ヤリスクロス ハイブリッドvs CX-5徹底比較!マイナーチェンジ、フルモデルチェンジが期待されるSUV

ヤリスクロスとCX-5の車両画像

受注停止中の新車ヤリスクロスハイブリッドと、2ランク上の現行KF型マツダCX-5の中古車が同価格帯に入り始めた。ヤリスクロスの超低燃費性能やコンパクトなボディサイズを取るべきか、CX-5のラグジュアリーさや短納期を選ぶべきか等を、価格や燃費といった項目別に比較・評価した。

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ヤリスクロス受注停止中! 2クラス上のKF系CX-5も中古車も検討範囲内か

2023年9月現在、トヨタ ヤリスクロスは受注を停止している。近いうちにマイナーチェンジする影響とみられている。すでに注文済みの顧客への納車目途がついてからマイナーチェンジを実施し、再び受注を開始すると予想されている。理由は何にせよ、長期納期になることは避けられないだろう。

新車のヤリスクロスが納車されるまで長期間待つのも良いだろう。だが中古車に目を向けてみると、2クラス上のKF系現行マツダCX-5の買い得感が出てきている。ヤリスクロスハイブリッドの新車と、現行CX-5の中古車が同価格帯に入り始めたのだ。

ヤリスクロスの超低燃費性能やコンパクトなボディサイズは魅力的だ。だが、2クラス上の現行KF型CX-5のラグジュアリーさも捨てがたい。中古車なので、納期は圧倒的に早いのもメリットだ。

ヤリスクロス ハイブリッドは超低燃費と優れた実用性で大人気

トヨタ ヤリスクロス ハイブリッドの特徴

ヤリスクロスの全景

※上図:ヤリスクロスの全景

トヨタ ヤリスクロスは2020年8月にデビューしたBセグメントのコンパクトSUVだ。パワーユニットやプラットフォーム(車台)などはヤリスをベースとして設計されている。

ヤリス ハイブリッドの1.5Lハイブリッドシステムは、クラス世界トップレベルの超低燃費性能を有している。そのためヤリスクロス ハイブリッドも同様に、このクラス世界トップレベルの30.8km/L(FF、WLTCモード)もの超低燃費性能を誇る。

さらに使い勝手、室内スペース、乗り心地など、全方位で優れた性能をもつ完成度の高いモデルがヤリスクロス ハイブリッドだ。

 

後輪側に小さなモーターを設置した電動4WDシステムである「E-Four」も進化している。従来のE-Fourは、滑りやすい路面で発進する際のアシスト程度だった。ヤリスクロス ハイブリッドはモーターの出力をアップした。機械式4WDほどではないものの、悪路走行でも十分な走破性を得ている。降雪地域に住む人や、アウトドアレジャーを楽しむ人にとっては朗報だろう。

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CX-5は常に深化し続けるラグジュアリーSUV

マツダCX-5(KF系2代目)の特徴

CX-5の全景

※上図:CX-5の全景

2代目CX-5は2017年に登場したミディアムサイズのSUVだ。プラットフォーム(車台)やパワーユニットなどは、KE系初代CX-5の改良版を使っている。しかし、短い期間に幾度となく改良が加えられ、進化し続けている。

KE系初代CX-5は、ややカジュアル系のスポーティSUVだった。しかし、2代目KF系CX-5からは、高い質感をもつ正統派ラグジュアリー系SUVへと舵を切っている。内外装デザインの上質感は、クラストップレベルだ。

 

パワーユニットは人気の2.2Lディーゼルの他に、2.0L、2.5L、2.5Lターボと計4タイプが設定された(年式によって多少異なる)。1車種で4タイプものパワーユニットをもつSUVは数少ない。予算や使い方、好みによって、最適なパワーユニットが選択できる。

 

ラグジュアリーSUVではあるが、オフロード走行も意外なほど得意だ。最低地上高は210mmもあり、4WD車の悪路走破性は高い。

2021年11月の改良後モデルから、「Smart Edition」「Black Tone Edition」に加えて、よりライフスタイルに合わせたグレードを展開し、細分化する顧客ニーズに対応している。

  • スポーツグレード「Sports Appearance」
  • ラグジュアリーを極めた「Exclusive Mode」
  • オフローダー要素を強めた「Field Journey」

*CX-5は、最新モデルスペックを使用。

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ヤリスクロス ハイブリッドの圧勝だがディーゼルの燃料費も捨てがたい

1.燃費比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:4.5

CX-5の評価:3.5

 

ヤリスクロス ハイブリッドの燃費は以下の通り。(WLTCモード)

 

FF

E-Four

1.5Lハイブリッド

25.0~30.8km/L

26.0~28.7km/L

CX-5の燃費は以下の通り。(6速AT)

 

FF

4WD

2.0Lガソリン

14.6km/L

14.0km/L

2.5Lガソリン

13.8km/L

13.0km/L

2.2Lディーゼル

17.4km/L

16.6km/L

2.5Lガソリンターボ

12.6km/L

12.2km/L

燃費性能面では、ボディサイズと排気量が小さいヤリスクロス ハイブリッドの圧勝だ。CX-5ガソリン車の2倍以上の燃費値となった。CX-5は2クラスも上なので、仕方がない部分でもある。

CX-5の2.2Lディーゼルの燃料費は、ヤリスクロス ハイブリッドに近い。ディーゼルエンジンの燃料である軽油は、レギュラーガソリンより約20円/L以上も安価だからだ。

試しに1万km走行時の燃料費を算出してみよう(レギュラーガソリンを180円/L、軽油を160円/Lとしてカタログ値の燃費をベースに計算した)。

 

燃費(FF)

燃料費

ヤリスクロスハイブリッドZ

27.8km/L

約6.5万円

CX-5 XD Lパッケージ(ディーゼル)

17.4km/L

約9.2万円

CX-5 ブラックトーンエディション(2.0Lガソリン)

14.6km/L

約12.3万円

CX-5ディーゼル車の燃費はガソリン車に比べかなり安価で、ハイブリッド車に近い数値だ。しかし軽油は安価といっても、燃料費はヤリスクロスハイブリッドに太刀打ちできない。燃料費や燃費を最重要視するのであれば、ヤリスクロスハイブリッドが良いだろう。ただ、ディーゼル車はハイブリッド車を圧倒する力強さを誇る。こうした部分をどう判断するかが重要だ。

買い得感ある価格になってきた中古車CX-5

2.価格比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:3.5

CX-5の評価:4.0

 

トヨタ ヤリスクロス ハイブリッド(新車)の価格は以下の通り。

  • ハイブリッドX(FF)2,284,000円~ハイブリッドZアドベンチャー(E-Four)2,936,000円

マツダCX-5 (中古車)の相場は以下の通り(2023年8月調べ)。

  • 約220~280万円(2020年式)

 

2020年当時のマツダCX-5新車価格は、約262~398万円だ。中古車相場は、新車価格の70~84%程度まで落ちている。特に上級グレードは値落ちが大きいので、買い得感がある。

2020年式マツダCX-5の中古車相場はやや値落ちが進んだこともあり、ほぼトヨタ ヤリスクロスハイブリッドと同等価格帯となった。

 

燃費やボディサイズが最優先ならば、ヤリスクロスハイブリッドになる。しかし、同じ予算内で、より室内が広く、装備が充実しているモデルが良いならば、中古車のCX-5はなかなか買い得感がある。

CX-5の上級グレードであるLパッケージなら、ヤリスクロスハイブリッドには装備されていない本革シートや助手席パワーシートなども充実している。

ヤリスクロスハイブリッド、マイナーチェンジ後は、値引きゼロベース!?

3.購入時の値引き術

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:3.0

CX-5の評価:3.0

 

トヨタ ヤリスクロスハイブリッドは、2023年9月現在、受注を停止している。受注停止前は、20万円前後の値引きが比較的容易に提示されていたようだ。だがマイナーチェンジ後には、値引きゼロベースになると予想できる。マイナーチェンジはフルモデルチェンジ直後に比べれば、ガードは緩いとみられる。交渉次第だが10万円位の値引きは引き出せそうだ。

 

ただし、ライバル車と競合させるなどの工夫をしなければ、本当に値引きがゼロベースになる。必ず、他車の見積りを先に取ってから商談したい。営業マンにライバル車が本命と思わせる必要があるからだ。その上で、ヤリスクロスハイブリッドも値引き次第では、購入するという意思を示せば、値引き額も徐々に増えてくるだろう。ライバル車に挙げるのはホンダ ヴェゼルやマツダCX-3などがお勧めだ。

しかしヤリスクロスハイブリッド車の納期が長くなるのは必至だ。納期が重要なら、わずかな値引き額で諦めるしかない。

 

中古のKF系マツダCX-5は、新車ほどの大幅値引きは出ない。だが、中古車もライバル車と競合させることで値引きを引き出せる可能性が上がる。中古車検索サイトなどで、車種・グレード・価格などが同等レベルの中古車を探し、見積りを取るなどして競合させたい。

「人気車で他の人も商談しているので、早い者勝ち」などと、値引き対応してくれないこともある。だが、こうした営業トークが出たら「一定の値引き額を先に提示してくれたお店で買う」と、逆に値引きを早めに出した店で買うという駆け引きをするのも良いだろう。一般的なクルマであれば、同じような中古車はいくらでも出てくるので、焦って買うのは避けたい。

現金値引きが厳しい状態であれば、延長保証やボディコーティング、ドライブレコーダーなどのサービスをお願いするのもよい。

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まさに、ラグジュアリーなデザインのCX-5。カジュアルなヤリスクロス

4.デザイン比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:3.5

CX-5の評価:4.0

ヤリスクロスの全景

※上図:ヤリスクロスの全景

トヨタ ヤリスクロスのデザインは、ヤリスと名が付くものの、デザインの共通性はまったくと言っていいほど無い。デザインキーワードは「ENERGETIC SMART」だ。気楽さ・機動性・利便性に特化し、無駄のない都市型ミニマルなSUVとしてデザインされている。

ヤリスクロスのフロントフェイス

※上図:ヤリスクロスのフロントフェイス

都市型ミニマルなSUVとしているものの、外観デザインはカジュアルなコッテリ系だ。複雑な線と面が組み合わされたユニークなデザインとなっている。

ヤリスクロスのリヤエンド

※上図:ヤリスクロスのリヤエンド

また、全体的にたくましいシルエットで、ワイルドな印象も受ける。アウトドアで映えるデザインだ。

ヤリスクロスのインパネデザイン

※上図:ヤリスクロスのインパネデザイン

ヤリスクロスのメーター

※上図:ヤリスクロスのメーター

外観デザインとは異なり、インパネデザインはかなりシンプル。乗員を包み込むようにラウンドしたインパネデザインで、安心感がある。

上図:CX-5の全景

対するマツダCX-5は、マツダのデザイン哲学である「魂動デザイン」をベースに、大人の感性を刺激する美しさを追求している。「日本の美意識」に注目し、「引き算の美学」を表現した。

CX-5のフロントフェイス

※上図:CX-5のフロントフェイス

CX-5のリヤエンド

※上図:CX-5のリヤエンド

「REFINED TOUGHNESS=洗練された力強さ」をコンセプトに、「成熟した骨格」「品格のあるフォルム」「仕立ての良い質感」の3つを軸としてデザインされているのが特徴だ。シンプルでありながら、高級感のある凛々しいスタイリングになっている。

CX-5のインパネデザイン

※上図:CX-5のインパネデザイン

CX-5のインパネデザインは、水平基調でシンプルだ。スッキリと見せながら、SUVらしい力強さを兼ね備えている。

CX-5のメーター

※上図:CX-5のメーター

アナログメーターはやや古さを感じさせるものの、上質感がある。

 

2021年の改良では、顧客ニーズの多様化に対応するために新たに3つの個性を与え、それぞれ独自の世界観を表現している。追加された仕様は下記の通りだ。

  • オフローダーテイストを強めた「Field Journey」
  • スポーツテイストをアップした「Sports Appearance」
  • 上質な豪華仕様とした「Exclusive Mode」

カジュアルなヤリスクロスに対して、CX-5はラグジュアリーだ。好みによって評価は異なる。質感を含む上質さは、ヤリスクロスより2クラスも上となるCX-5が大きく上回る結果となった。

ボディサイズが大きいCX-5が有利だが、高効率パッケージのヤリスクロスも魅力的

5.室内空間と使い勝手

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:3.5

CX-5の評価:4.0

 

トヨタ ヤリスクロスと、マツダ CX-5のボディサイズ、ホイールベース、荷室容量、最小回転半径は以下の通り。

【ヤリスクロス】 

全長×全幅×全高

4,180mm×1,765mm×1,590mm

ホイールベース

2,560mm

荷室容量

390L

最小回転半径

5.3m

 

【CX-5】 

全長×全幅×全高

4,575mm×1,845mm×1,690mm

ホイールベース

2,700mm

荷室容量

522L

最小回転半径

5.5m

ヤリスクロスの運転席

※上図:ヤリスクロスの運転席

ヤリスクロスの後席

※上図:ヤリスクロスの後席

CX-5の運転席

※上図:CX-5の運転席

CX-5の後席

※上図:CX-5の後席

マツダCX-5は、トヨタ ヤリスクロスより2クラス大きいので、ボディサイズの差は歴然だ。室内スペースは、前席・後席共にCX-5のほうが圧倒的に広い。CX-5のシートは大きめでゆったりと座れるので、ヤリスクロスよりもリラックスして移動できる。

ヤリスクロスの荷室

※上図:ヤリスクロスの荷室

CX-5の荷室

※上図:CX-5の荷室

荷室の広さもCX-5の圧勝だ。アウトドアレジャーを楽しむために、より多くの荷物を積みたいのであれば、CX-5がお勧めだ。

ヤリスクロスの室内・荷室は、同じBセグメントのコンパクトSUVの中では広めの部類に入る。高効率なパッケージングの完成度はトップレベルといえる。

 

最小回転半径は、狭い道や駐車場などでの使い勝手の良さを判断するための指標といえる。小さなボディのヤリスクロスは、最小回転半径がCX-5より0.2m小さく扱いやすい。ただ、CX-5と同じクラスに属するスバル フォレスターの最小回転半径5.4mだ。ヤリスクロスに対して0.1mと僅差である。ヤリスクロスの最小回転半径は、やや微妙な数値と言える。

より多くの事故シーンに対応した高機能な自動ブレーキを搭載したヤリスクロス

6.安全装備&運転支援機能の比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:4.0

CX-5の評価:3.0

 

トヨタ ヤリスクロスには、トヨタの予防安全装備パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備されている。最新のトヨタセーフティセンスではないものの、クラス平均以上の能力を有している。

自動ブレーキの検知対象は以下の通りだ。

  • 昼夜の歩行者
  • 昼間の自転車
  • 右左折時の対向歩行者
  • 右折時の自動車

事故は交差点内で発生することが多い。そのためヤリスクロスの自動ブレーキは、衝突リスクを大幅に軽減できるといえる。

ブラインドスポットモニター(BSM)はオプション設定だ。車線変更時など後側方から接近してくる車両を検知・警報を発する機能である。ローテクだが頻繁に使う予防安全装備なので、積極的に選択したいオプションだ。

 

対するマツダCX-5の自動ブレーキは、昼夜の歩行者に対応している。しかし、自転車や交差点内での検知機能は無く、やや世代の古い自動ブレーキだ。

ブラインドスポットモニターや360°ビューモニター(1グレードを除く)など、多くの予防安全装備が標準装備されている。装備の充実度合いではヤリスクロスを上回る。

CX-5のガソリン車と同等レベルの走りを見せるヤリスクロスハイブリッド

7.走行性能の比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:3.5

CX-5の評価:4.0

 

トヨタ ヤリスクロスのエンジンスペックは以下の通り。

 

システム出力

最大トルク

1.5Lハイブリッド

116ps

-

マツダCX-5のエンジンスペックは以下の通り。

 

出力

最大トルク

2.0Lガソリン

156ps

199Nm

2.5Lガソリン(FF)

190ps

252Nm

2.5Lガソリンターボ

230ps

420Nm

2.2Lディーゼルターボ

200ps

450Nm

※2.5Lガソリンターボの最新モデルには設定なし

軽快感あるヤリスクロスハイブリッド、ディーゼル一択なCX-5

ヤリスクロスのエンジンルーム

※上図:ヤリスクロスのエンジンルーム

トヨタ ヤリスクロスハイブリッドのシステム出力は116psと、やや物足りなさを感じる。だが、車重が1,190㎏前後と軽いため、パワー不足を感じることは無い。4WDのE-Fourモデルは車重が少し重いため、FFモデルより少し遅く感じる。

CX-5のエンジンルーム

※上図:CX-5のエンジンルーム

マツダ CX-5で最も売れているのは、2.2Lディーゼルターボエンジン搭載車だ。最大トルクの450Nmという数値は、V8 4.5Lガソリン自然吸気エンジンに相当するほどパワフルだ。加えて、燃費性能にも優れている。高速道路でのクルージングでは、非常に余裕がある走りを実現している。エンジンの回転数も低いので、静粛性も高い。CX-5の中で、最もお勧めのエンジンだ。

最新モデルでは設定が無くなった2.5Lガソリンターボも、2.2Lディーゼルターボと同等のスペックをもつ。このエンジンも非常に力強いが、燃費性能が惜しい。

2.5Lガソリンは、街中重視なら十分なレベル。可もなく不可もないというエンジンだ。

2.0Lガソリンは街中重視であればそれなりに満足できる。ただ、高速道路や急な登り坂などでは、ややパワー不足を感じることもある。価格がリーズナブルな点はメリットといえる。

 

パワフルさでは、CX-5の2.2Lディーゼルが圧倒する。さすがに、ヤリスクロスハイブリッドでは勝負にならない。ただ、CX-5の2.0Lガソリンよりは、ヤリスクロスハイブリッドの方が力強い印象を受けた。CX-5の2.5Lガソリンエンジンと、ヤリスクロスハイブリッドがほぼ同等レベルといえる。

乗り心地・静粛性が高いヤリスクロスハイブリッド

ヤリスクロスハイブリッドは、快適でスッキリとした乗り心地だ。FFモデルは、ややトーションビーム式リヤサスペンションの突き上げを感じるシーンもあった。4WDのE-Fourは、リヤサスペンションがダブルウィッシュボーン式のため、少し突き上げ感が減り快適性は増している。このクラスでは、高いレベルの乗り心地といえる。

ハンドリングはスポーティとはいえないものの、ステアリングを切ったら切った分だけ素直にクルマが反応する。きっと乗りやすく感じるだろう。

ハイブリッド車なので、エンジンが停止しEV走行している時はとても静かだ。3気筒エンジンながら、振動も上手く抑え込まれていて快適性は高い。だがエンジンが高回転になると、少々賑やかになる。また、18インチホイール装着車は、高速道路で少しロードノイズが気になることもあった。

進化し続けているCX-5の乗り心地

マツダCX-5の乗り心地は、全体的にやや硬めのシッカリ感がある。初期のモデルはサスペンションの動きが渋く、突き上げ感もあった。しかし、乗り心地は改良の度に改善されてきた。2021年11月の改良では、走行性能向上のため下記の改良が施されている。

 

  • 車体フレームに減衰構造を採用
  • 車体とシートフレームの取り付け剛性を向上
  • スプリング・ダンパー特性の見直し
  • 着座時の骨盤角度を最適化することで自然にバランスを取れるS字着座姿勢を実現
  • 粗粒路でのロードノイズを大きく低減

 

度重なる改良によって、ラグジュアリーSUVに相応しいシットリとした大人の乗り心地を得た。フロントシートはやや大きめでゆったり感があり、リラックスして走れる。

そんなラグジュアリーSUVらしい快適な乗り心地をもつCX-5だが、ハンドリングはなかなかスポーティだ。ステアリング操作に対する反応というよりは、ドライバーとの一体感があるような機敏さなのだ。走っていて安心感がある。背の高いSUVながら、走る楽しさを感じられるハンドリングだ。

圧倒的高リセールバリューのヤリスクロスハイブリッド

8.リセールバリュー比較

ヤリスクロス ハイブリッドの評価:4.5

CX-5の評価:3.5

 

【ヤリスクロス ハイブリッド】

新車価格帯

約190~294万円

2020年式の中古車相場

約180~260万円

リセールバリュー

新車価格の88~95%

ヤリスクロス ハイブリッドはしばらくの間、高値維持をし続けると予想できる。リセールバリューが高めのトヨタ車で、人気のSUVであることを踏まえると、今後も大きくリセールバリューが下がる要素が見当たらないからだ。短期での乗換えでメリットが出るクルマといえる。

ただし、マイナーチェンジモデルが出ると、マイナーチェンジ前のモデルは、ややリセールバリューが下がる傾向にある。売却するなら早い方がよい。

ヤリスクロスハイブリッドで高リセールバリューが期待できるグレードは、スポーツグレードのGRスポーツ、最上級グレードのZとZアドベンチャーだ。プラス査定となる可能性が高いオプションは、パノラミックビューモニター、パワーバックドアなどだ。

 

【CX-5】

新車価格帯

約262~398万円

2020年式の中古車相場

約220~280万円

リセールバリュー

新車価格の70~84%

CX-5はヤリスクロスと比べると値落ちが大きいが、クラス平均レベルである。人気のSUVなので、リセールバリューはコンパクトカーやセダンよりは高い傾向にある。

ただ、KF系2代目CX-5のデビューは2017年と少々古いため、徐々にリセールバリューが下がっていく可能性が高い。早めの売却がお勧めだ。

リセールバリューが高めのグレードは、スポーツアピアランスだ。搭載エンジンは、2.2Lディーゼルターボとなる。プラス査定が期待できるオプションは、パワーリフトゲート、10.25インチセンターディスプレイ、ボーズサウンドシステムなどが予想できる。

*中古車相場は、2023年8月調べ

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ボディサイズにこだわらなければCX-5。燃費、予防安全装備ならヤリスクロスハイブリッド

9.まとめ・総合評価

新車トヨタ ヤリスクロスハイブリッドと中古車マツダCX-5は、ほぼ同等価格で手に入る。小さなボディサイズや超低燃費性能、優れた予防安全装備を求めるのであれば、ヤリスクロスハイブリッドという選択になる。

逆に、ボディサイズや燃費にそれほどこだわらないのであれば、中古車CX-5がかなり魅力的になってくる。2クラス上のボディサイズがもたらす広々とした居住性と豪華な内装や装備、パワフルな走行性能などは、中古車であっても十分に満足できるものだ。

 

今回の価格比較では2020年式をピックアップしたが、もう少し年式を古くしたり、走行距離が長めの車両を選択することで、ヤリスクロスハイブリッドを下回る予算で2クラス上のCX-5に乗ることが出来る。中古車の場合、年式やグレード、走行距離で価格が変動するので、より予算に合った車両が選択できる魅力がある。

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ヤリスクロス ハイブリッド

CX-5

総合得点(40点満点)

30.0

29.0

1.燃費

4.5

3.5

2.価格

3.5

4.0

3.購入時の値引きしやすさ

3.0

3.0

4.デザイン

3.5

4.0

5.室内空間と使い勝手

3.5

4.0

6.安全装備

4.0

3.0

7.走行性能

3.5

4.0

8.リセールバリュー

4.5

3.5

トヨタ ヤリスクロスハイブリッド 価格・スペック

トヨタ ヤリスクロスハイブリッド新車価格帯

  • ハイブリッドX(FF)2,284,000円~ハイブリッドZアドベンチャー(E-Four)2,936,000円

トヨタ ヤリスクロスハイブリッド スペック

代表グレード

ハイブリッドZ FF

全長×全幅×全高

4,180mm×1,765mm×1,590mm

ホイールベース

2,560mm

最小回転半径

5.3m

最低地上高

170mm

車両重量

1,190kg

エンジン型式

M15A-FXE

エンジンタイプ

直列3気筒DOHC

総排気量

1,490cc

システム最高出力

116ps

燃費(WLTCモード)

27.8km/L

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

電気式無段変速機

サスペンション形式

前:ストラット、後:トーションビーム

タイヤサイズ前後

215/50R18

マツダ CX-5 価格・スペック

マツダCX-5新車価格帯

  • 20S Smart Edition(FF) 2,766,500円~XD Exclusive Mode(4WD) 4,170,100円

(2023年8月時、2019年12月改良後モデル)

マツダCX-5スペック

(2019年12月改良後モデル)

代表グレード

XD Lパッケージ FF 6速AT

全長×全幅×全高

4,545mm×1,840mm×1,690mm

ホイールベース

2,700mm

最小回転半径

5.5m

最低地上高

210mm

車両重量

1,630kg

エンジン型式

3DA-KF2P

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC16バルブターボ

総排気量

2,188cc

最高出力

190ps(140kw)/4,500rpm

最大トルク

450・m(45.9kg-m)/2,000rpm

燃費(WLTCモード)

17.4km/L

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

6速AT

サスペンション形式

前:ストラット、後:マルチリンク

タイヤサイズ前後

225/55R19

ヤリスクロスのカタログ情報

トヨタ,ヤリスクロス
現行モデル
令和2年8月(2020年8月)〜現在
新車時価格
179.8万円〜315.6万円

ヤリスクロスの在庫が現在190件あります

以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員