この記事の目次 CONTENTS
タイヤがパンクしているか見分ける方法
車のタイヤがパンクしたときの対処法
タイヤのパンクの際にやってはいけないこと
車のタイヤがパンクする原因と予防方法
タイヤ交換の目安は?
タイヤパンクについて整備士のコメント

ライター紹介

2級整備士

ヒロ 現役整備士 氏

国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。 整備士ヒロのtwitter

車のパンクトラブルはメジャーなトラブルのひとつです。
車を運転する誰しもが経験する可能性があるだけに、もしパンクしたときには焦らず冷静に対処できるようにしておきたいですね。
この記事では、パンクに関してユーザーの皆さんに知っておいてもらいたいことを、現役の整備士が解説します。

タイヤがパンクしているか見分ける方法

タイヤがパンクしているのを自分自身で見分ける方法は運転中や日頃のメンテナンス時にあります。運転中の場合はフロントタイヤによるパンクは見分ける方法が複数ありますが、リヤ(後方)のパンクは確認しにくいです。日頃のメンテナンス方法も押えときましょう。

運転中のパンクの見分け方

タイヤのパンク 見分け方

パンクの見分け方には以下が主にあります。

  • ハンドルが左右にとられる
  • 車が左右に流れる
  • タイヤの回転に同期して振動(異音)がする
  • ハンドルがいつもより重い

運転中にいつもと違って、ハンドルが左右どちらかに取られるような症状は、パンクの可能性があります。

ハンドルが取られるという表現以外に、車が左右どちらかに流れるという言い方もします。

また、パンクで空気が減ることでタイヤがたわんで走行中に異音、もしくは振動が発生することで、パンクに気付くこともあります。

ほかには、走行中はもちろんですが駐車場などの低速走行中、または停車中に顕著に分かる見分け方として、ハンドルを切るときにいつもよりハンドルが重いという症状があります。パンクにより空気が減ることで、タイヤが動くときの抵抗が大きくなるので、その分ハンドルが重たくなります。

ここで紹介した見分け方のうち、タイヤの回転に同期して発生する振動(異音)以外は、多くの車の場合、フロントタイヤにパンクの発生があった場合に有効な見分け方ですので注意しましょう。リヤのパンクの有無を見分けるのは難しいです。

日頃のメンテナンスでのパンクの見分け方

日頃のメンテナンスでパンクに気付けるか否かは、以下の大きく2つのポイントをチェックできているかが大切です。

  • タイヤの空気圧が適正値か
  • タイヤの外観に異常がないか

タイヤの空気圧は自然と減ったり、外気温変化による空気の膨張・収縮でかならず変化はするものです。
ただし、ほかのタイヤより極端に空気圧の低いタイヤがあれば、パンクの可能性があります。
また、外観の異常は以下の3点をチェックします。

  • 空気圧が減ってタイヤがたわんで(凹んで)ないか
  • 空気圧が減った状態で走った跡がないか
  • 釘などが刺さっていないか

空気圧が減った状態で走った跡というのは、タイヤのサイドウォールと呼ばれる側面に、擦れたような跡・サイドウォールの文字やロゴが消えている様子が一周をとおしてついていることを指します。

車のタイヤがパンクしたときの対処法

車のタイヤがパンクしていた場合、まずは安全な場所に車を停車させます。
その次に、どのように対処すればよいのか3つ紹介します。

スペアタイヤに交換する

パンクしたタイヤの交換方法

乗っている車にスペアタイヤが装着されている場合は、スペアタイヤに交換すればひとまず走行することが可能です。
ただし、ボルト/ナットの締め付ける力や、ナットの向き、ジャッキアップ工具の使い方など、まったくの素人が見様見真似でするには、いくつものハードルがあります。

これらは安全問題に関わるので、車の整備にある程度知識がない場合、ご自身で作業することはおすすめしません。
ちなみに、最近の国産の新車は9割以上で、スペアタイヤが純正では装着されていません。
代わりにパンク修理キットが装備されています。

近くのガソリンスタンドに持ち込む

ガソリンスタンドは、パンク修理の対応が可能なお店が多いです。
パンクに気付いたときに近くにガソリンスタンドがあれば、ひとまず安心です。
車を持ち込んでパンク修理を依頼します。
パンク修理が可能なタイヤの場合、おおよその目安ですが一般的な乗用車で2,000〜4,000円で修理ができます。

ロードサービスに連絡を入れる

今ではほとんどの自動車保険にロードサービス(レッカーサービス)が付帯されています。
タイヤが見た目で分かるほどに空気が抜けている場合は、危険なので走ることが好ましくありません。
ロードサービスに連絡をして、安全な場所に車を停車させて待つのがベストです。
また、JAFに加入されている場合は、JAFのロードサービスを使用するのもよいです。(#8139で電話がつながります)

また、スペアタイヤの交換をご自身でやることが難しい場合は、交換作業の依頼をすることもできます。
ロードサービスによってはパンク修理が無料サービスの場合があるのでまずは確認してみることがよいでしょう。

タイヤのパンクの際にやってはいけないこと

タイヤがパンクしたときに、やってはいけないこともあります。誤った対応をしてしまうと自身の車のみならず、歩行者や他の車の交通の妨げになりかねません。
パンク時にやってはいけないことを2つ紹介するので、確実におさえておいてください。

釘などを抜く

パンクの原因となっている、タイヤに刺さってる釘を抜くことはNGです。
釘が刺さったままだと、穴がある程度塞がっているので、抜ける空気の量が最低限で済んでいる可能性があるからです。

釘を抜いてしまうと、穴を塞いでいたものが無くなるので、空気が完全に抜けてしまいます。釘が刺さったままであれば、かろうじて車を走らせられる状態だったものが、抜くことで完全に自走不可になることは、安全な場所への緊急退避をする事を考えると避けたいです。

パンクしたまま車を走らせる

本来は、パンクしたまま車を走らせることは避けなければいけません。自走はやむを得ない緊急時の場合のはなしです。
とくに、目で見て分かる程度に空気が抜けている状態で車を走らせることは以下のような危険を伴います。

  • タイヤがバースト(破裂)する
  • ホイールからタイヤがはずれる(ビートが落ちる)
  • ホイールを損傷させ、使用できない状態になる
  • スピードが出せずに交通の流れを妨げる

とくにタイヤのバーストは、急に起こるもので大きな危険があります。
走行中にハンドルが取られて、コントロールできずに事故につながるような自身の危険のみならず、タイヤの破裂で歩行者や他の車に危害を及ぼす可能性も非常に高いです。

車のタイヤがパンクする原因と予防方法

残り溝や偏摩耗、ひび割れ、内外部の損傷も含むタイヤそのものの劣化、もしくは釘のような道路に落ちていたものが刺さることが、タイヤがパンクする原因です。
これらの原因を事前に確認することや、予防することはできるのでしょうか。
誰にでもできる、簡単な4つの予防方法を具体的に解説します。

空気圧を確認する

タイヤの空気圧を定期的に確認することが、異常にいち早く気付くための大切なポイントです。
理想は1ヶ月に一度は確認するようにしましょう。
空気圧の異常な低下はバーストを招いたり、すでにパンクしている可能性を知らせるサインです。
本来、空気圧の確認はドライバーの義務です。
空気圧は、エアゲージのあるガソリンスタンドで確認、調整することができます。
また、ホームセンターやカー用品店には空気圧を確認する工具・道具が販売されています。
空気圧の規定値は、運転席ドアを開けた開口部に貼ってあるラベル、または取扱説明書に記載されています。
加えて、一部の車種には空気圧モニターが純正採用されているものもあります。
これはメーターやディスプレイ上で、空気圧の確認ができたり、パンクが考えられるような空気圧の変化を検知したときに、警告灯でドライバーに知らせる機能です。

突起物やひび割れがないか確認する

タイヤの状態をこまめにチェックすることで、事前にパンクを見つけたり、予防することができます。
釘などが刺さっていないか確認するのはもちろんですが、突起物があったりタイヤのひび割れがひどい場合は、バーストの危険性が高いと言えます。

突起物=こぶが、タイヤのサイドウォールと呼ばれる側面にできていないか確認します。
こぶは、タイヤを縁石などに当てたときの衝撃でタイヤの内側にあるワイヤーが切れ、強度の落ちたその箇所が空気圧により膨れ上がることでできます。
この状態で走行を続けると、タイヤとしての耐久力の落ちたコブ部分が破裂(バースト)する恐れがあります。

タイヤのひび割れも同様に、ひび割れが発生するほど劣化したタイヤは耐久性が落ちているので、バーストのリスクが高まります。
目視でひび割れが分かるほどの状態であれば、残り溝があったとしても交換時期を迎えている可能性があります。
一度、かかりつけの車屋さんにタイヤの交換について相談してみると良いでしょう。

偏摩耗がないか確認する

自分の車のタイヤに偏摩耗がないか確認することは大切です。
偏摩耗とはタイヤが均一な状態で摩耗していないことです。
偏摩耗にはさまざまなパターンがありますが、パンクに関連する部分で確認するべき点は、片減りしていないかです。
とくに向かって外側を見て溝があると思って安心していたら、目視しづらい内側は溝が全然なくてツルツルだった…
ということは珍しくないです。
タイヤの摩耗が進みすぎるとバーストのリスクが高まるので、注意しましょう。

タイヤ交換の目安は?

タイヤ交換の目安時期はおおむねタイヤの製造年月より4〜5年。もしくは残り溝で、3mm前後、新品タイヤから半分ほどの擦り減りです。ただし、車の保管場所、日光が直接当たる・当たらない、タイヤワックス使用の有無などにより、タイヤのゴムの劣化によるひび割れの進行スピードは大きく異なります。

タイヤの摩耗スピードは主に以下の要因によって大きく異なってきます。

  • 走る道
  • 車の重さ
  • 車の駆動方式
  • タイヤの種類
タイヤ交換の目安

タイヤ交換の目安として残り溝の深さが3mm前後として理由は2つあります。
1つ目は、新品タイヤの溝は5.5〜7.0mmが一般的なので、3㎜はおおよそ半分だからです。
2つ目は、車検に合格するのは1.6mm以上ですが、溝が少なくなるとスリップしやすい、ブレーキング時の制動距離が延びるといった影響があるので、安全・安心のためにも3mm前後としています。
また、残り溝があってもひび割れなどが酷いと、バーストのリスクが高まるので注意しましょう。

タイヤパンクについて整備士のコメント

タイヤのパンクトラブルは、誰にとっても身近なものです。
パンク修理は無料サービスとなる自動車保険付帯のロードサービスも多いので、ほとんどの場合でロードサービスを活用するのがベストです。

ロードサービスのプロに、その場で修理?または車屋さんへの入庫が必要性か?を判断してもらうのが安全・安心でしょう。
中途半端な知識で、自分でなんとかしようとするのは危険ですし、後々高額な修理につながることもあるので注意しましょう。
最後にタイヤの交換時期と日頃、見ておく点をまとめておきます。

交換時期目安 タイヤを見るポイント
残り溝3mm前後 ひび割れがないか?
製造年月より4〜5年経過 偏摩耗がないか?
  側面にこぶなど傷みがないか?
  空気圧が規定値入っているか?