マツダ ロードスター
マツダ ロードスター

全長&全幅とも2代目ロードスター比、プラス40ミリと大きくなった。

マツダ ロードスター

柔らかに盛り上がるフェンダーラインは、歴代のロードスターにはないグラマラスなボディを作り出している。

マツダ ロードスター

サドルタン/レザーインテイリアを装着すると、ソフトトップもタン/クロスの組み合わせとなる。通常モデルはブラック/ビニールとなる。

マツダ ロードスター

6,700回転までスムースに回る2リッターのMZRエンジンを搭載。50:50という重量配分にもこだわり、エンジンの搭載位置はググッと後方にセットされている。

マツダ ロードスター

インテリアの質感は大幅に向上。さらに、小物の収納スペースも充実している。ちょっとクラシカルなテイストのデザインはロードスターの伝統。

マツダ ロードスター

シルバーのリングを配したシンプルなデザイン。残念ながらプッシュ式のイグニッションではないのが残念。

マツダ ロードスター

ボディサイズのUPは、居住性の向上も貢献した。とくに横幅は、従来モデルとは比べ物にならないくらい広い。

マツダ ロードスター

6MT、6ATともにミッションの完成度も高い。ATはすべてのマツダ車の中でもトップクラスの静粛性とスムースさを持つ。

マツダ ロードスター

マツダスピード製のエアロをまとったロードスター。フロントバンパーは、ラジエーターの導風部を拡大しながら、空気抵抗を抑えたデザインになっている。

マツダ ロードスター

ディフューザー形状でレーシーなスタイルを演出するリヤバンパー。少し太めの2本だしスポーツサウンドマフラーも迫力あるリヤビューを演出。

走るほどにドラマティック!

「あっ、消えた!」 

 ピットロードをゆっくりと新型のロードスターの息吹を確かめるように加速して、1コーナー手前で軽くブレ-キング、ゆっくりとステアリングを右に切った瞬間にそう感じた。そう、真夏の筑波サーキットで新型ロードスターに乗るチャンスをいただいたときのことだ。ボクが新型ロードスターを理解できた瞬間でもあった。
 
 で、なにが消えたかというと「ボディサイズと重さ」。どうもボクはスペックから入るタイプらしく、新型ロードスターのボディサイズを見た瞬間に閉口した。最近のクルマは、ほとんどがモデルチェンジするたびに大きくなっていく。「ロードスター」オマエもか? 全長はなんとか4メートルを切っているものの、全幅が1,720ミリと堂々の3ナンバー車となってしまい、車両重量も1,100キロ。初代ロードスターが940キロ位だから160キロも重い・・・、なんて思ったのだ。

 こんなネガティブな要素も、一度走り出してしまえばまったく気にならなくなる。ボディの大きさも重量も、すべてどこかへ飛んで消え去ってしまう感覚。初めて乗ったのにもかかわらず、なぜかしっくりとした一体感。

「あはっ、楽しぃ」

 もう40歳を目前に控えた男が、ひとりでクルマに乗り微笑んでいる姿はとても美しくないが、楽しいものは楽しいのである。フツー、サーキットを走行するときは、クルマが速い遅いに関係なく、目が釣り上がり気味になり手のひらは汗ばみ、緊張感いっぱいでの走行となる場合が多い。ところが、ロードスターの場合、不思議なことに必要以上の緊張感をほとんど感じない。とても緩やかで、手にとるようにクルマの動きがわかる。突然、クルマがドライバーを裏切ることはない。いつでも、分かりやすくクルマがドライバーにコンタクトを求めてくれるから、運転がヘタな人はそれ以上に、上手なドライバーはさらにその上を狙えるドライバーを選ばない貴重なスポーツカーともいえる。

「優しいクルマだなぁ」

 いわゆる、開発陣がいつもいっていた「人馬一体」っていう感覚なのか? 

「初代ロードスターに似ている」

 規定の周回数はアッという間に終わった。クルマから離れる瞬間、初代ロードスターに感じた楽しさと、新型ロードスターの楽しさが瞬く間にオーバーラップした。その昔、ボクは初代ロードスターと3年ほど共に過ごした経験がある。運転の楽しさを共有できただけでなく、運転そのものもロードスターに教えてもらった。ターボ車全盛期にあって、単に速さやスペックだけではないことも実感できた。速さだけでは語れない楽しさがあるクルマだった。そんなドライバーを育てるクルマという意味では、同じ臭いがしたのだ。

ロードスターに乗って粋なオヤジを気取りたい!

「と、いうわけで、欲しいですロードスター!」

 ま、ウダウダと書きましたが、ロードスターはかなり欲しい1台。走る楽しさという点では、BMWの1シリーズもかなり良い。まさにハンドリングマシーンって感じ。完成の域に達したの1シリーズも捨てがたいのだが、300万円(120i)を軽くオーバーする価格はそう簡単には手が出ない。そうなると、オープンカーでありながら250万円(RS)というロードスターはある意味お買い得だったりする。

 感覚的なものでいうならば、BMW1シリーズってカンペキな機械って感じ。すべてにおいて、ピシッとしていてスキがない。対するロードスターは? と、いうとなんかとってもユルイ感じ。悪い意味ではなくて、リラックスできるという意味。ずぼらな運転をしてても、なんか許されちゃいそうで、それが楽しかったり。屋根がないってだけで、ちょっとドラマを感じさせてもくれる。

 まあ、月間の販売目標が360台だから、もはや完全にニッチなクルマ。時代はクルマはもう趣味やステータスではなくて、ただのツール。20歳台前半で、ミニバンを欲しがる人生において大きな損失をしていると思われる若者達には、完全に理解できないクルマだろう。

 そんなこんなで、ロードスターで盛り上がっている人は「自動車専門誌」や一部のマニアックな「クルマ好き」だけ。

それが、クルマ好きのオナニーだっていいじゃないですか! 

 好きなだけ、こっそりと盛り上がらせてくださいよ! って気持ちになってくる。F1やっているのにスポーツカーがラインアップにないなんて、洒落にもならないメーカーだってあるのに、こんなマニアックなクルマをシッカリと作ってくれるマツダには感謝状を出したいくらい。

 そんなことを考えていたら、ロードスターに娘を乗せてドライブに行きたくなった。「パパのクルマ、オープンカーなんだよ。カッコイイでしょ」と、自慢しながら話す娘を想像。あらあら、なんかいいんじゃない? そんなシーンにちょっと憧れ、自分に酔っちゃったりして。週末なんかは、ロードスターを乗り回して「ミニバンもいいよねぇ」なんて気にもかけない素振りでいられる「粋なオヤジ」になりたいなぁ・・・。う〜ん、ドラマチック、ロードスターだなぁ。

達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
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代表グレード
RS
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
3,995×1,720×1,245
車両重量[kg]
1,100
総排気量[cc]
1,998
最高出力[ps(kw)/rpm]
170(125)/6,700
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
19.3(189)/5,000
ミッション
6MT
10・15モード燃焼[km/l]
13.0
定員[人]
税込価格[万円]
250.0
発売日
2005年8月25日
レポート
大岡智彦
写真
佐藤靖彦