オペル アストラ

欧州を代表する大衆車、アストラの実力は侮れない

フォルクスワーゲン ゴルフ

 欧州Cセグメントを代表するファミリーカーが、VWゴルフとオペルのアストラだ。エクステリアは、面のテイストが大きく異なる。オーバルシェイプの豊かな面質をチャームポイントにするゴルフ、これに対しアストラは、ダイナミックで塊感の強い骨太フォルムを身にまとった。デザインに新しさを感じるのはアストラ、親しみやすいのはゴルフだ。全長とホイールベース以外はサイズに大きな差はない。全幅は3ナンバー枠の1760mmになった。

 キャビンは同クラスの日本車と比べると華やかさに欠けるが、質感は高い。インパネを含め、デザインもシンプルだ。だが、居心地はいい。質感レベルはゴルフが一歩リードする。ただし、本当に上質ムードを味わえるのは、本革ステアリングなどを装備するGT系だ。キャビンの広さはアストラに軍配があがる。エルゴノミックデザインを採用したアストラのキャビンは、前席はもちろん、後席も余裕の広さだ。膝元まわりは広々としているし、頭上にも握りこぶし1個以上の余裕が残されていた。ゴルフの後席も不満のない広さを確保している。だが、広さ、乗降性ともに一歩及ばない。

 エンジンは両車とも4気筒DOHCで、ゴルフが直噴の1.6リッターと2.0リッター、アストラは1.8リッターと2.0リッターだ。両車とも2.0リッターエンジンにターボを組み合わせた。ただし、先代のゴルフをベースにしたワゴンには1.8リッターエンジンがある。どちらも素性のいいエンジンを積んでいるが、高回転を得意とするのはゴルフ、実用域のトルクに厚みがあるのはアストラだ。ゴルフは出来のいい6速ATを採用しているのが強みだが、2000回転付近でトルクの落ち込みがある。アストラのターボはパワフルだ。

 フットワークは両車とも軽快で、優れたコントロール性を見せつける。走りの洗練度が高いのはゴルフ、スポーティ感覚がわかりやすいのはアストラだ。ブランドの知名度はゴルフが圧倒するが、買い得感が高いのはアストラである。ハードウェアに関しては、ゴルフを凌ぐほどの実力派だ。

達人プロフィール: 片岡英明
職業:モータージャーナリスト
学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒ...