日産エルグランドが16年振りのフルモデルチェンジ!2026年夏発売予定| Japan Mobility Show 2025レポート

日産エルグランドが16年振りのフルモデルチェンジ!2026年夏発売予定| Japan Mobility Show 2025レポート

日産は、2025年開催のジャパンモビリティショーで、新型エルグランド(E53型)を先行公開した。約16年ぶりとなるフルモデルチェンジで、エルグランドは4代目へと進化を遂げた。

 

長年にわたるモデルチェンジの遅れにより、Lクラスミニバン市場は現在、トヨタ アルファード&ヴェルファイアの独壇場となっている。こうした背景の中、新型エルグランド(E53型)は従来モデルで指摘されてきた弱点を徹底的に見直し、満を持して登場した。

今回は2025年11月時点で公表されている情報を元に、概要をレポートする。

新型エルグランドはライバル車より、やや大きなサイズとなった

新型エルグランド(E53型)の車両の全景画像

まずは、ボディサイズをライバル車アルファードと先代エルグランド(E52型)と比較した。

 

新型エルグランド(E53型)ボディサイズ(日産測定値)

  • 全長4,995mm×全幅1,895mm×全高1,975mm

40系トヨタ アルファードとの比較

  • 全長:±0mm 全幅+45mm 全高+40mm

先代エルグランド(E52型)

  • 全長:+30mm 全幅+45mm 全高+160mm

先代エルグランド(E52型)の弱点とされていたのは、アルファード&ヴェルファイアに対して小さく見えるという点だった。新型エルグランド(E53型)では、アルファードに対して全幅+45mm、全高+40mmと大きくすることで、小さく見えるという弱点を克服している。

新型エルグランドのデザインは「脱・オラオラ系」。高級感のある仕上がり

新型エルグランド(E53型)のフロントフェイスの画像

新型エルグランド(E53型)のデザインコンセプトは、「The private MAGREV(マグレブ)」。リニアモーターカーを想起させるこの名称には、非日常の旅へ出かける際の高揚感や期待感をデザインで表現するという意図が込められている。

 

注目すべきは、Lクラスミニバンで主流となっている“オラオラ系”の王道デザインとは一線を画した点だ。徹底したマーケットイン志向で開発されたトヨタ アルファード&ヴェルファイアとは異なり、新型エルグランドは日産独自の思想が色濃く反映されたスタイルとなっている。

 

その中で特徴的なのが、近年の日産デザインの潮流である「日本独特の美意識」の取り入れだ。フロントグリルには、日本の伝統工芸「組子」をモチーフとした四角い幾何学模様を採用。フェイス中央に存在感を持って配置されている。さらにリヤの一文字型コンビネーションランプにも同じデザインがあしらわれており、ひと目で新型エルグランドと分かる個性を演出している。

 

また、Lクラスミニバンにおいて大きな面積を占めるサイドパネルには、日本庭園を思わせる「間(ま)」の広がりと、「整(ととの)え」の緻密さという、相反する要素が巧みに調和されている。

新型エルグランド(E53型)のリヤエンドの画像

全体としてはオラオラ系とは異なるアプローチながらも、Lクラスミニバンに求められる高級感や威厳は、しっかりと表現されている。

重厚な内装。先代よりも高いシートポジションで視認性が向上

新型エルグランド(E53型)の内装:インパネデザインの画像

新型エルグランド(E53型)のインテリアは、“プライベートラウンジ”のような上質空間を目指してデザインされた。インパネは、車幅の広さを活かしたワイドで高さのあるセンターコンソールによって、風格と満足感を一層高めている。また、広範囲にわたって木目調パネルをあしらうことで、高級感だけでなく、重厚さと先進性も感じられる仕上がりとなっている。

新型エルグランド(E53型)の内装:メーターの画像

メーターとセンターディスプレイには、国内モデルとしては初採用となる14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを搭載。視認性・操作性の向上にも貢献している。

新型エルグランド(E53型)の内装:運転席の画像

シート素材には、エクステリアと統一感を持たせた「組子」パターンのキルティングをドアトリムに採用。細部までこだわったデザインが、室内空間の一体感と品格を演出する。

新型エルグランド(E53型)の装備:スピーカーの画像

装備面では、BOSE製の22スピーカーによるプレミアムサウンドシステムを搭載。後席には大型モニターも用意されており、車内にいながら映画館のような臨場感あふれる3Dサラウンドを楽しめる。

 

また、Lクラスミニバンといえば白か黒のボディカラーが主流だが、新型エルグランドでは個性的な新色が設定された。例えば、富士山に昇る朝日をイメージした自然美あふれる「FUJI DAWN(フジドーン)」、古来日本で高貴さや格式を象徴してきた色彩から着想を得た「至極(シゴク)」などが用意されている。

新型エルグランド(E53型)の内装:2列目シートの画像

さらに、インテリアのシート素材には「テーラーフィット」を採用し、日本の美意識に息づく気高さを象徴する紫と青を取り入れた「紫檀(シタン)」のカラーリングを施している。

新型エルグランド(E53型)の内装:3列目シートの画像

そして、先代エルグランドとの違いとして、着座位置が大きく引き上げられた点も見逃せない。これは、「ライバル車を見下ろせるような視点で運転したい」という多くのミニバンユーザーの声を反映したもの。従来の弱点とされていた視界性能の改善にもつながっている。

新型エルグランド(E53型)の荷室空間の画像

新型エルグランド(E53型)の内装:シートアレンジの画像

新型エルグランドのパワートレインは第3世代e-POWER(ハイブリッド)搭載!

先代エルグランドでは、ハイブリッド車の設定がなかったことも、大きな弱点とされていた。

そこで新型エルグランド(E53型)には、待望のハイブリッドシステム「第3世代e-POWER」が搭載される。

 

この第3世代e-POWERには、発電専用に設計され、高効率化を実現した1.5Lの新型「ZR15DDTe」エンジンを採用。さらに、モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機という5つの主要部品を一体化した「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」で構成されている。

これにより、高い静粛性と優れた燃費性能を両立した次世代のパワートレインが実現された。

 

なお、新型エルグランドのシステム最高出力や燃費性能については、現時点では非公表となっている。ただし、ライバルであるトヨタ アルファード/ヴェルファイアのハイブリッドモデルがいずれもシステム最高出力250psを誇ること、そしてエルグランドも2トンを超える重量級ボディであることを踏まえると、同等クラスの出力が想定される。

進化版e-4ORCE+減衰力可変式インテリジェントダイナミックサスペンションで、優れた操縦安定性を提供

新型エルグランドは、第3世代e-POWERの搭載により、4WDモデルの駆動方式も大きく進化した。新たに採用された4WDシステムは、後輪もモーターで駆動する日産独自の「e-4ORCE(イーフォース)」だ。

 

e-4ORCEは、前後のモータートルクを緻密に制御し、路面状況や車両の挙動に応じて最適な駆動力を提供。さらに、左右のトルク配分も制御することで、旋回時の「曲がりやすさ」にも大きく貢献する。車体が大きく、重心が高いミニバンにおいては、車体の揺れを抑える効果や操縦安定性の向上といった、非常に大きなメリットをもたらす技術といえる。

 

足回りについては、先代E52型エルグランドでも評価の高かったリヤのマルチリンク式サスペンションを継続採用。さらに今回は、新たに「インテリジェントダイナミックサスペンション」を搭載。走行シーンに応じて4輪それぞれの減衰力を可変制御し、乗り心地と走行安定性を一段と高めている。e-4ORCEとの組み合わせにより、ミニバンとしては異例ともいえる高い快適性と操縦性を実現した。

 

走行モードは6種類が用意され、e-POWER、e-4ORCE、インテリジェントダイナミックサスペンションの各制御を統合。走行状況に応じた最適なモード選択が可能となっている。

 

また、先進安全装備については、従来通り「プロパイロット2.0」および「プロパイロット」を設定。「プロパイロット」には新たに、渋滞時における時速50km以下のハンズオフ走行機能を追加。さらに、ドライバーによるウインカー操作を検知した後、自動で車線変更を支援する機能も追加されるなど、運転中の負担軽減に大きく貢献している。

新型エルグランドの価格を予想。ライバル車より、安価になる?

新型エルグランド(E53型)は、2026年夏の発売が予定されており、現時点で価格は未公表となっている。とはいえ、やはり気になるのはその価格設定だ。そこで今回は、予想価格を検討してみたい。

まず、ライバルであるトヨタ アルファードの上級グレード「ハイブリッドZ(E-Four)」の価格は6,570,000円。フルモデルチェンジ後も需要が非常に高く、事実上の“一人勝ち”状態が続いていることもあり、やや強気の価格設定となっている。

一方で、新型エルグランドは約16年ぶりのフルモデルチェンジ。ブランド力という点では、依然としてアルファードに一歩譲る状況だ。そのため、価格を同水準に設定するのは現実的ではなく、やはり「買い得感」を前面に打ち出した戦略的な価格設定が予想される。

これらを踏まえると、新型エルグランド e-4ORCE(E53型)の価格は、アルファードよりやや抑えた 約630万円前後 に設定される可能性が高いと考えられる。

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員