車の買い替えはもったいない?
車は高い買い物だからこそ「まだ乗れるのに買い替えるのはもったいない」と思う人もいるでしょう。しかし、車の買い替えがもったいないかどうかは、ケースバイケースです。
基本的には乗り潰した方が経済的
経済的には、車は乗り潰した方が得なケースが多いです。なぜなら、車のコストで最も大きな割合を占めるのは車両価格だからです。
車を買い替えるとなれば、その回数だけ車両価格の負担が増え、1年あたりに換算した車両価格も高くなります。もとの車を売れるといっても中古車の買取価格には相場があり、結果として乗り潰しほど車両価格を抑えられないことが多いです。
乗り潰しと買い替えの車両代比較
以下では、N-BOXカスタムを10年と3年で売却した場合(ともに廉価グレード、1年あたり1万キロ走行、黒色)の大まかな車両代を比較しました。
【大まかな車両代の例】
年式とグレード | 10年落ち (2014年式、G) |
3年落ち (2021年式、L) |
---|---|---|
走行距離 | 10万キロ | 3万キロ |
ボディカラー | 黒 | 黒 |
新車時価格 | 約150万円 | 約177万円 |
買取価格 | 約11万円 | 約96万円 |
(新車時価格 - 買取価格) | 約139万円 | 約81万円 |
1年あたり | 約13.9万円 | 約27万円 |
※フルモデルチェンジにより、10年落ちと3年落ちではグレードや価格の設定が異なります。
買取価格はガリバーの買取実績のデータより抽出。上記は一例であり、同条件でも同じ結果が得られるとは限りません。
上記の例では、10年落ちの方が3年落ちと比べて1年あたりの車両代が半額近くに抑えられています。大きな故障や部品交換がない限りは、乗り潰した方が経済的でしょう。
買い替えた方が経済的な車種もある
ただし、短期で乗り換えた方が経済的な車種もあります。それは、リセールバリューの高い車です。
リセールバリューとは、新車登録から一定期間後に「いくらぐらいで売れそうか」を指標化したもの。たとえば、車両価格300万円で3年後のリセールバリューが60%の場合、その車は3年後に180万円前後で売却できる可能性があります。
リセールバリューの高い車であれば、売却額をもって1年あたりの車両価格を抑えられます。また、新しい車なら整備費などを浮かせられる可能性もあります。
コスト以外のメリットも考慮が必要
車の買い替えには一定の費用が必要ですが、安全性が高まったり、使い勝手が良くなったりと他のメリットを得られます。そのため、買い替えの損得を費用面のみで判断するのはお勧めしません。
車の買い替に悩む場合は「得られるメリットが買い替えコストに見合っているか」という点も考えると良いでしょう。
車の買い替えをお勧めするタイミング
以下では、車の買い替えでコストを抑えやすい、或いはコスト以外の面で買い替えのメリットが大きいタイミングをご紹介します。
①新車から3年または5年の車検前
車の価値は、日々下がるもの。特に、新車から5年で買取相場は大きく下落する傾向があります。だからこそ、車を高く売却して次の車両代に充てるなら、新しいうちに売るのも一つの選択です。
車検前に売却すれば、車検代を浮かせることもできます。そのため「あと少しで車検」というタイミングでの売却がおすすめです。
新車登録から7年も、車検のタイミングです。また、買取相場は5年を境に大きく下落しますが、7年後でもまだ新車時価格の20~30%で売れる可能性があります。7年を超えればさらに査定額がつきにくくなるので、その前に売却するのも良いでしょう。
②修理費が高額なとき
ちょっとした不具合なら、新しい車を買うより修理をした方が良いでしょう。しかし、あまりに費用が高い場合は買い替えをお勧めします。
目安となる金額は個人の経済状況や車の状態によって異なりますが、ある程度の年数を乗っていれば「車両価格を使用年数で割った金額」で考えるのも一つです。たとえば240万円の車に8年乗っているなら、修理費の上限は30万円といった具合です。
③新車登録から13年が経過する前
新車登録から13年が経過すると、自動車税と自動車重量税が重課されます。たとえば2019年10月以前に登録したアルファード(2.5Lガソリン車)の場合、課税額は以下のように変わります。
1~12年 | 13年~ | 18年~ | |
---|---|---|---|
自動車税 ※1年分 |
45,000円 | 51,700円 | 51,700円 |
自動車重量税 ※2年分 |
41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
13年にもなると、税金以外でも燃費の悪化でガソリン代がかかったり、不具合が多くなったりするものです。維持費が高くなるのを機に買い替えるのも良いでしょう。
④その他生活などに変化があるとき
①~③は費用に関わるポイントでしたが、以下のような変化がある場合も買い替えの検討をお勧めします。
- 車に乗る人が増える/減る
- 運転の頻度が高くなる/走行距離が増える
- 運転技術に不安が出てきた
子どもの誕生や自立で乗車人数が変わったり、通勤距離が変わったりする場合は、利便性や維持費の面で買い替えを検討するのがおすすめです。また「加齢により事故が怖い」といった場合は、安全性能の整った車にした方が良いでしょう。
買い替えで損をしないための注意点
車の買い替えでは、もとの車を少しでも高く売却するとともに、新しい車をしっかり吟味して選ぶことが重要です。「もったいない買い替え」とならないよう、以下のポイントを押さえてください。
①買い替えの理由と条件を明確にする
車は高い買い物だからこそ、後悔しないように明確な目的と条件をもつことが重要です。なぜ買い替えが必要なのか、また予算も含めた新たな車の条件を考えましょう。
特に、予算はつい気が緩んでオーバーしがちです。「新車で高すぎれば中古にする」など、購入金額を下げるための選択肢をもつことをお勧めします。
②リセールバリューの高い車を選ぶ
「次の車もいずれ買い替えよう」と考えているなら、リセールバリューの高い車を選びましょう。特に、3年後のリセールバリューが70%以上の車なら、買い替えでもある程度の金額で売れる可能性があります。
③車検前に売却する
先ほどもご紹介したように、車検前に売却すれば車検代を浮かせることができます。車検を通してから売却すれば車の査定額自体は上がりますが、車検代ほどの上がり幅は期待できません。
④年度末までに売却する
4月1日時点で車の所有権を有していると、自動車税の納税義務が発生します。そうなれば、1年分の自動車税を納めなければいけません。
普通車の場合、未経過分の自動車税を買取先のお店が月割りで査定額に上乗せしてくれることも多いです。しかし、軽自動車は月割りしてもらえないことが殆ど。いずれにせよ、納税の手間などを考えれば、年度末までに売却した方が良いでしょう。
中古車には、1年のなかでも高く売れやすい時期があります。それは、1~3月と9月です。1~3月は新生活に向けて車の需要が高まり、販売店も在庫確保に奔走します。また、9月も人事異動などで車の需要が高まり、自動車業界の半期決算期とも重なるので、高く売れやすいです。
⑤走行距離が大台に乗る前に売却する
人間はキリの良い数字に敏感であり、たとえば同じ5万km前後でも4.8万kmと5.2万kmでは受ける印象が異なります。この数字の差が、査定額に影響することも少なくありません。そのため、売却はキリの良い数字を超えないうちに済ませるのがおすすめです。
また、普通車で走行距離10万km、軽自動車で8万kmを超えると、査定額は大幅に下がる傾向があります。こうした大台に乗る前に買い替えを決断することも重要です。
⑥買取相場を確認しておく
中古車には、年式や走行距離に応じた買取相場が存在します。事前に相場価格を知っていれば、安く買い叩かれる事態を防げます。
愛車と似た条件の車がいくらで買い取られているか、買取相場を事前に確認しましょう。
ガリバーでは、過去6ヶ月の買取実績を以下のページで公開。年式と走行距離に加え、グレードや色などの条件も記載していますので、参考にしてください。
⑦下取りでなく買取で売却する
ディーラーの下取り価格は、中古車専門店の買取価格と比べて安い傾向があります。ディーラーは買取と比べて他店と査定額を比較されることが少なく、顧客も新車値引きに注目しがちだからです。
新車を購入する場合も事前に買取相場を確認し、できれば1社でも査定に出して見積書を受け取ってから下取り価格を聞いてみましょう。
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まずは査定に出してみるのも一つ
「買い替えにいくらかかるのか」と見えないコストについて悩むのであれば、まずは費用を明確にすることをお勧めします。愛車を査定に出し、欲しい車との差額を見てみましょう。
ガリバーを含め、多くの中古車専門店では査定を無料で行っています。査定を受けても無理に売却する必要はありませんので、まずは愛車の価値を確かめてみてはいかがでしょうか。
- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!