エクストレイル(T33型)vsハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!ミドルサイズSUV買うならどっち?

エクストレイル(T33型)vsハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!ミドルサイズSUV買うならどっち?

ハイブリッド車は、圧倒的な低燃費性能とモーターによる力強い走りを両立している。日本での人気はとても高く、2023年の登録車のうち約55%がハイブリッドである。

日産のT33型エクストレイルはハイブリッド車のみという思い切った設定だ。対するトヨタ80系ハリアーは2023年登録車販売台数ランキング12位と、このクラスで最も売れている。

そこで、ミドルサイズSUVで、異なるハイブリッドシステムを搭載するT33型エクストレイルと80系ハリアーハイブリッドを徹底比較した。

T33型エクストレイルの特徴

T33型エクストレイルの全景画像

※上図:T33型エクストレイルの全景

2022年7月、現行型のT33型エクストレイルが登場した。日産のミドルサイズSUVであるエクストレイルがフルモデルチェンジを行ったのだ。T33型エクストレイルは、初代モデルからの DNA である「タフギア」を継承しつつ、新たに「上質さ」が追加されている。

 

パワーユニットは、進化した第2世代「e-POWER」を搭載。世界初の量産可変圧縮比エンジンである「VC ターボ」を採用した。力強く、なめらかな走りと、圧倒的な静粛性を実現しているのが特徴だ。静寂性はエンジン回転数を常用域から加速時まで抑えた恩恵である。

 

電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」も搭載した。前後に搭載された2 基の高出力モーター、左右のブレーキを統合制御することで、四輪の駆動力を最適化。その結果、雪道や山道の走破性に力を発揮出来るようになった。さらには市街地走行などの日常使いなど、あらゆるシーンや路面状況においてワクワクした走り、そして乗る人すべてに快適な乗り心地を提供する。

 

T33型エクストレイルでは、フルモデルチェンジに伴いクルマの骨格にあたるプラットフォームを刷新した。高剛性なボディと徹底した遮音構造によって電動車である「e-POWER」の高い実力を味わうことができる。

 

T33型エクストレイルの安全装備は、360°全ての方向の安全を確保する「360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用。新たに追加した「SOS コール」や、対向車や先行車の有無に応じてハイビームの照射位置をコントロールする「アダプティブLED ヘッドライトシステム」等の多彩な安全技術が、さまざまなシーンで安心なドライブをサポートしてくれる。

さらに、高速道路の単一車線での運転支援技術「プロパイロット」に、「ナビリンク機能」が追加された。この機能はナビゲーションと連動し、地図データをもとに、制限速度に応じて設定速度の切り替えや、カーブに応じた減速支援など、ドライバーの操作頻度を軽減してくれるという優れものだ。

また駐車時には「プロパイロット パーキング」が、縦列・並列駐車、車庫入れをサポートしてくれる。ステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてを自動で制御するのだ。

 

全車e-POWER搭載車となったが、エクストリーマーXを含むXグレードには5人乗り2列シート仕様に加えて、7人乗り3列シート仕様も用意されており、バリエーションは豊富だ。

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80系ハリアーハイブリッドの特徴

80系ハリアーハイブリッドの全景画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドの全景

4代目80系ハリアーハイブリッドは2020年6月から販売開始された。80系ハリアーハイブリッドは、見て、乗って、走り出した瞬間に心に響く感性品質を重視した。実用性や数値一辺倒ではない、人の心を満たしてくれる存在を目指して開発されている。そして、SUV のカテゴリーを超え、“より人生を豊かにするパートナー”という新たな価値を提供している。

 

80系ハリアーハイブリッドは新しい価値を提供するために、クルマの骨格であるプラットフォームにTNGAプラットフォーム(GA-K)を採用した。ボディの高剛性化・低重心化によって、ドライバーの感性を重視した乗り心地と走りを両立させている。また、走り出した瞬間や高速走行時の車両の挙動の収束性を向上させるため、ショックアブソーバーを新しくした。接地感あるフラットな乗り心地が特徴だ。

 

80系ハリアーハイブリッドに搭載されるパワートレインは2.5L直列4気筒ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムだ。駆動方式は2WD(FF)と、E-Fourという電気式4WDを設定している。

 

安全装備では予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を装備。プリクラッシュセーフティには歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)を検知対象に加えた。さらに、インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]などの安全・安心をサポートする装備も充実。駐車場など低速走行時における衝突緩和、被害軽減に寄与する。加えて走行中の前後方向映像を録画可能なデジタルインナーミラーをトヨタ自動車で初採用した。

また、快適装備として調光ガラスを用いた電動シェード付パノラマルーフをトヨタ自動車初採用。調光時には、障子越しのような柔らかい光が差し込む上質な空間を演出する。

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燃費が高効率なのは80系ハリアーハイブリッド

燃費比較

T33型エクストレイルの評価は4.0

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.5

 

T33型エクストレイルと、トヨタ80系ハリアーハイブリッドの燃費は以下の通りだ(WLTCモード)。

 

2WD

4WD

T33型エクストレイル

19.7km/L

18.3~18.4km/L

トヨタ80系ハリアーハイブリッド

22.3km/L

21.6km/L

T33型エクストレイルのハイブリッドシステムe-POWERはシリーズ方式だ。1.5L直3 VCターボエンジンで発電した電力を使い、モーターを駆動させる。

対するトヨタ80系ハリアーハイブリッドはパラレル方式である。2.5L直4エンジンとモーターを効率良く使う。

 

T33型エクストレイルに搭載されているのは、VCターボという世界初の量産可変圧縮比エンジンだ。KR15DDT型という1.5L直列3気筒DOHCガソリンターボである。

エンジンによって発電した電力によって駆動するモーターには、フロントはBM46型のモーターを採用し、4WD車はリアにMM48型のモーターを搭載。

 

最高出力

最大トルク

KR15DDT型

144ps

250Nm

BM46型(フロント)

204ps

330Nm

MM48型(リア)

136ps

195Nm

一方、トヨタ80系ハリアーハイブリッドは、A25A-FXS型という2.5L直列4気筒ガソリンエンジンを使用している。フロントには3NM型のモーター、4WD車はリアに4NM型モーターを搭載した。4WD車のシステム出力は222㎰だ。

 

最高出力

最大トルク

A25A-FXS型

171ps

207Nm

3NM型(フロント)

120ps

202Nm

4NM(リア)

54ps

121Nm

両車のハイブリッド方式が異なるため単純に比較できないが、T33型エクストレイルはフロントモーターだけでなく、リアの出力が大きいことがわかる。これにより、前後の駆動力配分をより最適化できることを示している。

 

車両重量

燃費

T33型エクストレイル

1,880kg

18.3~19.7km/L

80系ハリアーハイブリッド

1,750kg

21.6~22.3km/L

車両重量を最高額グレードで比較すると、80系ハリアーハイブリッドのほうが100kg以上軽い。燃費性能は80系ハリアーハイブリッドが上回っている。

燃費差はハイブリッドシステムだけでなく、車重の差も大きく影響をしていると思われる。

価格帯の幅広いT33型エクストレイルはグレードによる装備差が大きい

価格比較

T33型エクストレイルの評価は3.5

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.0

 

日産T33型エクストレイルとトヨタ80系ハリアーハイブリッドの最上級グレードの価格は下記の通り。

  • 日産エクストレイルオーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージ…533万2800円
  • トヨタハリアーハイブリッド Zレザーパッケージ4WD…514万8000円

最上級グレード同士の価格を比較すると、T33型エクストレイルの方が約18万4800円高額だ。この価格差がどうして生じるのか、装備面をチェックしてみよう。

 

両車ともに駆動方式は4WDだ。

装着しているタイヤサイズは、T33型エクストレイルのほうがスペックで上回っている。

  • T33型エクストレイル…255/45R20
  • 80系ハリアーハイブリッド…225/55R19

運転支援機能を比較してみよう。

【T33型エクストレイルの標準装備】

  • 360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)…360°全ての方向の安全を確保
  • プロパイロット+ナビリンク…機能高速道路の単一車線での運転支援
  • プロパイロット パーキング…駐車時にステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてを自動で制御

 

【80系ハリアーハイブリッドの標準装備】

  • トヨタセーフティセンス…8つの機能がパッケージ化(プリクラッシュセーフティ、ドライバー異常感知システムを含む)
  • プリクラッシュセーフティ…歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付
  • パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)+ブラインドスポットモニター(BSM)…車両後方のサポート

両車とも、ドライバーに万が一の事態が生じた場合でもクルマを安全な場所に移動する最新のシステムを搭載している。

  • T33型エクストレイル…プロパイロット緊急停止支援システム(SOSコール機能付)
  • 80系ハリアーハイブリッド…ドライバー異常時対応システム

続いて快適装備を比較してみよう。

両車ともに、サンルーフは最上級グレードでもオプション設定だ。

高級オーディオでは、80系ハリアーハイブリッドがリードしている。

  • T33型エクストレイル…9スピーカーのボーズサウンドシステム(オプション)
  • 80系ハリアーハイブリッド…9スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステム(標準装備)

家庭用電気機器を使えるAC100V最大1500Wのアクセサリーコンセントは、T33型エクストレイルが優勢だ。

  • T33型エクストレイル…ラゲッジルームに1個(標準装備)
  • 80系ハリアーハイブリッド…オプション

シート表皮は互角だ。

  • T33型エクストレイル…ブラックレザーブルステッチ(標準装備)
  • 80系ハリアーハイブリッド…本革シート(標準装備)

また両車ともにフロントシートはパワーシート。フロント&リアシートにヒーター機能を標準装備している。

 

T33型エクストレイルと80系ハリアーハイブリッドの最上級グレードを比べてみると、T33型エクストレイルのほうが運転支援機能に加え快適装備も充実しており、この価格差は妥当と言える。

 

ただし80系ハリアーハイブリッドに比べて、T33型エクストレイルはグレード数も多く、価格のレンジも広い。それだけグレードによる装備差が大きくなるので、T33型エクストレイルのグレード選びは注意が必要だ。

 

T33型エクストレイルオーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージに標準装備で80系ハリアーハイブリッドZレザーパッケージ4WD に装着されていない主な装備は以下の通り。

  • プロパイロット(ナビリンク機能付)
  • 100V AC電源(1500W)

 

80系ハリアーハイブリッドZレザーパッケージ4WDに標準装備でT33型エクストレイルオーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージに装着されていない装備は以下の通り。

  • 高級オーディオ

受注停止が続いたT33型エクストレイルは若干、値引き渋め

購入時の値引き術

T33型エクストレイルの評価は3.0

80系ハリアーハイブリッドの評価は3.5

 

新車を購入する際、気になるのが納期だ。2024年8月現在、日産T33型エクストレイルの納期は1カ月。一方トヨタ80系ハリアーハイブリッドは2~3カ月となっている。コロナ禍から考えればずいぶんと短くなった。

 

T33型エクストレイルの値引きは、納期が正常化してきてから拡大傾向にある。当初の値引き金額は5万~10万円だったが、現在は20万円程度になってきている。現金値引きが厳しくなったら、ディーラーオプションやコーティング、下取り車の価格を上げてもらうように交渉するとよい。

また、T33型エクストレイルの場合、80系ハリアーハイブリッドと競合させることが重要だ。このクラスで最も売れているモデルだけに、営業マンも負けたくないと勝負に出てくる可能性が高い。

 

対する80系ハリアーハイブリッドは、販売開始から4年経過していることもあり、T33型エクストレイルに比べると値引きの期待は大きい。20万~30万円を目標にできるだろう。こちらもオプション装備や下取り価格を上げてもらうという戦略をとりたい。

値引き額は拡大傾向にあるものの、なにもしなければ値引きゼロベースになる。T33エクストレイルと競合させることが重要だ。すでに、デビューから4年が経過していて、そろそろ販売台数が落ち始めるころ。販売台数減を嫌い、値引き勝負に出てくる可能性も高い。

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デザインはSUVらしい逞しさを異なる手法で表現している

デザイン比較

T33型エクストレイルの評価は4.0

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.5

 

日産T33型エクストレイルは、初代から受け継ぐタフな力強さを持つ。さらに、余裕と上質さを感じられるエッセンスを加えた新しいSUV プロポーションに進化している。

対するトヨタ80系ハリアーハイブリッドは、スタイリッシュかつ逞しいシルエットが特徴だ。欧州プレミアムブランドのSUVに採用されているクーペフォルムの恩恵である。

モダンなデザインの中に日本伝統の技法を盛り込んだT33型エクストレイル

T33型エクストレイルの全景画像

※上図:T33型エクストレイルの全景

T33型エクストレイルの外観デザインの魅力は、インテリジェントで精悍なフロントマスクに集約されている。特徴的なヘッドランプは、上段にポジションランプとターンランプを、下段にメインランプを配置し、上質感を演出する2 階建ての構造だ。

T33型エクストレイルのフロントフェイス画像

※上図:T33型エクストレイルのフロントフェイス

フロントグリルには、立体的で非常に手の込んだグリルパターンを採用した。伝統工芸の「組み木」からインスパイヤーされ、日本の風景に溶け込む上質なデザインに仕上がっている。さらに洗練されたピンストライプのV-モーションなどによってモダンで先進的かつ上質なプレミアム感を醸し出している。

T33型エクストレイルのサイドビューは、タフなSUVそのもの。そしてリアの彫刻的で立体感あふれる力強いデザインが、T33型エクストレイルの凛とした精悍さと、タフで屈強な者に守られているような安心感を与える。

T33型エクストレイルのリヤエンド画像

※上図:T33型エクストレイルのリヤエンド

また、リアコンビネーションランプのシグネチャーは視認性が高い。無垢のインナーレンズには日本の伝統的な切子パターンからインスピレーションを得た、精密でキラキラと光り輝く加工が施され上質さを演出している。

質感の高いミニマニズムのデザインを採用した80系ハリアーハイブリッド

80系ハリアーハイブリッドの全景画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドの全景

トヨタ80系ハリアーハイブリッドのデザインコンセプトは、「Dignified Elegance(大いなる逞しさ)」だ。キーポイントとなるのが、「Graceful life」を彩る華美でも無骨でもない、洗練さを持ったSUV・流麗なクーペキャビンとスポーツカー並の逞しいスタンスによる独自の佇まいだ。

80系ハリアーハイブリッドのフロントフェイス画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドのフロントフェイス

80系ハリアーハイブリッドのフロントマスクは、フロントアッパーグリルからヘッドランプへと流れるような連続性により、精悍かつシャープな印象を際立たせたビューが特徴。二重のL字型に発光するデイタイムランニングランプは、遠くからでも80系ハリアーハイブリッドとわかる個性と先進性を強調している。

80系ハリアーハイブリッドのサイドビューは、できるだけ無駄なラインを排除したシンプルな構成だ。さらに、ダイナミックにボディ断面が変化していくサイドビューによって豊かな表情も持つ。

0系ハリアーハイブリッドのリヤエンド画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドのリヤエンド

そしてリアは、絞り込まれたクーペキャビンとスポーツカーのように左右に張り出したホイールハウスとの組み合わせにより、逞しさを演出。また、細く、鋭く、横一文字に光るテールランプによってワイド感と低重心そして圧倒的な存在感を放っている。

3列シートを用意するT33型エクストレイルのほうが使い勝手が良い

室内空間と使い勝手

T33型エクストレイルの評価は4.5

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.0

 

日産T33型エクストレイルとトヨタ80系ハリアーハイブリッドのボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下のとおり。

 

T33型エクストレイル

全長×全幅×全高

4,660mm×1,840mm×1,720mm ※

ホイールベース

2,705mm

荷室容量

575L(後席利用時)

※全長:一部4,665/4,675mm、全高:一部1,715mm

 

トヨタ80系ハリアーハイブリッド

全長×全幅×全高

4,740mm×1,855mm×1,660mm

ホイールベース

2,695mm

荷室容量

409L(後席利用時)

両車、同じミドルサイズSUVだが、80系ハリアーハイブリッドの方が大きい(全長は最大で+80mm、全幅は+15mm)。

80系ハリアーハイブリッドのほうがワイド&ローのフォルムとなっている。

 

その一方で全高はT33型エクストレイルの方が高い(+60mm)。

T33型エクストレイルの運転席画像

※上図:T33型エクストレイルの運転席

T33型エクストレイルの2列目シート画像

※上図:T33型エクストレイルの2列目シート

T33型エクストレイルの3列目シート画像

※上図:T33型エクストレイルの3列目シート

室内の広さに大きく影響するホイールベースは、T33型エクストレイルのほうが100mmも長い。これによって、7人乗りの3列シートのレイアウトを可能としている。

 

一方、スタイリッシュなクーペデザインを採用している80系ハリアーハイブリッドはワイド&ローのフォルムとの相乗効果で高い走行性能を強調している。

80系ハリアーハイブリッドの運転席画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドの運転席

80系ハリアーハイブリッドの後席画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドの後席

ラゲッジスペースを5人乗りで比較すると、T33型エクストレイルのほうが約166L大きい。しかも、室内の高さはT33型エクストレイルのほうが高いので、数字以上に使い勝手に違いがある。

T33型エクストレイルの荷室画像

※上図:T33型エクストレイルの荷室

80系ハリアーハイブリッドの荷室画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドの荷室

80系ハリアーハイブリッドは、スタイリッシュなデザインを採用し、走行性能の高さを強調している。対するT33型エクストレイルは3列シートをレイアウトし、高いユーティリティを追求した。同じミドルサイズSUVでもこの両車の狙うポイントはハッキリと異なっている。使い勝手の良さはT33型エクストレイルが有利だ。

予備安全装備はプロパイロットをはじめ、T33型エクストレイルの充実度に注目

安全装備&運転支援機能

T33型エクストレイルの評価は5.0

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.5

 

日産T33型エクストレイル、トヨタ80系ハリアーハイブリッドの持つ運転支援機能を含めた予防安全装備は、フレッシュなモデルということもあり、国産ミドルサイズSUVの中ではトップレベルの充実度を誇っている。

T33型エクストレイルのインパネデザイン画像

※上図:T33型エクストレイルのインパネデザイン

T33型エクストレイルの最上級グレード、オーテックe-4ORCE アドバンスドパッケージは、ナビリンク機能付プロパイロット、プロパイロット緊急停止支援システム(SOSコール機能付)も標準装備。

T33型エクストレイルのメーター画像

※上図:T33型エクストレイルのメーター

後方支援も充実しており、まさに 車両の360°を見守ってドライバーを支援している。

  • インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)
  • BSW(後側方車両検知警報)
  • RCTA(後退時車両検知警報)

80系ハリアーハイブリッドインパネデザイン画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドインパネデザイン

一方、80系ハリアーハイブリッドの最上級グレード、Zレザーエディション 4WDは、トヨタセーフティセンスを標準装備している。以下の機能を含めた8つをパッケージ化したものだ。

  • プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付)
  • ドライバー異常時対応システム

80系ハリアーハイブリッドメーター画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドメーター

さらに、パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)+ブラインドスポットモニター(BSM)といった車両後方のサポート機能も充実しているのが特徴だ。

販売開始年が2年違うせいか、運転支援機能(プロパイロット等)に関しては、T33型エクストレイルのほうが充実していると言える。

舗装路ならば差はないが、悪路ではT33型エクストレイルが有利

走行性能の比較

T33型エクストレイルの評価は4.5

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.0

日産T33型エクストレイルの出力、車両重量は以下のとおり。

  • 前/後モーター最高出力 204/136㎰(e-4ORCE)
  • 前/後モーター最大トルク 330/195Nm(e-4ORCE)
  • システム最高出力 204㎰
  • 車両重量1,740~ 1,890kg

トヨタ80系ハリアーハイブリッドのシステム出力、車両重量は以下のとおり。

  • システム最高出力 222ps(E-Four)
  • 車両重量 1,650~1,750kg

前後のモーターの合算になっていのは、発電できる電力量が同じためである。

 

システム最高出力を比較すると、80系ハリアーハイブリッドが18㎰上回る。さらに、走行性能に影響の大きな車両重量は、80系ハリアーハイブリッドのほうが約100kg軽い。そのため加速力では、80系ハリアーハイブリッドが上回る。

 

大きな違いが出ているのが、4WDの走行性能だ。

T33型エクストレイルのエンジンルーム画像

※上図:T33型エクストレイルのエンジンルーム

T33型エクストレイルは136㎰もの大出力を後輪に設置したe-4ORCEを採用。80系ハリアーハイブリッドの4WDであるE-Fourの後輪側モーターの出力が54㎰なので、T33型エクストレイルの出力の大きさは明白といえる。そのため、後輪側に大きな出力とトルクを送れるT33型エクストレイルの方が、悪路走破性にも優れている。

 

T33型エクストレイルに搭載しているe-4ORCEは、雪道などの滑りやすい道でも運転がしやすい。高出力の後輪モーターの回生ブレーキを積極的に使用し、滑りやすい路面では車体を安定した姿勢で減速する。街中では、ブレーキング時のピッチングを抑える効果もあり、車体はフラットな姿勢の維持を実現。快適な乗り心地を提供している。

また、カーブでは前後のモータートルク配分と4輪のブレーキを統合制御する。そのため、大きな車体ながらカーブでは曲がりやすく、運転が上手くなったような感覚を味わえる。

80系ハリアーハイブリッドのエンジンルーム画像

※上図:80系ハリアーハイブリッドのエンジンルーム

対する80系ハリアーハイブリッドもエンジンとモーターの優位な部分を使い分けたスムーズな加速性能が特徴だ。そのうえ燃費性能も高い。T33型エクストレイルと比べると、軽快な走りが特徴と言える。

舗装路だけならば両車の走行性能に差はない。だが悪路や滑りやすい路面などではT33型エクストレイルに分がある。リアに高出力なモーターを搭載し、駆動力配分をより最適化できるからだ。

高級車らしいオンロードの走行性能を重視

トヨタ80系ハリアーハイブリッドは、オンロードでの快適性を重視したSUVだ。最新の車台であるGA-Kプラットフォームは、トヨタやレクサスの中型FF(前輪駆動)モデルに多く使われている。そのため、パワーユニットやプラットフォームなどRAV4とほぼ共通だ。ただし、ハリアーブランドということもあり、質感や乗り心地、静粛性などは大幅にアップされている。

 

特に80系ハリアーハイブリッドにとって、静粛性と乗り心地は重要な要素だ。ボディ各部に吸遮音材を最適に配置し、高遮音ガラスを採用した。徹底した振動対策を施すことで、高い静粛性を実現した。サスペンションも乗り心地を重視。ややソフトながら、フラットライドな乗り心地とした。

圧倒的なリセールを誇る王者ハリアー、期待大のエクストレイル

リセールバリュー

T33型エクストレイルの評価は4.5

80系ハリアーハイブリッドの評価は4.5

 

日産T33型エクストレイルが2022年、トヨタ80系ハリアーハイブリッドが2020年に登場。T33型エクストレイルは、まだ新しいモデルということもあり、2022年式の比較とした。

中古車相場は以下の通り(2022年式)。

  • T33型エクストレイル 中古車相場:約370~430万円
  • T33型エクストレイル 新車価格帯:約320~505万円

 

  • 80系ハリアーハイブリッド 中古車相場:約360~460万円
  • 80系ハリアーハイブリッド 新車価格帯:約372~515万円

T33型エクストレイルと80系ハリアーハイブリッドの中古車相場は、それほど大きな差はなかった。T33型エクストレイルは、新車価格の85~116%となった。新車越えしているのは、エントリグレードSの中古車が流通していないためだ。これを差し引いても、ほとんどの車両が新車価格並みで、非常に高いリセールバリューとなっていることが分かる。

80系ハリアーハイブリッドは、数多くのSUVの中でもトップレベルのリセールバリューを誇る。中古車価格は、新車価格の約89~97%となった。さすが、リセールバリュー王モデルといえる。

 

人気上級グレードを比較すると、以下の通りになる。

  • T33型エクストレイルG e-4ORCE 中古車相場:390~440万円
  • T33型エクストレイルG e-4ORCE 新車価格:約450万円

 

  • 80系ハリアーハイブリッドZ E-Four 中古車相場:約360~460万円
  • 80系ハリアーハイブリッドZ E-Four 新車価格帯:約485万円

T33型エクストレイルG e-4ORCEの中古車は、新車価格の約87~98%。80系ハリアーハイブリッドZ E-Fourの中古車は、新車価格の約74~95%となった。高価格帯は両車共に大きな差はなく、新車価格並みだ。これだけ高いと、中古車を買うメリットが低くなるので注意が必要である。

低価格帯は、80系ハリアーハイブリッドの方がやや安価傾向となった。これは、80系ハリアーハイブリッドがデビューから4年が経過し、少々古さが出てきたことが要因だろう。いずれ、T33型エクストレイルも下落していくと思われる。現在は、T33型エクストレイルは、80系ハリアーハイブリッドをやや上回り、非常に優れたリセールバリューを叩き出している。先代モデルであるT32エクストレイルのリセールバリューは、ハリアーを超えるレベルには至っていなかった。そのため、T33型エクストレイルのリセールバリューは、しばらく注視する必要がある。

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7人乗りを設定し高い実用性を誇るエクストレイルと、ラグジュアリーSUVを極めた80系ハリアーハイブリッド

まとめ・総合評価

T33型エクストレイルがお勧めの人
  • EVに近い電動車特有のフィーリングを味わいたい
  • 7人乗りがほしい
  • オン・オフ問わない高い走行安定性を求める
80系ハリアーハイブリッドがお勧めの人
  • スタイリッシュで、高級感あふれるSUVに乗りたい
  • 燃費性能重視
  • 安定した高いリセールバリューに期待したい

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T33型エクストレイル

80系ハリアーハイブリッド

総合得点(40点満点)

33.0

33.5

1.燃費

4.0

4.5

2.価格

3.5

4.0

3.購入時の値引きしやすさ

3.0

3.5

4.デザイン

4.0

4.5

5.室内空間と使い勝手

4.5

4.0

6.安全装備

5.0

4.5

7.走行性能

4.5

4.0

8.リセールバリュー

4.5

4.5

日産T33型エクストレイル価格・スペック

T33型エクストレイルの価格

S

360万1400円

S e-4ORCE

385万1100円

X

384万100円

X e-4ORCE

414万400円

X e-4ORCE 3列シート

427万1300円

X e-4ORCE エクストリーマーX

449万2400円

X e-4ORCE エクストリーマーX 3列シート

462万3300円

G

445万1700円

G e-4ORCE

475万2000円

オーテック

457万9300円

オーテック e-4ORCE

484万1100円

オーテック e-4ORCE 3列シート

497万2000円

オーテックアドバンスドパッケージ

503万2500円

オーテック e-4ORCEアドバンスドパッケージ

533万2800円

T33型エクストレイルのスペック

代表グレード

G e-4ORCE

ボディサイズ

4,660mm×1,840mm×1,720mm

ホイールべース

2,705mm

最低地上高

185mm

最小回転半径

5.4m

車両重量

1,880kg

エンジン型式

KR15DDT型

エンジンタイプ

直列3気筒DOHCターボ

総排気量

1,497cc

最高出力

144ps(106kW)/4,400~5,000rpm

最大トルク

250N・m(25.5kgm)/2,400~4,000rpm

フロントモーター最高出力

150kW(204ps)/4,501~7,422rpm

フロントモーター最大トルク

330N・m(33.7kgm)/0~3,505rpm

リアモーター最高出力

100kW(136ps)/4,897~9,504rpm

リアモーター最大トルク

195N・m(19.9kgm)/0~4,897rpm

燃費(WLTCモード)

18.4km/L

電力用主電池

リチウムイオン電池

駆動方式

4輪駆動(4WD)

サスペンション

前:ストラット、後:マルチリンク

タイヤサイズ

235/55R19

トヨタ80系ハリアーハイブリッド価格・スペック

80系ハリアーハイブリッドの価格

 

2WD

4WD

G

411万9000円

433万9000円

Z

462万8000円

484万8000円

Z レザーパッケージ

492万8000円

514万8000円

80系ハリアーハイブリッドのスペック

代表グレード

Zレザーパッケージ4WD

ボディサイズ

4,740mm×1,855mm×1,660mm

ホイールべース

2,690mm

最低地上高

190mm

最小回転半径

5.7m

車両重量

1,750kg

エンジン型式

A25A-FXS

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量

2,487cc

最高出力

178ps(131kW)/5,700rpm

最大トルク

221N・m(22.5kgm)/3,600~5,200rpm

フロントモーター最高出力

88kW(120ps)

フロントモーター最大トルク

202N・m(20.6kgm)

リアモーター最高出力

40kW(54ps)

リアモーター最大トルク

121N・m(12.3kgm)

燃費(WLTCモード)

21.6km/L

電力用主電池

リチウムイオン電池

駆動方式

4輪駆動(4WD)

サスペンション

前:ストラット 後:ダブルウィッシュボーン

タイヤサイズ

255/55R19

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員