2019年10月の消費税増税の影響で、新車販売台数は昨年比割れとなっており、買い手に取って有利な状況となっている。
特に、2〜3月はメーカー・販売店の決算期でもあり狙い目だ。
しかし大幅値引きを引き出すには、どのように交渉するかも重要。この記事では値引き交渉をする際、知っておきたい3つの交渉術を紹介する。
あえて面倒な客になることが大幅値引きの第1歩
新車販売は、理不尽極まりない。
お目当てのクルマに惚れ込み、指名買いでお店に行けば「鴨が葱を背負って来る」状態で、値引きはほぼゼロとなる。
一方、ライバル車と競合させて、ネチネチと長時間交渉を重ねる顧客は大幅値引きが得られる。
お店にとって面倒な顧客ほど得をして、上顧客ほど損をする。
「商売とはそういうもの。」と、一蹴されればそれまでだが、なんだか腑に落ちない。
面倒なことはしたくないが、新車の値引き額は大きいので無視できないのが現状だ。
こうなると、クルマ購入時は「あえて面倒な客」になるしかない。
大幅値引きを狙うには時期が重要
新車の大幅値引きを得るためには、時期がとても重要になる。
最も大幅な値引きが期待できるのは、2~3月。
なぜ2~3月かというと、多くの自動車メーカーや販売店の決算が3月だから。
決算直前に販売台数というノルマを達成するためのラストスパート時期が2~3月なのだ。
赤字覚悟の大幅値引きが可能なのは、インセンティブが値引きの元手になるから
販売店とディーラーは、年度初めにノルマ(契約台数)を決める。
このノルマに対して、総台数や車種毎に細かくインセンティブが決められる。
たとえば、年間10,000台のノルマがある販売店において「10,000台達成で1台あたり10,000円、達成率110%の11,000台で1台あたり20,000円のインセンティブ」と設定していたとする。
この場合、10,000台達成でインセンティブは1億円、11,000台達成で2億2,000万円となる。
インセンティブは純粋に利益となるため、販売会社は必死にその数字を追う。
しかし注目したいのは、決算期にはこのインセンティブが値引きの元手にもなることだ。
もしこの販売店で、11,000台達成まであと500台足りないとする。
そんなとき、1台あたり10万円の赤字になるような大幅値引きで500台を販売すると、赤字は5,000万円となる。
しかし、2億2,000万円のインセンティブが入るのであれば、実質1億7,000万円の利益となる。
10,000台時のインセンティブ1億円より、7,000万円多く利益が出るのだ。
そうなると当然、2億2,000万円インセンティブを得るため、足りない500台を赤字でもいいから売れという指令が出る。
これが、2~3月に大幅値引きが出やすい大きな要因のひとつだ。
2〜3月にメーカーはさらなるインセンティブを提示する
販売状況にもよるが、2~3月になるとメーカーはディーラーに対してさらなるインセンティブを提示してくることもある。これが値引きを加速させる。
インセンティブ獲得を目的によりモチベーションを上げてもらい、営業マンに1台でも多く売ってもらおう、という戦略だ。
増税の影響で新車販売台数減。買い手が超有利な状況に!
そして2020年の2~3月は、さらに買い手に有利な状況になっている。
というのも、2019年10月に消費税増税が行われた影響で、新車販売台数は昨年比割れ状態。非常に厳しい状況になっているメーカーが多いのだ。
当然、販売現場は少なくとも昨年並みにしたいと考えているようで、必死の営業活動が行われる。各社で顧客を奪い合う状態が、より鮮明になるのだ。
この状況は、買い手側にとって大チャンス。クルマを買うのであれば、この時期を逃す手はない。
値引き交渉術① ライバル車と競合させることが絶対条件
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大幅値引きを引き出すために、重要なのが競合だ。
本命車種の見積りを取る前に、必ずライバル車の見積りを取っておきたい。
なぜなら、一般的には本命車種の見積りを最初に取る傾向が強いからだ。
あえて本命車種ではないクルマの見積りを先に取ることで、本命車種が何であるかカモフラージュする意味がある。
本命車種の商談では「ついでに見に来た」感を出すとよい。
営業マンには、本気を出してもらうために「価格次第では買ってもよい」と必ず伝えよう。
「ライバル車より価格で優位に出れば買ってもらえる」と理解してもらえれば、値引き額はグッとアップしてくる。
営業マンが「いつ買ってくれるのか?」と、しつこく聞いてきても「ライバル車側が、ちょっと待ってくれ、と言っている」など上手くはぐらかし、さらなる値引きを期待したい。
駆け引きに自身のある人は「〇〇万円値引きしてくれば、今決める」と、値引き額をこちら側が指定するのもよい。基本的に、営業マンは「今決める」という言葉に弱い。
値引き交渉術② 3月末までに登録できるクルマが狙い目
ただ、注意したいのが登録(届出)日だ。
クルマは登録(届出)してようやく売ったことになる。注文書にサインした日ではないので注意が必要。
大幅値引きの対象となるのは、3月末までだ。つまり、4月以降の登録(届出)になる車両は対象外となる。
3月末に登録(届出)できるように、ギリギリまで引っ張って大幅値引きを引き出すには、2月から商談を始めたい。
一般的なモデルであれば、注文から1ヶ月程度で登録(届出)できるが、新型車や人気モデルだと、納期が1.5~2ヶ月ということも珍しくないからだ。
新型車や人気モデルだと、やはり値引きは渋くなる。
値引き交渉術③ 在庫車狙いで大幅値引きを狙え!
また、この時期はすぐに登録(届出)できるように、在庫車をもっているケースが多い。
在庫車はすぐに登録(届出)できるので、大幅値引きの対象となりやすい。
しかし在庫車は売れ筋グレードが中心で、選択肢が限られる。
もし色やオプションなどにそれほどこだわらないのであれば、こうした在庫車を選び、大幅値引きをしてもらうという方法もありだ。
特に輸入車は、こうした傾向が強い。
中古車の大幅値引きは?
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ディーラー系中古車店も新車同様に、メーカーからインセンティブが出ているケースが多い。
しかし、新車ほどの規模ではないため、新車ほどの大幅値引きはむずかしい。
また、一般の中古車店も同様に大幅値引きは難しい。
ただ、決算期は通常よりは柔軟に値引きに対応してくれる。
値引きを引き出すためには、新車と同様に競合させることが重要。
異なるお店で、同じような価格帯の中古車の見積りを取って競合させたい。
営業マンのトークに惑わされてはダメ
中古車の場合、まったく同じクルマは存在せず、在庫車の販売がほとんどだ。
そのため「他にも検討している顧客がいる」、「人気車なので、すぐに売れてしまう。早いもの勝ち」など、センスのないトークをする営業マンが多く、即決を求めてくる。
こうした話を鵜呑みにしてはだめだ。
よほど特殊なクルマでなければ、似たようなクルマはいくらでもある。
こういう場合には「似たようなクルマはいくらでもあるので、ここでスグに買わなければならない理由はないどこにもない。そちらが即決を求めるのであれば、値引き対応してほしい」とするのもよい。
中古車は現金値引きだけではなく、サービスや用品の無償提供を求めるのもあり
また、中古車の場合、値引きだけにこだわる必要はない。値引き商談が暗礁に乗り上げたら、方向性を変えたい。
たとえば、有料の延長保証があるのであれば、延長保証を無償で提供してもらうのもよい。
タイヤがすり減っているのであれば、タイヤを無償で新品にしてもらうというような方法もある。
用品やサービスだと、お店側は原価負担で済むので対応しやすいのだ。
顧客側にとっても、必要なものであれば実質値引きに等しいので、双方にメリットがある。
ただ、注意したいのは、必ず注文書に記載してもらうこと。のちのち「言った」「言わない」というトラブルを避けるためだ。