エンジンの実力を引き出すスポーツモード付きATを搭載
新型インプレッサの搭載エンジンは基本的に従来のものと変わらない。自然吸気が1.5LのDOHCと2.0LのSOHC、2.0LのDOHCターボの3機種だ。一部に5速MTの設定もあるが、基本的に4速ATと組み合わされる。
1.5Lエンジンは81kW/144N・mのパワー&トルクで平均的なレベル。取り立ててパワフルなエンジンではないが、実用域でのトルクに優れており、日常ユースを中心に考えるなら特に不満を感じることはない。
4速ATはスポーツモード付きで、レバーを倒すとよりエンジン回転の高い領域を使ったスポーティな走りが可能になり、さらにレバーを操作することでマニュアル車感覚の走りも可能。またセンターコンソールにはECOボタンが設けられており、標準モードのときにこのボタンを押すと燃費の良い走りになる。こうした機能はレガシィのSIドライブと同等ともいえる仕様だが、インプレッサではあえてSIドライブとはされていない。
2.0Lエンジンの搭載車は103kW/186N・mの実力で、SOHC仕様とはいえ排気量の余裕の分だけトルク感のある走りが得られる。1.5LにはFF車の設定もあるが、2.0L車ではAWD車だけの設定になるため、トルクの余裕は好感が持てるものとなる。
乗り心地の良さに貢献する新シャーシを採用
今回のインプレッサで注目されるのは足回りだ。新しいプラットホームを採用し、後輪にダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用することで、SIシャシーと呼ぶ新しいシャシーを採用しているが、これが乗り心地に大きく貢献している。
箱根のワインディングロードを走るには、1.5Lの標準サスではちょっと柔らかすぎるくらいの印象もあるが、とにかく乗り心地の良さは特筆モノ。ユーザー層を広げようとしたことが良く分かる乗り味である。トレッドやホイールベースの拡大も乗り心地の良さに貢献しているのは言うまでもない。
2.0LのDOHCターボはグレード名もWRXではなくS-GT。184kW/333N・mの実力は十分すぎるくらいのものだが、WRXのようなとんがった感じのターボではなく、低速域から滑らかに効くツインスクロールターボである。S-GTではややスポーティな足回りとなるが、これも乗り心地の良さは損なわれていない。
●お勧めグレード
一般的には1.5Lエンジンを搭載した15SのFF車が良く売れると思う。15Sでもインプレッサの良さは十分に味わえると思う。ただ、スバルの特徴であるAWDを前提に考えるなら、15Sより20Sのほうがお勧め。2.0Lエンジンを搭載した4WD車で200万円を切る価格設定はかなりリーズナブルなものといえる。
15Sにもかなり安めの価格が設定されているが、実際に購入するにはいろいろなパッケージオプションを装着しなければならず、カーナビを含めたら200万円近い予算が必要になる。20Sのカーナビ付きは230万円台の予算である。
スポーティな走りを求めるユーザーにはS-GTも良いが、秋にWRXが登場することが分かっているだけに、今の時点でS-GTを選ぶかどうかは難しいところだ。ただVDCが装着できるのはS-GTのスポーツパッケージ装着車だけ。となるとこれも見逃せないグレードではある。