイコーにちょうどいいHonda!』
モビリオではシートアレンジはしません!?
シートアレンジなしでもウォークスルー可能
スタイリッシュな「トライアングル・スクエア・フォルム」
高性能+オサイフに優しい低燃費
多彩なグレード体系をラインナップ

ガリバーズEYE

ユーザ視点に立ったガリバー独自の「安全基準」「環境・燃費基準」「経済性」という新たな評価軸を用いてクルマを評価いたします。

常識にとらわれず自由に発想

「FREED(フリード)」とは”Freedom(自由)”からの造語。常識にとらわれず自由に発想されたクルマという意味だ。さらに”Free(自由な)”+”Do(行動する)”という意味も込められている。全く新しい発想で生まれた新型ミニバン、その詳細について解説してゆこう。

子供やお年寄りも安心のエクステリア

「フリード」の若々しくスタイリッシュなエクステリアデザインは、ベースとなった人気コンパクトカー「フィット」との共通性も感じさせる。

エアロ仕様のリアビュー。ボリューム感あるリアフェンダーや立体的なリアコンビランプのおかげで、背の高さを意識させない安定感あるフォルムが新鮮だ。

2列目の床面地上高は390mm。ミニバントップクラスの低さだ。大型アシストグリップは低い位置に設置され子供やお年寄りでも楽に乗降出来る。

『This is サイコーにちょうどいいHonda!』

すでにデビュー前から放映しているTVCMでうたわれている”This is サイコーにちょうどいいHonda!”というキャッチフレーズが、新型フリードの立ち位置をズバリ表現している。

コンパクトなサイズで大人気だった先代モビリオ

先代「モビリオ」は、ホンダの5ナンバー小型ミニバン「ストリーム」や「ステップワゴン」よりさらに小さく、全長4mほどとコンパクトカー並みの小さなサイズだ。しかし扱いやすい小さい車体ながらもきっちり3列シートを配置。デビュー当初は若いファミリー層を中心に大いに人気を集めたが、数年で売れ行きも落ち着きをみせてしまった。それにはいくつかの理由があったとホンダでは推察する。

サイズは満足でも居住性は不満

ホンダの調査では、モビリオのコンパクトなボディサイズは特に女性ユーザーから「ちょうどいい大きさだ」と高く評価されていた。その一方で居住性については不満の声もあった。特にサードシートの狭さなど、必ずしもユーザーの高い期待には応えきれていなかった面があったというのだ。

しかしこの「ちょうどいい大きさ」と「居住性」という、相反する要件を同時に満たすミニバンなど、実際のところ国内でも他に例がない。ホンダはそこに大きな金脈を見つけたのだ。いかにもホンダらしいチャレンジ精神である。

モビリオではシートアレンジはしません!?

フリードは、全長x全幅x全高を4215x1695x1715mm、ホイールベース2625mmとボディサイズの拡大は全長以外最小限に留めた。モビリオやフィットが採用するセンタータンクレイアウトを止め、ガソリンタンクはセカンドシート下に移動。前席から荷室まで低くフラットな床面を実現させている。またホンダのM/M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想によりコンパクトなエンジンルームとし、ストリームを超える2625mmの室内長と、ウォークスルーも容易な1265mmの室内高を確保する。

不満は座面一体型のセカンドシート

フリードの開発にあたり、ホンダではユーザーの使い勝手や居住性について徹底的に検証した。例えば先代モビリオで3列目サードシートへアクセスする場合、2列目セカンドシートの座面が一体型なため、シート全部を畳んで前倒しにしないとならない。当然、固定式のチャイルドシートを装着するユーザーからは不満の声が出ていた。また他方で、ミニバンのカタログを飾る「便利」なシートアレンジも、実際にはユーザーにもあまり使われていないという調査結果も出たという。

フリードはゆったりサイズの室内が自慢

どのドアからでも全ての座席に移動可能な「フリーウォークスルー」を実現するフリードの7人乗り仕様。雨の日の移動や狭い駐車場での乗降などにとても便利な設定だ。

室内高を1265mm確保するなど、小さい車体ながら十分にゆとりある空間だ。ホンダ独自の低床構造により床面地上高390mmとし、さらに足元もフラットにした。

フリードのサードシートは左右5:5分割はね上げ式。シートを前倒しして跳ね上げるだけのカンタン操作で荷室拡大出来る。

フリードのフロントシート。アコードクラスのシートフレームをベースに設計。ゆったりしたサイズがジマンだ(※写真は5人乗り「FLEX」)。

フリード 7人乗り仕様のキャプテンシート。サードシートへは左右シート間を通って移動するから、シートを倒したりする必要はない。

オトナがしっかり座れることを前提に設計されたサードシート。後列にゆくにしたがってヒップポイントが上がるので見晴らしが良く快適に過ごせる。

シートアレンジなしでもウォークスルー可能

これらから導き出されたのが、新型フリードの7人乗りシートだ。前から2+2+3人掛けの配置は、シートアレンジすることなく前後左右とウォークスルーすることが可能。例えばセカンドシートにチャイルドシートが固定してあっても、シートを倒したりすることなくサードシートへと移動することが出来る。

もちろんセカンドシートを3人掛け可能なベンチタイプとした8人乗り仕様も用意される。この場合セカンドシートは6:4で分割可倒式となる。ステップワゴン同様の仕組みを採用し、左右個別にワンアクションでパタパタと前倒し出来るから、こちらも3列シートへのアクセス性は良い。どちらを選ぶかは、セカンドシートの使い方次第だろう。チャイルドシートを2脚装着するというなら、自動的に7人乗りを選ぶこととなる。

アウトドア派には「FLEX」がおススメ

なお5人乗り仕様「FLEX」のセカンドシートは8人乗り仕様と同等。さらに折り畳めば荷室長1445mm、荷室容量1257リッター(VDA方式)の広大なスペースを確保する。荷室床面には汚れに強い樹脂製ワイパブルマットを設定されるなど、荷物をたっぷり積み込むアウトドア派にはウレシイ仕様となっている。

コンパクトなボディながら優れた室内

コチラはベンチタイプのセカンドシート。とてもコンパクトなボディながら、クラス随一の定員8人乗りを実現する。

8人乗り仕様のセカンドシートは左右6:4分割可倒式。ワンタッチで前倒し可能で、サードシートへの乗降性を確保する。

5人乗り仕様「FLEX」の広大な荷室。写真はセカンドシートを全て畳んだ状態だ。なお床面は汚れや傷に強い樹脂製ワイパブルマットを採用する。

スタイリッシュな「トライアングル・スクエア・フォルム」

さて、デビュー前からTVCMで流れている三角形と四角形の組み合わせの絵柄を覚えているだろうか。これはフリードのエクステリアデザインのコンセプト「トライアングル・スクエア・フォルム」をイメージしたものだ。ノーズからルーフ(運転席)は三角形(トライアングル)で走りを表し、後方のキャビン部は四角形(スクエア)でユーティリティを象徴する。2つの異なる立体形状をモノフォルムで包み、大胆なキャラクターラインでスポーティにまとめた。路面電車をイメージしデザインされた四角いフォルムを特長とする先代モビリオとは、180度異なるスタイリッシュなエクステリアデザインに仕上がった。

デザインイメージを実現へ

フリードのエクステリアデザインコンセプト「トライアングル・スクエア・フォルム」。走りを表現する三角形とユーティリティを表現する四角形を融合して出来たのが「フリード」というワケだ。

「ホンダ フリード」エクステリアデザインのイメージスケッチ。大胆に弧を描くサイドのキャラクターラインやワイド感あるフェンダーアーチなどで、小型車らしい躍動感を表現。

実際の「ホンダ フリード」のフォルム。スケッチのイメージそのままに、ファミリー向けミニバンらしからぬスポーティさが凝縮されたデザインに仕上がった。

インテリアのテーマはオープンカフェ

いっぽうインテリアは、オープンカフェの居心地の良さをモチーフに「広さ」「使いやすさ」「心地よさ」をテーマにデザインされた。ラウンドフォルムのインパネは異なる造形の二層構造でまとめられた。メーターはフロントウィンドウ寄りに奥まった場所に配置し視線移動を少なくした。またインパネ中央の見やすい位置にナビ・オーディオをレイアウト。さらにエアコンの操作系は左右席どちらからも扱いやすい乗員手前側に置くなど、使いやすさを追求している。

「スカイルーフ」は5人乗りFLEXだけ

なお大型のガラスサンルーフ「スカイルーフ」は5人乗りFLEXだけのオプション装備。1125x770mmの大開口部で開放的な車内空間を演出する。プライバシーガラスと高熱線吸収UVカット機能付きガラスの合わせガラスを採用し、暑さや紫外線にも配慮され、さらに電動開閉式のサンシェードも備えている。FLEXを購入するならぜひオススメしたい装備だ。

インパネ周りにも工夫が凝縮

見晴らしの良さが印象的なホンダ フリードのインパネ周り。ピラーの断面が運転席から細く見えるように工夫されている。ロア部とアッパー部で異なった造形とし包まれ感と開放感を両立させている。

フロントウィンドウ寄りにメーターを配し、走行中の視線移動を少なくした。半円のスピードメーターにデジタルのタコメーター(左)やインフォメーションディスプレイ(中央)などがコンパクトに組み合わされる。

ホンダフリードの5人乗り仕様「FLEX」にのみ設定される特権が、開放的な大型ガラスサンルーフ「スカイルーフ」とスイッチ操作で開閉可能な「電動サンシェード」。7・8人乗り仕様には残念ながら設定がない。

高性能+オサイフに優しい低燃費

先に記したように、フリードのエンジンラインナップは1種類のみ。フィットRSにも搭載される1.5リッター i-VTEC「L15A」型SOHCエンジンを採用した。最高出力118ps(87kW)/6600rpm、最大トルク14.7kg-m(144N・m)/4800rpmと十分な性能を発揮。FFモデルはトルクコンバーター付きCVTと、4WDモデルは電子制御5速ATとそれぞれ組み合わされる。国土交通省「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」に認定されるなど環境性能も確保。さらに10.15モードで16.4km/L(FF車)をマークし「平成22年度燃費基準+22%」を達成するなど、オサイフに優しい低燃費も実現している。

4WD車全車にVSAを標準装備

安全面でも先進の技術を採用する。能動面では、横滑りを防止するVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト:車両挙動安定化制御システム)を4WD車全車に標準装備。FFモデルでは一部にオプション設定する。受動面では、3列全てに対応するサイドカーテンエアバッグシステムをオプション設定としている。

十分な性能のエンジンに安全をプラス

「フィット RS」にも使われる1.5リッター i-VTEC「L15A」型SOHCエンジンを搭載。最高出力118ps(87kW)/6600rpm、最大トルク14.7kg-m(144N・m)/4800rpmと十分な性能を誇る。

トルコンのスムーズさや低燃費性能と、変速ショックがないCVTの良さを併せ持つ「トルクコンバーター付きCVT」(FFモデル)。技アリなトランスミッションだ。

3列全てに対応するサイドカーテンエアバッグシステム(オプション)。3列目を跳ね上げた状態でも作動する。前席用にはさらにi-サイドエアバッグシステムもセットオプションで設定される。

多彩なグレード体系をラインナップ

フリードは全車ともオーディオレス仕様が標準。ナビ・オーディオなどはディーラーオプションで豊富なラインナップからセレクト出来るほか、メーカーオプションで「Honda HDDインターナビシステム」が設定可能だ。40GBの大容量HDDにタッチパネル機能付きの7インチワイドディスプレイを組み合わせ、4スピーカー40Wx4chアンプ、リアカメラや地デジ・ワンセグチューナー付TV、DVD/CDプレーヤー、bluetooth機能など盛り沢山の内容となっている。またインターナビ・プレミアムクラブにも対応する。

多くのグレードが200万円以内の価格設定

 グレード設定は、ベーシックな「G」(7人乗り)と「FLEX」(5人乗り)と、エアロ付グレード「Gエアロ」「FLEXエアロ」を設定。「G」「Gエアロ」には装備を充実させた「Lパッケージ」を用意する。5人乗り版にも同等の「FLEX Fパッケージ」が用意されるが、「FLEXエアロ」には設定がない。また8人乗り仕様は各LパッケージのFFモデルのみである。さらに安全装備を充実させた「Giエアロ」「FLEXエアロ」(共にFFのみ)が最上級グレードとなる。
 価格はベーシックな5人乗り「FLEX」(FF)が1,638,000円、7人乗り「G」(FF)が1,690,500円から用意され、多くのグレードが200万円以内の価格設定となる(価格は全て消費税込み)。なおボディカラーは、欧州車風の深みある色合いから7色が選べる。

運転に役立つオプション「Honda HDDインターナビシステム」

「Honda HDDインターナビシステム」はメーカーオプション設定。40GBの大容量HDDにタッチパネル機能付きの7インチワイドディスプレイが組み合わされる。

「Honda HDDインターナビシステム」のリアカメラ画像。カメラはテールゲートガーニッシュに内蔵されている。

リモコンや運転席のスイッチでスライドドアを開閉出来るパワースライドドア。イージークローザーもセットで装備される。

おススメは7人乗り「G Lパッケージ」「Gエアロ Lパッケージ」

ホンダでは7人乗り・8人乗り・5人乗り各仕様の販売割合を4:4:2と予測する。CORISMとしては、コンセプトが明確で日常の使い勝手も良い7人乗り仕様を一押ししたい。中でも「G Lパッケージ」「Gエアロ Lパッケージ」がオススメグレードとなる。予算に余裕があるなら「Giエアロ」も良い。また仕事や趣味で日常的に荷物を多く積載し、3列目シートの使い道が想定されないというユーザーには「FLEX」もおススメだ。

G・Lパッケージ(8人乗り:ボディカラーはバスクレッド・パール)

Gエアロ・Lパッケージ(7人乗り・FF:ボディカラーはプレミアムナイトブルー・パール)

X 車いす仕様車(4人乗り・FF:ボディカラーはアラバスターシルバー・メタリック)

コンパクトボディに3列シート、バリューな価格に期待!

ステップワゴンのサイズでも持て余してしまうから小さいほうがいい、しかし小さくても3列シートはきっちり使いたい、そしてバリューな価格がいい!・・・軽自動車やコンパクトカー(取り回しが良くユーティリティも高い、価格もバリューだ!)のユーザーなど、確かに潜在ニーズは多そうだ。フリード、結構売れちゃうのではないだろうか!

代表グレード Gエアロ Lパッケージ(FF・7人乗り)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4215x1695x1715mm
車両重量[kg] 1290kg
総排気量[cc] 1496cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 118ps(87kW)/6600rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.7kg-m(144N・m)/4800rpm
トランスミッション トルクコンバーター付きCVT(無段変速オートマチック)
10・15モード燃焼[km/l] 16.4km/L
定員[人] 7人
消費税込価格[万円] 1,963,500円
発売日 2008年5月29日