
タービンブローはすべての車で発生し得るものではなく、ターボエンジンを搭載した車に備わっている「ターボチャージャー」に関するトラブルです。
タービンブローとはどういうものなのか?その原因や予防法、修理費用の目安などを現役の整備士が解説します。
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タービンブローとは
タービンブローは、ターボ車に搭載されている過給機である「ターボチャージャー」が、なんらかの原因により破損・損傷してしまい、正常に作動しなくなった状態を指します。
タービンブローすると加速が悪くなったり、異音がしたり、マフラーから大量の白煙が出るといった症状が発生します。
タービンブローした状態で車に乗り続けることは困難なので、修理が必要となります。
タービンブローの原因
タービンブローの原因は主にエンジンオイルのメンテナンス不足ですが、他にも過度なブーストアップといったことも考えられます。
タービンブローの原因とされることについてそれぞれ詳しく解説します。
ターボチャージャーの寿命
過給するためのタービン内部の羽根は、毎分10万回転以上もの高回転で駆動しています。
負荷の大きい部品なので、使用に伴って劣化や部品の摩耗が進み寿命を迎えてしまうと、タービンブローに至ることがあります。
エンジンオイルのメンテナンス不良
ターボチャージャーはエンジンオイルによって冷却・潤滑されています。
適切なタイミングでのエンジンオイル交換を怠ったり、慢性的にオイル量が不足している状態が続いていると、必要十分な冷却・潤滑ができず、ターボチャージャーのベアリングの焼き付きやシールの損傷等が発生します。結果、タービンブローにつながることがあります。
異物の混入
ターボチャージャーは、エンジンが空気を吸うための配管の途中に設置されています。
配管内になんらかの原因で異物が混入すると、エンジンのはたらきによる負圧作用で、その異物も吸われてしまう可能性があります。
異物がターボチャージャーに到達し、ターボチャージャーのインペラ(羽根)に干渉すると、場合によってはターボチャージャーを損傷させてしまうかもしれません。
その結果、タービンブローが発生することがあります。
過度なブーストアップ
ブーストアップはチューニングメニューのひとつです。
パワーアップのため通常より多くの空気を吸うようにチューニングされますが、その結果、ターボチャージャーはより高回転で駆動し、空気をエンジンに送り込むことになります。
ターボチャージャーへの負荷は大きくなるため、過度なブーストアップはターボチャージャーの寿命を縮めるだけでなく、損傷を招きタービンブローの原因となることもあります。
タービンブローに前兆はある?
タービンブローはほとんどの場合である日突然起こるのではなく、前兆があって前もってその異常に気付くことができます。
また、ここで解説する前兆が必ずしもそのままタービンブローにつながるわけではないので、その点はご安心いただければと思います。
しかし、多くの場合でなんらかの不具合が発生している可能性は高いので、すみやかに整備工場で点検してもらうことをおすすめします。
マフラーからの白煙が多い
ターボチャージャー内部の吸気側でエンジンオイル漏れが発生していると、そのオイルがエンジンに吸入される空気に混じって消費されてしまいます。(=オイル消費)
オイルが燃焼することで、マフラーから白煙が出ます。
また、ターボチャージャー内部の排気側でエンジンオイル漏れがあると、そのままマフラーから排出されますが、マフラーの熱によってオイルが焼けて白煙が発生します。
元々、ターボチャージャーを搭載した車は自然吸気エンジンと比較してオイル消費が多く、またマフラーからの白煙が必ずしもターボチャージャーが原因のオイル消費とは限りませんが、前兆のひとつとして大いに参考になる症状です。
オイル消費が異常に多い
上記の「マフラーからの白煙が多い」で解説した内容と重複しますが、ターボチャージャーの不具合などによりオイル消費が異常に増えていることがあります。
酷い場合には、オイル交換のインターバルを待たずしてオイル量が低下して、オイルランプ(油圧低下警告)が点灯するケースもあります。
異音の発生
アクセルを踏み込んでエンジン回転数の上昇に合わせてエンジンルームから以下のような異音が聞こえる場合は、タービンブローの前兆である可能性があります。
- 「ウォーン」というような唸り音
- 「シャー」と金属が擦れるような音
- 「ヒュイーン」「ヒャー」というような笛吹き音
- 「ジャーッ」「ガラガラ」というような明らかに何かが壊れている音
ターボチャージャーの回転軸にあるベアリングにガタや損傷があってスムーズに動かない場合や、回転している羽根にガタや欠けがある、羽根がハウジングに干渉している…といった場合に上記のような異音の発生が考えられます。
加速不良の発生
ターボチャージャーが健康な状態で駆動できなくなると、本来の過給圧(ブースト)が発生しなくなることが考えられます。
その結果、加速不良やパワー不足をタービンブローの前兆として感じることがあります。
エンジンチェックランプの点灯
ターボチャージャーの不具合により、コンピューターがなんらかの異常を検知した場合には、エンジンチェックランプが点灯することがあります。
エンジンチェックランプはさまざまな不具合に対してドライバーに異常を知らせるものなので、タービンブローに関わるものでなくても速やかに整備工場でテスター診断してもらいましょう。
エンジンチェックランプ点灯に伴い、体感できる不具合のある場合と無い場合があります。
【補足】タービンブローで白煙が出ない場合
例えばターボチャージャーの羽根が欠損・変形してしまい適切な過給ができない不具合の場合、オイルが吸気管・排気管に侵入しないために密閉しているオイルシールが損傷していなければ、マフラーから異常な白煙が出るような症状は発生しません。
タービンブローが発生すると白煙の発生を伴うことが多いですが、このように、なかには白煙が出ない可能性もあります。
タービンブローを修理する費用の目安
タービンブローの修理費用は一般的な国産車であれば、20万円程度までで修理費用が収まるケースが多いです。ただし、車をパワーアップするために社外品のターボチャージャーを導入する等の特殊な場合は、加工も必要となるため修理費用は大幅にアップします。
タービンブローが発生した場合の修理は、ターボチャージャー本体を交換することがほとんどです。
交換に使用するターボチャージャーは、以下の3つのパターンから選ぶことになります。(費用は部品代と工賃を含むものです。)
- 新品部品…10万円〜
- リビルト部品…8万円〜
- 中古部品…5万円〜
部品代は新品がもっとも高く、次いでリビルト品、もっとも安価なのが中古部品てす。
また、作業工賃は車種によって大きく異なります。
大掛かりなものになると、フロントバンパーを外したりエンジンを降ろしての作業となるケースもあります。
タービンブローの予防法
タービンブローを予防するためには、普段からエンジンに負担を掛けないことが重要です。
以下の点に気を付けることが、タービンブローの予防につながります。
- 定期的なエンジンオイル交換を怠らない
- 指定の粘度・グレードのエンジンオイルを使用する
- 過度なブーストアップをおこなわない
- 高負荷が連続する走行を避ける
- エアクリーナーに不適切な改造を行わない
予防法1.定期的なエンジンオイル交換を怠らない
ターボチャージャーはエンジンオイルによって冷却・潤滑されています。
定期的な交換を怠って劣化したエンジンオイルを使い続けたり、エンジンオイル量が少ない状態で車に乗り続けていると、ターボチャージャーにとって必要十分な冷却・潤滑ができていない恐れがあります。
ターボ無しのエンジン以上に、エンジンオイルの管理はシビアにおこないましょう。
サービスデーターなどを参照しても、同型車でもターボ無しエンジンと比較してエンジンオイル交換の推奨時期が早いことがあります。
車のメンテナンスの基本であるエンジンオイル交換をきっちり実施することが、タービンブロー予防に効果的です。
予防法2.指定粘度・グレードのエンジンオイルを使用する
エンジンオイルの交換さえしておけば良いわけではなく、使用するエンジンオイルのグレードや粘度にも注意を払うことが大切です。
最近でこそ、ターボ付きエンジンでも低粘度エンジンオイルの指定が珍しくありませんが、ひと昔前では、ターボエンジンには粘度の硬いオイルを使うことが推奨されているケースがほとんどでした。
車種別の取扱説明書等に記載のサービスデーターを見れば、使用を推奨されているエンジンオイルの粘度やグレードが記載されています。
見つからない場合には整備工場やディーラーに問い合わせて確認してみましょう。
使用するエンジンオイルのチョイスも、タービンブローを予防するうえで大切なことです。
予防法3.過度なブーストアップや、連続的な高負荷走行を避ける
パワーアップ等を目的としたブーストアップや、連続的な高負荷走行(例えばサーキットを全開走行するなど)はターボチャージャーを酷使します。
スポーツ走行を目的とした車の使い方をする場合には、通常よりもタービンブローのリスクが高まることを理解しておきましょう。
予防法4.エアクリーナーに不適切な改造をしない
エアクリーナーはエンジンが吸う空気に含まれる異物等を取り除く、非常に重要な役割を果たしています。
このエアクリーナーを外したままエンジンを掛けたり、不適切な改造を施してしまうと、ターボチャージャーに異物が吸い込まれてしまう可能性があります。
物理的な損傷、破損を招きタービンブローするリスクが高まるので、これらの行為は絶対にやめておきましょう。
整備士のまとめ
タービンブローを避けるために大切なのは、とにかくエンジンオイルのメンテナンスを適切におこなうことです。
それでも距離が伸びてくると、使用による経年劣化によってタービンブローしてしまうことは十分にあり得ます。
特に負荷の大きい軽自動車であれば、10万kmを超えると寿命を迎え、交換が必要となるケースも出てきます。
タービンブローの修理費用は高額です。
リビルト品を使うなどで費用を抑えることはできますが、正確な状態が分からない中古部品の使用はあまりおすすめしません。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。