この記事の目次 CONTENTS
未だ古臭さを感じさせないデザイン
わずか1年程度しか販売されなかった貴重なモデル
気軽に楽しめるスポーツモデル
万能な定番軽自動車
実用車としては不向きだが、趣味車としては格別
まとめ

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スズキは、国内では軽自動車を中心にしたメーカーだ。
車種のラインアップもワイドで、数々の人気モデルをマーケットに送り込んでいる。
燃費へのこだわりが強く、軽自動車では唯一マイルドハイブリッド車を投入している。
多くのカテゴリーで燃費ナンバー1となっているほどだ。
今回は、スズキ車の中でおすすめの軽自動車を5車種、厳選した。

未だ古臭さを感じさせないデザイン

1位 初代スズキ ハスラー

初代スズキ ハスラーは、2014~2019年まで発売されたハイト系の軽自動車だ。
基本骨格など、ベースとなっているのはワゴンRだ。

初代ハスラーは、デビュー直後から大ヒットした。
軽自動車にSUVとクロスオーバーさせたユニークさが評価されたのだ。
初代ハスラーのデザインは、生活感が強めに出る軽自動車でありながら、遊び心あふれるデザインが魅力的である。
ワクワク感や、どこかドライブにでも行きたくなるような元気の良さもある。
2020年には2代目が登場しているものの、古さを感じさせないデザインだ。

初代ハスラーでポイントになるのは、2015年の改良だ。
この改良で、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「デュアルカメラブレーキサポート」が用意された。
もはや、安全装備は必須ともいえる時代である。
安全性能面では、デュアルセンサーブレーキサポートが装備されているモデルがおすすめだ。

初代ハスラーには、660㏄の自然吸気とターボエンジンの2タイプが用意されている。
ロングドライブが多いなら、ターボ車がおすすめだ。
高速道路でも余裕のクルージングが可能となる。
ウインタースポーツやアウトドアレジャーなどでも使うなら、4WDがよい。
この4WDモデルには、滑りやすい急坂も安全に降りることができるヒルディセントコントロールも装備されている。

初代ハスラーの中古車は、2代目ハスラーの登場により、中古車価格がやや下がってきている。
ただ、やはり人気車であるため、中古車価格はやや高めだ。
2016年式の中古車相場は、70~130万円位だ。
おすすめグレードは、特別仕様車の「JスタイルII」である。
「ナノイー」搭載のフルオートエアコンやプレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)、「デュアルカメラブレーキサポート」を標準装備している。
このJスタイルⅡターボの4WDで、全方位モニター付メモリーナビゲーションを装備していると、さらによい。

注意したいのは、初代ハスラーの高年式車だと2代目ハスラーとそれほど価格差がない点だ。
2018~2019年式であれば、多少無理をしてでも2代目ハスラーをターゲットにした方がよいだろう。

わずか1年程度しか販売されなかった貴重なモデル

2位 初代スズキ スペーシア カスタムZ

初代スズキ スペーシアカスタムは、2013~2017年に販売されたスーパーハイト系軽自動車だ。
その期間の中で、スペーシアカスタムZは2016年末に発売されている。
スペーシアカスタムZは、わずか1年程度しか発売されていなかった貴重なモデルだ。

カスタムZは、当時不調だったカスタムの販売を少しでも好転させるために登場した。
不評だったカスタムのフェイスデザインを大変更し、より大きく迫力あるデザインとした。
価格もやや下げたこともあり、カスタムZの登場で、スペーシアの販売台数はやや好転した。

カスタムZは、初代スペーシアカスタムがベースとなっている。
初代スペーシアカスタムは、スズキの軽量化技術により、当時のライバル車と比べるとかなり軽量だ。
ライバル車は、ターボ車でないと非力感があった。
しかし初代スペーシアは、自然吸気でも満足できるレベルだった。
ただ、高速道路を頻繁に使うのであれば、パワフルなターボ車がおすすめだ。
走行性能や使い勝手など、バランスの取れたモデルだ。

スペーシアカスタムZの中古車は、ほぼ2017年式に限られる。
中古車相場は、やや価格幅が広く約80~160万円ほどである。
おすすめグレードは、カスタムZターボ「ユーティリティパッケージ」だ。
後席右側ワンアクションパワースライドドアなどの快適装備が充実している。
このグレードに、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全デュアルカメラブレーキサポートがつくとなお良い。
こうなると、中古車価格はやや高くなり、100~160万円位が相場となる。

気軽に楽しめるスポーツモデル

3位 スズキ アルトワークス

スズキアルトワークス

スズキ アルトワークスは、8代目アルトをベースにしたスポーツモデルで、2015年末に投入された。
ベースとなったアルトは、低燃費化のために徹底した軽量化が行われたモデルだ。
アルトワークスは、アルトのボディを補強して使用した。
アルトワークスの車重は670kg(FF、5MT)~740kg(4WD、5AGS)と軽量に仕上がっている。

この軽量ボディに搭載されるのは、アルトワークス専用チューニングが施された660cc直3ターボエンジンだ。
軽自動車の出力自主規制内の64psながら、最大トルクは100Nmを誇る。
軽量ボディにこのパワフルなエンジンの組み合わせは、なかなかエキサイティングである。
専用チューニングのサスペンションにより、非常に走る楽しさに満ちたモデルに仕上がっている。

専用レカロ製シートも用意された。
それでいて、デビュー時の車両価格は150~160万円と安価に抑えている。
手軽に楽しめるスポーツカーとしての価値があるモデルといえる。

アルトワークスの中古車価格は、特殊なスポーツモデルということもありやや高値を維持。
2016年式で、おおよそ80~130万円が中古車相場となる。
グレードは、ベースグレードと呼ばれる1グレード設定だ。
FF(前輪駆動)、4WD共に5MTと5AGSが用意された。
この5AGS車には、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備も用意されている。

FFは2020年の改良で5MTのみの設定となった。
5AGSとは、5MTをベースとした自動変速機能付のミッションのことだ。
ややクセのあるシフトフィーリングをもつが、ATモデルと同じく自らクラッチ操作する必要はない。
慣れれば、この5AGSでも十分にスポーツドライビングが楽しめる。

アルトワークスはスポーツモデルなので、流通している中古車の中には過度なチューニングが行われたモデルがある。
長く乗るのであれば、過度なチューニングを施し、中古車価格も高いモデルは避けた方が無難だ。

万能な定番軽自動車

4位 スズキ ワゴンRスティングレー

6代目となるスズキ ワゴンRは、2017年にデビューした現行モデルである。
ワゴンRは、ハイト系ワゴンのカテゴリーに属する。
スーパーハイト系のように左右スライドドアではないものの、室内の広さや使い勝手、燃費、価格などバランスの取れたカテゴリーといえる。
また、ワゴンRはスズキの看板車種であることから、多くの最新技術が投入されている。

ワゴンRの中でも、より迫力があるデザインを採用し、上質感を出したモデルがスティングレーだ。
他社モデルでは、カスタム系と同じ存在である。

スティングレーのおすすめモデルは、ハイブリッドTだ。
ターボエンジンにマイルドハイブリッドシステムを搭載している。
燃費は23.4km/L(FF、WLTCモード)、ターボエンジンは64ps&98Nmだ。
低燃費とパワフルさを両立している。
スズキの軽量化技術により、軽い車体と相まって余裕のある走りが可能となった。
高速道路でのクルージングも楽々こなす。
歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備である、デュアルセンサーブレーキサポートも標準装備だ。
軽では初となったヘッドアップディスプレイも装着されるなど、装備が充実している。

スティングレーは、すでにデビューから4年が経過している。
徐々に価格が下がってきており買い得感が出始めた。
しかも、年式による中古車価格の差が小さいのだ。
2017年式だと80~130万円が中古車相場だが、2020年式では110~150万円となっている。
2017年式で120~130万円くらいの高額車両を買うのであれば、2020年式が十分に選べる。
こうなると、新車保証が長く残る2020年式の方がお得感がある。
年式が新しいと、しばらく乗っても十分な査定価格が付く可能性が高いので2020年式がおすすめだ。

実用車としては不向きだが、趣味車としては格別

5位 スズキ ジムニー

3代目スズキ ジムニーは、1998年にデビューした。
2018年まで約20年間も販売されたロングセラーモデルだ。
ジムニーは、軽自動車ながらラダーフレームを採用した本格派クロスカントリー4WDだ。
何度も改良を重ねたとはいえ、設計がかなり古いこともあり、乗り心地や燃費など実用車としては不向きである。
街乗りで使うには、かなりの覚悟が必要だ。
しかし、趣味のクルマとして、オフロードや雪深い道などを走るなど一定の悪路走破性能を求めるのであれば、かなり頼りになるモデルと言える。

3代目ジムニーの中古車価格は、3代目ジムニーの登場後も高値を維持している。
とくに、モデル後期の2015~2018年式は、未だ新車価格より少し安価な程度で売られている車両が多い。
3代目ジムニーの最終型である10型であることが、高値がつく理由のひとつだ。
マニアックなクルマならではの中古車相場といえる。
クルマとしての完成度や信頼性と言う点では、やはり10型がおすすめになる。

2016年式の3代目ジムニーの中古車相場は、約120~160万円。
高額帯は5MT車が中心で、AT車がなら少し安価になる。

おすすめのグレードは、特別仕様のランドベンチャーだ。
ランドベンチャーは、専用本革&ファブリックシートなどを装備した豪華仕様である。
注意したいのは、車高をアップするなどしたカスタマイズ車だ。
こうした車両に詳しいのであれば問題ないが、そうでなければあまり手を出したりはしない方が無難だ。
また、3代目ジムニーの装備は簡素だ。
ETCやナビ、ドライブレコーダーなどを後で購入すると出費が多くなる。
最初から装備されている車両を選ぶとよい。

まとめ

スズキの軽自動車を5種、厳選してお伝えした。
燃費へのこだわりが強く、多くのカテゴリーで燃費ナンバー1となっているほどだ。
個性的なモデルが多いので、クルマを決める優先順位を持ち、自分に合う中古車を見つけたい。