レクサスLS vs メルセデス・ベンツSクラス 最新ラグジュアリーセダン対決

自動車ニュース / ガリバー

2021.5.26

レクサスLS vs メルセデス・ベンツSクラス 最新ラグジュアリーセダン対決

※本記事内に安全装備への言及がありますが、安全装備には作動条件や限界があります。機能を過信せず、安全運転を心がけましょう。

レクサスLS vs ベンツSクラス

高級セダンには、美しいフォルム、ラグジュアリーなインテリア、最新テクノロジーなど、魅力的な要素が詰まっている。
今回はレクサスLSとメルセデス・ベンツSクラスを徹底比較。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などを比較・評価した。

この記事の目次 CONTENTS
レクサスLSの特徴
メルセデス・ベンツSクラスの特徴
1.燃費比較
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

レクサスLSの特徴

レクサス LS レクサス LS

5代目レクサスLSは、2017年に登場した。
2006年に先代LSが登場して以降、約11年ぶりのフルモデルチェンジとなった。

5代目LSは最新のプラットフォーム(車台)のGA-Lが採用され、飛躍的に運動性能を高めている。
パワーユニットもダウンサイジングし、ガソリンエンジンはV8 4.6LからV6 3.5Lツインターボへと進化した。
ハイブリッドは、V8 5.0LからV6 3.5Lに変更されている。
デザインも流麗で、クーペ風のルーフラインをもつスタイリッシュになった。
スピンドルグリルもより洗練され、高級感と迫力あるフロントフェイスになっている。

メルセデス・ベンツSクラスの特徴

メルセデス・ベンツ Sクラス メルセデス・ベンツ Sクラス

7代目メルセデス・ベンツSクラスは、2021年1月に約8年ぶりのフルモデルチェンジをした。
メルセデス・ベンツのフラッグシップセダンとしての価値を高めるため、以下の項目などを含めた「現代に求められるラグジュアリー」を再定義し、開発された。

  • センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)を追求したデザイン
  • 人間中心の最新技術
  • 安全性の更なる追求

世界初のフロントウィンドウに投影可能なAR(拡張現実)ナビゲーションなどを搭載している。
先進テクノロジーと、古典的なテクノロジーを併せ持ったモデルだ。

今回の日本に導入されたSクラスは、全車4輪駆動システム「4MATIC」のみだ。
パワーユニットは、3.0L直6ディーゼルターボとガソリンターボの2タイプが用意されている。

1.燃費比較

LSの評価は3.5
Sクラスの評価4.0

燃料費の経済性では、ハイブリッド車が負けた?

【レクサスLSの燃費】

車種 燃費(FR、WLTCモード) 燃費(AWD、WLTCモード)
LS500h(3.5Lハイブリッド) 13.6km/L 12.6km/L
LS500(3.5Lガソリンターボ) 10.2km/L 9.5km/L

【メルセデス・ベンツSクラスの燃費】

車種 燃費(AWD、WLTCモード) 燃費(AWDロングボディ、WLTCモード)
S400d系(3.0Lディーゼルターボ) 12.5km/L 12.4km/L
S500系(3.0Lガソリンターボ) 11.2km/L 11.0km/L

レクサスLSのハイブリッド車である500hは、ガソリン車に対して30%以上よい燃費になっている。
メルセデス・ベンツSクラスと比べても、優れた燃費値だ。

ガソリン車比較では、LS500の3.5Lターボに対して、S500は3.0Lターボだ。
S500のほうが排気量が小さく、より良い燃費値となっている。
この燃費値を支えている技術のひとつが、マイルドハイブリッドシステムだ。
48VのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と呼ばれている。
S500の排気量はLS500よりも50cc少なく抑えている。
さらに最高出力は435psだ。LS500と比べて13pSほど出力が大きい。
ガソリン車の燃費効率は、S500が優れている。

燃料経済性では、S400dも目を見張るものがある。
LS500h AWDの燃費は12.6km/Lなのに対して、S400dは12.5km/Lだ。
燃費値では互角である。
しかし燃料が違うため、燃料費は大きな差になる。
LS500hはハイオクガソリン、S400dは軽油を使っている。
燃料費は、約30円/Lも異なるのだ。
燃費値は互角でも、燃料費で大きな差が付くため、S400dの方が優れている。

2.価格比較

LSの評価は3.0
Sクラスの評価3.0

高額オプションが多数あるSクラス

【レクサスLSの価格】

  • LS500h 12,190,000~17,940,000円
  • LS500 10,730,000~15,800,000円

【メルセデス・ベンツSクラスの価格】

  1. S400d 12,930,000円/ 16,780,000円(ロング)
  2. S500  13,750,000円/ 17,240,000円(ロング)

このクラスのモデルは、オプションも豊富で高価なため、価格表だけではなかなか判断しにくい。
高額な先進装備はそれぞれ異なるものが装備されているため、よく確認する必要がある。

ただ、Sクラスに関しては、価格表に掲載されている価格では装備が物足りなく、高額なパッケージオプションを選択する必要になる。
例えば、S400dにスポーティな内外装となるオプションのAMGラインを選択すると、約100万円アップの1,400万円程度になる。
ほぼLS500h Fスポーツと同等の価格帯だ。

他にもLS500hF スポーツでは前席シートヒーターやベンチレーション機能などが標準装備されている。
しかしS400dではパッケージオプションで、追加価格は70万円だ。
こうなると、他のグレードも含め細かい差があるものの、若干LSの方が安価傾向にあるといえるだろう。

3.購入時の値引き術

LSの評価は2.0
Sクラスの評価3.0

レクサスは値引きの期待ができない

レクサスは、基本的に値引きゼロ戦略をとっている。
フラッグシップセダンのLSであれば、ほぼ値引きゼロだろう。
ただ、レクサス店の場合、レクサス車からレクサス車へ買い替えの場合、下取り価格が非常に高額になるケースが多い。
これは、値引きがゼロベースなので、他車へ取られないための対策でもある。
もし、下取り車がレクサス車の場合、値引きゼロでも下取り価格をさらに高値で引き取ってもらえないか交渉するのもありだ。

レクサス車からの買い替えでない場合は、なかなか厳しい。
SクラスやBMW7シリーズなどと競合させて、数万円でも値引きを引きだすように商談したい。
また、値引きは無理でも、ディーラーオプションなどを無料でサービスしてもらえるように交渉するのもよい。

メルセデス・ベンツSクラスも値引きゼロベースかと思うかもしれない。
だが、むしろメルセデス・ベンツの方が値引きしてくれる可能性が高いのだ。
輸入車は数か月かけて輸送されてくるため、色々なグレードや仕様を見込みで発注し日本に輸入する。
日本メーカーのように、ほぼ受注生産のようなカタチとは大きく異なり、輸入車はどうしても在庫車が発生してしまうのだ。
また、年末や決算期の場合、とくに長期在庫などは値引きしてでも販売したいと考える。
こうした状況は買い手に有利だ。
フラッグシップセダンのSクラスでも「在庫車であれば、大幅値引きします」などともちかけてくる。
LSや7シリーズとしっかりと競合させれば、大幅値引きに加えさらなる値引きが加わる可能性が高くなる。
ただし、現行のSクラスは、2021年に発売されたばかりである。
しばらくの間は、値引きゼロベースが続く。
2022年以降は、値引きが始まるだろう。

4.デザイン比較

LSの評価は4.0
Sクラスの評価4.0

まったく異なる方向性でデザインされたLSとSクラス

LSの外観 LSの外観

レクサスLSのデザインは、“Sensual Aggressive” をキーワードとしている。
「セクシーな魅力を放つスポーティさ」と「ブランドを代表するに相応しい迫力のある存在感」の両立を目指した。
全高を先代モデルから15mm下げ、クーペ風の流麗なルーフラインを実現している。
よりワイド&ローなフォルムが強調され、低重心でスポーティな走りを期待させるシルエットとなっている。

LSのフロントフェイス LSのフロントフェイス

レクサス車のデザインアイコンとなっているスピンドルグリルは、高級車らしさをアピールしている。
迫力だけでなく、精緻でまるでアートなようなメッシュデザインが組み合わされている。
複雑なラインと彫りの深いヘッドライトまわりの造形も魅力的だ。

LSのリヤエンド LSのリヤエンド

リヤまわりは、以下を含む複雑で多くの要素を上手くまとめている。

  • 滑らかで緩やかに傾斜したCピラーのライン
  • やや張り出したフェンダーライン
  • サイドまで大きく回り込んだリヤコンビネーションランプ

低重心で、安定したリヤビューに仕上がっている。

Sクラスの外観 Sクラスの外観

メルセデス・ベンツSクラスは、センシュアルピュリティ(官能的純粋)基本思想に基づきデザインされた。
複雑なラインを巧みにまとめたLSとは異なり、ラインやエッジを大幅に削減した。
曲線を描く彫刻的な面が特殊な陰影を生み出し、独自の存在感を放っている。

Sクラスのフロントフェイス Sクラスのフロントフェイス

ヘッドライトは、Sクラスならではの3点が光るデイタイムドライビングライトを装備。
先代より上下方向に薄く、全体に少し小さく、エッジの効いたデザインとなった。
サイドビューは、LSと同様に流れるようなルーフラインをもち、滑らかなCピラーへと続く。
こうしたクーペ風のルーフデザインは、セダンのトレンドデザインとなっている。

Sクラスのリヤエンド Sクラスのリヤエンド

リヤビューは、三角形で横に長い特徴的なデザインの2分割型のリヤコンビネーションランプを採用した。
夜間でも、ひと目でSクラスと分かるデザインだ。
このリヤコンビネーションランプの上部に入ったクロームラインは、ボディをよりワイドに見せる効果があり、安定感のあるフォルムに見せている。

Sクラスはデザインでも低燃費化を施し、世界最高水準のエアロダイナミクス性能となった。
空気抵抗を大幅に減らしたことでt、Cd値は最小で0.22という数値を誇る。

LSとSクラスのデザインを比べると、随分方向性が異なるように感じる。
LSは複雑なラインをいくつも組み合わせ、コッテリとしたエッジの効きたデザインにまとめている。
対するSクラスは、できるだけシンプルに無駄を削ぎ落した滑らかなデザインだ。
どちらのクルマがいいかは、好みによって大きく分かれるだろう。
ただ、Sクラスは従来モデルのように押出し感や迫力に欠けているようにも見える。
迫力を求めるメルセデス・ベンツオーナーならば、やや物足りないかもしれない。

5.室内空間と使い勝手

LSの評価は 4.0
Sクラスの評価 4.5

SクラスのARヘッドアップディスプレイは安全性、使い勝手に優れる

車種 全長 ホイールベース
レクサスLS 5,235mm 3,125mm
メルセデス・ベンツSクラス 5,180mm 3,105mm
メルセデス・ベンツSクラス ロング 5,290mm 3,215mm

LSはSクラスとSクラスロングとの中間サイズだ。
LSをベースとすると、後席の広さはSクラスでは若干狭く、Sクラスロングはやや広い。
LSの後席は、やや頭上や横部分がタイトに感じた。

LSの運転席 LSの運転席
LSの後席 LSの後席
LSの荷室 LSの荷室
Sクラスの運転席 Sクラスの運転席
Sクラスの後席 Sクラスの後席
Sクラスの荷室 Sクラスの荷室

LSのインテリアデザインは、流れるような繊細なレジスターが印象的なインストルメントパネルをもつ。
全体的に分かりやすいギラギラしたラグジュアリー感がある。
日本の美意識とレクサスの思想の融合し工芸品のような精緻な造り込みは、ドキドキするような高揚感を与えてくれる。

LSのインパネ LSのインパネ

Sクラスは、最新の「ラグジュアリー」を再定義したという。
ある意味チャレンジともいえる手法で、従来の古典的なデザインとデジタルアイテムを上手く調和させている。
このデザインはLSとは方向性が異なるため、好みが分かれるところだ。

Sクラスのインパネ Sクラスのインパネ

Sクラスのインパネデザインは、デジタルアイテムが必要以上に存在感を主張することなくシックにまとめられている。
外観デザイン同様、インテリアデザインも両車で目指す方向が異なる。
落ち着いた雰囲気が好みならSクラス、ギラギラ感が強く分かりやすいラグジュアリーさを求めるのならLSがおすすめだ。

LSのメーター LSのメーター
Sクラスのメーター Sクラスのメーター

LS、Sクラス共に、タッチパネルを使った操作系をもつ。
右ハンドルで、右利きだと、利き手とは逆の左手でタッチパネルを操作することになる。
一般的に多くの人が使いにくいと感じるだろう。
Sクラスでは、エアコンなど使用頻度の高い操作系もタッチパネルで操作する。
こうした使用頻度の高い操作系は、ダイヤル式などの方が使いやすい。
なおタッチパネルが使いにくい場合、音声操作も可能だ。

Sクラスには、最新のデジタル技術が搭載されている。
3DコックピットディスプレイやARヘッドアップディスプレイ、ARナビゲーションは先進性を感じさせる。
世界初となるARナビゲーションは、有機ELメディアディスプレイに加え、フロントウィンドウにも投影される。
この機能は、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、進むべき道路に矢印が表示される。
フロントウィンドウのヘッドアップディスプレイ上には、約10m先の景色に重ねて、進むべき道路を矢印が表示される。
この機能は、なかなか便利で分かりやすい。
しかもヘッドアップディスプレイなので、視線移動も少なく安全性も高い。

6.安全装備の比較

LSの評価は 4.5
Sクラスの評価 4.5

両車共、世界トップレベルの安全性能を誇る

歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備は、両車共に世界トップレベルの実力をもつ。
ただ、最新のSクラスの方がやや細かい性能面で若干上回っている印象だ。
たとえばアクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)は、LSには無い機能である。
従来のブラインドスポットアシストは、車線変更時の後側方から接近する車両を検知し接触回避をアシストするものだった。
その機能を活かし、不用意にドアを開けた際の接触事故回避をアシストしてくれるようになった。
停車し、ドアを開ける前に、後側方から接近する歩行者や自転車、自動車を検知する。
ドアミラー外側にある警告表示灯が赤く点灯し、注意を促してくれるのだ。

安全装備では、Sクラスは世界初のリヤエアバッグを用意した。
この機能はLSには用意されていない。

運転支援機能では、LSのアドバストドライブが非常に魅力的だ。
このアドバンストドライブは、自動運転レベル2の中でもレベル3に近い高機能タイプである。
一定条件が揃えば、高速道路上でハンズオフが可能となった。
これは、日産スカイラインの「プロパイロット2.0」と同じような機能だ。
高速道路上で、ハンズオフできることがそんなに重要か? と、思うかもしれない。
だが実際に10分ほどハンズオフで走行すると、いかに腕や肩回りに力が入っていたかがよく分かる。
一度使うとクセになる機能ともいえる。
この機能はSクラスには装備されていない。

7.走行性能の比較

LSの評価は 3.5
Sクラスの評価 4.5

乗り心地はSクラスの圧勝

LSのエンジンルーム LSのエンジンルーム

レクサスLSは、よりドライバーズカーとしての高級セダンとなっている。
最新のGA-Lプラットフォーム(車台)の採用により、より低重心化され優れた運動性能を手に入れている。
ハンドリングもややクイックで、2トンを超える重量級ボディであることを感じさせない軽快感もある。
とくに、最もスポーティなFスポーツは、まさにスポーツセダンを目指している。

V6 3.5Lハイブリッド車のシステム出力は359psと十分な出力だ。
ただ、すぐにエンジンが始動するためモータードライブ感が薄い。
さすがに2トン越えの車重では少々厳しいのかもしれない。

422ps&600Nmを発揮するV6 3.5Lツインターボエンジンは、かなりパワフル。
ターボ車ながら、高回転まで気持ちよくエンジンが回る。
アクセル操作に対するレスポンスも良好だ。
ただ、CO2排出減が推奨されている中、ハイブリッドを売りとするレクサスが未だに普通のガソリン車か?と、いう疑問が残る。
そろそろPHVなどに期待したい。

LSは、マイナーチェンジで乗り心地を若干向上させている。
デビュー時の乗り心地が、高級セダンとは思えないゴツゴツ感が強かったためだ。
マイナーチェンジでは、減衰力可変ダンパーAVSを新設計した油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大した。
減衰力を低減し、乗り心地を向上させている。
他にもランフラットタイヤの縦バネ剛性、スタビライザーバーのばね定数、バウンドストッパーの先端剛性を最適化するなど、色々な変更が行われている。
しかし、乗り心地は高級車としては未だ疑問符が付くレベルだ。
ランフラットタイヤのゴツゴツ感を消しきれていないのだ。
むしろ、ランフラットタイヤの縦バネ剛性を下げたことから、ややグニャグニャした動きを感じるようになった。
操縦安定性も高いことからドライバーズカーとしては納得できるが、後席に乗るケースでは正直違うクルマという選択肢が頭を過る。

Sクラスのエンジンルーム Sクラスのエンジンルーム

メルセデス・ベンツSクラスに搭載される3.0L直6ディーゼルターボの出力は、330ps&700Nmだ。
3.0L直6ターボは、435ps&520Nmとなっている。

非常に好印象だったのがディーゼル車だ。
700Nmという大トルクを持ち、2トン越えの重量級ボディを軽々と加速させる。
アクセルレスポンスもよく、エンジンの回転もスムースでまるでガソリン車のようなフィーリングだ。
静粛性にも優れ、ディーゼルにありがちな振動も見事なくらい抑え込まれている。
絶品なパワーユニットだ。

ガソリン車は、マイルドハイブリッド仕様である。
これだけの高級車なのに、未だマイルドハイブリッドというのは少々物足りない。
ストロングハイブリッドやPHEVの投入にも期待したい。

ターボエンジンのレスポンスの悪さは、モーターが少し補っている。
こうしたフィーリングは、LSの3.5L V6を上回る。
高回転域でのパンチ力ではディーゼル車より上だが、通常走行ではそうしたシーンがほとんどなかった。

Sクラスの乗り心地は、まさに極上といえるものだった。
道路を滑るように走り、振動もほとんど感じない。
LSの乗り心地とは、比べ物にならない。
ボディやエアサスペンションの差もあるが、タイヤの差も大きい。
Sクラスは、ランフラットタイヤではなく普通のタイヤとし、より乗り心地を重視している。
ランフラットタイヤは、タイヤの硬さを明確に感じやすい傾向にある。
道路環境のよい日本にはそれほど必要性が高くないのだ。

Sクラスのハンドリングは、独特なものがある。
サスペンションがソフトなので、カーブでは大きくロールするのかと思っていた。
しかし、Sクラスはカーブでもフラット感を保つ。
そのため、同乗者も大きく体や頭を振られることもなく、それでいて乗り心地もよい。
快適性はピカイチだ。
こうしたハンドリングは、リア・アクスルステアリングも大きく影響している。
約60km/h以上では、ステアリングを切った方向に後輪が最大3度動く。
また、約60km/h以下では、ステアリング切った方向とは逆に最大4.5度動く。
最小回転半径は5.4mとCセグメントのコンパクトカー並の機動性を誇る。
狭い駐車場などでの取り回しも良好だ。
ちなみに、LS AWDモデルの最小回転半径は6.0mなので、この差は大きい。

8.リセールバリュー比較

LSの評価は 3.5
Sクラスの評価 3.5

人気がないセダンながら、高リセールバリューを維持

セダンカテゴリーは人気が低いため、リセールバリューは低め。
しかし、レクサスLSのリセールバリューは高い。
これはレクサスが新車値引きしないことや、下取り車を高値で買い取ることも影響している。
とくに、高年式はより高いリセールバリューを保っている。
ハイブリッドで、人気のFスポーツなどの上級グレードで走行距離が少なければ、10年乗っても高値で売却できるだろう。
メルセデス・ベンツSクラスも同様だ。
高年式は特に高く、AMG系のロングなどはさらに高価な傾向にある。
さらに、走行距離が少なく上級グレードならば、より高査定が期待できる。

9.まとめ・総合評価

完成度の高さはSクラス

レクサスLSは、ドライバーズカーとしての価値を追求した。
結果、乗り心地など後席の乗員を意識したラグジュアリーセダンとしてのパフォーマンスは、残念ながらSクラスのレベルに届いていない。
インテリアは贅を尽くしており、非常にギラギラしたラグジュアリー感あふれるインテリアや快適性を重視したシート機能などが充実している。
ラグジュアリーなのか? それともスポーツなのか? どうも、目指す方向性が明確になっていないような気がする。
その結果、中途半端な感じが拭えない。
乗り心地や静粛性よりも、LSの内外装デザインが好き、自動運転時代を感じさせるアドバンストドライブなどの優先順位が高いのならLSという選択になるだろう。

メルセデス・ベンツSクラスは、クルマとしての完成度は非常に高い。
だがLSのアドバンストドライブのような自動運転に近い運転支援機能や、パワーユニットの電動化は遅れている。
ラグジュアリーセダンに相応しい優れた乗り心地だけでなく、リア・アクスルステアリングによるフラットライドな操縦安定性、狭い道が多い日本において使い勝手に優れた小回り性能、複雑な道が多い日本においてARヘッドアップディスプレイは迷わず安全に走行が可能だ。
LSとSクラスは、どちらも一長一短な部分があるものの、クルマとしての完成度や日本での使い勝手面では、Sクラスが上回っている。

LS Sクラス
総合得点(40点満点) 28.0点 31.0点
1.燃費 3.5点 4.0点
2.価格 3.0点 3.0点
3.購入時の値引きしやすさ 2.0点 3.0点
4.デザイン 4.0点 4.0点
5.室内空間と使い勝手 4.0点 4.5点
6.安全装備 4.5点 4.5点
7.走行性能 3.5点 4.5点
8.リセールバリュー 3.5点 3.5点