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2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー結果を車専門家が解説【史上初 軽自動車が受賞】

2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーは「日産サクラ/三菱eKクロスEV」が受賞した。軽自動車で初の快挙を成し遂げたクルマの受賞理由や魅力を紐解く。加えて部門賞受賞モデルの受賞理由も解説する。

歴史的快挙!日産サクラ/三菱eKクロスEVが軽で初受賞

 

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2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーは、「日産サクラ/三菱eKクロスEV」が受賞した。43年目となる日本カー・オブ・ザ・イヤーの歴史の中で、軽自動車が受賞したのは初めてのこと。同時にK CAR オブ・ザ・イヤーも受賞している。日本専用である軽自動車のEVが、数多くの輸入車やグローバルモデルである国産車を抑え受賞したのは、まさに快挙だ。日本の軽自動車が、世界でも十分に通じることを証明した。

「日産サクラ/三菱eKクロスEV」は、軽自動車新時代の扉を開いた存在といえる。

日本カー・オブ・ザ・イヤーとは?

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、日本のモータリゼーションの発展とコンシューマーへの最新モデルおよび最新技術の周知を目的として、1980年に創設された。一般社団法人 日本カー・オブ・ザ・イヤーが構成する日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会により運営されている。

選考対象となるクルマは、前年の11月1日より当年の10月31日までに日本国内において発表された乗用車だ。実行委員会が選出した60名を上限とした選考委員の投票によって、各賞が決定される。

日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考方法

第一次(ノミネート)選考、第二次(最終)選考の二段階に分けて行われる。2022-2023年度のノミネート車は48台。

ノミネート車リスト(外部リンク:日本カー・オブ・ザ・イヤー公式ページ)

この48台から10台が10ベストカーとして選出され、最終選考へ進む。今年度は10番目のモデルが同票だったため、計11台が最終選考会へ進んだ。この11台から日本カー・オブ・ザ・イヤーが選ばれる。

部門賞は、ノミネートリスト車から選出される。

10ベストカーリスト(外部リンク:日本カー・オブ・ザ・イヤー公式ページ)

 

2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベストカー

*ノミネートリスト順

  • スズキ アルト
  • トヨタ クラウン
  • 日産エクストレイル
  • 日産サクラ/三菱eKクロスEV
  • 日産フェアレディZ
  • ホンダ シビックe:HEV/シビックタイプR
  • マツダCX-60 e-SKYACTIV D 3.3
  • BMW iX
  • ヒョンデIONIQ 5
  • ランドローバー レンジローバー
  • ルノー アルカナ

 

選出は持ち点配分法によって行う。各選考委員が25点の持ち点を対象車10車(10ベスト)のうち5車に配点する。そのうち最も高く評価するクルマに対して、必ず10点を与えるものとする。ただし、10点を与えるクルマは1車のみだ。この選出方法で、最も多く得点を得た車が日本カー・オブ・ザ・イヤーとなる。

部門賞の対象は第一次ノミネート全車で選考委員による投票で選出。選考委員は部門毎に10点の持ち点を最大3車までに配点。最も高得点を得た車が部門賞となる。

軽自動車枠をはるかに超えた軽EV

2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー「日産サクラ/三菱eKクロスEV」

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<公式授賞理由>

日本独自の軽自動車規格を採用し、現実的な車両価格でバッテリーEVを所有するハードルを下げ、日本でのバッテリーEV 普及の可能性を高めた。

また、本格的な脱炭素時代を前に、減少するガソリンスタンドや公共交通などの衰退も予想される状況で、軽自動車+バッテリーEV という組み合わせは、高齢者を含めた多くの人の移動の自由を担保するだけでなく、社会的課題解決への可能性を示している。

さらに、走行性能についてもハンドリングと動力性能が従来の軽自動車を凌駕しているという声が多く集まった。

安全装備も 360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)を搭載し、高級車並みの運転支援機能を装備している点も評価された。

サクラ/eKクロスEVを解説(大岡氏)

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日産サクラと三菱eKクロスEVは、日産と三菱による共同開発車だ。内外装デザインは、まったく異なるものの、プラットフォーム(車台)やモーター、駆動用バッテリー、駆動制御などは共通化されている。

サクラとeKクロスEVには、20kWhの容量をもつ駆動用リチウムイオン電池が搭載されている。航続距離は180km(WLTCモード)だ。近距離移動がメインの軽自動車としては、十分な航続距離といえる。

 

驚きなのが走行性能だ。出力は軽自動車の出力上限である64psだが、最大トルクは195Nmと、自然吸気2.0Lガソリン車並みだ。軽自動車とは思えない力強い加速を誇る。しかもEV(電気自動車)なので、静粛性もとても高い。

運動性能も高い。大きく重いリチウムイオン電池を床下に設定しているため、低重心化されているからだ。カーブなどではピタッと安定した走りがウリ。まさに、軽自動車の枠を大きく超えた走行性能といえる。

搭載モーターは、三菱アウトランダーPHEVと日産エクストレイルのリヤモーターと共通している。グループのメリットを活かし、コストダウンを図った。

K CAR オブ・ザ・イヤー 「日産サクラ/三菱eKクロスEV

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<公式授賞理由>

軽自動車というカテゴリー内においても、バッテリーEVの入門車としての買い得感が高い。

また、想定される使用環境を考えた場合、極めて現実的な実質 120km~150km の航続距離や日本カー・オブ・ザ・イヤーの授賞理由としても多くの選考委員が指摘した、操縦安定性や静粛性などを高次元でまとめた点が高く評価された。

韓国車、初受賞! 世界のEVが震撼する圧倒的なコスパ!

インポート・カー・オブ・ザ・イヤー「ヒョンデ IONIQ 5」

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<公式授賞理由>

革新的なエクステリア/インテリアデザインとともにバッテリーEVとして、498km~618km(WLTCモード)という実用的な航続距離や卓越した動力性能のほか、充実した快適装備や安全装備、V2H や室内/外 V2L にも対応している点などが評価された。

さらに、ステアリングのパドルシフトレバーで回生制動量を変更できる点も、走りの楽しさを高めてくれるポイントとして指摘する声が多かった。

IONIQ 5の解説(大岡氏)

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ヒョンデIONIQ5は、オリジナリティのあるEVだ。外観デザインは、画像の最小単位であるデジタルピクセルにアナログな感性を加えた「パラメトリックピクセル」と呼ばれ、愛嬌あるスタイリングになっている。

一方インテリアは、快適な居住空間(Living Space)をテーマに、シンプルでクリーンなデザインが施された。後席のスペースも広く、リラックスできる空間に仕上げられている。

 

選択肢が豊富なグレード展開も魅力のひとつだ。

グレード

モーター位置

駆動用バッテリー

航続距離(WLTCモード)

エントリーグレード

後輪

58kWh

498km

中間グレード(2種類)

後輪

72.6kWh

618km

最上級グレード(AWD)

前後

72.6kWh

577km

 

最上級グレードの最大出力は305psで最大トルクは605Nm。とてもパワフルで豪快な加速と、キレのあるハンドリング性能を誇る。乗り心地も良好だ。

 

驚きなのは、価格だ。

エントリーグレードは、やや運転支援機能に物足りなさを感じるものの479万円。装備に不満が無く、パワフルなAWD仕様の最上級グレードでも589万円とリーズナブルだ。このクラスの国産EVと比べても、かなり安い。コストパフォーマンスは、日本国内で販売されるEVの中でトップレベルだ。これは店舗を持たずにオンライン販売のみにすることで、販管費を抑えたチャレンジングな営業努力も大きな要因のひとつとなっている。

 

EVらしい革新的デザインと伝統的デザインの融合

デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー「BMW iX

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<公式授賞理由>

これまでの BMW デザインとは全く異なる世界観・方向性、リスクを恐れずに変化なくして新たな時代を作ることはできないという考え方で新たな境地を開いた。

垂直でほぼ全面的に囲い込まれた BMW キドニーグリルなど、従来のデザイン言語を踏まえながら、革新的な取り組みを高く評価したという声が聞かれた。

また、ラウンジを彷彿させる優雅なインテリアについても従来の自動車の概念を覆すものという評価も集まった。

iXの解説(大岡氏)

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BMWデザインのアイコンは、キドニーグリルだ。だがEVにはエンジンが無いため、グリルもエンジンを置くスペースも不要である。

iXは上手くBMWらしさとEVのメリットを融合させたデザインだ。グリル風デザインを採用しつつ、ボンネットは短くされ室内スペースは広大だ。

 

走行性能は、EVであっても走る楽しさを重視している。前後にモーターを設置したAWDであるiX xDrive50は、システム最高出力523ps&システム最大トルク765Nmを誇る。0-100km/h加速は、スーパーカー並みの4.6秒という数値を叩き出した。エアサスペンションも装備され、豪快な走りと快適な乗り心地を両立している。

 

走行性能を極めたiX M60は異次元の加速力を持つ。システム最高出力は540ps、システム最大トルクは1,015Nmだ。しかも、10秒以内であれば619ps、最大トルクは1,100Nmとなるモードも用意されている。M60の0-100km/h加速は3.8秒と、2.6トンもある車重のクルマとは思えないほどの実力だ。

 

量産世界初の可変圧縮比エンジンを搭載

テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー「日産 エクストレイル」

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<公式授賞理由>

発電用に 1.5 L直列3気筒 VC ターボの可変圧縮比エンジン、加えて高出力モーターを採用したとともに電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を新たに搭載。内燃機関とEVの革新的な技術が、この1台に集約されている点が評価された。

これらシステムの制御の巧みさにも評価が集まり、選考委員からは「技術の日産」という言葉を思い出したという言葉も聞かれた。

エクストレイルの解説(大岡氏)

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日産エクストレイルには、第2世代のシリーズハイブリッドシステムである「e-POWER」が採用された。エンジンの出力で発電した電力を使いモーターで走行するシステムだ。

エクストレイルには、この発電用エンジンに可変圧縮比を採用したVCターボエンジンが新採用された。

VCターボは、エンジンがフレキシブルに対応できる。たくさん発電しなくてはならない場合には、圧縮比を下げ過給圧を向上させ、高出力で要求される発電量に対応する。通常時は、圧縮比を上げ過給圧を下げ、低燃費で発電する。

従来の直3エンジンは振動面でデメリットがあるとされていた。しかし可変圧縮比機能の恩恵で振動は少なく、エンジンの音質もよいというメリットも得た。

 

前後にモーターを設置したAWDの「e-4ORCE」は、前後のトルク配分とブレーキ制御を組み合わせ、車体をコントロールする。カーブでは曲がりやすく、軽快感がある走りを実現した。直線路では車体が前後に動くピッチングも抑制し、フラットで安定した走りに貢献する。

走行性能にこだわったハイブリッド車

パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー「ホンダ シビック e:HEV/シビック タイプ R

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<公式授賞理由>

ハイブリッドカーである e:HEV は、洗練されたパワートレーンにより、現代的でスマートな走りがしっかり作り上げられたスポーツサルーンとして評価された。

タイプRは、優れたシャシー性能と空力ボディ、滑らかな回転フィールのVTECターボエンジンにより、街乗りからサーキット走行まで幅広くカバーするパフォーマンスを実現。ドライバーに素直な感動を与えてくれる点に多くの評価が集まった。

シビック e:HEVの解説(大岡氏)

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走行性能にこだわったハイブリッド車が、ホンダ シビックe:HEVだ。

低重心化されたプラットフォーム(車台)による運動性能の高さと、モータードライブ車の優れたアクセルレスポンスによって、気持ちのよい走りを実現した。後席下付近に駆動用バッテリーを搭載したことで、前後重量バランスも向上。ガソリン車より回頭性に優れ、操縦安定性もよい。

シビックタイプRはサーキットなどでの走行性能を重視したモデルだ。先代モデルよりも洗練され、街中でも扱いやすく乗り心地もよくなった。330psを誇る2.0L VTECターボエンジンは、ターボエンジンながらホンダ製らしく高回転まで気持ちよく回る。

サクラのカタログ情報

現行モデル
令和4年5月(2022年5月)〜現在
新車時価格
233.3万円〜304.0万円

サクラの在庫が現在1件あります

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員