ホイールのガリ傷の修理はどうする?そのままでも大丈夫?整備士が解説

ホイールのガリ傷の修理はどうする?そのままでも大丈夫?整備士が解説

うっかりガリってしまったホイールの傷は、そのまま放置していても大丈夫なのか?または修理が必要なのか、その度合いは状態によって変わってきます。
この記事では、ホイールにガリ傷をつけてしまった時の対応について解説します。

ホイールのガリ傷はそのままにしても大丈夫?

軽度なホイールのガリ傷はそのままにしていても問題ないことが多いです。
ただし、傷といってもホイールが変形するほどの大きな傷だと何らかの影響を及ぼすことがあります。
エア漏れでパンクの要因になったり、ホイールバランスが狂ってしまい、走行中にハンドルの振れやハンドルが取られる…といった症状が出ることもあります。
これらは、わたし自身も現場で実際に体験したことのある症状です。
また、素材によっては目立つ錆が発生することもあります。見た目の問題もあるので、基本的には修理か交換することをおすすめします。

ホイールのガリ傷、修理と買い替えの判断

ホイールのガリ傷を修理するか買い替えるかは傷の度合いのほか、履いているホイールの価格によっても判断が異なります。ガリ傷の修理を業者に依頼するとなった場合と、買い換える場合とで費用面で大差ないことがあります。
まずは車屋さんで実際にガリ傷の現物を見てもらいながら、見積もりの依頼と修理するか交換するかの相談をするのがよいでしょう。

直せるホイールのガリ傷でも酷い場合は交換したほうが安心

ガリ傷そのものの度合いでの判断基準となると難しいですが、深く大きく削れている場合や複数箇所にガリ傷がある場合には修理よりも買い替えてしまったほうが安心でしょう。
ホイールは仮に割れやヒビ、歪みの発生があっても専門業者の手に掛かれば直せないことはないですが、やはり交換したほうが安心です。
また、アルミホイールではなくスチールホイール(鉄チンホイール)の場合には、アルミホイールのような修理が難しいので、買い替えるほうがおすすめです。
ホイールの種類によっては修理が断られることもあるので、その場合には買い替える選択肢一択となります。

ホイールが生産終了しているパターンも多い

すでに同じホイールの生産が終了しており、廃盤となっているパターンも少なくありません。
その場合、新品ホイールの入手が非常に困難となるので、修理をするか4本まとめて別のものに交換するかの二択になります。

ホイールのガリ傷の修理費用は?

ホイールのガリ傷の修理費用目安は、1本あたり1万円前後〜です。
ディーラーの場合は自店舗では修理できず、社内または社外外注となることが多く、1本あたり2万円前後〜とすこし割高な印象です。
また、いずれもガリ傷の状態やホイールの種類によって修理費用は高くなり、1本あたり4〜5万円することもあります。

ホイールのガリ傷を目立たなくするDIY修理の方法

ホイールのガリ傷を完璧に修理とまではいかなくても、DIYで目立たなくすることはできます。
わたしもマイカーのホイールにガリ傷を付けてしまいましたが、DIYで最低限目立たないようにして気にならなくなったので、それで良しとしています。

ガリ傷のDIY修理で用意するもの

ホイールのガリ傷修理に必要なものとして、まずは目立たなくするために最低限用意するものを紹介します。

  • カーシャンプー
  • ホイール用スポンジ
  • 耐水ペーパー(150、400〜600、800〜1000)
  • 金属やすり(荒目)
  • マスキングテープ
  • ウエス(タオル)
  • 傷消しコンパウンド

これらはホームセンターやカー用品店で購入可能ですが、100均でも揃えることができるものばかりです。
耐水ペーパーは目の粗いものから細かいものまで必要ですが、それぞれ分けて買う必要はありません。100均でもセット売りされているものがあります。


また、ガリ傷を目立たなくするためだけではなく、削れた部分を平らにして直したい場合には追加で以下のようなものも必要になります。

  • シリコンオフ
  • アルミホイール用パテ
  • アルミホイール用傷隠しステッカー
  • アルミホイール用塗料(カラーペイントと必要に応じてクリアペイントも用意する)

まずはガリ傷を均して目立たなくしよう

第一段階として、ガリ傷でザラついたホイールの表面をヤスリ等で削って均すだけでも、ホイールの種類や材質にもよりますが、かなり目立たなくなります。
わたしが自分の車のホイール補修をしたときは、DIYでやるレベルならここまでの工程で十分と判断して作業を終えています。

  1. 作業しやすくするために、シャンプーとスポンジを使ってホイールを洗う
  2. マスキングテープでガリ傷以外の箇所を保護する(作業時に関係のないところを傷つけないために)
  3. 傷が深い場合はまず、目の粗い金属ヤスリでガリ傷を削る
  4. 水に浸した粗目の耐水ペーパーを使って、ガリ傷の凸凹が無くなるまで研磨する
  5. ある程度凸凹が無くなったら、細目の耐水ペーパーを使って表面を均していく
  6. 仕上げに、コンパウンドを使って削ったところを磨いていく

パテ盛りや塗装は難易度高いので慎重に

DIYでは上記の工程まででもできれば十分です。
さらに踏み込んだ修理にチャレンジする場合は、凸凹を埋めるパテ盛りをおこないます。
しかし、ここからはDIYの難易度も上がります。
パテ盛りや塗装にチャレンジした結果、ガリ傷を削るだけで終えていたほうがきれいで目立たなかったことも十分にあり得るので、やるかやらないかは慎重に考えましょう。

パテ盛りと塗装の流れ

パテ盛り後は、パテが硬化するのに数時間を要するので、作業時間に余裕のあるときに実施することをおすすめします。

  1. シリコンオフを使ってパテを盛る箇所を脱脂する
  2. パテを塗布し、ヘラなどを使って表面が均一になるようにのばす
  3. パテが硬化するまで待つ
  4. 目の細かい仕上げ用の耐水ペーパーを使って全体を均して馴染ませていく

仕上がりの状態によっては、ここで終わらせても問題ありません。
パテの色がホイールの色と大きく異なる場合などで、塗装する場合には以下の手順に続きます。

  1. 塗装前に改めてホイールを洗う
  2. シリコンオフを使って塗装面を脱脂する
  3. カラー(ペイント)塗装する(塗料に記載の用法に従う)
  4. 必要に応じてクリア塗装する

塗装までになると、DIYとしては難易度がさらに上がります。
ホイール全体をいきなり塗装するのではなく、ガリ傷を補修した最低限の場所から塗装すると、大きな失敗をしづらいです。

最終的には安心のためにもホイールバランスをチェックする

ガリ傷修理が終われば、車屋さんでホイールバランスをチェックしてもらうことをおすすめします。
見た目がきれいになっていても、ガリ傷をつけたときの影響でホイールバランスに狂いが出ている可能性があります。
ホイールバランスの狂いはすでに触れたように、走行中にハンドルの振れなどの影響が出るリスクがあり、ホイールバランスがあまりに悪いとホイールを交換した方が良い場合もあります。

ホイールのガリ傷修理おすすめグッズ

ホイールのガリ傷を修理するときにおすすめのグッズ・用品をご紹介します。

耐水ペーパーのセット

ガリ傷を修理するときの必需品です。
使うのに適した粗さの耐水ペーパーがセットになっているので、これひとつ買えば必要な耐水ペーパーが揃うのでおすすめです。

アルミホイール専用パテ

カーメンテナンス用品の取り扱いで有名なSOFT99から販売されている、アルミホイールのガリ傷補修専用のパテです。
パテ施工後の仕上げの研磨がしやすいという声がよく聞かれる、オーソドックスな2液タイプのパテとなっています。

浅いガリ傷にはこれ一つで全てOK

この商品はガリ傷の凸凹を均して、さらに傷を埋めて仕上げきるとこまで必要な以下のものがすべて入っています。

  • 磨き剤
  • サンディングブロック
  • 耐水ペーパー
  • マスキングシール
  • 傷埋めパテ
  • ヘラ
  • マイクロファイバークロス

パテ剤は、やり直しのできる水性パテを採用しています。
ただし、このキットが対応しているのは傷の深さが2mm程度の浅いガリ傷までです。

整備士のまとめ

ホイールのガリ傷は近くで見ると目立つので、大切な愛車であれば気にならないように綺麗にしてあげたいですよね。
お金をかけて修理するか交換するのがベストですが、DIYで気にならないレベルに目立たないようにすることも可能です。(個人の感覚差はあります)
まずはタイヤにも影響が出ていないか?このままでも大丈夫か?…傷の度合いでも異なってくるので、車屋さんでプロに実際に見てもらって判断してもらうのがよいでしょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。