スズキ アルト
アルト

最上級モデルのXセットオプションには、アルミホイールが装備され、ドアサッシュブラックアウト化される。

アルト

半円形のモチーフを使用したコンビランプ。微妙な立体感で、柔らか印象をアピール。

アルト

A型のベビーカーが入る大きさを確保したラゲッジルーム。このあたりに「ママプロジェクト」のノウハウが生きている。

アルト

スズキらしいシンプルなインパネ。大型のスピードメーターが印象的。

アルト

エンジンは直3DOHCのみ。Xのみ4ATで、その他のグレードは3ATとなる。

アルト

1979年に登場した初代アルト。47万円という価格で登場した。

マジメでシッカリした作り込みは、さすがスズキ!

 アルトが6年ぶりにフルモデルチェンジされた。1979年に初代モデルが登場して以来、このモデルで6代目となる。今回のコンセプトは「自分の時間に気軽に使える親近感のわくクルマ」。

 もともと、軽自動車は道具として生活と密着したクルマだ。毎日の通勤や買い物、子供の送り迎えと、毎日フル稼働。そんな生活のシーンに合わせて、軽自動車が本来持つ経済性や使い勝手の良さという基本性能を新アルトは追求したという。昔からスズキの戦略は、とにかくインパクトのある価格訴求にある。今回もまさに、価格訴求のスズキの面目躍如といった感じ。なんとエアコンとパワステ、ラジオ、エアバッグなどを装着した上で65万円(税抜・2WD/5MT)というバーゲンプライスが提示されている。

 今回のNEWアルトは、軽自動車の3分の2が女性ユーザーということもあり、かなり女性を意識したクルマ作りが行なわれた。メインターゲットを「30代女性」。そんなユーザーの気持ちを理解するために、なんと社内の30代子持ちの社員を集め「ママプロジェクト」なるものを結成。女性の目から見たクルマ作りがスタート。例えば、シートクッションの評価も男性と女性では、体型の違いから評価に差が出る、荷室はA型のベビーカーは収納できるスペースを確保するなど、さまざまな点が反映されていったのだ。

 さて、ボディデザインはというと、フェンダーラインやリヤのコンビネーションランプなど、ポイントに円をモチーフにしながら柔らかさを表現。しかし、ギュッと立ち上がったピラーからルーフに流れるラインや、スクエアで大きなヘッドライトなど全体にカッチリとした印象。少し前に発売された、とにかく丸いムーヴ・ラテとは、ある意味対極な方向性にある。まあ、このあたりは好みの問題。メーカーごとの個性がハッキリしてきて、このクラスのクルマ選びもますますおもしろくなってきた。
 
 インテリアに目を移すと、明るいベージュの内装色が目に飛び込んでくる。しっとりとした落ち着きのある雰囲気が心地よい。ただ、シート生地に使われているパズル柄は、好みが分かれるところだろう。インパネもボディデザイン同様、エアコンの吹き出し口を中心に、円のモチーフが使われていて優しいインターフェイスに仕上げられている。斬新さはないが、とても馴染みやすい。また、身長168センチの私には十分なヘッドクリアランスがあり、サイズの割には広々とした印象。少々気になったのは、とてもベーシックな安全装備である後席のヘッドレストが上級グレードのXにしか標準装備されないこと。他メーカーもそうだが、こういった装備の充実にも力をいれて欲しい。

 エンジンは、直3DOHCを全車に搭載。54馬力のパワーと6.2?-mのトルクをアウトプット。プラットフォームや足まわりの主要部品をワゴンRと共用とすることで、低コスト化されたNEWアルト。乗り心地は? というと、開発者曰く「ワゴンRより、女性を意識しましたから、乗り心地が良いと思います」とのこと。ワゴンRに少々押され気味だったアルトだが、女性を意識したことで復権なるか? とても楽しみだ。

代表グレード
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
3395×1475×1500
車両重量[kg]
760
総排気量[cc]
658
最高出力[ps(kw)/rpm]
54(40)/6500
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
6.2(61)/4000
ミッション
4AT
10・15モード燃焼[km/l]
21.5
定員[人]
税込価格[万円]
94.5
発売日
2004年9月13日
レポート
大岡智彦(編集部)
写真
徳田 透(編集部)