エンジンブローとは?原因や前兆について整備士が解説

エンジンブローとは?原因や前兆について整備士が解説

エンジンブローを起こすと車に乗れなくなり、修理費用も多く掛かります。そうならないためにできる日々のメンテナンス方法や、エンジンブローの前兆はあるのか、修理に必要な費用について現役の整備士がお答えします。

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エンジンブローとは

エンジンブローはなんらかの原因によりエンジンが深刻なダメージを受けて、エンジンが損傷 ・破損することを指します。
エンジンブローの症状としてエンジンが吹けない、アイドリングが不安定、エンジンからガラガラ・カラカラといった異音が発生するといったことが挙げられます。
ひどい場合には、エンジンそのものが始動できなくなるケースもあるので、多くはエンジンブローに至ると走行することが困難になってしまいます。

エンジンブローの原因

エンジンブローする原因には「メンテナンス不良」や「エンジンオイル漏れの放置」、「オーバーヒート」、「タイミングベルト切れ」などいくつかのパターンがあります。
それぞれ、エンジンが焼き付いたり圧縮圧力の低下(圧縮抜け)を引き起こしてエンジンブローしてしまいます。
酷いものになると破損したエンジンのピストン等の内部部品が、鋳物やアルミ製のエンジンブロックを突き破って出てきてしまうような危険なケースもあります。
主な原因の詳細についてそれぞれ解説します。

エンジンオイルのメンテナンス不良

エンジンオイルを良好な状態に保つことはとても大切なことです。一般的には走行距離で5,000kmごとのエンジンオイルの交換が推奨されています。
エンジンオイルの交換を怠っていると、エンジンオイルの性能が大幅に低下することになり、エンジンにダメージが蓄積します。
早ければ新車から走行距離が2万km経ってもエンジンオイルを未交換の結果、エンジンブローというケースもあります。

エンジンオイル漏れ・消費を放置

エンジンオイル漏れを放置しているとエンジンに必要なオイルが慢性的に足りなくなります。また、エンジンオイルの消費が激しいケースはすでにエンジンに問題があることが考えられます。
万全な状態でないエンジンを使い続けると、徐々にエンジンにはダメージが蓄積し、最終的にはエンジンブローに至る可能性があります。

オーバーヒート

オーバーヒートは冷却水漏れや、その他の理由によってエンジンが異常高温になってしまうことです。
エンジンの許容範囲を超える高温になると、オイルは油膜切れを起こして十分な潤滑がおこなえません。
結果的にエンジンに深刻なダメージを与えることになり、最悪の場合はエンジンブローに至ります。

オーバーレブ

AT車が主流の現在では、コンピューター制御によりオーバーレブが発生することは限りなくゼロに近いですが、ドライバーが自由に変速可能なMT車だとシフトミスによりオーバーレブしてしまう可能性があります。
オーバーレブはエンジン回転数の安全限界を超えてエンジンが高回転になってしまうことです。限界を超えた回転数でエンジンが動くことで、エンジンブローしてしまうことがあります。
この場合、ミッション側もダメージを受ける可能性があります。

タイミングチェーンやタイミングベルト切れ

タイミングチェーンやタイミングベルトが切れると、エンジンの燃焼室に空気を導く&燃焼後のガスを排出するバルブと、ピストンが干渉してしまうことでエンジン内部が大きなダメージを受けてしまうことがあります。
結果的にエンジンブローしてしまいます。
チェーンやベルトが切れなくても、それらを駆動しているプリーの破損等によりエンジンタイミングにズレが生じると、同じくエンジンブローするケースがあります。

エンジンの寿命

どれだけ手を施してメンテナンスしていても機械製品の劣化や摩耗から免れることはできません。エンジンが寿命を迎えてエンジンブローするケースもあります。

エンジンブローに前兆はある?

エンジンブローの前兆として「エンジンの異音や振動」、「エンジンルームからの異臭」、「エンジンチェックランプの点灯」、「エンジンルームやマフラーから白煙があがる」といったことが挙げられます。
前兆のすべてがエンジンブローにつながるわけではありません。主な前兆について詳しく解説します。

エンジンから異音・振動がする

エンジンから「カラカラ」「ガラガラ」「カンカン」「キュルキュル」…といったような聞き慣れない異音の前兆があってエンジンブローすることがあります。
異音の原因はエンジン内部の部品の損傷、摩耗や劣化によるもの、またエンジンオイル量の不足、ノッキング現象等が挙げられます。
これらの異音がかならずしもエンジンブローにつながる訳ではありません。
また、異音の発生に伴ってエンジンがギクシャクすることで、車全体が振動することもあります。

エンジンルームから異臭がする

オイルが焼けたような臭いがしたり、冷却水漏れによる嗅ぎ慣れない甘い臭いがする場合には注意が必要です。
オイルが焼けたような臭いはオイル漏れの発生やオイル消費、エンジン内部に異常がある可能性が考えられます。
甘い臭いは冷却水である可能性が考えられます。
もし冷却水が漏れていれば、そのまま放置しているとオーバーヒートしてしまうリスクがあります。

エンジンルームから白煙があがっている

エンジンルームから白煙があがっているのは、なにかしらの異常があることを意味します。エンジン冷却水が噴き出していたり、オイル漏れ発生の可能性があります。そのままにしているとエンジンブローのリスクが高まるので、安全な場所に停車してエンジンを切ります。

水温や油温が高温になっている(オーバーヒート)

水温や油温が異常に高温になると、エンジンチェックランプの点灯や、水温の異常警告灯の点灯または水温計の針が高温側に振れるといった症状が発生します。
最近の車であれば、メーターやディスプレイ内に警告メッセージが出るものもあります。そのまま乗り続けるとエンジンブローにつながるおそれがあります。

マフラーから大量の白煙が出ている

マフラーからの白煙が継続して出続けている場合は、エンジン内部でオイルを消費していたり、そのほかに何か不具合が発生していることが考えられます。(低音時の水蒸気による白煙を除く)場合によっては、エンジンブローの前兆かもしれません。

エンジンチェックランプが点灯する

エンジンチェックランプは主にエンジンに関連する不具合を示すものなので、エンジンブローの原因となる不具合の予兆である可能性があります。
エンジンチェックランプが点灯したときは、体感する不具合がなくても早めに整備工場で診断してもらうようにしましょう。

エンジンブローの修理費用の目安

エンジンブローの修理費用は20万円〜100万円が目安になります。ただ、中古エンジンの載せ替える場合は10万円~で対応できる可能性があります。
エンジンブローしたときの修理パターンは大きく分けて以下の3つです。

  • エンジンをオーバーホールして修理する
  • 新品またはリビルトエンジンに載せ替える
  • 中古エンジンに載せ替える

それぞれの修理パターンについて詳しく解説します。

エンジンのオーバーホール

オーバーホールとはエンジンを分解修理することです。
エンジンブローした原因の場所だけを修理する場合もあれば、主原因でなくとも劣化・摩耗していれば合わせて他の部位も修理するケースもあります。
オーバーホールのメニューや車種(エンジン)によって修理費用には大きな幅があります。
整備工場で実際に診断のうえ、見積もりを取らないとくわしい作業の内訳は分かりかねますが、一般的な国産車で20万円〜100万円が修理費用の目安です。
また、作業を進めるに従って追加費用が発生するケースもあるので注意しましょう。

新品またはリビルトエンジンの載せ替え

エンジンを載せ替えするときのエンジンの選択肢はいくつかありますが、新品エンジンを使用するのがもっとも高額です。
リビルトエンジンは中古エンジンを分解し、使える部品は洗浄等を実施して再使用、消耗部品等は新品に交換するなどしてリフレッシュされたもので、いわゆる再生産されたエンジンです。
中古エンジンよりも高品質で、新品エンジンほど高額でない点がメリットです。

  • 新品エンジンに載せ替える費用の目安…35万円〜100万円
  • リビルトエンジンに載せ替える費用の目安…25万円〜90万円

特にリビルトエンジンへの載せ替えについては、オーバーホールと比較して大きく費用が違わないケースもあるので、エンジンブローした後も修理して車に乗り続けたい場合には、リビルトエンジンへの載せ替えが個人的にはもっともおすすめです。

中古エンジンの載せ替え

エンジンブローした際の修理で、エンジンを載せ替える場合の選択肢のひとつが中古エンジンへの載せ替えです。場合によっては、もっとも安く修理できる可能性があります。費用の目安は10万円〜です。
あくまで中古エンジンなので、載せ替えてみないとエンジンの健康状態が分からないのがデメリットです。
エンジンの載せ替えについては以下の記事でくわしく解説しています。

エンジンブローを予防するには?

エンジンブローを予防するためにまず大切なのは、日々のメンテナンスです。
また、車の異変に早く気付いて、そのまま放置しないことも大切です。

定期的なエンジンオイル交換を怠らない

エンジンを健康的に維持するためには、定期的なエンジンオイルの交換が不可欠です。
オイル交換を怠り、劣化したオイルを使い続けているとエンジンに与えるダメージが大きくなります。
早期エンジンブローを起こさないためにも、おおむね5,000km前後での交換を心掛けましょう。

定期的に整備工場で点検を受ける

車の健康状態の良し悪しは素人だと判断できない部分も多いです。
車検時の法定24ヶ月点検のみならず、法定12ヶ月点検も信頼のできる整備工場で受けて、車の状態を定期的にチェックしましょう。
エンジンブローの原因になりかねない不具合を早期発見できるかもしれません。
また、特にタイミングベルトやスパークプラグといったエンジンに直接関連する消耗品は、適切なタイミングで速やかに交換するようにしましょう。

車に違和感を感じたら放置しない

エンジンオイルのメンテナンス不良等だと、車の異音や振動といった違和感を感じたときには、エンジブローにまでは至らずともエンジンにダメージが蓄積されており、その点では時すでに遅し…というケースが多いです。
一方で、オーバーヒート等であれば、水温の上昇や異臭・異音、白煙などに早く気付いて対処すれば、エンジンブローを防ぐことができます。
また、エンジンチェックランプや油圧低下警告灯(オイルランプ)の点灯、ワーニングメッセージが出たときにも症状が無いからと放置せずに、早めに整備工場で原因の診断をしてもらいましょう。
車の違和感に対して、早めに対処することが最悪のパターンであるエンジンブローから車を守ることにつながります。

無茶な運転を避ける

オーバーレブしてしまうような急速なシフトダウンや、高回転を多用してエンジンのレブを当て続けるような過酷で無茶な運転をしないことがエンジンブローの予防につながります。
無茶な運転は余裕がなくなるので安全面においても問題ありですが、操作ミスなども誘発することからエンジンブローの原因にもなりかねません。

整備士のまとめ

エンジンブローは、場合によっては車を乗り換えるのにかかる費用と変わらない修理費用が発生します。
また、修理をするとなった場合にはかなりの日数を要します。
できれば誰もが経験したくないエンジンブロー、いざという時に困らないようにユーザーができることは、定期的なエンジンオイル交換を怠らずに、エンジン関連の消耗品は交換目安時期がくれば交換しておくというカーメンテナンスの基本を守ることです。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。