この記事の目次 CONTENTS
幅広く使えるスポーツワゴン
ワゴンとSUVのいいとこ取り
激速、280psを発揮する2.0Lターボがおすすめ
ハイブリッドは選択肢から除外。途中で廃止された2.0Lがおすすめ
家族のクルマとして使えるスポーツセダン
まとめ

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

国産車であるスバルは、多くがAWD(4WD)を中心としたラインアップだ。
走行性能にこだわったモデルが多く、車種は少ないものの根強いファンに支えられている。
中でも予防安全装備のアイサイト搭載車など、より多くの人におすすめできるモデルを5車種お伝えする。

幅広く使えるスポーツワゴン

1位 初代スバル レヴォーグ

初代スバル レヴォーグは、2014年に登場した。
もともとスバルにはレガシィツーリングワゴンが存在した。
しかし北米のニーズに合わせてボディが肥大化し、日本マーケットに合わなくなっていた。
レガシィツーリングワゴンユーザーが乗り換えるクルマが無くなっていたからだ。
そうした反省を含め、レヴォーグは扱いやすいボディサイズとなり、ほぼ日本専用車として登場している。

搭載エンジンは1.6Lターボと2.0Lターボの2タイプで、全車AWD(4WD)だ。
AWDは、雪道や悪路など滑りやすい路面で優れた走破性を発揮する。
降雪地域やウインタースポーツ、アウトドアなどでは大きなメリットだ。
雨天の高速道路などでも車両が安定し、より安全に高速クルージングできる。
ワゴンボディなので、荷室は広く使い勝手も良好だ。

初代レヴォーグには、スバルの予防安全装備であるアイサイトが装備されている。
歩行者検知式自動ブレーキなど、多くの機能が装備されていて安心・快適に運転できるのも特徴だ。
走りを楽しみたい人にもおすすめだ。
2.0Lターボ車の出力は、300ps&400Nmとかなりパワフル。
AWDはこれだけのハイパワーもしっかりと受け止め、路面に伝えるので、とにかく速い。

初代レヴォーグは趣味・実用面で幅広く使える。
2代目が2020年に登場した影響で、中古車価格も下落傾向となり買い得感が出てきている。

デビュー直後の2014年式だと、中古車相場は約110~180万円といったところ。
ターゲットにしたいのは、上級グレードでスポーティ仕様の2.0GT-Sアイサイトだ。
ハイオク仕様になるものの、300psというパワフルさは魅力的である。
価格は16GT-Sアイサイトと大きな差はない。
スバルディーラー系の価格は、やや高めな印象だ。

予算に余裕があるのなら、STIスポーツがおすすめだ。
2017年マイナーチェンジ以降で、1.6L、2.0L問わず最上級グレードとなる。
サスペンションには、ビルシュタイン製ダンパーが装備され、18インチホイール、本革シートなどが装備されている。
中古車相場は230~310万円程度だ。
人気グレードということもあり、高値を維持している。
さすがに300万円を超える価格が付いている車両は、手を出さない方がよい。
もう少しプラスすれば、2代目レヴォーグが買えてしまうからだ。

ワゴンとSUVのいいとこ取り

2位 5代目スバル レガシィアウトバック

5代目スバル レガシィアウトバックは、ワゴンとSUVのクロスオーバーモデルとして2014年に登場した。
5代目レガシィアウトバックは、ワゴンの全高をSUV並みに上げた。
最低地上高は200mmと、悪路走破性を向上している。
少し背が高いくらいで、通常の走行フィールは普通のワゴンに近い。
若干背が高く視点も高いので、運転がしやすいのもよい。

外観デザインは、タフネスさを感じさせるバンパーにアンダーガードを装備し、なかなかワイルドな印象となった。
インテリアは、ワゴンモデルとほぼ同等で上質感ある空間になっている。
レザーシート仕様もあり、高級セダンのような雰囲気だ。
特別仕様車のX-BREAKには、アウトドアやウインタースポーツで便利な撥水のシート表皮が採用されている。
荷室容量は559Lと十分な広さをもつ。
リヤゲートもかなりワイドに開くので、荷物の出し入れなどで使いやすい。
5代目レガシィアウトバックの全長は4,820mm、全幅は1,840mmだ。
大柄なボディで、後席も十分な余裕がある。

搭載されているエンジンは、水平対向4気筒の2.5Lである。
出力は、175ps&235Nmと十分だ。
燃費は最新モデルが12.6㎞/L(WLTCモード)と、この世代のガソリン車としてはまずまずの燃費値といえる。

走行フィーリングは、車高がアップしていることもあり乗り心地はやや硬めだ。
不要な揺れをしっかりと抑え込み、硬めだが不快感はない。
静粛性も十分なレベルだ。

予防安全装備パッケージのアイサイトも装備している。
歩行者検知式自動ブレーキを含まれており、この年代のモデルとしては、高い予防安全性能を誇っている。

5代目レガシィアウトバックだが、日本ではすでに生産が終了している。
北米で6代目が登場した影響だ。
6代目が日本へ導入されるかは、今のところ不明である。
このような背景が影響し、中古車価格は今後下がることが予想され、買い得感がアップしてくる。

前期レガシィアウトバックの中古車価格は、やや価格幅が広い。
過走行気味の車両が多いことが影響しているようだ。
比較的程度のよい中古車価格は、2015年式で180~220万円が相場である。
過走行気味でも気にしないのであれば130万円位からあるが、あまりおすすめはしない。

グレードは、リミテッドを中心に選ぶとよい。
専用サスペンションやレザーシート、パワーリヤゲートが装備され豪華装備が充実している。
リミテッドの方が中古車価格は若干高めだが、それほど大きな差にはなっていない。

また、2017年の大幅改良ではクルーズコントロールが全車速追従式に変更されるなど、細部に渡り改良が施され、乗り心地や静粛性も向上している。
クルマの完成度という点では、この大幅改良後がよいが、中古車価格は2018年式で250~320万円位が相場となっている。
こうなると、もはや新車価格より少し安い程度で中古車らしい買い得感がなく悩ましい。
予算に余裕あるのなら、ということになる。
おすすめグレードもリミテッドだ。

激速、280psを発揮する2.0Lターボがおすすめ

3位 4代目スバル フォレスター

スバル フォレスター_外観

4代目スバル フォレスターは、SJ系とも呼ばれ2012にデビューした。
SUVらしい力強いデザインが特徴だ。
この4代目フォレスターのデザインは、すでにかなりの時間が経過しているものの、あまり古臭く見えないのが特徴でもある。

4代目フォレスターの駆動方式は、AWD(4WD)の設定のみとなっている。
悪路走破性で重要になる最低地上高は、220mmと余裕の数値だ。
さらに、悪路走破性を高めるAWD制御であるX-MODEが加わり、このクラスではトップレベルの実力を誇る。
雪道、アウトドアレジャーなど、多少の悪路など気にすることなく走れる。

用意されたエンジンは、水平対向4気筒自然吸気の2.0Lと2.0Lターボの2タイプだ。
2.0Lターボは、280ps&350Nmという大出力である。
これだけのハイパワーエンジンを搭載するSUVは、かなり稀な存在。
大きく重いSUVながら、非力感はまったく感じさせないどころか、他のSUVも敵わないほどの俊足が魅力だ。
これだけの出力があるため、高速道路でのロングクルージングも余裕があり、あまり疲れを感じさせない。
数少ない悩みどころは、13.2㎞/L(JC08モード)という燃費と燃料がハイオク仕様であることくらいだ。

歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備であるアイサイトも用意された。
アイサイトが装備されていない車両は選ぶのはおすすめしない。

4代目フォレスターの中古車価格は、5代目フォレスターが投入された後も高値を維持し続けている。
デビュー直後の2013年式で、中古車価格は80~160万円位が相場だ。
2015年の大幅改良モデル以降の中古車価格は、2016年式で150~230万円位とさらにグッと高価になった。
この大幅改良では、ボディ剛性のアップやサスペンションの改良も行われ、よりスポーティで快適な乗り心地となり、完成度は非常に高くなっている。
クルマの性能という面では、マイナーチェンジ後がおすすめとなるが、中古車価格が高めなのが難点と言える。

おすすめグレードは、2.0Lターボを搭載した2.0XTアイサイトだ。
車両価格も高く人気グレードなので、2013年式で110~190万円程度が相場となっている。
2016年式になると、190~240万円位が相場だ。
かなり高めの中古車価格となっているが、現行の5代目フォレスターには、高出力な2.0Lターボの設定がないため貴重なグレードといえる。

そんなにパワフルな仕様は必要ないというのであれば、撥水加工されたシートやカーゴフロアなどを装備したXブレイクが便利でおすすめだ。
2016年式だと170~220万円位が中古車相場となる。
人気グレードということもあり、ターボの2.0XTアイサイトとそれほど変わらない。
これだけ高いリセールバリューを維持しているので、中古車価格は高めだ。
もし短期で乗り換えるのなら、リセールバリューが高く、高価で売却が可能なので、意外とお買い得ともいえる。

ハイブリッドは選択肢から除外。途中で廃止された2.0Lがおすすめ

4位 スバルXV

現行モデルである3代目スバルXVは、2017年にデビューした。
XVは、インプレッサをベースにSUVテイストをプラスした外観をもつ。
車高を上げ、最低地上高を200mm確保している。
駆動方式は、AWD(4WD)のみの設定で、優れた悪路走破性を誇る。
3代目XVでは、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用した。
このスバルの最新プラットフォーム(車台)を取り入れることで、運動性能や安全性能が飛躍的に向上した。

XVに搭載されるのは、1.6Lと2.0Lの水平対向4気筒ガソリンエンジンだ。
XVには、小さなモーターを組み合わせたハイブリッド車もあるが、高価な割にはほとんどモーター走行ができない。
しかも燃費もそれほど良いとは言えないので、おすすめはガソリン車だ。
XVのおすすめエンジンは、154psを発揮する2.0Lである。
1.6Lは115psとなっていて、街乗りでは不満はないが、高速道路などではやや非力と感じるシーンが多くなる。
燃費は、2.0Lが16.4㎞/L(JC08モード)もしくは16.0㎞/Lだ。
1.6Lは16.2㎞/Lと、同等レベルである。
ただ、この2.0Lエンジンは、2019年の改良で廃止された。

XVの乗り心地は、やや硬めだ。
最低地上高を200mmとし、ベースとなるインプレッサに対して全高を高めていることが影響している。
ただ不快と感じるレベルではなく、大きな凹凸でも体が痺れるような大きな突き上げ感はない。
むしろ、カーブなどでは安心感がある。

3代目XVは、前期モデルの価格が下がり始め、買い得感が出てきている。
マイナーチェンジともいえる大幅改良モデルが投入された影響だ。
とはいえ、リセールバリューが高いこともあり、中古車価格は高めになっている。

モデルチェンジ直後の2017年式では、170~220万円位が中古車相場となる。
2.0Lガソリン車に限定すると、180~230万円位が相場となる。
1.6Lだと相場は170~200万円位だ。
2.0Lの差はそれほどないので、積極的に2.0L車を選ぶとよい。

グレードは、2.0i-Sアイサイトがおすすめ。
2.0i-Lアイサイトには、18インチタイヤやLEDヘッドライト、パワーシートが装備されており、より充実した仕様になっている。
また、予防安全装備アイサイトが標準装備化されている。
どのグレードにも全車歩行者検知式自動ブレーキが含まれているので、安心して乗れる。

家族のクルマとして使えるスポーツセダン

5位 スバルWRX S4

スバル WRX STI_外観

スバルWRX S4は、2014年に登場した。
WRX STI が6MTのみの設定でピュアスポーツモデルなのに対し、WRX S4はより公道での使いやすさを重視したモデルである。
6MTだとドライバーを選ぶため、ミッションは家族などで共用できるようにCVTが採用されている。

エンジンは、FA20型の2.0Lターボで、300ps&400Nmを発揮する。
もちろん、駆動方式はAWD(4WD)だ。

外観デザインは、WRX STIより少しおとなしくした印象だ。
あまりクルマに詳しくない人から見れば、普通のセダンに見える。
ある意味、羊の皮を被った狼だ。

前期モデルのグレードは、ビルシュタイン製ダンパーを採用した2.0GT-Sアイサイトがおすすめだ。
S4の走行性能をより高めている。
S4には、2016年にtSと呼ばれる特別仕様車がある。
このモデルは、S4をよりスポーティな仕様にしている。
ブレンボ製のブレーキやBBS製アルミホイール、専用チューニングのサスペンションなどが装備された。
ただ、車両価格は約500万円なので、少し次元の異なるモデルとなっている。
クルマの完成度を重視するのであれば、2017年の大幅改良後のモデルがよい。

さらに、2018年にはS4 STIスポーツが新投入された。
ビルシュタイン製フロントストラットDampMaticⅡが採用されるなど、走行性能は大幅にアップした。
それだけでなく、インテリアには本革とウルトラスエードを組み合わせたRECARO製シートが装備され、より上質感もアップしている。

このモデルも、価格は約410万円とかなり高価になっている。
クルマのパフォーマンスを考えると、むしろコストパフォーマンスに優れるモデルだ。
2020年は、このS4 STIスポーツのみの設定となる。
2021年中のフルモデルチェンジも噂されている。

デビュー直後のS4中古車価格は、非常に高い。
マニアックなファンに支えられていることや、中古車流通量も少ないことが大きな要因だ。
2014年式の中古車相場は、190~250万円位となっている。
中古車の中には、過度にチューニングされた車両もある。
長く、安心して乗るのであれば、過度なチューニングを施した車両は避けた方がよい。
2018年式STIスポーツの中古車価格は、驚くほど高値を維持している。
新車価格が約410万円だったのに対して、中古車価格の相場は350万円オーバーだ。
3年落ちで、新車価格より少し安いくらいの価格で売られている。
こうなると、多少無理をしてでも新車を買うか、しばらく待って次期新型WRX S4の登場を待つのもよいだろう。
新型が登場すれば、少し価格も下がると予想できる。

まとめ

国産車であるスバルは、AWD(4WD)を中心とし、走行性能にこだわったモデルが多い。
さらに今回紹介した車種のほとんどが、予防安全装備のアイサイトも搭載している。
趣味だけではなく実用性も兼ね備えたクルマとして、おすすめだ。