ヴェゼル(RV系)vs RAV4(5代目の中古)徹底比較!

ヴェゼル(RV系)vs RAV4(5代目の中古)徹底比較!

ヴェゼルは「2024年上半期の登録車販売台数ランキング」でホンダ車として最も売れた車だ。全体ランキングも5位で、販売台数前年比は194%と絶好調。2024年上半期(1~6月)のSUV新車販売台数でも第1位に輝いている。

RV系ヴェゼルはハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載。クーペライクのスタイリッシュなスタイリングと、高出力・低燃費を両立した。さらに、豊富なシートアレンジと広い荷室など、優れたユーティリティが魅力だ。

 

RAV4はRV系ヴェゼルより、2クラス上のSUVだ。ワイルドなデザインと、優れた低燃費性能を持つ。そんな5代目RAV4だが、中古車なら新車RV系ヴェゼルの新車価格並みで手に入るようになってきている。

そこで、新車RV系ヴェゼルと中古車5代目RAV4の燃費性能、価格、機能、デザインを徹底比較した。

*両車共に画像はマイナーチェンジ前のモデル

デザインと低燃費で人気のヴェゼル

ホンダ RV系ヴェゼルの特徴

RV系ヴェゼルの全景

※上図:RV系ヴェゼルの全景

RV系ヴェゼル(2代目)は2021年4月のフルモデルチェンジを経て登場した。RV系ヴェゼルのコンセプトは、「AMP UP YOUR LIFE(アンプ アップ ユア ライフ)」。実用性だけでなく、「信頼」、「美しさ」、そして「気軽な愉しさ」という価値を提供することで、日々の生活をAMP UPさせるモデルを目指したと。

RV系ヴェセルは、先代モデルからホンダ独自のマン・マキシマム思想に基づく「センタータンクレイアウト」を踏襲。取り回しのしやすい、コンパクトなボディサイズや多彩なシートアレンジはそのままに、より力強く美しい外観のプロポーションへと進化させたのが特徴だ。そして、2024年4月にマイナーチェンジした。

 

RV系ヴェゼルが搭載しているパワートレインは2種類ある。1.5L直列4気筒ガソリンエンジン+CVTに加えて、e:HEVというホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムだ。

 

駆動方式

燃費性能

1.5L直列4気筒ガソリンエンジン+CVT

4WD

15.0km/L

e:HEV(2モーターハイブリッドシステム)

2WD、4WD

21.2~26.0km/L

安全装備では、最新の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を搭載。フロントワイドビューカメラと高速画像処理を採用した。マイナーチェンジ後の新機能として、アダプティブクルーズコントロールには渋滞追従機能付へと進化した。

他にも以下の3つの機能などを追加している。

  • 後方誤発進抑制機能
  • 近距離衝突軽減ブレーキ
  • オートハイビーム

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優れた悪路走破性と無骨なデザインのRAV4

トヨタ 5代目RAV4の特徴

5代目RAV4の全景

※上図:5代目RAV4の全景

5代目トヨタRAV4は、2019年に販売開始したミドルサイズSUVだ。開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4 Wheel Drive(SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WD)」とした。

プラットフォームには、ミドルサイズのFF(前輪駆動)用であるGA-Kを採用した。ボディ剛性を向上させつつ、SUVながら重心高を下げることに成功。背の高いSUV特有の、コーナリング時に発生する左右の揺れや、ブレーキ時などに発生する前後の揺れが抑えられている。

 

5代目トヨタRAV4に搭載されているパワートレインは3種類。

  • 2.0L直列4気筒ガソリンエンジン
  • 2.5Lガソリンエンジン+モーター(ハイブリッドシステム)
  • 2.5Lガソリンエンジン(プラグインハイブリッドシステム

パワートレインに合わせ、3種類の4WDシステムが用意されたのは特徴的だ。悪路走破性を高めるために新開発された「ダイナミックトルクベクタリングAWD」などがある。

 

RAV4の安全装備は、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備した。以下の機能などがパッケージ化され、ドライバーをサポートしてくれる。

  • プリクラッシュセーフティ(衝突軽減ブレーキ)
  • レーダークルーズコントロール(高速道路などで追従走行が可能)

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排気量・車重が大きいRAV4だが、4WD車の燃費差はヴェゼルと僅か

1.燃費性能

新車RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は4.5

 

RV系ホンダヴェゼルの燃費(WLTCモード)は下記の通り。

 

2WD

4WD

1.5Lガソリンエンジン 

-

15.0km/L

1.5Lエンジンハイブリッド

25.2~26.0km/L

21.2~21.5km/L

5代目トヨタRAV4の燃費は下記の通り。

 

2WD

4WD

2Lエンジン

15.8km/L

15.2km/L

2.5Lエンジンハイブリッド

21.4km/L

20.3~20.6km/L

2.5Lエンジンプラグインハイブリッド

-

22.2km/L

両車ともに、エンジンを横置きしたFF(前輪駆動)のレイアウトを採用している。

搭載しているパワートレインは以下の通りだ。

【RV系ヴェゼル】

  • 1.5Lガソリンエンジン
  • 1.5Lエンジンのハイブリッド

【5代目RAV4】

  • 2.0Lガソリンエンジン
  • 2.5Lエンジンのハイブリッド
  • 2.5Lエンジンのプラグインハイブリッド

ガソリン車の排気量差は0.5Lだが、ハイブリッド車のエンジン排気量は1Lだ。

【4WD車の燃費性能比較】

  • RV系ヴェゼル ガソリン4WD車…15.0km/L
  • 5代目RAV4 ガソリン車…15.2~15.8km/L

0.2km/Lほど5代目RAV4が上回っている(WLTCモード)。

【ハイブリッド車の燃費性能比較】

 

2WD燃費

4WD燃費

RV系ヴェゼル

25.2~26.0km/L

21.2~21.5km/L

5代目RAV4ハイブリッド

21.4km/L

20.3~20.6km/L

2WD車は燃費性能に差が付いているが、4WD車になると差はわずかになっているのが特徴だ。

 

【ボディサイズ比較】

  • RV系ヴェゼル…全長4,340mm×全幅1,790mm×全高1,580mm
  • 5代目RAV4 …全長4,600mm×全幅1,855mm×全高1,685mm

2代目ヴェゼルよりも5代目RAV4のほうが、全長+260mm、全幅+65mm、全高+105mm大きくなっている。

 

【車重比較】

 

ガソリン車

ハイブリッド車

RV系ヴェゼル

1,320kg

1,350~1,450kg

5代目RAV4ハイブリッド

1,500~1,630kg

1,620~1,700kg

2代目ヴェゼルの車重は、駆動方式の違いで70~80kg差が生じている。両車の車重を比較すると、5代目RAV4の方が300kg重い。

 

5代目RAV4は車両重量が重く、エンジンの排気量が大きい。それにも関わらず、燃費性能差を低く抑えており、素晴らしい。

予算400万円なら、PHEVにも手が届く中古RAV4

2.価格比較

新車RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は4.5

 

新車RV系ヴェゼルe:HEV上級グレードの新車価格と、中古車RAV4ハイブリッドの中古車相場は以下の通り。(中古車相場は2024年9月調べ)

  • 新車:RV系ヴェゼルe:HEV Z PLaYパッケージ 2WD…3,556,300円
  • 中古車:5代目RAV4ハイブリッド(2021年式)…290~380万円

RV系ヴェゼルの新車価格は、やや高めの設定だ。中古車であれば、2ランク上であるRAV4ハイブリッドの高年式モデルが十分に狙える価格帯である。

RAV4は2020年8月の改良では、以下の機能を全車に標準装備した。RAV4の中古車を狙うなら、この改良後モデルがお勧めだ。

  • ディスプレイオーディオ(スマートフォンとの連携が可能)
  • インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]

インテリジェントクリアランスソナーは、駐車場などでのアクセルとブレーキの踏み間違いやアクセルの踏み過ぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与する。

RV系ヴェゼルはコンパクトSUVなので、5代目RAV4と比べると装備は比較的簡素だが、グレードによる差が大きい。上級グレードのe:HEV Zならば、運転席&助手席のヒーター機能付きコンビシート、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートが標準装備されている。

 

対する5代目RAV4は、2020年8月の改良後モデルであれば、ややコストパフォーマンスに優れている印象だ。ディスプレイオーディオが標準装備されていたり、上級グレードにはパワーバックドアが標準装備となっていたりなど、利便性の高さも魅力だ。

安全装備は年式が新しいほど機能も充実するので仕方ないが、5代目トヨタRAV4は登場から5年が経過している今でも十分満足できる装備内容と言える。

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大幅値引きも期待できるヴェゼル

3.購入時の値引き術

RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は3.0

 

RV系ヴェゼルは、2021年4月にデビューし、2024年4月にマイナーチェンジを行っている。モデル中期から後期へという状況なので、そろそろ値引き額も大きくなってくる時期だ。値引きも好調なので、20万円を目標としたい。さらなる値引きとして、下取り車の査定アップやディーラーオプションのサービスなども引き出せると良いだろう。

 

ただし、何もしないと10万円位の値引きで終わってしまうので、しっかりとライバル車と競合させることが重要だ。同じクラスのヤリスクロスや、価格帯が違い1クラス上のカローラクロス、CX-30などの見積もりを取り先に取ってから商談するとよい。営業マンに「中途半端な値引きだと、ライバル車を買われてしまう」と危機感を持たせることが重要だ。

5代目RAV4は中古車での購入となるため、値引きは0だと考えたい。中古車店はギリギリの利益で商売をしているからだ。もし、容易に値引き提案があれば、その販売店の信用度は低いと考えたほうが良いだろう。また、「ローンじゃないと売れない、コーティングなど多数のオプションをセットにしないと売れない」などという店舗も要注意だ。

クーペスタイルと90年代のクロカンを彷彿させるデザイン

4.デザイン比較

RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車RAV4の評価は4.5

ヴェゼル:美しさだけでなく高効率なパッケージを生み出すクーペスタイルが特徴

RV系ヴェゼルの後景

※上図:RV系ヴェゼルの後景

RV系ヴェゼルは、力強さと美しさを描きながら、爽快感とゆとりを生む高効率パッケージを追求している。先代モデルよりフロントピラーを後退させることにより、ワイドな視野を確保した。

また、ボンネットフードからドアのショルダーラインへの流れを連続的にする中で、ドアミラーをドアのアウターパネルに装着した。その結果、ピラーとミラーの間に隙間が発生し、その隙間から歩行者などを確認しやすくするなどコーナー視界の視認性を向上させている。

さらにワイパーを隠し、視覚ノイズを無くすことで、抜け感のある爽快さと自車の状態を把握しやすい視界を実現した。

RV系ヴェゼルのフロントフェイス

※上図:RV系ヴェゼルのフロントフェイス

RV系ヴェゼルのフロントマスクの特徴は、ボディとの一体感を高めたインテグレーテッドグリルデザインにある。さらに、フロント周りの造形の押し出し感を増すことで、ホンダらしいスマートで愛着のある表情と存在感、そして精悍さを併せ持つ。

RV系ヴェゼルのリヤエンド

※上図:RV系ヴェゼルのリヤエンド

RV系ヴェゼルのリアビューは、テールゲートを傾斜させたデザインだ。コンパクトな開閉とアクセスのしやすさ、そしてパーソナルな外観を持つ。つなぎ目のないテールゲートパネル、美しいゲートカットライン、造形に溶け込みながらスッと手を出した位置に自然と触ることのできるゲートハンドルなど日々の使い勝手が考慮されている。機能デザインと、美しいプロポーションと高次元で両立させている。

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RAV4:逞しさを強調した直線的なデザイン

5代目RAV4の後景

※上図:5代目RAV4の後景

5代目RAV4の外観は、デザインコンセプトである「Adventure&Refined」に基づき、「アクティブで力強いワクドキ感(Adventure)」と「都会にも似合う洗練さ(Refined)」を併せ持つ。

その造形テーマとなったのが、幾何学形状の八角形(オクタゴン)2つを90度ずらしてはめ合わせた「クロスオクタゴン」だ。さらに外観の随所に多角形を織り込むことで、タフさと安定感のある個性的なデザインを表現している。

5代目RAV4のフロントフェイス

※上図:5代目RAV4のフロントフェイス

5代目RAV4の中で、最もオフロードイメージを象徴しているグレードが「アドベンチャー」だ。アドベンチャーは以下を装備している。

  • 力強い押し出し感を表現する専用のフロントグリル
  • シルバー加飾を施されたフロントスキッド・プレート
  • ボディのリフトアップ感を強める専用のフロントバンパー・フォグランプ

さらに、専用デザインの19インチアルミホイール、大型化したホイールアーチモールによって足回りの力強さを強調するなどRAV4のタフギア感を演出するオフロードイメージの強化を図っている。

5代目RAV4のリヤエンド

※上図:5代目RAV4のリヤエンド

5代目RAV4のリアビューは、バックドアガーニッシュと水平基調のリアコンビネーションランプによって、安定感とワイド感を強調した。リアクォーターガラスの拡大やリアドア後部のピラー断面を小さくし、斜め後方の視界を確保している。デザイン性と実用性を兼ね備えた。

 

スタイリッシュなクーペルックの2代目ホンダヴェゼルに対して、5代目トヨタRAV4は90年代に流行したクロカン4WDを彷彿させる無骨で直線的なスタイルが特徴だ。曲線を多用したスタイリッシュなSUVが多いなか、5代目トヨタRAV4は目新しく感じる。

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大きいのに取り回しの良いRAV4

5.室内空間と使い勝手

新車RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は5.0

 

新車RV系ヴェゼルと5代目RAV4のボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。

 

RV系ヴェゼル

全長×全幅×全高

4,340mm×1,790mm×1,580mm(一部1,590mm)

ホイールベース

2,610mm

室内長×室内幅×室内高

2,020mm×1,445mm×1,225mm(一部1,240mm)

荷室容量

404L(後席利用時)

 

5代目RAV4

全長×全幅×全高

 4,600mm(一部4,610mm)×1,855mm(一部1,865mm)×1,685mm(一部1,690mm)

ホイールベース

2,690mm

室内長×室内幅×室内高

1,890mm×1,515mm×1,230mm

荷室容量

542L(後席利用時・デッキボード上段時)、
580L(後席利用時・デッキボード下段時)

両車を比較すると、全長、全幅、全高のすべてにおいて5代目トヨタRAV4が上回っている。特に全長とホイールベースの差が大きいため、リアシートの居住性に加えて、ラゲッジスペースの容量で大きく上回っている。

RV系ヴェゼルの運転席

※上図:RV系ヴェゼルの運転席

RV系ヴェゼルの後席

※上図:RV系ヴェゼルの後席

RV系ヴェゼルの荷室

※上図:RV系ヴェゼルの荷室

5人乗車時のラゲッジ容量を比べると、RV系ヴェゼルは404Lとクラストップレベルの容量を誇っている。だが5代目RAV4は542Lとボディサイズの大きさを活かし、ヴェゼルの容量を大きく上回っている。

5代目RAV4の運転席

※上図:5代目RAV4の運転席

5代目RAV4の後席

※上図:5代目RAV4の後席

5代目RAV4の荷室

※上図:5代目RAV4の荷室

さらに、ボディサイズの大きい5代目RAV4のリアシートを畳めばラゲッジスペースは拡大する。長尺物やキャンプ道具などの大きなモノを積む際には、圧倒的な利便性を誇る。

 

ボディサイズが大きい5代目RAV4だが、取り回しの良さの目安となる最小回転半径は5.5~5.7m。対して16/18インチという大径タイヤを装着している2代目ホンダヴェゼルの最小回転半径は5.3/5.5m。ボディサイズを考えると、5代目RAV4の数値は立派だ。

使い勝手や室内空間という点では、やはりボディサイズの大きいRAV4が圧倒的に優位と言える。

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一部改良後のRAV4ならば、ヴェゼルを上回る運転支援機能

6.安全装備&運転支援機能の比較

新車RV系ヴェゼルの評価は4.5

中古車5代目RAV4の評価は4.5

RV系ヴェゼルのインパネデザイン

※上図:RV系ヴェゼルのインパネデザイン

RV系ヴェゼルは、最新の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を搭載している。フロントワイドビューカメラと高速画像処理が採用された上、新機能も3つ追加されている。

  • 進化:アダプティブクルーズコントロールが渋滞追従機能付に
  • 追加:後方誤発進抑制機能
  • 追加:近距離衝突軽減ブレーキ
  • 追加:オートハイビーム

RV系ヴェゼルのメーター

※上図:RV系ヴェゼルのメーター

2024年に実施したマイナーチェンジでは、以下の機能が向上・追加された。

【機能向上】

  • 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
  • 路外逸脱抑制機能
  • 渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
  • 車線維持支援システム(LKAS)

【機能追加】

  • トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
  • 急アクセル抑制機能
  • アダプティブドライビングビーム

5代目RAV4のインパネデザイン

※上図:5代目RAV4のインパネデザイン

5代目RAV4は、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全グレードで標準装備している。衝突軽減ブレーキであるプリクラッシュセーフティや、高速道路などで追従走行が可能なレーダークルーズコントロールなど6種類の機能がパッケージ化された装備だ。

5代目RAV4のメーター

※上図:5代目RAV4のメーター

2023年の一部改良では、Toyota Safety Senseの機能を拡大している。プリクラッシュセーフティには、交差点右折時の対向直進車、および右左折時の対向方向から横断してくる歩行者を検知する機能を追加した。また、デジタルインナーミラーには録画機能が採用された。

 

ADASという運転支援機能は日々進化しているが、2023年の一部改良後の5代目RAV4ならば、2代目ホンダヴェゼルを上回る機能もある。

シーンを選ばず高い走行性能のRAV4

7.走行性能の比較

新車RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は4.5

ヴェゼル:e:HEV 2WD車は、改良によりフラットな乗り心地を実現

RV系ヴェゼルのエンジンルーム

※上図:RV系ヴェゼルのエンジンルーム

RV系ヴェゼルはという2つのパワートレインを用意した。2モーターハイブリッドシステムのe:HEV(イーエイチイーブイ)と1.5L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンだ。人気が高いのはe:HEVである。

2024年のマイナーチェンジでは、e:HEVのエネルギーマネージメント制御の見直しを行い、エンジン始動回数、停止頻度を大幅に低減させた。同時にアクセルレスポンスも向上させている。

また、ダッシュボード、ルーフ、フロアの各遮音材と防音材の厚み、配置を最適化することで、エンジン始動音やロードノイズを低減させ静粛性をより高め、さらに上質で快適な移動空間を実現している。

そしてe:HEVモデルのFF車は、ダンパー減衰力をより緻密に見直すことで、フラットで無駄のない動きを追求し、より快適な乗り心地を実現している。

 

マイナーチェンジ前のモデルと比べると、ハンドリング性能と静粛性の向上が見られた。ハンドリングの性能では、ワインディングを走行しても自分のラインを思い通りにトレースすることができる。

 

また、ブレーキやハンドル操作による荷重移動が発生してもクルマのピッチングやロールは抑えている。運転しやすいだけでなく、すべての乗員に安心感を提供することが可能だ。

静粛性については、どんな走行シーンにおいても、モーターのみで走行するEV走行の領域が従来モデルから増えたように感じた。

RAV4:SUVとは思えないほどの低重心による走行安定性は抜群

5代目RAV4のエンジンルーム

※上図:5代目RAV4のエンジンルーム

5代目RAV4は、3種類のパワートレインを用意している。2.0Lガソリン、2.5L直4エンジンハイブリッドそして2.5L直4エンジンプラグインハイブリッドだ。ここでは、RV系ヴェゼルと比較するため、2.5L直4エンジンハイブリッドに絞って走行性能を紹介する。

 

5代目RAV4は高剛性・低重心のGA-Kプラットフォームを採用した。結果、背の高いSUV特有の揺れが、国産SUVの中では非常に良く抑えられている。例えばコーナリング時に発生する左右の揺れや、ブレーキ時などに発生する前後の揺れはかなり収まっている。その結果、ドライバーだけでなく、乗員すべてに安心・安全を提供し、非常に疲れにくいのが特徴だ。

 

5代目RAV4の2.5Lハイブリッドシステムは、静粛性の高さとスムーズな加速が最大のポイントと言える。発進時はモーターが駆動し、その後エンジンで走行する。切り替わるタイミング時に起こる振動や騒音はほとんどなく、いつ切り替わったのかはエネルギーモニターを見ていないとわからないほどだ。

 

E-Fourという電気式4WDとのマッチングも良い。急な雨などで路面状況が変化しても走行安定性の高さはほとんど変わらない。また、ドライブモードセレクトをスポーツに切り替えると、メーターパネルの表示も赤に変わるだけでなく、エンジンとモーターを積極的に使用した鋭い加速を実現し、スポーティな走りを味わうことができる(ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツから選択可能)。

 

5代目RAV4のサスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式だ。様々な電子デバイスによって、ドライバーが思ったとおりのラインを狙って走行できることができる。

同じSUVだが、オンロード志向の強いヴェゼルとオールラウンダーのRAV4

RV系ヴェゼルと5代目RAV4は、搭載するハイブリッドシステムの排気量やサスペンション形式が異なっている。しかも同じSUVながら、ヴェゼルとRAV4の方向性は全く異なるモデルだ。

RV系ヴェゼルは4WD車も設定されているが、基本的には街乗り中心の都心向けSUVだ。オフロードの走破性に大きく影響する最低地上高は、170/180mm(ハイブリッド4WD)。対する5代目RAV4の最低地上高は190/195mm(ハイブリッド4WD)。5代目RAV4がやや優位な数値となっている。

RAV4の2.0アドベンチャーのリセールバリューは驚異的

8.リセールバリュー比較

新車RV系ヴェゼルの評価は4.0

中古車5代目RAV4の評価は4.5

 

  • RV系ヴェゼルe:HEV新車価格:約289~378万円
  • RV系ヴェゼルe:HEV中古車相場(2021年式):約250~290万円
  • 5代目RAV4ハイブリッド新車価格(2021年当時):約334~403万円
  • 5代目RAV4ハイブリッド中古車相場(2021年式):約330~370万円

*中古車相場は2024年9月調べ

高年式(2021年式)で比較すると、両車共に非常に高いリセールバリューを持つ。SUVは人気カテゴリーで高いリセールバリューになるケースが多いが、その中でもこの2車種は高いレベルにある。どちらの車種も短期の乗り換えであれば、この高リセールバリューは大きなメリットと言える。

より高いリセールバリューが期待できるグレードは、RV系ヴェゼルならe:HEV Zやe:HEV Z PLaYパッケージだ。メーカーオプションであるマルチビューカメラやプレミアムオーディオなどがあると、プラス査定が期待できる。

5代目RAV4では、ハイブリッドアドベンチャーやハイブリッドGなどが、高リセールバリューが期待できる。

リセールバリューという点では、5代目RAV4がやや優位となっている。「トヨタブランドのSUV」である強さだろう。

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駐車スペースがあるなら5代目RAV4がオススメ

9.まとめ・総合評価

RVヴェゼルの登場は2021年、対する5代目RAV4は2019年なので、約2年の差がある。この2年の違いは、日進月歩の進化を続ける運転支援技術やコネクテッドといった面で差が付きやすい。

しかし、5代目RAV4は毎年のように一部改良を実施し、アップデートしている。2024年にマイナーチェンジした2代目ホンダヴェゼルと比較すると、運転支援技術やコネクテッドの差はほとんどない。5代目RAV4の中古車であれば、予算もあるがなるべく年式が新しい改良後のモデルがお勧めだ。

 

また、RV系ヴェゼルと5代目RAV4とでは、ボディサイズが異なる。狭い駐車場や狭い道で頻繁に使うのであれば、使い勝手はRV系ヴェゼルが上回る。ボディサイズが車種選択の条件になっていないのであれば、ボディサイズが大きい5代目RAV4が優位と言える。荷物の積載性だけでなく、余裕ある走りという面でも5代目RAV4は魅力的だ。リセールバリューを鑑みても、5代目RAV4が良いだろう。

5代目RAV4でネガな要素となるのは、年式だ。新車RV系ヴェゼルの新車価格と比べると、中古車5代目RAV4だと、どうしても3年落ちくらいの年式になってしまう。こうしたデメリットと、前述した中古車5代目RAV4のメリットをしっかりと比べることが大切だ。自分がクルマに求めているものは何かが明確になれば、賢い買い物ができるはずだ。

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ヴェゼル

RAV4

総合得点(40点満点)

32.5

35.0

1.燃費

4.0

4.5

2.価格

4.0

4.5

3.購入時の値引きしやすさ

4.0

3.0

4.デザイン

4.0

4.5

5.室内空間と使い勝手

4.0

5.0

6.安全装備

4.5

4.5

7.走行性能

4.0

4.5

8.リセールバリュー

4.0

4.5

ヴェゼルとRAV4の価格

ホンダ RV系ヴェゼル価格

  • 1.55G 4WD:264万8800円
  • e:HEV Z・PLaYパッケージ4WD:377万6300円

トヨタ 5代目RAV4価格

  • 2.0X 2WD:293万8000円
  • ハイブリッドG:430万4000円

ヴェゼルとRAV4のスペック

ホンダ RV系ヴェゼルスペック

代表グレード

e:HEV Z 2WD

全長×全幅×全高

4,340mm×1,790mm×1,790mm

ホイールベース

2,610mm

最低地上高

195mm

車両重量

1,380kg

エンジン型式

LEC

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量

1,496cc

最高出力

106ps(78kw)/6,000〜6,400rpm

最大トルク

127N・m(13.0kgm)/4,500~5,000rpm

モーター型式

H5

モーター最高出力

131ps(96kw)

モーター最大トルク

253N・m(25.8kgm)

燃費(WLTCモード)

25.3km/L

駆動方式

前輪輪駆動(2WD)

トランスミッション

CVT

サスペンション型式

前:ストラット式 後:車軸式

タイヤサイズ前後

225/50R18

最小回転半径

5.5m

トヨタ 5代目RAV4スペック

代表グレード

ハイブリッドアドベンチャー4WD

全長×全幅×全高

4,610mm×1,865mm×1,690mm

ホイールベース

2,690mm

最低地上高

195mm

車両重量

1,700kg

エンジン型式

A25A-FXS

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量

2,487cc

最高出力

178ps(131kw)/5,700rpm

最大トルク

221N・m(22.5kgm)/3,600~5,200rpm

フロントモーター型式

3NM

フロントモーター最高出力

120ps(88kw)

フロントモーター最大トルク

202N・m(20.6kgm)

リアモーター型式

4NM

リアモーター最高出力

54ps(40kw)

リアモーター最大トルク

121N・m(12.3kgm)

燃費(WLTCモード)

20.3km/L

駆動方式

四輪駆動(4WD)

トランスミッション

CVT

サスペンション型式

前:ストラット式 後:ダブルウィッシュボーン式

タイヤサイズ 前後

235/55R19

最小回転半径

5.7m

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員