この記事の目次 CONTENTS
独自性を重視し、マツダ3とは異なるデザインを採用
クラストップレベルの質感をもつ内装
注目は2.0LのスカイアクティブXだが…
安価でバランスのよい2.0LスカイアクティブGが売れ筋になる?
グレードダウンしたリヤサスペンション
安心できる予防安全装備
マツダCX-30の選び方
マツダCX-30価格
マツダCX-30の燃費などスペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

マツダは、新型SUVとなるCX-30の発売を開始した。マツダの独自技術である「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を採用する2.0Lガソリンエンジン「スカイアクティブX」搭載車は、2020年1月下旬以降の発売予定だ。

独自性を重視し、マツダ3とは異なるデザインを採用

マツダCX-30は、すでに発売済みのマツダ3をベースに開発されたモデル。 エンジンや基本骨格分部分などを共有している。

こうしたモデルは数多く存在するが、最近では独自性を重視することが多い。

たとえば、トヨタ C-HRだ。
基本骨格やエンジンなどはプリウスやカローラ系と同じだが、内外装デザインなどは全く異なる。

またその逆で、スバル XVなどはベース車となるインプレッサのイメージを色濃く残している。
CX-30は独自性を重視した結果、マツダ3とは全く異なった内外装デザインとなった。

引き算の美学?

マツダCX-30のデザインは、もはやお馴染みといえる「魂動デザイン」が採用されている。
デザインテーマは、「流麗、大胆」。
マツダは新世代デザインとして「引き算の美学」を取り入れ、シンプルでエレガンスなスタイルを目指している。

CX-30は、マツダ3同様にシンプルな面で構成されたデザインが印象的だ。

フロントフェイスでは、大型化された五角形グリが力強さを表現。マツダ車らしい顔にまとめられている。
引き算の美学が生かされ、非常にシンプルな面構成だ。

派手なキャラクターラインなどは一切入っていない。滑らかな面構成で、光の当り方や映り込みにより、色々な表情を見せる。
なかなかキレイなサイドビューだ。

リヤビューもいつもの丸型テールライトを採用。リヤゲートも柔らかな面構成がされており、独特のリヤビューとなっている。なかなか個性的だ。

また、前後のターンシグナルランプは、点灯した後に余韻を残すように徐々に消えていくLEDデミングターンシグナルを採用。発光表現を調光制御で実現した。

クラストップレベルの質感をもつ内装

マツダCX-30の内装は、ドライバー中心にまとめられている。
適切なドライビングポジションがしっかりとれることなど、人間中心の思想に基づいたデザインだ。

引き算の美学という考え方は、インテリアにも採用された。
非常にスッキリとまとめられており、好感度は高い。広がり感もある。

また、各部の質感が高いのも特徴。クラストップレベルといえる。

CX-30のメーターは7インチのTFT液晶を採用。シンプルな白・黒ベースだが、見やすく高級感もある。

センターディスプレイは8.8インチ。視線移動の少ない位置に設定されていて、安全面でも配慮されている。シフトノブ側にあるコマンドコントロールで操作も可能だ。

注目は2.0LのスカイアクティブXだが…

マツダCX-30に用意されたエンジンは、3タイプある。
ガソリンはスカイアクティブG 2.0とスカイアクティブX 2.0の2機種。ディーゼルはスカイアクティブD 1.8の1機種という設定となった。

全エンジン共に、6速ATが組み合わされる。また、駆動方式はFF(前輪駆動)で、4WDの設定もある。

注目は、やはり2.0LのスカイアクティブX。
このエンジンは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良さを併せ持つ。

世界初マツダ独自の燃焼方式である「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を採用している。
優れた燃費性能と、力強いトルク、高回転までスムーズに伸びるフィーリングをもつエンジンだ。

さらに、マイルドハイブリッドシステムも組み合わされており、さらに低燃費化に貢献する。
ベルト式のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を使うことで、アイドリングストップからのエンジン再始動が非常に静かで振動も少ない点も特徴だ。

魅力的なスカイアクティブXなのだが、デメリットもある。

まず、ハイオクガソリンを使うことだ。
ハイオク仕様を嫌う日本市場では、マイナス要因のひとつとなる。

さらに、さまざまな技術がてんこ盛り状態なこともあり、車両価格が高価になっている。
エンジンスペックからイメージする価格よりも、かなり高額に感じる。

CX-30用のスカイアクティブXのスペックはまだ公表されていないが、マツダ3と同様だとすると184ps&224Nmとなるだろう。

安価でバランスのよい2.0LスカイアクティブGが売れ筋になる?

エントリーグレードに搭載されたのは、スカイアクティブGの2.0L車。
115kW(156ps)/6000rpm、199N・m/4000rpmのパワー&トルクをアウトプットする。

WLTCモード燃費は15.4km/Lと、バランスの取れたエンジンだ。
車両価格も他のエンジン車と比べると安価な設定。このエンジン搭載車が売れ筋グレードになるだろう。

そして、1.8LディーゼルのスカイアクティブDの出力&トルクは、85kW(116ps)/4000rpm、270N・m/1600-2600rpmとなった。燃費は19.2km/Lだ。

270Nmものトルクがあるの街中から高速道路まで、力強い加速力を誇るエンジンである。
燃費も良く、燃料に軽油を使うので燃料費はハイブリッド車に近いレベルになる。

グレードダウンしたリヤサスペンション

マツダCX-30は、基本骨格部分をマツダ3と共用することから、リヤサスペンションがトーションビーム式となっている。
トーションビーム式は、ダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式などと比べると、路面追従性などで不利な傾向にある。
そのため、ライバル車となるC-HRやXVなどではダブルウィッシュボーン式を採用している。

サスペンション形式としては、グレードダウンした状況だ。

もちろん、トーションビーム式がダメということではない。
欧州車には、トーションビーム式で非常によい乗り心地を誇るモデルもある。
ただ、やはり乗り心地面ではマイナス要因が多い。

マツダ3も荒い路面では、ゴツゴツ感のある乗り心地になっていることから、CX-30でもやや不安な要素でもある。

安心できる予防安全装備

CX-30の安全装備面は、なかなか高いレベルにある。
歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備は、他車ではオプションとなることが多い後側方車両接近警報や後退時車両接近警報などが全車標準装備されている。
どのグレードでも、業界標準以上のレベルの安全装備が標準装備されているので安心して乗ることができる。

マツダCX-30の選び方

グレード間の差は、基本的に豪華装備の差だ。

まず搭載エンジンと駆動方式の選択からとなる。

注目のエンジンであるスカイアクティブX搭載車は、なんと3,294,500円から。
さすがに、CセグメントのSUVでしかもFF(前輪駆動)でこの価格は高価な印象だ。
世界初の技術を搭載したことへの興味がかなり強くないと選びにくい。

1.8LディーゼルのスカイアクティブDも、なかなか高価で2,887,500円からとなる。
ライバル車であるC-HRのハイブリッド車と同等レベルだ。
やや高価ではあるものの、低燃費で力強い走りは魅力的だ。

そして、売れ筋グレードになると予想できるエンジンが2.0LスカイアクティブGを搭載車で、価格は2,392,500円からとなる。
バランスのよい2.0Lなので、予算重視や普段あまりクルマには乗らないという人に合う。

FFかAWDかという選択は、使い方次第だ。

降雪地域やウインタースポーツを積極的に楽しんでおり、予算に余裕があればAWDがおすすめ。
雪道だけでなく、雨の高速道路などでは、AWDの安心感は格別だ。路面状態を問わず楽しく走れる。

グレードの選択では、バランスのよい装備のプロアクティブツーリングセレクションをベースに検討するといいだろう。
パワーシートやシートヒーターなどが標準装備されており、満足度は高い。
レザーシートなどが欲しければ、最上級グレードのLパッケージになる。

また、選択したいオプションでは360°セーフティパッケージがおすすめ。360°ビューモニターなどが装備され、より安全に運転できるようになる。

マツダCX-30価格

  • 20S FF 6速AT/6速MT:2,392,500円、4WD 6速AT/6速MT:2,629,000円
  • 20S PROACTIVE FF 6速AT/6速MT:2,612,500円、4WD 6速AT/6速:2,849,000円
  • 20S PROACTIVE Touring Selection FF 6速AT/6速MT:2,733,500円、4WD 6速AT/6速MT:2,970,000円
  • 20S L Package FF 6速AT/6速MT:2,794,000円、4WD 6速AT/6速MT:3,030,500円
  • XD PROACTIVE FF 6速AT:2,887,500円、4WD 6速AT:3,124,000円
  • XD PROACTIVE Touring Selection FF 6速AT:3,008,500円、4WD 6速AT:3,245,000円
  • XD L Package FF:3,069,000円 、4WD 6速AT:3,305,500円
  • X PROACTIVE FF 6速AT/6速MT:3,294,500円、4WD 6速AT/6速MT:3,531,000円
  • X PROACTIVE Touring Selection FF 6速AT/6速MT:3,415,500円、4WD 6速AT/6速MT:3,652,000円
  • X L Package FF 6速AT/6速MT:3,477,100円、4WD 6速AT/6速MT:3,713,600円

マツダCX-30の燃費などスペック

代表グレード マツダCX-30 XDプロアクティブ(FF)
全長×全幅×全高 4395mm×1795mm×1540mm
ホイールベース 2655mm
最低地上高 175mm
車両重量 1460kg
乗車定員 5名
サスペンション(前/後) マクファーソンストラット/トーションビーム
エンジン 直列4気筒 DOHC直噴ターボ
総排気量 1756cc
エンジン最高出力 85kW(116PS)/4000rpm
エンジン最大トルク 270Nm(27.5kg・m)/1600~2600rpm
トランスミッション 6速AT
使用燃料 軽油
最小回転半径 5.3m