ヴェゼルvsCX-3

各メーカーがBセグメントコンパクトSUVの新型車を発表している。2020年にトヨタ ヤリスクロスと日産キックス、2021年にホンダ ヴェゼルがデビューした。
マツダCX-3は2015年と最もデビューが古く、ディーゼルエンジンで勝負している。
今回は、最新のヴェゼルと最古参ともいえるCX-3を比較・評価した。

この記事の目次 CONTENTS
ホンダ ヴェゼルの特徴
マツダCX-3の特徴
1.燃費比較 
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ホンダ ヴェゼルの特徴

ホンダ ヴェゼル ホンダ ヴェゼル

初代ホンダ ヴェゼルは、2013年に登場した。発売直後から大ヒットモデルとなり、何度も登録車SUV新車販売台数ナンバー1を獲得しているほどだ。

すでにBセグメントコンパクトSUVのクラスには、日産ジュークがあった。しかしヴェゼルの大ヒットで一気に話題となる。ある意味、初代ヴェゼルはBセグメントコンパクトSUVのパイオニアともいえるモデルだ。

初代ヴェゼルのデビューから約8年。2021年4月に2代目ヴェゼルが登場した。
通常、大ヒットしたモデルがフルモデルチェンジすると、リスクを回避するためにキープコンセプトとなるケースが多い。ホンダの軽自動車N-BOXなどが典型的である。
しかし、2代目ヴェゼルは、初代ヴェゼルのイメージを全く感じさせないフルモデルチェンジとなった。

初代と2代目の方向性は、まったく異なっている。
初代ヴェゼルはスポーティな走りを前面に押し出したスポーティ&スタイリッシュ系SUVだ。対する2代目ヴェゼルは、重厚感&上質感があるラグジュアリー系SUVになっている。
クルマの基本性能を司るプラットフォームは、初代ヴェゼルと共通ながら、パワーユニットは刷新された。新開発されたパワーユニットは、「e:HEV」と呼ばれる1.5Lハイブリッドだ。4代目フィットと基本的に同じシステムだが、車重の重量増に対応しややパワーアップしたものを搭載した。

マツダCX-3の特徴

マツダCX-3 マツダCX-3

マツダCX-3は、2015年に登場した。コンパクトカーのデミオ(マツダ2)のプラットフォーム(車台)をベースとしSUV化されている。
CX-3は、「次の時代のスタンダードを創造する」という志で開発された。スペックや数値の追求だけでは表せない、「人がクルマに求めている本質的な価値とは何か」を問い直し、マツダの最新のデザインと技術で創り上げられている。
都会からアウトドアまで、どんなシーンにも相応しい1台を目指した。そのため、CX-3の全高は、1,550mmに抑えられている。都市部に多い、立体駐車場の高さ制限内とするためだ。これにより、都市部でマンションなどに住み立体駐車場を使うユーザーも、高さ制限を気にすることなくSUVに乗れるようになった。

CX-3の大きな魅力になっているのが、1.8Lのクリーンディーゼルターボエンジンだ。デビュー時には1.5Lだったが、2018年5月の改良で1.8Lに変更されている。BセグメントコンパクトSUVでディーゼルエンジンを採用しているのは、他社を含めCX-3のみだ。
多くのライバル車が、ハイブリッドでCO2減に取り組んでいる中、マツダはディーゼルエンジンで環境問題に取り組んでいる。

走行性能面では、ディーゼルエンジン特有の強大なトルクと低燃費が魅力的だ。270Nmの最大トルクは、クラストップレベルである。燃費はハイブリッドにこそ少々及ばないものの、使用する燃料がレギュラーガソリンより安価な軽油であることから、ハイブリッド車と同等の燃料経済性を誇る。

1.燃費比較 

ヴェゼルの評価 4.0
CX-3の評価 4.0

燃料費に置き換えると、ハイブリッドとディーゼルはほぼ互角!?

ホンダ ヴェゼルの燃費は以下の通り。

FF、WLTCモード 4WD、WLTCモード
e:HEV(ハイブリッド)系 24.8~25.0km/L 22.0km/L
G(1.5Lガソリン車)系 17.0km/L 15.6km/L

マツダCX-3の燃費は以下の通り。

FF、WLTCモード 4WD、WLTCモード
CX-3 XD(ディーゼル)系 20.0km/L 19.0km/L
CX-3 15S(1.5Lガソリン)系 17.0km/L 15.7km/L
CX-3 20S(2.0Lガソリン)系 16.0km/L 15.2km/L

ホンダ ヴェゼルのe:HEV(ハイブリッド)系とマツダCX-3のXD(ディーゼル)系を比べると、ヴェゼルが25%も燃費で引き離し低燃費性能のアピールする結果となった。
しかし、ここで注目したいのは燃料費である。ヴェゼルe:HEVが使う燃料はレギュラーガソリンで、約140円/L前後の価格だ。これに対して、CX-3のディーゼルエンジンは軽油を使う。軽油の価格は120円/L前後と安価だ。
このWLTCモード値(FF車)で、1,000km走った燃料費を比較すると、ヴェゼルe:HEVが約5,600円。対して、CX-3のディーゼルが約6,000円となる。走行シーンによって得意、不得意はあるものの、ほぼ互角の燃料経済性といえるだろう。

4WD車になると、少々、様子が変わってくる。同様に燃料費を計算すると、ヴェゼルは約6,400円、CX-3は約6,300円であった。4WDに関してはCX-3が微妙に安価となった。

ちなみに、この燃費値(FF車)で燃料タンク容量から航続距離を計算すると、ヴェゼルが1,000km、CX-3は960km/Lとなり、こちらもほぼ同等となっている。

1.5Lガソリン車に関しては、両車同レベルの燃費値だ。
CX-3、2.0Lガソリン車の燃費値は、意外と健闘している。

2.価格比較

ヴェゼルの評価 3.0
CX-3の評価 3.5

微妙な装備差だが、ややCX-3が安価な印象

ホンダ ヴェゼルの価格
  • ハイブリッド車…2,658,700~3,298,900円
  • ガソリン車…2,279,200~2,499,200円

マツダCX-3の価格

  • ディーゼル車…2,492,600~3,162,800円
  • ガソリン車…1,892,000~2,887,800円

全般的にややヴェゼルの方が高価に見える。
量販グレードであるヴェゼルe:HEV Z (2,898,500円)とCX-3 XDプロアクティブSパッケージ(2,789,600円)の価格差は、約11万円だ。しかし以下のような装備差がある。

ヴェゼルにしかない装備 CX-3にしかない装備
ハンズフリーパワーテールゲート パワーシート
シーケンシャルウインカー -

微妙な装備差があるが、ややヴェゼルの方が高価だといえる。

3.購入時の値引き術

ヴェゼルの評価 3.0
CX-3の評価 3.0

両車大幅値引きは厳しい。ライバル車としっかり競合が正攻法

ホンダ ヴェゼルの人気は高く、発売直後から好調に売れている。しかし、半導体不足により生産が追いつかない状態でバックオーダーばかりが増えているのが実情だ。

バックオーダーが増えている時には、値引き額は増えない傾向にある。
ただ、半導体不足に加えコロナ禍の影響もあり、今受注しておかなければ、今後の見通しもつかない不透明な状態なのだ。
これらの要因によって、ヴェゼルはそれなりの値引き額が提示されているようだ。「大幅値引きとはいかないまでも、他車を選ばれるよりはマシ」と考えているのかもしれない。

ただし、何もしなければ値引きゼロとなる可能性が高い。BセグメントコンパクトSUVは、激戦状態なので、しっかりとライバル車と競合させる必要がある。CX-3やヤリスクロス、キックスと競わせよう。

値引きを引き出すコツは、先にライバル車の見積りを少なくとも2台分は取っておくことだ。最後にヴェゼルの商談に向かい、ライバル車の見積りをチラ見せして、条件が合えばヴェゼルもありと伝えるくらいがちょうどよい。交渉のポイントはライバル車の見積りを完全に見せないことだ。
こうした商談をするのには訳がある。ヴェゼルが欲しくて仕方ないと営業マンに悟られたら「値引きしなくてもいずれ買う客」と認識されてしまうのを避けるためだ。

マツダCX-3は、すでにモデル末期に入っている。一般的に、こうしたモデルは大セール中となり大幅値引きが期待できる。しかし、マツダは値引き抑制の営業スタイルを崩していない。そのため、特殊な条件が揃わないと大幅値引きは厳しい。

しかし、競合させないと、わずかな値引きになってしまう。ヴェゼル同様、しっかりとライバル車と競合させて値引きを引き出す以外に方法はない。

また、気を付けたいのが下取り車だ。マツダは下取り車を高値で再販するのが少し苦手なのだ。そのため、下取り車がマツダ車以外の場合、下取り価格にも注意が必要である。買取店で査定して、しっかりと下取り価格を比べるとよい。
値引きを引き出せても、下取り車で損をしていては意味がない。

4.デザイン比較

ヴェゼルの評価 4.0
CX-3の評価 4.0

質感が高く、ラグジュアリーSUVとなったヴェゼル

質感が高く、ラグジュアリーSUVとなったヴェゼル 質感が高く、ラグジュアリーSUVとなったヴェゼル

ホンダは、ヴェゼルの外観デザインを「クーペプロポーション」と呼ぶ。しかし、どう見てもルーフはフラットで、Cピラーがやや傾斜が強い程度だ。
初代ヴェゼルの方が、クーペライクなデザインといえる。

ヴェゼルのフロントフェイス ヴェゼルのフロントフェイス
ヴェゼルのリヤエンド ヴェゼルのリヤエンド

やや低く構えたスタイリッシュなフロントフェイスをもった初代ヴェゼルだったが、2代目ヴェゼルはSUVデザインのトレンドともいえる大きな顔にチェンジした。ボンネットフードを持ち上げ、より大きく迫力ある顔に仕上げている。
このデザインは、外しのないデザインとはいえ、なかなか秀逸である。BセグメントコンパクトSUVながら、ひとクラス以上大きく見え見栄えもいい。

評価が分かれるのが、グリルのデザインだろう。2代目にはフレームのないインテグレーテッドグリルデザインが採用されている。ヴェゼルらしさという面では、オリジナリティの強い顔になった。しかし、グリルの大きさで迫力をアップするデザイン手法が流行りの中、違和感がある人も多いだろう。少し、好き嫌いが分かれるデザインかもしれない。

ヴェゼルのインパネ ヴェゼルのインパネ
ヴェゼルのメーター ヴェゼルのメーター

インテリアは、シンプルでスッキリとしたインパネデザインとなった。ひとつひとつの動作がスムーズに行える「美しい所作」を意識して作られている。水平基調で広がりがあり、室内をより広く感じさせるのもポイントが高い。
上級グレードの質感は、ソフトパッドを各部に採用するなど非常に高いレベルにある。実用性の高さが重視されるBセグメントコンパクトSUVながら、クラスを超えたラグジュアリーSUVのようだ。

CX-3の外観 CX-3の外観

マツダCX-3は、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」が採用され、躍動感あるデザインが特徴だ。後方に向け跳ね上がるようなボディサイドのキャラクターデザインに、後方に向けて緩やかに傾斜するルーフラインは、まさにクーペルックといえる。

CX-3のフロントフェイス CX-3のフロントフェイス

低く構え睨みの効いたフロントフェイスは、SUVデザインのトレンドは異なるものの、マツダらしいスポーティなものだ。

CX-3のインパネ CX-3のインパネ

CX-3のインテリアは、ドライバーオリエンテッドなコクピットにまとめられた。SUV感は無いものの、十分なスポーティさを放っている。
加えて、心地よく包まれている感じもあり、安心できる空間に仕上がった。
しかし、センターコンソール上部に設置されたモニターのサイズは7インチと、今時のモデルと比べるとやや小さい。

ヴェゼルとCX-3のデザインを比べると、目指す方向性が大きく異なっている。ヴェゼルは正統派SUVとして、力強さや迫力をアピールしているのに対し、CX-3はギュッと凝縮感あるスタイリッシュさ、そして前傾姿勢で今にも飛びかかる肉食獣のような躍動感を前面に押し出している。
そのため、CX-3の方がかなり小さく見える。ヴェゼルよりややボディサイズが小さいことも影響しているだろう。
こうしたデザイン差は、買う側の好みによるだろう。

5.室内空間と使い勝手

ヴェゼルの評価 4.0
CX-3の評価 3.0

ひと回りボディサイスが大きいヴェゼルが有利

ヴェゼルとCX-3のボディサイズ等は以下の通りだ。

全長×全幅×全高 ホイールベース 荷室容量
ヴェゼル 4,330mm×1,790mm×1,590mm 2,610mm 390L
CX-3 4,275mm×1,765×mm×1,550mm 2,570mm 350L
ヴェゼルの運転席 ヴェゼルの運転席
ヴェゼルの後席 ヴェゼルの後席
CX-3の運転席 CX-3の運転席
CX-3の後席 CX-3の後席

ボディサイズを比較すると、すべての面でヴェゼルがCX-3より大きいことが分かる。
この数値通り、室内の広さはヴェゼルが勝る。とくに、後席の広さは大きな差になっており、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトの恩恵だ。

ヴェゼルの荷室 ヴェゼルの荷室
CX-3の荷室 CX-3の荷室

同様に荷室容量も差が付いている。CX-3の全長が短い分、仕方がない。

後席は両車共に、6:4の2分割可倒式だ。
ヴェゼルのリヤシートはダイブダウン機能により、荷室はフルフラットになる。同様に、後席座面を跳ね上げ固定するチップアップ機能がある。長さのある荷物を立てて積みたい場合に使える機能だ。
CX-3は、フレキシブルボードを設定しており、荷室を上下2分割できる。
荷室の使い勝手面では、ヴェゼルがやや上回る。

最小回転半径は以下の通りだ。

  • ヴェゼル 18インチホイール装着車…5.5m(量販グレード)
  • ヴェゼル 16インチホイール装着車…5.3m
  • CX-3(全車) …5.3m

この数値は狭い道や駐車場などでの使いやすさの指標となる。
ヴェゼルの18インチホイール装着車は、BセグメントコンパクトSUVということを踏まえると、小回りが少し苦手な数値となっている。

6.安全装備の比較

ヴェゼルの評価 3.5
CX-3の評価 3.0

微妙に一長一短な予防安全装備

ホンダ ヴェゼルには、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「ホンダセンシング」が全車標準装備されている。どのグレードを買っても安心だ。

自動ブレーキの機能は、歩行者と自転車を検知する。その他、誤発進抑制、誤後退抑制機能や車線維持支援など計11もの機能を揃えている。
一部グレードのみ標準装備されている機能もある。車線変更時など、後側方から接近する車両を検知し警報を発し接触リスクを軽減する「ブラインドスポットインフォメーション」などだ。

また、運転支援機能である「先行車全車速追従式クルーズコントロール」もホンダセンシングの機能として全車標準装備。この機能は、渋滞時のストップ&ゴーにも簡単な操作対応し、渋滞時のドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。
ライバル車を大幅に上回るような機能は無いものの、全般的に隙の無い機能をもつ。

マツダCX-3の予防安全装備パッケージ「i-ACTIVSENSE」もヴェゼル同様高いレベルにまとめられている。自動ブレーキは、昼夜の歩行者に対応可能だ。その他、誤発進・誤後退抑制機能なども装備されているので安心できる。
CX-3には、ヴェゼルで一部グレードにしか装備されていない、後側方車両接近警報、後退時車両接近警報などがどのグレードにも標準装備されている。

逆にヴェゼルには標準装備されている前走車全車速追従式クルーズコントロールは、CX-3のエントリーグレード系には装備不可となっている。
車線維持機能はCX-3には無い。

両車共に一長一短あるものの、標準レベルの予防安全装備といえる。
自分にとって、どの機能が必要なのかを重視して選ぶとよい。

7.走行性能の比較

ヴェゼルの評価 4.0
マツダCX-3の評価 3.5

優等生のヴェゼル。キレある走りのCX-3

ヴェゼルのエンジンルーム ヴェゼルのエンジンルーム

ホンダ ヴェゼルe:HEVのハイブリッドシステムは、基本的に4代目フィットと同じである。1.5Lエンジンで発電した電力を使い、モーターで走行する。
ヴェゼルは、フィットより車重が重いため、フィットから22psアップした131ps&253Nmという出力を得た。
これだけの出力があるため、力不足感はない。その加速フィーリングは、よい意味で普通といえる。
モーターは、瞬時に最大トルクをアウトプットする特性をもつ。だが、ヴェゼルはあえてそれを抑え、アクセル操作に対してリニアに加速する。ガソリン車から乗り換えても、違和感ない自然なフィーリングが魅力だ。
ただ、ドンと加速する力強さもモータードライブ車のもつ力のひとつでもある。こうしたフィーリングは好みによるかもしれない。

ヴェゼルe:HEVの乗り心地やハンドリングは、なかなか穏やかで爽快な走りだ。初代ヴェゼルのような機敏さはないが、素直にしっかりとクルマが反応するので、乗っていて安心感がある。だからと言って鈍重なフィーリングではなく、その気になればかなりハイペースで走れるフットワークをもつ。
ただ、18インチホイールを履くe:HEVでは、路面の凹凸が大きい場合、少しリヤサスペンションからの突き上げ感があった。静粛性も高い。

ヴェゼル1.5Lガソリン車の出力は、118ps&142Nmだ。やや重いヴェゼルでこの出力値だと、急勾配な坂道ではやや非力感がある。平坦路や市街地などでは、とくに不満はない。

意外だったのは、16インチホイールを履くガソリン車だ。ヴェゼルe:HEVの18インチ車で感じた突き上げ感もあまりなく、乗り心地はかなりよい。しかも、車重が軽いことも影響し、カーブでの軽快感はe:HEVを上回るほどだ。
廉価グレードという側面があり、インテリアの質感が少し低いのが残念である。

CX-3のエンジンルーム CX-3のエンジンルーム

マツダCX-3、1.8Lディーゼル車の出力値は、116ps&270Nmだ。車重がヴェゼルより少し軽い上に、最大トルクも上回るので、より力強さを感じる。
ただ、ディーゼル車なので、高回転域ではややパンチが不足していた。

乗り心地は硬い。改良が何度か加えられ、乗り心地も良くなってきた。しかし最新のヴェゼルと比べると、かなり硬く感じる。
ただ、乗り心地の硬さは、ハンドリング面で大きなメリットになっている。カーブでは、SUVなのか? と、思えるほど軽快に駆け抜けていく。これはこれで、面白い。走りが楽しいSUVだ。

CX-3の1.5Lエンジンの出力値は、111ps&144Nm、2.0Lエンジンだと、150ps&195Nmだ。1.5Lエンジンは、ヴェゼルの1.5Lと同様、基本的に街中メイン用である。高速道路や急勾配の坂道では、やや非力な印象を受ける。
2.0Lガソリン車は、十分な主力だ。1.8Lディーゼルほど速くはないが、バランスもよく余裕ある走りが楽しめる。

ヴェゼルとCX-3の走行性能は、大きく方向性が異なる。
ヴェゼルe:HEVは、どんなシーンでも、バランスよく高いレベルで走れる。走る場所を選ばない優等生タイプだ。
CX-3のディーゼル車は、カーブや高速道路のクルージングが楽しい。キレのあるハンドリングは、カーブでキビキビ走れる。
270Nmという大トルクは、高速道路で余裕のあるクルージングが楽しめる。余裕があるので、疲労も少ない。

8.リセールバリュー比較

ヴェゼルの評価 4.0
CX-3の評価 3.5

高リセールバリュー確実! おすすめグレードは?

初代ホンダ ヴェゼルの2016年式中古車相場は、150~190万円程度だ。ハイブリッド車が中心で、新車価格より100万円位しか安くなっていない。
中古車相場が高いとういことは、リセールバリューも高いということ。2代目ヴェゼルのリセールバリューはまだ不明だが、初代と同様に推移すると仮定すれば、かなり高いリセールバリューが期待できるだろう。

ただ、注意したいのはヴェゼルのガソリン車だ。
ガソリン車は、1グレードのみの設定である。世の中は、ハイブリッド中心にシフトしているため、ガソリン車のリセールバリューは、かなり不透明感がある。現状より、大きく下がる可能性があるので注意が必要だ。

より高いリセールバリューが期待できるグレードは、最上級グレードのe:HEV PLaYである。純正ナビ、マルチビューカメラ、プレミアムオーディオなどのオプションがついていると、より高値が付くと期待できる。

マツダCX-3のリセールバリューは、中古車流通量の少なさもあり高値を維持している。2016年式の中古車相場は、130~170万円程度になっている。新車から110~130万円位安くなっているイメージだ。初代ヴェゼルと比べると、少しリセールバリューが低いものの、高値傾向であることには間違いない。

注意ポイントは、CX-3がモデル末期である点だ。フルモデルチェンジすると、現行モデルのリセールバリューはグッと落ちる傾向にある。売却を検討しているのなら、新型CX-3が出る前が良い。

より高いリセールバリューが期待できるグレードは、ディーゼル車で最上級グレードのXD Lパッケージだ。特別仕様車のXDノーブルブラウンも高値が期待できる。
オプションでプラス査定が期待できるのは、360°ビューモニター、純正ナビ、ボーズサウンドシステムなどだろう。

9.まとめ・総合評価

誰にでもおすすめできるヴェゼル。やや、古さを感じるCX-3

ホンダ ヴェゼルは、初代ヴェゼルと同じプラットフォーム(車台)を使っているが、走行性能やデザインなど、ほとんど異なるクルマに仕上がっている。
走行性能やデザイン、車内空間など、隙がない仕上がりだ。売れるコンパクトSUVの要素を凝縮しており、クラストップレベルの総合バランスといえる。そのため、誰にでもおすすめできるモデルになっている。

マツダCX-3は、2015年デビューと設計がやや古い。何度も改良を加えたこともあり、熟成されているものの、さすがにハード面の古さは隠せなくなっている。
走行性能を重視するユーザーには満足度が高いものの、乗り心地や静粛性ではヴェゼルが勝る。居住性も同様だ。CX-3は、幅の広い人向けというよりは、マツダのデザインや走りが好き、というファン向けのモデルといえそうだ。

ヴェゼル CX-3
総合得点(40点満点) 29.5点 27.5点
1.燃費 4.0点 4.0点
2.価格 3.0点 3.5点
3.購入時の値引きしやすさ 3.0点 3.0点
4.デザイン 4.0点 4.0点
5.室内空間と使い勝手 4.0点 3.0点
6.安全装備 3.5点 3.0点
7.走行性能 4.0点 3.5点
8.リセールバリュー 4.0点 3.5点