車の塗装が剥がれる原因と対処法について整備士が解説

長く車に乗っているとさまざまなトラブルに見舞われるものです。
車の塗装剥がれもそのひとつで、剥がれる原因には外的な要因ものもあれば経年劣化もあり、誰しもが経験する可能性があります。
そこで車の塗装が剥がれる複数の原因を解説しつつ、その対処法について解説します。

車の塗装が剥がれる原因

車の塗装が剥がれる原因は大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

  • 飛び石などの外的要因
  • 経年劣化
  • 修理時の塗装不良

防ぐことが難しい飛び石などの外的要因

塗装が部分的に欠けるような剥がれ方は、飛び石などの外的な要因である可能性が高いです。特にフロントバンパーやボンネット、ドアミラーが飛び石による塗装剥がれの被害を受けやすいです。
飛び石は突発的なことがほとんどなので防ぐことが難しいですが、車間距離を十分取った余裕のある運転で、ある程度はリスクを低減できます。

塗装の経年劣化

塗装の経年劣化が原因で塗装が剥がれることもあります。
特に屋外駐車を長年続けていると、紫外線の影響を受けやすいです。
赤・黄・青といったボディカラーで、なおかつソリッドカラーだと、特に紫外線によるダメージが大きくなりがちです。

修理時の塗装不良

板金塗装修理をしたときに作業者の技術力が低いと、塗装不良により早いときは修理後数ヶ月で塗装が浮いたり剥がれてくるケースがあります。
通常であればこのようなことはないので、塗装不良の原因に心当たりがあれば、一度修理をした業者に相談することをおすすめします。

車の塗装がはがれやすい箇所

飛び石のような外的要因の場合は、すでに解説したようにフロントバンパー、ボンネット、ドアミラーが塗装剥がれの被害を受けやすいです。
経年劣化の場合は、紫外線を受けやすいボンネットやルーフ、セダンであればトランクといったボディ上部に塗装剥がれが発生しやすいです。

車の塗装が剥がれた場合の修理費用の目安

車の塗装が剥がれた時の修理費用は5cm×10cm程度の広さなら1~5万円ほどが目安です。塗装が剝がれている範囲の大きさによって修理費用は変わってきます。
塗装剥がれの大きさ別の修理費用について、目安を以下の表にまとめました。

塗装剥がれの大きさの目安 修理費用
5×10(cm) 1〜5(万円)
10×10(cm) 1.5〜5.5(万円)
20×10(cm)や15×15(cm) 2〜7(万円)
30×10(cm)や20×20(cm) 3〜8(万円)
1パネル再塗装 4〜10(万円)
全塗装 30〜150(万円)
タッチアップペンを使用したセルフ補修 450〜1,500円

※表:凹みや大きすぎる傷がなく、基本的に塗装のみでの修理を前提とした場合

 

同じお店での修理であっても修理箇所の形状や車種、ボディカラーによって費用は異なるので修理の際は事前に見積もりを取ることをおすすめします。
また、塗装剥がれ程度であれば本格的な板金塗装ではなく、日帰りで作業が完了するプロによる簡易補修で1〜10万円程度で修理できるサービスを展開している店もあります。サービスメニューの作業範囲を限定的にすることで、通常の板金塗装と比較して安く提供できるものです。
わたし自身も実際にこのサービスを利用したことがあり、仕上がりには十分満足しています。

【補足】どの程度の塗装剥がれなら自分でできる?

飛び石などによる数mm以下の塗装剥がれであれば自分で目立たなく修理することができます。
具体的にはタッチアップペン等を使用して剥げた箇所を塗ります。
付属の筆(ハケ)で塗るのが困難な場合は、爪楊枝などの先が細くボディを傷つけない柔らかい素材のものを使えば、大きな失敗をせずに塗装できます。

塗装剝がれにおすすめのグッズ

塗装剥がれが起きたときに自分で目立たなくしたい、修理をしたい場合におすすめのグッズです。

こういったタッチアップペンがカー用品店やホームセンターで販売されています。
1,000円前後〜で購入が可能です。
ボディカラーは無数にあるので、珍しいカラーや廃盤となったカラーはお店にないことが多いです。
この時、「類似色であれば良いか」と別のカラーのものを選ぶのは控えてください。
ボディカラーは一見、似たようなものでも実際に塗るとまったく異なる色合いで逆に目立ってしまうリスクがあります。
白や黒のような無難なカラーも然りです。

カー用品店などで自分の車のカラーのタッチアップペンが見つからない場合には、ディーラーで純正のものを取り寄せてもらうことをおすすめします。
純正品でも廃盤になっている場合には、社内の板金塗装部門に依頼して作成してもらうことも可能です。(わたしのいま勤めている会社、前職の会社いずれも可能でした)

整備士のまとめ

塗装に剥がれが発生したとき、飛び石被害レベルの微細なものであればタッチアップペンを使った簡易補修がおすすめです。
塗装の劣化などで広い範囲で塗装剥がれが発生したときは、部分的に簡易的な補修したとしても、その後別の箇所に剥がれが発生する可能性が高いです。
こういった場合はプロに依頼して塗装の状態を確認してもらい、費用は掛かりますが再塗装を検討することをおすすめします。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。