ハリアーとRAV4はプラットフォームなどが共通化されていて、姉妹車関係にある。
ただしコンセプトは、ハリアーは高級SUV、RAV4はカジュアル系オフローダーと異なる。
しかし、新たに追加されたRAV4 PHVは、高級SUVとしての価値もアピールしている。
価格もハリアーハイブリッドの上級グレードと同等レベルだ。
そこで今回は、両車を燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などさまざまな角度から比較評価した。
- この記事の目次 CONTENTS
- トヨタ ハリアーハイブリッドの特徴
- トヨタ RAV4 PHVの特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
トヨタ ハリアーハイブリッドの特徴
歴代ハリアーは、一貫して高級SUV路線を歩み続け、絶大な人気を誇る。
そんな中、2020年6月にフルモデルチェンジし、4代目として登場したのが新型ハリアーだ。
「見て、乗って、走り出した瞬間に心に響く感性品質」を重視して、開発された。
4代目の基本骨格やパワーユニットは、5代目RAV4と共通化されている。
つまり5代目RAV4とは、姉妹車関係にある。
最新の2.5Lハイブリッドシステムがエンジンの最大熱効率を41%でまで高めており、このクラスでは世界トップレベルの低燃費性能を誇るのが魅力。
また、高級SUVということもあり、静粛性や乗り心地も非常に高いレベルにある。
なお、3代目までハリアーといえば鷹のエンブレムだったが、4代目からはなくなり、トヨタエンブレムに変更されている。
ただ、ドアパネル表皮などには型押しされた鷹のエンブレムが残されている。
トヨタ RAV4 PHVの特徴
RAV4 PHVは、最新のGA-Kプラットフォームを採用。
床には、18.1kWhの大容量リチウムイオンバッテリーが、ぎっしりと敷き詰められている。
この大容量バッテリーにより、RAV4 PHVのEV走行距離は95kmを達成。
ハイブリッド燃費は22.2km/Lとなった。
ガソリンタンク容量も55Lを確保、航続距離1,300km以上という走行距離を得ている。
また、大きく重いバッテリーをしっかりとボディに固定したことで、RAV4ハイブリッドより、ボディ剛性はアップ。
低重心化され、走りの質も向上した。
このRAV4 PHVは、トヨタの想像以上に売れた。
なんと、年内に生産可能なバッテリー供給量を超えたことなどが理由で、2020年8月現在、RAV4 PHVは注文を一時停止している状態だ。
1.燃費比較
ハリアーの評価は4.5点
RAV4 PHVの評価は5.0点
驚異の低燃費性能となったRAV4 PHVの「THSⅡ Plug-in」
ハリアーハイブリッドの燃費は、21.6㎞/L(4WD、WLTCモード).
このクラスでは世界トップレベルの燃費値だ。
しかし、RAV4 PHVのハイブリッド燃費は22.2㎞/L(4WD、WLTCモード)。
ハリアーハイブリッドの燃費を、上回っている。
RAV4 PHVの車重は、1,900㎏とハリアーハイブリッドより160㎏も重い。
本来ならば、車重が重くなれば燃費は悪くなる。
しかし、RAV4 PHVに搭載された「THSⅡ Plug-in」が、大容量バッテリーを活かして積極的にEV走行するため、燃費が良くなったのだ。
燃費差はわずかだが、RAV4 PHVの潜在能力の高さを感じさせる。
2.価格比較
ハリアーの評価は3.0点
RAV4 PHVの評価は4.5点
戦略的価格で割安感があるRAV4 PHV
ハリアーハイブリッドの上級グレードであるZ(4WD)の価格は、4,740,000円。
対するRAV4 PHVのZグレードの価格は、4,990,000円だ。
若干の装備差があるが、やはりRAV4 PHVの価格はやや高めに感じる。
ただし、RAV4はPHV。
高価な大容量バッテリーが搭載されていることを考えると、むしろ割安だ。
他社のPHEVなどと比べても割安感があり、かなり戦略的な価格といえるだろう。
3.購入時の値引き術
ハリアー 比較できないので採点なし
RAV4 PHV 採点不可能
売れすぎ?受注停止中のRAV4 PHV。ハリアーは交渉次第で値引きも?
4代目ハリアーは、新型コロナの影響をものともせず、売れに売れている。
大量のバックオーダーを抱え、納期は3ヶ月以上とも言われている。
これだけのバックオーダーがあると、値引きなど受け付けてくれない状況だ。
ただ、ディーラー側も、他の車種が売れていないこともあり、値引きしてでも受注してしまおうというケースもあるようで、わずかだが値引き対応しているようだ。
もちろん、ただ何もせずに商談すれば値引きゼロになるので、しっかりとライバル車と競合させることが重要。
ハリアーハイブリッドと直接のライバル関係にあるモデルはほとんどないので、価格帯が同じような車を競合させると良いだろう。
マツダCX-8のほか、BMW X1、メルセデス・ベンツGLA、GLBなどの輸入車と競合させるのもよい。
大幅値引きとはいかないまでも、わずかな値引きとディーラーオプションのサービスくらいは引き出せるだろう。
もし大幅値引きを期待したいのなら、バックオーダーがなくなり、納期が1~2ヶ月くらいになるのを待つしかない。
ただし、1年くらいかかるかもしれない。
対するRAV4 PHVは、2020年9月現在、バッテリーの生産が間に合わないなどの理由で、注文を受け付けていない。
来年度の補助金が決まっていないこともあり、受注してもトラブルの原因となる可能性が高く、最終的に顧客に迷惑をかけるということも、理由としてはあるようだ。
そうした状況なので、値引き云々の話ではなくなっている。
4.デザイン比較
ハリアーの評価は4.5点
RAV4 PHVの評価は3.5点
甲乙つけがたい個性派デザイン
ハリアーハイブリッドのデザインは、流行りのクーペ風デザインを採用。
流麗なルーフラインをもつ、造形となっている。
二重のL字型に発光するデイタイムランニングランプなどを有するフロントフェイスは、睨みの効いた精悍なデザインだ。
リヤビューは、左右に張り出したフェンダーが、力強いSUVらしさを表現。
細く、鋭く、横一文字に光るリヤコンビネーションランプがユニークさを際立たせている。
夜間に、フロントとリヤ、両方のランプを点灯させると、ひと目でハリアーと分かる圧倒的な存在感が魅力だ。
対するRAV4 PHVのデザインは、基本的にRAV4と同じ。
やや異なるのは、フロントグリルとバンパーまわりだ。
これも微妙な違いなので、非常に分かりにくいものとなっている。
ただ、わずかだがRAV4 PHVの方が、都会的に見える。
もう少しPHVには、特別感が欲しいところだ。
ハリアーハイブリッドとRAV4 PHVのデザインは、方向性が大きく異なる。
ハリアーハイブリッドは、高級SUV志向。
RAV4 PHVは、RAV4とほとんど同じで、カジュアル系オフローダー的だ。
残念なのが、PHVは次世代車であるのに、外観にまったく先進性が感じられない点。
もう少し、差別化が必要だろう。
むしろハリアーハイブリッドの方が、まだ先進感があるデザインに見える。
5.室内空間と使い勝手
ハリアーの評価は3.5点
RAV4 PHVの評価は4.5点
同じプラットフォームでも、使い勝手、室内のスペースはRAV4 PHVがやや上回る
ハリアーハイブリッドとRAV4 PHVは、同じGA-Kプラットフォームを使用する。
そのため、室内スペースなどはあまり差がないように思えるが、ボディ形状が異なるため、やや差が出ている。
ハリアーハイブリッドは、クーペ風のルーフラインのため、RAV4と比べるとやや後席の頭上スペースが小さい印象だ。
大きな差になっているのは、ラゲッジスペースだ。
ハリアーハイブリッドの荷室容量は409Lと、やや小さめ。
対するRAV4 PHVは、RAV4と比べると大容量バッテリースペースの影響もあり、90L小さく490Lとなったが、それでもハリアーハイブリッドより約80Lも広い。
狭い駐車場などでの取り回しの良さの指標となる最小回転は、両車ともに19インチホイール装着車5.7m、18インチホイール車は5.5m。
18インチホイール車であれば、ボディサイズは大きいものの、使い勝手は良好だ。
なお、RAV4 PHVは、最大1,500W(AC100V)の外部給電機能を標準装備している。
付属のヴィークルパワーコネクターを、車両後方右側の普通充電インレットに差し込めば、外部給電用のコンセントとして利用できる。
大容量バッテリーの電力を使い切ると、エンジンを始動させ発電する。
ガソリン満タン状態で1,500Wの最大出力で使い続けた場合、3日程度の電力を供給できるのだ。
こうした機能は、キャンプや車中泊時に車内で家電製品が使えるだけでなく、災害などで電力が止まった時など家などにも給電できる。
もしもの時に便利な機能だ。
ハリアーハイブリッドはオプション設定だが、こうした機能は、標準装備されていることが大切だ。
6.安全装備の比較
ハリアーの評価は3.0点
RAV4 PHVの評価は3.0点
同等の安全装備だが、両車とも高級車としては物足りない
ハリアーハイブリッド、RAV4 PHVともに、トヨタの予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」を標準装備している。
自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知する。
その他、車線を維持するレートレーシングアシストや全車速追従式クルーズコントロール、LEDの配光を自動制御するアダプティブハイビームシステム(RAV4 PHVはオートマチックハイビーム)、踏み間違え抑制機能であるインテリジェントクリアランスソナーなどが装備されている。
こうした装備は400万円を超える高級車では、もはや当り前といえる装備。
とくに目を見張るような部分は見当たらない。
むしろ、高級車としては、装備が貧弱と感じるくらいだ。
後退時に左右から来るクルマを検知して衝突の危険がある場合、自動ブレーキが作動するリヤクロストラフィック、車線変更時など後側方から接近する車両を検知、警報を発するブラインドスポットモニターが一部グレードではオプションとなっている。
これらの機能は、普段クルマを使う上で頻繁に起きるシチュエーションで、大いに活躍してくれる機能。
先進技術というほどのものではないので、それほどコストがかかる装備でもない。
両車ともに、これくらい標準装備化してもいいはずだ。
7.走行性能の比較
ハリアーの評価は4.5点
RAV4 PHVの評価は5.0点
静粛性、乗り心地、運動性能、すべてでハリアーハイブリッドを超えたRAV4 PHV
ハリアーハイブリッドは、高級SUVの代名詞的存在ということもあり、乗り心地や静粛性に関しては、非常にこだわった仕様になっている。
乗り心地は、柔らかめで細かい路面の凹凸をそつなくこなし、快適さが際立つ。
また、柔らかめなサスペンションながら、操縦安定性も高い。
高速道路などでもフラフラすることなく、高い直進安定性を誇るので、高い速度でも安心して走ることができる。
2.5Lハイブリッドシステムも、システム出力222ps(E-Four)と非常にパワフル。
後輪をモーターで駆動する4WDシステム、E-Fourはアクセルをグッと強く踏み込むと、後ろから押されるような力強さをもつ。
ハンドリング面でも好印象。
FF(前輪駆動)車は、E-Four車よりもクルマが軽いこともあり、軽快さがある。
ハイブリッド用の重いバッテリーをリヤシート下に設置していることから、前後の重量バランスもよい。
意外と安定感があり、気持ちよく走れる。
また、E-Four車はFF車以上に好感度が高い。
E-Fourの4WDシステムは、ダイナミックトルクコントロール4WDと呼ばれている。
前後のトルク配分を100:0~20:80まで緻密にコントロール。
ドライバーの狙った走行ラインを気持ちよくトレースすることに貢献している。
制御も自然なので、運転が上手くなったような気持ちになる。
ハリアーハイブリッドの走りは、非常に高いレベルにまとまっている。
しかし、RAVPHVはこれをさらに上回る。
RAVPHVは、大容量バッテリーを床下に設置。
事故時にバッテリーが破損しないよう、頑丈なケースに守られ固定されている。
結果、それがボディ剛性を上げている。
さらに重いバッテリーを床下に設置したことで、クルマの重心高が大幅に下がっているのだ。
サスペンションは、ハリアーハイブリッドよりやや硬め。
しかし、ボディ剛性が高くなったこともあり、しやなやかによく動く。
硬さは感じず、滑らかさばかりが際立つのだ。
しかも、カーブでのハンドリングはとにかく安定感がある。
クイックではないが、ピタッと狙ったラインをトレース。カーブでの車体の傾きも小さい。
そしてアクセルを踏めば、システム出力306psという大パワーが炸裂する。
0-100㎞/h加速は、わずか6秒というのだから、ちょっとしたスポーツカー並みだ。
アクセルレスポンスに優れ、瞬時に加速するのもモーターで走るPHVならでは。
なかなか、爽快な加速感が楽しめる。
そして、静粛性もハリアーハイブリッドを上回っている。
遮音・吸音・制振が良くできて、EV走行時はほぼ無音。
ハイブリッド状態になったときでも、エンジンの存在はほとんど感じない。
耳を澄ますと、前方の遠くでエンジンが動いているようなイメージだ。
ハリアーハイブリッドよりも、静かだ。
このようにRAVPHVは走行性能や静粛性など、ほぼすべての面でハリアーハイブリッドを上回っている。
これは、ハリアーハイブリッドがダメなのではなく、RAVPHVの完成度がかなり高いと理解してほしい。
8.リセールバリュー比較
ハリアーの評価は4.5点
RAV4 PHVの評価は3.5点
リセールバリュー超優等生のハリアー。先行き不透明なRAVPHV
ハリアーハイブリッドは、強力なブランド力を背景に、リセールバリューがあまり下がらないことで有名なモデル。
先代モデルも3年落ちとなる2017年式でも、中古車価格は新車価格より少し安い程度を維持しているほどだ。
ただし、先代モデルは新型ハリアーが登場したので、徐々に価格を下げていくだろう。
現在、新型ハリアーは、ほとんど新車並みの価格で中古車が売られている。
これは、新型ハリアー人気が非常に高く、納期が3ヶ月以上となっていることが要因。
新型ハリアーがすぐに欲しい人は、中古車を買わざるを得ないのだ。
今後もその傾向は、しばらく続くだろう。
新型ハリアーハイブリッドで、プラス査定になる装備は、純正ナビや調光パノラマルーフ、4WD車、最上級グレードのZレザーパッケージと予想できる。
ボディカラーは、ブラックまたはホワイトとなるだろう。
リセールバリューの超優等生であるハリアーハイブリッドに対して、RAV4 PHVは少々先行きが不透明だ。
RAV4ハイブリッドは高値を維持しているので、RAV4 PHVも高値傾向になる可能性はある。
ただ、同じPHVであるプリウスPHVのリセールバリューは、高値維持とはいかなかった。
高額車両だったのに、プリウスとそれほど大差ない価格にまで落ちているのだ。
これは、日本ではまだまだPHVに対する意識が低いことに起因する。
バッテリーへの不安もあるのかもしれないが、あまり人気がない状態なのだ。
プリウスPHVだけでなく、EVも含め、輸入車でもPHEVのリセールバリューは低い。
そのため、RAV4 PHVのリセールバリューは、先が読めない状況だ。
9.まとめ・総合評価
ハリアーの総合点は27.5点/35点
RAV4 PHVの総合点は29点/35点
ハリアーブランドにこだわらなければ、次世代車であるRAV4 PHVがおすすめ
RAV4 PHVはカジュアル系オフローダー的ではあるものの、クルマのパフォーマンス的には高級SUVとして相応しいレベルに達している。
価格的にも、ハリアーハイブリッドと大差がない。
ここで重要なのは、ハリアーブランドにこだわりがあるかないかだ。
ハリアーブランドに憧れを抱いていたり、信頼していたりするのであれば、ハリアーハイブリッドを選んだ方が満足できる。
もし、ハリアーブランドにこだわりがなければ、RAV4 PHVがおすすめだ。
ただし、RAV4 PHVは自宅で普通充電できる環境があることが重要。
最近ではマンションなどでも充電できる設備があるが、多くの場合、一戸建ての家で自宅に駐車場があることが前提となる。
この充電環境がクリアできれば、前述した通り、RAV4 PHVの走行性能はほぼハリアーハイブリッドを上回っている。
次世代車のPHVであるRAV4 PHVは、ハイブリッド車では体感できないモータードライブとい新鮮な運転感覚も楽しめ、満足度は非常に高い。
ハリアー | RAV4 PHV | |
---|---|---|
総合得点(35点満点) | 27.5点 | 29点 |
1.燃費 | 4.5点 | 5点 |
2.価格 | 3点 | 4.5点 |
3.購入時の値引きしやすさ | - | - |
4.デザイン | 4.5点 | 3.5点 |
5.室内空間と使い勝手 | 3.5点 | 4.5点 |
6.安全装備 | 3点 | 3点 |
7.走行性能 | 4.5点 | 5点 |
8.リセールバリュー | 4.5点 | 3.5点 |
関連ページ
トヨタ ハリアーハイブリッド
トヨタ RAV4 PHV
ハリアーハイブリッドのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和2年6月(2020年6月)〜現在
- 新車時価格
- 358.0万円〜514.8万円
ハリアーハイブリッドの在庫が現在128件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。