この記事の目次 CONTENTS
ヘッドライト交換は主に2種類
ヘッドライト交換・バルブ交換費用の相場
ヘッドライトの種類と特徴
メーカー保証なら無料で交換可能
バルブ交換だけなら自分でもできる
まとめ

ライター紹介

現役整備士車専門Webライター

太田 りく 氏

所有資格は整備士3級。得意な記事は車の構造やメンテナンス関連。趣味はドライブ。車が好きだったため、車とは関係のない職場から整備工場へ転職。現在は働きながら2級を目指して奮闘中。現場でのリアルな情報を読者の方にお伝えできるよう心がけていきます。

クルマの運転中、特に夜間や霧の中での走行中にヘッドライトが点かなくなると、周囲が見えにくくなり危険です。
ヘッドライトは急に点灯しなくなるため、寿命を迎える前に交換することが大切です。
そこで今回はヘッドライト交換の時期や種類、どこで交換可能かなどを解説します。

ヘッドライト交換は主に2種類

ヘッドライトの交換は、主に下記の2種類に分けられます。

①バルブ交換

ヘッドライトの中に入っているバルブ(電球)のみを交換する方法です。
ほとんどの場合、バルブ交換で解決します。
例えば、片方のヘッドライトがつかなくなった、または、ついたりつかなかったりする、という場合は、バルブが寿命を迎えている可能性が高いのです。

②ヘッドライト自体の交換

ヘッドライトごとクルマから取り外し、新しいヘッドライトを取り付ける方法です。
事故などでヘッドライトを損傷し、点灯しなくなった場合などはこの方法で交換します。

ヘッドライトにLEDを埋め込んだ「LEDヘッドライト」が純正で装備されているクルマの場合も、ヘッドライトごと交換します。
LEDヘッドライトは、ヘッドライト自体にLEDを埋め込んでいるので、バルブだけ交換することができないためです。

まずは自分のクルマにどんなヘッドライトが付いているかを確認してみましょう。

ヘッドライト交換・バルブ交換費用の相場

ヘッドライトの交換を行っている業者と、それぞれの相場を表にまとめました。

  ヘッドライト自体の交換 バルブ交換
ディーラー 約50,000円~ 約4,000円~
整備工場 約20,000円~ 約2,500円~
ガソリンスタンド 約25,000円~ 約2,500円~
カー用品店 約25,000円~ 約2,000円~

金額の上限を設定していない理由は、ヘッドライトやバルブの種類により、大きく金額が変わってくるからです。
例えば、高級輸入車のLEDヘッドライトとなると、部品だけで60万円~70万円もする場合があります。
実際の金額は最寄りの店舗に問い合わせをし、必ず確認をするようにしましょう。

交換費用の相場は、ディーラー以外はほとんど変わりません。

ディーラーの費用が高めなのは、基本的に純正品の新品パーツを使用するからです。
加えて交換後に「光軸調整」という作業がセットになっている場合が多く、ヘッドライトが正常な場所や範囲を照らせるように調整してくれます。
ディーラーで交換すると、費用は高めですが、しっかり整備をしてくれる安心感があります。

その他の業者では、純正同等の社外品を使用することが多く、金額が抑えられます。
また、社外品はたくさんの種類があります。
「光をもっと白っぽくしたい」など、好みのものに変更したい場合は、品揃えの多いカー用品店がオススメです。

ヘッドライト自体を交換する場合、整備工場では中古品を探してくれることもあります。
中古品だと金額も安く抑えることができます。

各業者にそれぞれ特徴があるので、自分の目的に合った業者を選ぶようにしましょう。

ヘッドライトの種類と特徴

ヘッドライトには以下の3種類があります。

  • ハロゲン
  • HID
  • LED

ハロゲンとHIDであれば、バルブ交換が可能です。
LEDの場合、ヘッドライトにLEDが埋め込まれているとバルブ交換はできないため、ヘッドライトごと交換することになります。
ヘッドライトの種類をあらかじめ確認しておきましょう。

  ハロゲン HID LED
値段 ◎(安い)
寿命
発熱量
ハイビーム向きか

ハロゲン

ハロゲンライト

ハロゲンは、電球内に封入された不活性ガスと、ハロゲンガスを通電したフィラメントと呼ばれる電熱線の熱によって発光させます。
家で使うような白熱電球にハロゲンガスをプラスして、より明るくしたものというとイメージしやすいかもしません。
熱を多く発するので、積雪地帯では雪を溶かし、ヘッドライトに雪が付きにくくすることができます。
また、光は黄色っぽい電球色が主流なので、雨天時の視認性も良好です。
バルブの中では1番安価です。

HID

HID

HIDは、キセノンガスを封入したガラス管の中で電極間の放電を行って、発光させます。
2021年現在、各メーカーが主流で使っており、構造は蛍光灯と同様です。
ヘッドライトの3種類の中で最も明るく、ハロゲンよりも長寿命というメリットを持ちます。
スイッチを入れてから安定するまでにタイムラグがあるため、ハイビームには向いていません。

ハロゲンバルブ装着車をHIDに変える場合、HIDバルブの他に、バラストやイグナイターという部品が必要になります。
バルブ交換のみでは点灯しないので注意しましょう。
もともとHIDが装着されていれば、バルブの交換も可能です。

LED

LED

最近、主流となりつつあるのがLEDです。
LEDは、日本語で「発光ダイオード」と呼ばれ、電気により発光する半導体を使用しています。
明るさはHIDに劣りますが、圧倒的な省電力、長寿命を誇ります。
また、HIDのように光が安定するまでのタイムラグがなく、瞬時に最大光量となるため、ハイビームにも使用できます。
そして、小型で発熱量も少ないため、ヘッドライトデザインの自由度も高く、最近では標準装備でLEDヘッドライトを採用しているメーカーも増えています。

ハロゲン装着車は、「LEDバルブ」というものがあるので、LEDヘッドライトに変更することは可能です。
HIDに変更するより、比較的簡単にできます。
しかし、LED埋め込みのヘッドライトは、ハロゲンやHIDに変更ができませんので、注意しましょう。

メーカー保証なら無料で交換可能

もし新車であったり、ヘッドライトを交換したばかりなのに点灯しない場合は、メーカー保証にて無料で交換することが可能です。

新車の場合は「新車登録後3年間、もしくは走行6万Km以内のいずれか早い方まで」となっています。
基本的に、各メーカーとも一般保証ではこの条件となります。
ただし、電球類は消耗品ですので、バルブ不良の場合は保証対象外になる可能性もあります。
また、定期点検を受けていないことにより、新車保証を使えない場合もあるので注意が必要です。

バルブ交換をした場合は、「購入日より1年間」としているメーカーがほとんどでしょう。
ただし、商用車やタクシーなど比較的ライトの使用頻度が高いクルマに取り付けた場合は、保証対象外となることも多いようです。

初期不良でヘッドライトが点灯しない場合は、保証で交換できる可能性が高いので、1度販売店へ問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

バルブ交換だけなら自分でもできる

ヘッドライト自体の交換は少し難易度が高いですが、バルブ交換のみならDIYでも可能です。
今回はハロゲンバルブを交換する際の、注意事項と交換手順をご紹介します。

DIYでバルブ交換する際の注意点

DIYで交換する際の注意点は2つあります。

①クルマ(ヘッドライト)の使用直後に交換しない

ハロゲンやHIDのバルブは、使用直後は高温になっているため、触ると非常に危険です。
また、エンジンルーム内も非常に高温になっています。
作業中に思わぬところに触れてしまい、やけどをする恐れがあります。
作業をする際は、十分にエンジンが冷えてから行うようにしましょう。

②バルブを素手で触らない

ガラスの部分を素手で触ると、手の油分がガラスに付着してしまいます。
そのまま使用すると、油分が付着しているところに熱が集中し、最悪の場合ガラスが割れてしまいます。
ヘッドライトの内部で割れると、破片を取り出すのも非常に困難です。
作業の際は、滑り止めの付いたゴム手袋などを使用するようにしましょう。

DIYでバルブ交換する際の手順

  1. エンジンを停止させておきます。
  2. ヘッドライトのスイッチがオフであることを確認します。
  3. ボンネットを開けます。
  4. バッテリーの端子を外します。(感電する恐れがなくなります)
  5. コネクターを引き抜きます。(ヘッドライト裏側の、ゴムカバーに刺さっています)
  6. ゴムカバーを手でめくるように引っ張り、取り外します。
  7. 留め金具の突起を押しこみます。(バルブを固定している、針金のようなパーツです)
  8. 7.を内側にずらし、古いバルブを取り外します。
  9. 新しいバルブを、古いバルブがあった位置に設置します。(7→6を逆順に行います)
  10. ゴムカバーを元の位置に取り付けます
  11. コネクターを元の位置に取り付けます。
  12. バッテリーの端子を接続します。
  13. ボンネットを閉めます。
  14. エンジンをかけ、ヘッドライトが点くか確認します。
  15. 交換完了です!

基本的に工具は不要ですが、車種によっては、ヘッドライトの裏側にどうしても手が入らないこともあります。
その場合は、邪魔になっている部品を取り外す工具を用意しなければなりません。

もしこの手順を読んで「難しそうだな…」と感じた場合は、無理せず業者に頼むことをおすすめします。

まとめ

最近のクルマは、電灯関係をLEDにしていることも多く、バルブも品質が向上しています。
そのため、ヘッドライトが点灯不良を起こすことも少なくなっています。
しかし、電灯関係はいつ寿命がくるかわかりません。
夜中に乗車している際、突発的にヘッドライトが点灯しなくなることもあり得るのです。
リスクを避けるためにも、ヘッドライト交換時期の目安を守りましょう。
バルブ交換ならDIYでも可能ですが、少しでも不安な場合は業者に依頼することをおすすめします。