アリアB6と MX-30 EVを徹底比較!注目のBEV・SUVについて解説

自動車ニュース / ガリバー

2022.5.27

アリアB6と MX-30 EVを徹底比較!注目のBEV・SUVについて解説

※本記事内に安全装備への言及がありますが、安全装備には作動条件や限界があります。機能を過信せず、安全運転を心がけましょう。

アリアvsMX-30

2022年5月、日産からBEVのアリアが発売された。外部から充電したバッテリーの電力のみで走るBEVは、各社普及に本腰を入れ始めている。今回はSUVのなかでもBEVとして注目されているアリアとMX-30を比較した。

この記事の目次 CONTENTS
BEVとはEVの一種
日産アリアB6(FF)の特徴
マツダMX-30 EV MODELの特徴
アリア優位だが・・・
とにかく高いMX-30EV。高価だが努力したアリア
両車値引きゼロベースだが、補助金のメリットが大きい
評価が分かれるMX-30EV。日産らしい先進性あるアリア
室内の広さはEV専用車のアリアが上回る
運転支援機能に大差がついた
とにかくスポーティなMX-30EV。ツアラー感あるアリア
期待と不安が入り乱れるEV?
先進感ならアリア。走る楽しさを追求するならMX-30EV
日産アリアB6(FF) 価格・スペック
マツダMX-30 EV-MODE 価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

BEVとはEVの一種

BEV(Battery Electric Vehicle)は外部から充電したバッテリーの電力だけでモーター駆動する電気自動車を指す。
2010年に日産のBEV第一弾として発売されたのがリーフ、第二弾がアリアである。

日産アリアB6(FF)の特徴

アリア アリア

EV(電気自動車)の日産アリアは、当初の発売日よりやや遅れた2022年5月に発売が開始された。コロナ禍における半導体や部品不足の影響だ。

アリアは、EV専用に開発されたミディアムサイズのSUVだ。
グレードは、バッテリー容量×駆動方式で分類される。

【バッテリー】

  • B6(66kWh)
  • B9(91kWh)

【駆動方式】

  • FF(前輪駆動)
  • e-4ORCE(4WD/前後駆動)

2022年5月現在、通常販売されているのはB6(FF)のみで、航続距離は470km(FF、WLTCモード)だ。

マツダMX-30 EV MODELの特徴

MX-30EV MX-30EV

マツダMX-30 EV MODELは、2021年1月にデビューした。ガソリン車のMX-30をEV化したモデルである。内外装デザインや観音扉式のドアも、ガソリン車と同じだ。

搭載されたバッテリーの容量は35.5kWhと最近のEVとしては小さく、航続距離も256km(WLTCモード)とやや短い。どちらかというと、シティコミューター(街乗りが主な小型乗用車)的な使い方を想定している。

残価設定を最大で55%保証とする、「3年型残価設定ローン」が用意するというチャレンジも行われている。EVはリセールバリューが低くなる傾向があるからだ。

アリア優位だが・・・

1.航続距離比較

アリアの評価 4.0
MX-30 EV MODELの評価 3.0

各車の航続距離は以下の通りだ。(両車FF、WLTCモード)

  • 日産アリアB6(FF)…470km
  • マツダCX-30 EV MODEL…256km

搭載するバッテリー容量差が2倍近いので、航続距離の差は当然という結果になった。
EVの航続距離を延ばすには、多くのバッテリーを搭載すればいいというわけではない。バッテリーをたくさん積むと、車重がどんどん重くなり効率が悪くなるからだ。

電費 車重
アリア 7.1km/kWh 1,920kg
MX30EV 7.2km/kWh 1,650kg

アリアとMX30EVの電費はほぼ同等だ。ただし車重はアリアが270kgも重い。車重分を加味して比較すると、EVシステムはアリアがわずかに優秀といえる。

EV車選びの際、よく航続距離ばかりを気にする人がいる。だが自身の使い方で「本当にアリアのような470kmもの航続距離が必要なのか? 」とじっくり検討する必要がある。
普段は1日30kmの程度の短い走行なら、航続距離が長いクルマは無駄に大きく重いバッテリーを搭載し、悪い電費で走っていることになるからだ。
しかも、バッテリー容量が多くなるほど車両価格は高価になる。EVを選ぶときに現実的な使い方を理解していないと、購入後の電力と購入時の資金を無駄にすることになる。

とにかく高いMX-30EV。高価だが努力したアリア

2.価格比較

アリアの評価 3.0
MX-30 EV MODELの評価 2.0

各車の価格は以下の通りだ。

アリアB6(FF) 5,390,000円
MX-30 EV 4,510,000円
MX-30 EV Basic Set 4,587,000円
MX-30 EV Highest Set 4,950,000円

バッテリーは、パーツの中でもコストが高く車両価格に大きな影響を与えている。1kWh当たりの車両価格比較は以下の結果になった。

  • アリア…8.2万円/kWh
  • MX-30EV…12.7~13.9万円/kWh

アリアが圧倒的に安価といえる。
ちなみに、新型EVであるスバル ソルテラは約8.3万円万円/kWhだ。1kWh当り8万円前後が相場のように見える。

続いてバッテリー以外の価格を比較する。
アリアはEV専用車なのに対して、MX-30EVはガソリン車と共用されている部分が非常に多い。その分コストダウンに繋がることを踏まえれば、MX-30EVの車両価格イメージはやや高めだ。
アリアには全席シートヒーターやナビなどが全車標準装備されており、装備面でもアリアの方が充実している。

価格差は、最上級グレード同士の比較で約45万円だ。装備分は価格差で補えるが、バッテリーなど航続距離を含んだコストパフォーマンスでは、アリアが優れる。リーフで得た知見が活きている。

両車値引きゼロベースだが、補助金のメリットが大きい

3.購入時の値引き術

アリアの評価 3.0
MX-30 EV MODELの評価 3.0

2022年5月現在、日産アリアはデビュー直後のため、多くのグレードは予約受付中だ。さすがにこの状況では、値引きの話をしても瞬時に断られることは確実といえる。アリアで値引きを引き出したいのであれば、1年くらい様子をみる必要がある。

値引きの代わりに、下取車の価格の買取価格アップを狙うと良い。事前に買取店などで査定してもらい、下取り車の価値をしっかりと知っておくことが大切だ。一般的に買取店の方が高価になるケースが多いが、あえてそれ以上の下取り価格にならないかディーラーで交渉してみよう。

マツダCX-30EVは、値引き額は少ない。生産台数が少ないことと、マツダディーラーが値引き抑制戦略を行っていることが要因だ。
ただ、日産アリアやリーフ、ホンダeなどと競合させると、多少の値引きには応じてくれる可能性があるが、何十万円という額には到達するのは難しいだろう。
アリアと同様、下取車の売却価格がどれだけアップするかが重要だ。

アリアとMX-30EVの値引きはなかなか厳しい状態にあるが、朗報もある。
EVは補助金が非常に高額になるのが特徴だ。次世代自動車振センターによると、アリアB6 プロパイロット2.0装着車なら、国の補助金が最大92万円になる。さらに、地方自治体毎に独自の補助金があるケースも多い。東京都の場合は45万円もプラスされる。MX-30EVは、国が51.6万円、東京都では45万円の補助金が出る。

補助金を使うと3~4年程度の保有義務などの縛りもあるが、これだけの補助金が出れば、アリアもMX-30EVもグッと購入しやすくなる。

評価が分かれるMX-30EV。日産らしい先進性あるアリア

4.デザイン比較

アリアの評価 4.0
MX-30 EV MODELの評価 3.5

デザインでアリアとMX-30EVを比較すると、「無難なアリア 対 個性的なMX-30EV」といえる。

アリアの外観 アリアの外観

日産アリアのデザインは、日本の伝統美にインスパイアされている。フロントグリル部分であるシールドには、日本の伝統的幾何学模様「組子」を立体的に表現した。
ボディは日本的な「粋」、「整」、「間」などといったキーワードを使いデザインされ、全体的に柔らかな面とシャープなエッジで組み合わされている。

  • 粋…ノーズやショルダーのハイライト
  • 整…ノーズからリヤにつなぐラインの機能美
  • 間…リヤコンビネーションランプ
  • 移ろい…ダイナミックなボディ
アリアのフロントフェイス アリアのフロントフェイス

フロントフェイスは薄型のLEDヘッドライトが上部にセットされた。Vモーショングリルとシーケンシャルポジションランプを一体化し、日産車らしさをアピールしている。

アリアのリヤエンド アリアのリヤエンド

リヤの一文字型コンビネーションランプなど、最近のデザイントレンドも積極的に投入され、多くの人に好まれるデザインとしている。マーケットでは迫力ある顔が好まれるので、ボンネットの位置も高くし大きな顔とした。

アリアのインパネ アリアのインパネ
アリアのメーター アリアのメーター

インテリアデザインは、「間」をキーワードとした。
インパネは全体的にシンプルなデザインで、12.3インチモニターがふたつ並んでいる。ダッシュボートの物理的なスイッチを無くし、独自の世界観を生み出した。電源を入れるとアイコンが浮かび上がるなど、ユニークさが際立つ。だが振動するハプティクススイッチ式とはいえ、運転中などでのブラインドタッチはしにくい。タッチパネルも同様、指先を注視して前方から視線が外れるので、安全面では微妙だ。

MX-30EVの外観 MX-30EVの外観

マツダMX-30 EV MODELは、「Human Modern」をデザインコンセプトとした。クルマに対する価値観の変化や、新しいライフスタイルに寄り添うことを目指し、親しみやすさや温かみを感じるデザインとしている。マツダのデザインテーマ「魂動デザイン」ではあるが、テイストは従来のマツダ車とはまったく異なる。

MX-30EVのフロントフェイス MX-30EVのフロントフェイス

フロントフェイスは、シンプルだが彫りの深い、可愛らしさも併せ持つデザインだ。ボディサイドは一見すると平面に思えるが、よく見ると強いバレル型を描くほどの大胆なカーブで面構成されている。

MX-30EVのリヤエンド MX-30EVのリヤエンド

滑らかに下方に向けドロップしていくCピラーは、とても個性的だ。同様にユニークな丸形の筒状テールランプへとつながり、まさに独特のリヤビューを生み出している。
ドアは観音扉となったが、使い勝手面では少々微妙だ。

こうした独創性あふれるデザインは、評価が分かれやすい。好きな人にとっては「まさに愛すべきデザイン」だが、嫌いな人からは「カッコ悪い」という評価になっている。
顧客を選ぶデザインとなったことで、MX-30はEVとガソリン車共に、販売台数はあまり伸びていない。だが2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し高く評価されている。

MX-30EVのインパネ MX-30EVのインパネ

インテリアは、逆に多くの人が高い好感度を抱くデザインとなった。浮き上がったようなシフトパネルには、クルマでは類を見ないコルク材を使用しており、ユニークさが光る。自然素材であるコルク材は暖かみがあり、リラックス空間の演出に一役買っている。

MX-30EVのメーター MX-30EVのメーター

尚、MX-30のガソリン車とEVでは、デザインの差別化はほとんどされていない。高価なMX-30EVには、もう少し上質感のある素材がふさわしい。

室内の広さはEV専用車のアリアが上回る

5.室内空間と使い勝手

アリアの評価 4.5
MX-30 EV MODELの評価 3.0

全長×全幅×全高 ホイールベース 荷室 最小回転半径
アリア 4,595mm×1,850mm×1,655mm 2,775mm 466L 5.4m
MX-30 EV 4,395mm×1,795mm×1,565mm 2,503mm 366L 5.3m
アリアのフロントシート アリアのフロントシート

日産アリアは、全長は短いが、ホイールベースがとても長い。
EV専用車らしく、本来エンジンのあるスペースが非常にコンパクトに設計されている。e-パワートレインが小型化された恩恵だ。
結果、ホイールベースが長くなり、室内スペースの広さ向上につながっている。

アリアのリヤシート アリアのリヤシート

ガソリン車のようなフロアトンネルが無いので、フロアは完全フラットだ。足の置き場所にも困らず、よりリラックスして座れる。リヤシートの足元も広く、足が組めるほどだ。
荷室も広いが、さすがにエクストレイルの565Lには敵わない。

アリアの荷室 アリアの荷室

面白いのは、世界初 電動センターコンソールボックスだ。センターコンソールボックスを最大150mm前後移動させることができる。このセンターコンソールボックスには、シフトノブやドライブモードセレクターなどの機能もある。ドライバーの体形など、好みに合わせてベストな位置に設定できる。

小回り性能に直結する最小回転半径は、大径19インチホイールを履きながら5.4mだ。狭い駐車場などで扱いやすさの指標となる数値が、このクラスではトップレベルとなった。

インパネ周りでは、12.3インチのナビとメーターが2つ並べられている。2つのモニターの情報はスワイプで移動が可能だ。
しかし、多くの人が利き手ではない左手での操作は、確実性に欠ける。さらに運転中のブラインドタッチは難しく、前方監視が疎かになりがちだ。安全面では疑問が残る。ダイヤル式のコントローラーなど、操作系は2つ欲しい。
尚、エアコンやオーディオなどは、音声での操作が可能となっている。

MX-30EVのフロントシート MX-30EVのフロントシート

マツダMX-30EVのボディサイズは、アリアよりひと回り小さい。
室内空間の差は、ボディサイズよりも差が開いた。この差はMX-30EVが、ガソリン車と共用のプラットフォーム(車台)やボディを使っていることが大きな要因といえる。

MX-30EVのリヤシート MX-30EVのリヤシート

荷室も同様に大きな差がついた。ボディサイズがアリアより小さいので、仕方のない部分でもある。

MX-30EVの荷室 MX-30EVの荷室

MX-30EVのドアは観音扉式だ。運転席を開けないと後席を開くことができないので、やや使いにくい。

MX-30EVの最小回転半径はアリアに対して−0.1mなので、ほぼ同等レベルといえる。だが全幅がアリアより‐55mmなので、狭い駐車場などではMX-30EVの方が断然扱いやすい。

ナビやメーターの大きさは、アリアが圧倒した。

運転支援機能に大差がついた

6.安全装備の比較

アリアの評価 4.0
MX-30 EV MODELの評価 3.0

日産の予防安全装備は360°セーフティアシストという。
日産アリアの自動ブレーキは、歩行者と自転車に対応しているが、右左折時の歩行者や対向車両には対応していない。最新の予防安全装備としては、やや物足りない。

アリアは、「後退時車両接近警報」や、車線変更時など後側方から接近する車両を検知し警報や走行車線に戻る力をステアリングに発生させる機能が全車標準装備だ。アクセルとブレーキの踏み間違えにも対応している。ほぼすべて標準装備しているので、自動ブレーキ機能以外は十分な予防安全装備だ。

アリアが優れているのは、運転支援機能だ。
オプションの「プロパイロット2.0」装着車は、高速道路上で自動運転のような走行が可能だ。目的をナビに設定後、高速道路上でシステムを起動させ、システムが走行可能と判断するとハンズオフでの走行が可能となる。車線変更時には、ステアリングに手を添える必要があったり、ドライバーは前方監視が必須など、一定のルールがある。それでも、ほぼ自動運転感覚で走行可能だ。ハンズオフで走行すると、ドライバーの疲労もかなり軽減され、ロングドライブがさらに楽になる。

他にもアリアには以下のような、先進感あふれる運転支援機能が用意された。

  • プロパイロットパーキング…ほぼ自動で駐車可能な運転支援機能
  • プロパイロットリモートパーキング…狭い駐車場などで車外からクルマを前後に動かし、乗降を楽にする

対するマツダMX-30 EVの自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応し、右折時の対向車両も検知可能だ。とくに右折時の対向車検知機能はアリアには無いため、MX-30EVが勝っている。
その他の予防安全装備では、グレードにより若干異なるが、ほぼアリアと同等程度レベルだ。

大きな差になっているのが、プロパイロット2.0の高度な運転支援機能である。マツダ車には高度運転支援機能を搭載した車両はない。同様に、プロパイロットパーキングやプロパイロットリモートパーキングのような機能も用意されていない。

とにかくスポーティなMX-30EV。ツアラー感あるアリア

7.走行性能の比較

アリアの評価 3.5
MX-30 EV MODELの評価 4.5

アリアのバッテリールーム アリアのバッテリールーム

日産アリアB6のFF(前輪駆動)には、AM67型というモーターが搭載されている。出力は218ps&300Nmだ。
車重は1,920kgとかなり重いが、アクセルをわずかに踏み込むだけで、車重を感じさせないくらいぐいぐいと加速する。
発進加速は、まさにEV的だ。アクセルをグッと踏み込むと、瞬時に最大トルクが立ち上がり、ゴンと頭が後ろに引っ張られるくらい強烈に加速する。激速な輸入EVと比べるとややおとなしさを感じるものの、十分過ぎるほどの出力だ。

アリアはEVらしく、高い静粛性を誇る。吸音タイヤや遮音・吸音材は最適配置されており、街中の速度域では、ロードノイズも小さい。リーフを大きく上回るほどの静粛性となった。
だが速度が上がると、徐々にリーフとの差が少なくなる。高速域では、とくにボディ上部周りからの風切り音などが徐々に大きくなる。もう少し高速域での静粛性が高まれば、もっと高級車の様相になると感じた。

乗り心地も、低速域は快適だ。だが車速が上がると、タイヤがドタバタし始める。19インチタイヤを上手く使えていないように感じる。17インチくらいにすれば、ドタバタ感は収まりそうな印象だ。
高速域になると、路面のうねりや凸凹にしっかりと反応しボディがそれなりに揺すられる。揺れの収束もやや時間がかかる。

アリアは他のEV同様、フロア下に大きく重いバッテリーを搭載しており、ガソリン車と比べるとかなり低重心化されている。そのため背が高いSUVだが、カーブでの安定性はとても高いのだ。前後の重量配分は、前53%、後47%とバランスのよい数値でよく曲がる。

MX-30EVのバッテリールーム MX-30EVのバッテリールーム

対するマツダMX-30EVは、フロントに145ps&270Nmの出力をもつモーターを設置した。車重は1,650kgと、アリアと比べるとかなり軽量だ。車重差は、搭載されるバッテリー容量の差によるものだ。
出力そのものは、アリアよりもグッと抑えられているが、トルクは同等程度だ。車重は大幅に軽いため、高速域での伸びはアリアに一歩譲る感じはあるが、低・中速域での加速感は同じくらいに感じる。

静粛性は、アリアほどではないが十分なレベルであり、ガソリン車とは比べ物にならないくらい静かだ。

MX-30EVの乗り心地は、しっかりとしたフラットライドだ。アリアと比べるとやや硬めだが、乗り心地は抜群によい。

特筆すべきは、ハンドリング性能だ。マツダ車らしい、とても気持ちがよいものだった。EV化による低重心化と前後重量バランスの向上などにより、カーブでは抜群に車両が安定していて、とてもよく曲がる。

ボンネットを開けると、エンジンの代わりにモーターなどが入っている。スペースはかなりスカスカだ。そのため、ガソリン車と比べると、かなりフロントが軽い。軽快感は抜群で、SUVであることを忘れるほどだ。

上記のような、物理的に得た軽快感と安定感に、マツダの運動制御技術であるe-GVC Plus(エレクトリック・G-ベクタリング・コントロール プラス)が加わる。モーターのトルクを微妙に制御し、車体が安定する最適な荷重に移動にする機能だ。その結果、カーブなどでは曲がりやすく、車体はより安定するのだ。

さらに、緊急回避などでクルマの挙動が乱れそうな場合には、旋回挙動を収束させるブレーキモーメント制御が作動する。あらゆる路面や走行シーンで、より車両を安定方向に導いてくれるのだ。この制御はとても自然で、ドライバーは制御していることにほとんど気が付かないレベルだ。まるで、自分の運転が上手くなったように感じる。

運転中に便利だったのが、パドルシフトだ。回生ブレーキの強弱をコントロールする機能である。先行車に追いつきそうな場合、パドルシフトで回生ブレーキを強めにして車間を維持するなど、何かと便利だった。アリアには、この機能はない。

アリアとMX-30EVの走行性能は個性の方向性が少し異なるので、自身の好みに合わせて選ぶと良い。

  • アリア…プロパイロット2.0+広く乗り心地のよい快適な移動空間を重視
  • MX-30EV…EVらしい低重心+優れた操縦安定性で走りの楽しさを重視

期待と不安が入り乱れるEV?

8.リセールバリュー比較

アリアの評価 3.0
MX-30 EV MODELの評価 3.0

EVのリセールバリューは、かなり低い。

  • EVの人気が低い
  • バッテリーの劣化などへの不安が大きい
  • EVの補助金を除いた車両価格で評価

中古EVはかなり安価だ。EVは中古車で選んだ方がコストパフォーマンスに優れる。

新車の場合、低めのリセールバリューが非常に気になる。マツダは、こうした傾向ではEV普及のためにマイナスと考えた。そこで、MX-30EVには高残価率55%という攻めの残価設定ローンを設定した。営業面で、EVのリセールバリューを上げる対策を行っているメーカーも多い。

現状では、EVは低めのリセールバリューになるケースが多い。だが長期的にみるとリセールバリューがアップする可能性もある。EVは、まだまだ中古車流通量が非常に少ない。EVの新車販売台数が伸びれば、リセールバリューが高くなることが予想できる。

日産アリアB6のリセールバリューも、現在の状況では不透明感が強い。ただ、人気カテゴリーのSUVなので、リーフのリセールバリューよりは高くなりそうだ。
より高査定が期待できるオプションは以下の通りだ。

  • セットパッケージ(プロパイロット2.0を含む)
  • レザーシート
  • パノラミックガラスルーフ
  • ボーズプレミアムサウンドシステム

対するマツダMX-30EVは、メーカーオプションではなくグレードで装備を変えている。そのため、最上級グレードのEV Highest Setが高査定となる可能性が高い。このグレードでは、以下が標準装備されている。

  • 運転席パワーシート
  • 運転席助手席シートヒーター
  • クロス+合成皮革シート表皮
  • ボーズサウンドシステム

先進感ならアリア。走る楽しさを追求するならMX-30EV

9.まとめ・総合評価

日産アリアとマツダMX-30EVは、同じEVでありながら生い立ちが異なる。アリアはEV専用車で、長い航続距離を誇る。MX-30EVはガソリン車と共通部分が多く、主に市街地での走行を想定している。
何を重視するかで選択が異なるものの、車両価格差が近いのが、より選択を悩ましくさせている。

先進運転支援機能や装備、航続距離など、全体的な完成度やコストパフォーマンスでは、アリアが勝っている。長年EVを販売し続けている日産の功績だろう。より多くの人を満足させてくれるEVといえる。

MX-30EVは、個性的なデザインに賛否両論あるものの、走行性能の面ではアリアを上回る。気持ちよく走ることを重視するのであれば、MX-30EVがおすすめだ。

アリア MX-30EV
総合得点(40点満点) 29.0 25.0
1.燃費 4.0 3.0
2.価格 3.0 2.0
3.購入時の値引きしやすさ 3.0 3.0
4.デザイン 4.0 3.5
5.室内空間と使い勝手 4.5 3.0
6.安全装備 4.0 3.0
7.走行性能 3.5 4.5
8.リセールバリュー 3.0 3.0

日産アリアB6(FF) 価格・スペック

日産アリアB6(FF)価格

アリアB6(FF) 5,390,000円

日産アリアB6(FF)電費、ボディサイズなどスペック

全長×全幅×全高 4,595mm×1,850mm×1,655mm
ホイールベース 2,775mm
乗車定員 5名
車両重量 1,920kg
タイヤサイズ 225/55R19
最小回転半径 5.4m
サスペンション(フロント/リヤ) ストラット式/マルチリンク式
モーター最高出力 160kW<218PS>/5,950-13,000rpm
モーター最大トルク 300N・m<30.6kgf・m>/0-4,392rpm
駆動用バッテリー種類 リチウムイオン電池
総電力量 66kWh
WLTCモード 航続距離 470km

マツダMX-30 EV-MODE 価格・スペック

マツダMX-30 EV-MODEL価格

MX-30 EV 4,510,000円
MX-30 EV Basic Set 4,587,000円
MX-30 EV Highest Set 4,950,000円

マツダMX-30 EV-MODEL電費、ボディサイズなどスペック

全長×全幅×全高 4,395mm×1,795mm×1,565mm
ホイールベース 2,655mm
乗車定員 5名
車両重量 1,650kg
タイヤサイズ 215/55R18
最小回転半径 5.3m
サスペンション(フロント/リヤ) マクファーソンストラット式/トーションビーム式
モーター最高出力 107kW〈145PS〉/4,500-11,000rpm
モーター最大トルク 270N・m<27.5kgf・m>/0-3,243rpm)
駆動用バッテリー種類 リチウムイオン電池
総電力量 35.5kWh
WLTCモード 航続距離 256km