今度の目玉は“ミラクルオープンドア”!
03年秋にデビューした初代「ダイハツ タント」は、実に衝撃的だった。軽最大級のロングホイールベースに、見たこともない独創的な背高スタイル。中に入れば、おもわず口あんぐりな巨大キャビンなのだから。
この革新的な軽ハイトワゴン「タント」は、工藤 静香ママのコミカルなTVCMも後押しして、デビューするやメーカーも驚く大ヒットを飛ばした。その後、もこみちクンでおなじみのエアロモデル「タントカスタム」も追加され、さらに人気も上昇。今ではミラやムーヴと並ぶダイハツ軽自動車第三の柱にまで成長を遂げている。
あれから4年。早くも第二世代のタントがデビューすることになった!しかも今度のモデルは、単なる正常進化ではない。プラットホームを一新し、エンジンルームのコンパクト化やタイヤを四隅に追いやるなどして、2490mmのロングホイールベースを実現。軽自動車最大の2160mmの室内長を確保した。また、全高1750mmの背高ボディにより圧倒的な室内高を確保。さらに、センターピラーレス+スライドドアの“ミラクルオープンドア”という「飛び道具」まで用意してきた。さらなる革新的な進化を遂げた新型タントの全容に迫る!
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928195727.jpg) |
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928083923.gif) |
12月17日、東京都目黒区のウェスティンホテル東京にて、フルモデルチェンジしたダイハツ 新型「タント」の発表会が行われた。 >> 記事全文を読む |
|
ミラクルオープンドアの開口幅、実に1480mm!
新型タント第一の目玉が、助手席側のみに備わる軽自動車初のセンターピラーレス+スライドドアの組み合わせによる“ミラクルオープンドア”だ。
後席スライドドア単体で開口幅は580mm。さらにフロントドアとスライドドアを開けた場合、実に1480mmの開口幅を実現する。後席で370mmの低床フロア高とし、さらに段差の少ないフラットなフロアとした。また室内高は小学3・4年生なら立って移動出来るほどの1335mmもの高さを確保。小さい子供の乗降のみならず、福祉車両としても重宝しそうな”高性能”を誇る。
上級グレードにはリモコン操作可能なパワースライドドアを採用。半ドア時に自動的に閉めるイージークローザーや、挟み込み機能も備わる。
なお、運転席側のドアは前後ともに通常のヒンジ式ドアが装着されるが、約90度開く大開口部(2段階中間ノッチ付き)で、こちらも優れた乗降性を確保する。
ただ、ピラーのないモデルだけに安全性が気になるところだ。これについては、前ドア後端部とスライドドア前端部に、超高張力パイプ材を使用したピラーを内蔵。前ドア上下とスライドドアにロックを配置し、ボディとしっかり結合させることでドアがピラーの役割を果たし、ピラー付モデル同等の強度や剛性を確保する。より重い乗用車との衝突実験なども行ったほか、国内や欧州などの厳しい衝突安全基準を超える数々の衝突実験をクリアするなど、高い衝突安全性能を目指した。
子育てユーザーに嬉しい“ミラクルユーティリティ”
新型「タント」のインパネデザインは、大型1眼メーターが印象的なワイドなセンターメータークラスターと、インパネシフトやシルバーのセンタークラスターで構成される。インテリアはブラウンとベージュのツートンカラーで構成され、広々したタントの室内空間をさらに開放的に演出する。
いっぽうの「タントカスタム」のインパネには大型3眼メーターが装着され、シルバー加飾やメッキパーツにより”カスタム”らしさを演出。また、室内は黒を基調にダークグレーのツートンカラーで構成される。
なお両タイプともに、フロント席はコンフォートベンチシートとなる。
新型タントのインテリア設計にあたっては、子育てママや子供たちの声を集めた「ママキッズプロジェクト」を実施。「触感マーケティング」の手法を取り入れ、試作品へ実際に触れてもらうなどしながら商品企画を練りこんだ。その結果、高いルーフ高を利用し育児グッズなどを収納出来る「オーバーヘッドコンソール」(ルーフイルミネーション付)や、助手席の280mmロングスライド機能と助手席シートバックテーブル機能、汚れのふき取りが容易な「フローリングフロア」などのアイデアが実現した。さらに、圧倒的な室内空間を生かし、あらゆる空間に様々な収納スペースが用意されるなど、新型タントならではの“ミラクルユーティリティ”(抜群の利便性)を誇る。
バックドアは跳ね上げ式。バンパーの上から開き、開口高1040mm、最大開口幅1120mmの大開口部を実現する。また格納式のリアシートをたためば、フラットなラゲッジスペースが出現。子供用自転車などが容易に積載出来る1385mmもの荷室長を確保する。
装備面では、リバース連動ドアミラーやリバース連動リアワイパーが設定され、大きな車体での運転をサポートする。また、チルトステアリング、運転席シートリフター、アジャスタブルショルダーベルトアンカーが「アジャスタブルパック」として全車にオプション設定される。小柄なママや大柄なパパなどが利用するような場合には、ぜひ欲しい装備だ。出来れば標準装備して欲しかったところではある。
「タント」と「タントカスタム」、エクステリアで明確な差別化を実施
既に今秋の東京モーターショーで参考出品されていたことから、もうすっかりおなじみとなった新型タントのボディスタイル。基本的には、好評を得た初代のコンパクトノーズ&超ビックキャビンスタイルを継承・進化させている。ただ、キャラクターラインを低めにしフェンダーのワイド感を強調させたことで、見た目の安定感をアップすることに成功している。また、単なる無味な四角い大きな箱とはせず、ディテールのそこかしこに丸のモチーフや柔らかな曲面を採用し柔和な表情が与えられ、女性ユーザーの目も意識したデザインであることが見て取れる。
ボディカラーも可愛らしい「ファインブルーマイカメタリック」(写真)を含む新色3色など、全部で9色をラインナップし、幅広いニーズに応える。
いっぽう、エアロパーツと独自の凄みでタント人気を加速させた立役者、“オトコタント”こと「タントカスタム」。新型では” Aggressive Modern”をコンセプトに、さらなる迫力と存在感をアップさせた。フロント周りは4灯ヘッドランプとクリアタイプのワイドガーニッシュで明確な差別化を図り、バンパー部の大型グリルやワイドタイプのフォグランプを低く配置することで安定感を表現している。リアも、フロント同様のクリアタイプのワイドガーニッシュ&コンビランプを採用するなど、ベースモデルとは大きく雰囲気を変えていることが分かる。ボディカラーはこちらも新色4色を含む全9色を用意する。
先代では“オトコタント”と言いながらも、実際には「もこみち」クン効果もあり女性ユーザーの比率も案外高かったという。女性ウケを狙った新型「タント」と、よりアグレッシブに生まれ変わった新型「タントカスタム」。今度はどのような販売比率となるか、注目したいところだ。
CVTとの組み合わせで20.5km/Lの低燃費をマーク
新型タントに搭載されるエンジンは1機種。ムーヴなどでもおなじみ、新世代KF-VE型3気筒12バルブDOHC DVVTエンジンだ。最高出力58ps(43kW)/7200rpm、最大トルク6.6kg-m(65Nm)/4000rpmを誇る実用的なエンジンだ。CVTと組み合わされた場合10.15モードで20.5km/Lの低燃費をマーク。平成22年燃費基準+10%を達成し、低排出ガス車認定と併せグリーン税制に適合する。いっぽう下位グレードには4速ATと組み合わされ、その場合の10.15モード燃費は18.8km/L(「タントX」・FFモデル)となる。
また「タントカスタム」には、タント同様のノンターボエンジンに加え、「RS」グレード専用のKF-DET型3気筒12バルブDOHC+インタークーラー付きターボエンジンが設定される。最高出力64ps(47kW)/6000rpm、最大トルク10.5kg-m(103N・m)/3000rpmのハイパワーをたたき出す。こちらはCVTのみの設定で、10.15モード燃費も19.2km/Lを達成。ハイパフォーマンスモデルながら、十分な低燃費ぶりを兼ね備えている。
|
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928083923.gif) |
|
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928083923.gif) |
|
どうして!? イマドキ、ABSオプション設定の怪・・・
標準タイプの「タント」のグレード設定は全部で4つ。装備を充実させた上級グレード「X Limited」に加え、フローリングフロアなどを採用し新たな価値観を提案する「X Limited スペシャル」にはCVTが組み合わされ、シリーズ随一の低燃費を発揮。このほか「X」「L」グレードには4ATが設定され、こちらはFFのほかに4WDモデルも設定される。
価格は「X Limited スペシャル」140万7千円から「L」(FF)108万1千円まで。
いっぽう、エアロ+ローダウンの「タントカスタム」シリーズでは、ターボエンジン搭載の「カスタム RS」を筆頭に、ノンターボ+CVT搭載の「カスタム X Limited」、ノンターボ+4ATの「カスタム X」「カスタム L」グレードが用意される。カスタム X Limited以外は、FFモデルのほかに4WDモデルも設定される。
価格は「カスタム RS」(4WD)173万7750円から「カスタム L」(FF)126万円まで。
(※車両価格は全て消費税込み)
しかし、例によって廉価な「タントL」「タントカスタムL」各グレードのみABS(EBD&ブレーキアシスト付)をオプション設定するという、イマドキ信じられないことをしている点には呆れてしまう。付いてて当たり前な安全装備、ABSを省く意味が全く理解出来ない。「買ってはいけないグレード」と言ってよいだろう。もし購入する場合でも、オプション装着は忘れずにしたいところだ。
なお安全装備では、他に全車にデュアルSRSエアバッグが標準装備されるほか、上記の各Lグレード以外には(!)「セーフティパック」としてSRSサイドエアバッグ、SRSニーエアバッグ、ダブルプリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルトがセットとなった「セーフティパック」がオプション設定される。
なおプリテンショナー&フォースリミッター機構付フロント3点式ELRシートベルトや、後席ISO FIX対応チャイルドシート固定バー&トップテザーアンカー、チャイルドシート固定機構付リア3点式ELRシートベルトは全車で標準装備である。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928195727.jpg) |
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928083923.gif) |
12月17日、東京都目黒区のウェスティンホテル東京にて、フルモデルチェンジしたダイハツ 新型「タント」の発表会が行われた。 >> 記事全文を読む |
|
スズキから最大のライバル「パレット」が間もなくデビュー!
モーターショーで先行披露された新型タントだが、同時にライバルメーカーからも同様のコンセプトのモデルが出ることも明らかになった。その名は「スズキ パレット」。こちらも同様に、先の東京モーターショー会場で、デビューに先行して一足お先の披露が行われていた。
こちらは、タントにはない両側電動スライドドアを武器とする。そのいっぽうで、タントのように開放感と乗降性に優れたピラーレスではない。なおパレットも、08年早々のデビューを予定している模様だ。08年3月末の決算期には、早くも壮絶な軽ハイトワゴンバトルが繰り広げられることになりそうだ。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928165800.jpg) |
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220928/20220928083923.gif) |
【新車情報】 (2007.10.30)
超ハイトなスペースワゴン「ダイハツ タント」に、強力なライバルが生まれた。それも軽No.1のスズキからだ。その名は「PALETTE(パレット)」。 >> 記事全文を読む |
|
( 写真:和田 清志・CORISM編集部・ダイハツ自動車工業/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )
代表グレード
|
X Limited スペシャル
|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
|
3395x1475x1750mm
|
車両重量[kg]
|
940kg
|
総排気量[cc]
|
658cc
|
最高出力[ps(kw)/rpm]
|
58ps(43kW)/7200rpm
|
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
|
6.6kg-m(65N・m)/4000rpm
|
ミッション
|
CVT(自動無段階変速機)
|
10・15モード燃焼[km/l]
|
20.5km/L
|
定員[人]
|
4人
|
消費税込価格[万円]
|
140.7万円
|
発売日
|
2007年12月17日
|
レポート
|
CORISM編集部 徳田 透
|
写真
|
和田 清志/ダイハツ自動車工業
|