走りはこれまでのインプレッサで最高レベルのフィール。

サーキットでもインプレッサを駆る菊地靖選手が太鼓判を押した。

最高出力320馬力を発揮するターボエンジンを搭載。

ホイールは軽量化を果たしたBBS製を装着している。

スタイル インテリア 走り&メカニズム

大型ツインスクロールターボで好レスポンス、ハイパワーを実現

 S203の原動力となるパワーユニットの変更点は多数あるが、大きく変わったのがターボチャージャーだ。「大型ツインスクロールターボ(ボールベアリング)」が採用されている。少しマニアックな話になってしまうがこれはタービンを大型化することによって高回転域での出力は大幅に上がるが、低、中速域のトルクが犠牲になってしまう。そこの落ち込みを補うのにタービンの軸受けにボールベアリングを使い、そしてタービンの羽の形状や枚数を変更することで低速から高速域までスムースにストレス無く吹け上がって行くフィーリングを実現させた。そのタービンの排圧を逃がすマフラーも抜けの良いストレートタイプに変更されより力強さを実現している。そのエンジンを制御するECUもブーストをコントロールすると同時に適正なトルクカーブになるようにセッティングされているのだ。

 それだけではない。エンジン内部の部品(ピストン、コンロッド等)を手作業で選定し仕上げられているというから「こだわりの逸品」という感じだ。

 走り出してみると想像を超えるパワーに普段からハイパワー車には乗り慣れているはずの私も少々驚きを隠せなかった。レースではインプレッサに乗りそのトルクの太さは十分承知だがトルク感はもちろんだが高回転まで一気に加速して行くこの感覚は味わった事がなかった。どの回転域からでもスムースに加速して行き、運転していると楽しさが増してずっと乗っていたい気持ちになる。

 足まわりは、車高が約15mm下げられ減衰力の適正化やサスペンション各部の強化によりよりスポーティーになったS203。コーナーリングではリニアなステアリング反応でフロントが入り込みリアもシッカリと接地している。そのため自然に速度も上がってしまうがドッシリと安心感もある。そんなしっかりした動きなのに意外なほどに乗り心地が良く路面の継ぎ目等でも「ガツン」という入力は無い。「硬いのにしなやかな動き」という表現が分かり易いだろう。

 ドライビングシートに座った瞬間からこれほど気持ちを高ぶらせる市販車とは正直出会った事がなかった。最初は約460万円という価格を聞いて「高いな」と思ったが乗り終わった今は「これはお買い得」と答えが正反対になってしまった。

代表グレード
S203
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4415×1740×1410
車両重量[kg]
1445
総排気量[cc]
1994
最高出力[ps(kw)/rpm]
320(235)/6400
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
43.0(422)/4400
ミッション
6MT
定員[人]
5
税込価格[万円]
460.95
発売日
2004年11月
レポート
菊地靖/オートアクセル
写真
オートアクセル
スタイル インテリア 走り&メカニズム