車検に通るフォグランプとは?色や明るさなど注意点を整備士が解説

車検に通るフォグランプとは?色や明るさなど注意点を整備士が解説

一部の車に装備されているフォグランプは、ドレスアップや視認性向上のためバルブを交換できるものがあります。
フォグランプは車検に通らないものも市場に多く流通しており、気を付けなければいけないポイントがいくつかあります。
フォグランプの交換費用や交換時の注意点などについて、現役の整備士がわかりやすく解説します。
(この記事ではフロントのフォグランプについて解説しています)

フォグランプの車検における検査基準

フォグランプにはヘッドライトなど他の灯火類と同じく、保安基準が定められています。
この基準をクリアしていないフォグランプは車検に通りません。
厳密には公道を走行すること自体が違反行為となり、罰則の対象となります。
また、社外部品で「車検対応」と記載のある商品が必ず車検に通るとは限らないので注意が必要です。

フォグランプで認められている色

フォグランプで認められている色は「白色または淡黄色で、そのすべて同一であること」です。
具体的には、従来よりある電球色や通称イエローバルブ、LEDが普及したことに合わせて増えた白色が該当します。

フォグランプで認められている個数

フォグランプは「同時に3個以上点灯しないように取り付けられていること」と定められています。一般的に販売されている車は、左右対称に2つフォグランプが備えられています。法令上は、他の基準も満たしたうえで車両中央部に1個でも問題ないことになっています。

フォグランプで認められている取り付け範囲。高さに注意!

フォグランプはどこにでも付けて良いものではありません。地面からの高さや範囲などが細かく定められています。
車検におけるフォグランプの検査基準の高さは、下縁は地上から250mm(25cm)以上、上縁は800mm(80cm)以下の範囲に収めなければいけません。
また、フォグランプのもっとも最外部は、車両のもっとも外側から400mm以内にあることと定められています。いずれの位置も照明部分を基準としています。

よほど個性的なカスタムをしない限りは、フォグランプは純正の位置にあるはずですが、ここでもっとも注意しなければいけないのが「高さ」です。
例えば、ローダウンしたときに車高が車検に通る高さでも、車種によってはフォグランプの下縁の高さが先ほど解説した地面からの高さ「250mm(25cm)以上」を満たしておらず車検に通らないことがあります。

フォグランプの明るさや向きに注意

フォグランプの検査基準として「照射光線は、他の交通を妨げないものであること」とあります。明確な数値としての基準はありませんが、検査員の判断により上記に該当するとされた場合には車検に通りません。
(※2005年までに生産された車は明るさ1万カンデラ以下という数値基準あり)

例えば、対向車を幻惑するような(光軸が)上向きについていたり、ヘッドライトよりも明るいフォグランプなどは車検に通らないでしょう。

【補足】フォグランプの搭載義務はない

フォグランプは必ず搭載しなければいけないものではありません。搭載されていない車もたくさんあります。ただし、フォグランプの機能を有しているのに点灯しない状態はNGで車検に通りません。
元々フォグランプがある車で、フォグランプを取り外して機能を無くしてしまえば、車検に通ります。

フォグランプ後付けで気になる色。青はNG、ライムイエローは?

街中では稀にフォグランプの色を奇抜なものに交換している車を見かけます。
しかし、すでに解説したように白色もしくは淡黄色以外のカラーは車検に通りません。
青やライムグリーン、ピンク…といった色にカスタムすることはできません。
整備不良という違反に該当し「違反点数1点、反則金7,000円」が科せられます。

ライムイエローのリスクを理解し、検査員の指示に従う

フォグランプの色のなかで1番賛否の分かれる色が、ライムイエローのような緑がかった黄色です。
これを黄色とするかどうかの判断は検査員に委ねられます。
商品によってその濃淡も異なるので一概には言えませんが、車検に問題なく通るものもあれば問答無用で通らないもの、検査員によって判断の分かれる微妙なものもあります。
カスタムする以上、このようなリスクは理解しておくことが大切であり、車検に通らないものと判断されたときには、その指示に従う必要があります。

バイカラー(カラーチェンジ)フォグランプは車検に通る?

白色・黄色とフォグランプの色を切り替えることができるバルブがあります。これは基本的には車検に通ります。
わたしの身内に、このカラーチェンジタイプのフォグランプを装着している者がいますが、車検をクリアしています。
社外部品のイメージがある方が多いと思いますが、実はメーカー純正オプションとして採用される車種もでてきています。(例:トヨタ RAV4など)

ただし、フォグランプはすべて同一色であることという基準があるので、左右で異なる色になるシチュエーションが生まれるようであれば車検に通りません。
例えば、輸入車などでフォグランプがコーナーランプとして機能する車だと、交差点でハンドルを切ったときにフォグランプが点灯するので、左右で点灯・消灯の回数にズレが生じて、フォグランプ点灯時に左右で異なる色になってしまうことがあります。
わたし自身も、これが原因で車検時にお客さまの車のフォグランプバルブを純正に戻した経験があります。

フォグランプ交換、取り外し費用の目安

フォグランプの交換は、頑張れば素人でも工具を使ったうえで簡単にできるものもあれば、バンパーの脱着を伴うような難易度の高いものまで、車種によって様々です。

交換工賃はそこまで高い部類ではない

フォグランプの交換費用はフォグランプのバルブ交換の簡単な車種であれば「1,000円〜/片側」程度の工賃です。バンパーの脱着が伴う車種の場合は「5,000円〜」ほどの工賃です。
また最近のデザイン性の高い純正LEDフォグランプだと、ユニット一体となっておりバルブ単体での交換が不可能な車もあるので、事前に調べておきましょう。

フォグランプを取り外すときの費用目安

フォグランプを取り外す場合には、ほとんどの場合でバンパーの脱着を伴います。
また、ただ取り外すだけではなく、フォグランプの無いタイプのライトスイッチに交換するといった、部品の交換が必要となるパターンがあります。
フォグランプを取り外す整備は、基本的にレアケースとなるので、あらかじめ正確な工賃設定がされていないことも多いです。
フォグランプ取り外しの費用目安としては25,000円〜としますが、基本的には整備工場に事前に要相談することをおすすめします。

整備士のまとめ

フォグランプは気軽にカスタムしやすいパーツのひとつですが、必ず定められた法令を守らなければいけません。
違反となる色や、光軸を上向きにする行為は自分が満足したとしても法令違反で罰せられるのみならず、周囲の車や人に危害を及ぼす恐れがあることを理解しておきましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。