この記事の目次 CONTENTS
ミニバンのクラス別サイズについて
Lクラスミニバン
Mクラスミニバン(5ナンバーミニバン)
Sクラスミニバン(コンパクトミニバン)
ミニバンは中古車で購入しよう

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日本では、ミニバン人気が堅調だ。高齢者の送迎や、子育て世代の利用、大人数での長距離移動など利用シーンが幅広い。
ほとんどのミニバンは、日本専用車である。広い室内&荷室や扱いやすさなど、日本人好みの機能が満載だ。用途に合わせて豊富な選択肢から選べる。
今回は、100万円以下で手に入る人気の中古ミニバンを5台厳選した。

ミニバンのクラス別サイズについて

ミニバンとは、3列シートを有した箱型の車種のことだ。サイズによってクラスが分かれている。
本記事では小型(Sクラス)、中型(Mクラス)、大型(Lクラス)それぞれのおすすめミニバンを紹介する。

クラスごとの特徴の概要は以下の通りだ。

 

  特徴
Sクラスミニバン コンパクトカーをベースにしている。ミニバンのなかでは小回りが利き、比較的運転がしやすいサイズ。
Mクラスミニバン ベーシックなミニバンサイズ。ファミリーカーとして人気なクルマが多い。
Lクラスミニバン 室内空間が広く、内装も少し豪華な印象を受けるクルマが多い。

Lクラスミニバン

3代目 日産エルグランド

少し条件は厳しいが、現行モデル狙える

エルグランド

3代目 日産エルグランドは2010年に登場し、現在も販売されている。中古車なら予算100万円で現行モデルがギリギリ買えるかもしれない、唯一のミニバンでもある。
3代目エルグランドは、乗用車系のプラットフォーム(車台)を使い、大幅な低床・低重心化されたモデルだ。リヤサスペンションもマルチリンク式となり、優れた乗り心地と操縦安定性を誇っている。この乗り心地の良さは、当時、2代目トヨタ アルファードを大きく上回っていた。その後、トヨタは3代目アルファードのリヤサスペンションをダブルウィッシュボーン式にグレードアップしたほどだ。

エンジンは、V6 2.5LとV6 3.5Lが搭載されている。3.5Lエンジンの出力は280ps&344Nmとかなりパワフルだ。ただし、3.5Lは自動車税が高額になるため、2.5Lのほうが人気である。

3代目エルグランドは、販売台数でアルファードに大敗を喫している。その影響で、リセールバリューはアルファードよりやや低めだ。
そのため、100万円以下という条件でも2010~2011年式がギリギリ選べそうだ。ただし年式が古いので、走行距離が7~10万kmくらいと長めの車両が多い。走行距離が長い車両を選ぶなら、整備記録簿付きで定期的に点検を受けている車両がおすすめだ。

中古車は、人気のハイウェイスターが中心なので、比較的装備が充実している車両が多い。以下の装備が装着されていれば、さらに魅力的だ。

  • 専用エアロパーツ
  • 本革シート
  • 純正ナビ
  • 後席モニター

新車販売時、2.5Lの250ハイウェイスターの新車価格は約370万円だった。そんな現行高級ミニバンが100万円以下で手に入るのは買い得といえる。

 

2代目トヨタ アルファード&ヴェルファイア

外せない高級ミニバンの王者

アルファード

アルファード

ヴェルファイア

ヴェルファイア

2代目トヨタ アルファード&ヴェルファイアは、2008~2015年に発売された大型のミニバンだ。乗り心地や運動性能面では、ライバル車であるエルグランドに敵わなかった。しかし、販売面では圧倒的大差をつけたモデルだ。

大ヒットの理由には、以下が挙げられる。

  • より大きく見え、迫力のあるデザイン
  • 広い室内
  • ハイブリッド車の超低燃費性能

2代目アルファード&ヴェルファイアでは、とくにヴェルファイアの人気が高かった。上下に2分割されたヘッドライトのデザインなどは、その後登場するモデルに大きな影響を与えたほどだ。

2代目アルファード&ヴェルファイアには3種類のパワーユニットが用意された。

  • V6 3.5L
  • 直4 2.4L(ガソリン)
  • 2.4L(ハイブリッド)

2代目アルファード&ヴェルファイアは、車体が大きいため車重も重い。そのため、余裕のある走りを求めるのなら出力280psのパワフルな3.5Lがおすすめだ。ただ、自動車税が高くなるため、人気の中心は2.4Lガソリン、もしくは2.4Lハイブリッドである。

2代目アルファード&ヴェルファイアは、非常に人気が高いモデルだった。そのため中古車もよく売れている。リセールバリューが高く、中古車価格も非常に高い。高級ミニバンらしく、贅沢な装備の数々は満足度が高まるだろう。

予算が100万円なら、全般的に低価格帯になる2008~2010年式位がターゲットになる。かなり低年式で、走行距離が多い車両が多くなってしまうのは仕方がない。走行距離は7万km以上が多く、10万kmを超える車両も珍しくない。10万km以上走行していても、定期的に点検を受けている車両なら、それほど気にすることもない。整備記録簿をきちんと確認すべきだ。
低年式なので、「修復歴あり」の車両も多くなってくる。修復歴あり車両は、クルマの骨格部分にダメージを負ったことがある車両だ。ダメージや部位に差があり、一概にNGとはいえない。だがクルマに詳しくないなら、手を出さないほうが無難だ。また、極端にカスタマイズした車両も避けたほうがよい。
グレードでは、G系が豪華装備のラグジュアリー仕様。S系はスポーティな内外装となる。純正ナビや両側パワースライドドアは必須の装備だ。後席モニター、レザーシート装備車なら、さらに満足度がアップする。

Mクラスミニバン(5ナンバーミニバン)

4代目ホンダ ステップワゴンスパーダ

クラス唯一、3列目が床下収納になる5ナンバーミニバン

ステップワゴンスパーダ

4代目ホンダ ステップワゴンには、基準車とスポーティなスパーダの2タイプがある。おすすめは、人気の高いスパーダだ。低床・低重心パッケージを採用している。使い勝手が良く、走りの楽しいミニバンに仕上げられている。ボックス型を強めた大きく見えるシルエットや、大きな迫力あるフェイスデザインも高い人気を誇った。

ライバル車であるヴォクシーやセレナの3列目シートは、跳ね上げ式だ。しかし、ステップワゴンスパーダは、床下収納式とした。フラットでスッキリした荷室になり使いやすく、斜め後方視界もよい。だが、床下収納部に3列目シートが入るので、床下収納スペースが無くなる。どちらも一長一短なので、自分にはどちらが合うか検討したほうがよい。
エンジンは、直4 2.0Lガソリンのみの設定だ。

予算100万円だと2010~2011年式がメインターゲットとなる。2012年式の一部も入ってくるだろう。
スポーティさが際立つ人気グレード「クールスピリット」は、中古車価格が高めの傾向にある。同じ価格ならあえてクールスピリットを外し、より装備が充実しているZi系グレードや、Z系グレードでオプションがたくさん装備された車両を選ぶのもよい。エントリーグレードのS系は比較的安価な価格になっているが、装備が充実したZ系以上のグレードの方が満足度は高いだろう。

低年式車となるため、走行距離は7万km以上となっている車両がほとんどだ。走行距離が短い車両は予算の100万円を大幅に超えるだろう。

オプション装備類で必須なのは、両側パワースライドドアだ。より出費を抑えたいなら、ETCやドライブレコーダー付きの車両がよい。
年式が古いので、保証付きの車両がベストだ。最低でも1ヵ月、できれば6ヵ月ついている車両であれば尚良い。同様に、過度なカスタム車や修復歴ありの車両はなるべく手を出さないことが基本となる。

4代目日産セレナ

コスパにも優れるバランス型

セレナ 外観

C26型と呼ばれる4代目日産セレナは、2010~2016年に販売された。ヴォクシーやステップワゴンなど、当時のライバル車と比べると、シャープなスポーティさを感じさせる。広い室内と荷室、使い勝手のよさが魅力の5ナンバーミニバンだ。4代目セレナはバランス型のミニバンで、全てにおいてそつなくまとめられている。
デビュー当時のライバル車と比較してユニークな点は、直4 2.0Lガソリンエンジンだ。
2010年ころから燃費への関心は高まっており、アイドリングストップ機能装備化が進んでいるタイミングだった。4代目セレナは、アイドリングストップ機能に、ECOモーターをプラスした。通常のオルタネーター(発電機)機能の他に、アイドリングストップからの再始動を担うモーターだ。
一般的なモデルでは、セルモーターで再始動するような「キュルキュル、ブォーン」というような音と振動がある。しかし、ECOモーターの場合「シュルル」と注意していないと気が付かないほど静かで振動も無くエンジンが再始動する。とくに街中では何度もアイドリングストップからの再始動が繰り返されるため、静粛性や快適性で非常に優れたメリットになる。
ECOモーターの装備によって、燃費値はデビュー時クラストップの15.4 km/L(10・15モード)だった。

セレナはヴォクシーやステップワゴンスパーダなどのライバル車に対して、やや安価な中古車相場になっている。性能はライバル車と互角なので、コストパフォーマンスに優れた中古車だ。
予算100万円で狙える4代目セレナの年式は、2011~2013年式だ。中古車の流通量は、エアロパーツ類が装備されたスポーティな人気グレード「ハイウェイスター」が中心である。それ以外のグレードもあるが、あまり人気が無いため中古車の流通量は非常に少なく安価な傾向だ。ハイウェイスターより装備のよい上級グレードG系をあえて狙うというのもありだ。

2012年8月には、S-ハイブリッドというグレードも追加されている。「マイルドハイブリッドシステム」という、ECOモーターの機能をエンジンアシストに使った機能を搭載したグレードだ。
2013年式で、S-ハイブリッド車も十分選べる。ハイウェイスターS-ハイブリッドグレードを中心に選ぶといいだろう。ただ、年式が古いため走行距離が7万km越えの車両が多い。

必須のオプション装備は、両側パワースライドドアだ。
安全性を高めたいなら、アラウンドビューモニターも必須装備といえる。車体に取り付けられたカメラ映像を加工し、俯瞰で車両を見たように映像にする。死角にある障害物を確認できる便利な機能だ。

Sクラスミニバン(コンパクトミニバン)

初代ホンダ フリードハイブリッド

超高効率パッケージをもつ6/7人乗りコンパクトミニバン

フリード

初代ホンダ フリードにはガソリン車もあるが、おすすめはハイブリッド車だ。

初代フリードハイブリッドは、2011~2016年に発売された。
初代フリードハイブリッドは、コンパクトカーの2代目フィットのプラットフォーム(車台)やパワーユニットをベースにして開発されている。ホンダ独自のセンタータンクレイアウト技術により、全長4,215mmというコンパクトなサイズでありながら、6/7人乗りを実現した。非常に優れた高効率パッケージを誇るモデルだ。3列目シートは広いとは言えないものの、短距離での移動であればそれほど問題のないレベルに仕上がっている。

初代フリードハイブリッドに搭載されている1.5Lハイブリッドシステムは、IMAと呼ばれる1モーター式だ。エンジンが主体のパラレルハイブリッドになる。シンプルなシステムでモーター出力も小さいため、低速時ならモーターだけでの走行が可能だ。

この初代フリードハイブリッドは人気が根強く、中古車価格があまり下がっていない。予算100万円という条件だと、2011~2013年式がターゲットになる。
この年式だと、1クラス上の5ナンバーミニバン、4代目セレナとほとんど変わらない。ならば、より広い4代目セレナという選択もある。ただ、コンパクトなボディサイズや優れた燃費性能などが優先されるのであれば、初代フリードハイブリッドという選択になる。

グレードは、ジャストセレクションがおすすめだ。右側パワースライドドア、スマートキーが標準装備されている。中古車流通量はそれほど多くないが、100万円の予算であれば、走行距離が5万km以下の車両も見つけることができる。
オプションは、純正ナビやバックカメラ、本革巻きステアリングホイールなどを装備されている車両がおすすめだ。

ミニバンは中古車で購入しよう

ミニバンは、高齢者のいる家族や、子育て家族など幅広い世代にファミリーカーとして人気だ。人気ジャンルのためメーカー間の競争が激しく、マイナーチェンジも比較的早い。
中古車での購入は予算によって幅広い年式や車種で検討がしやすい傾向がある。ただし、欲しい車種の在庫が人気車種だと、すぐに売れてしまうことも考えられる。気になった在庫があれば早めに問い合わせや近くの店舗に相談をすると良い。