トヨタ カローラとホンダ インサイトを徹底比較。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能など様々な角度から調査。
カローラはデザインや走りがスポーティなのが特徴、インサイトは上質な大人の走りと空間が特徴となっている。
- この記事の目次 CONTENTS
- トヨタ カローラの特徴
- ホンダ インサイトの特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- まとめ・総合評価
初代トヨタ カローラは、1966年にデビュー。
トヨタの中でも非常に歴史あるモデルで、世界150以上の国と地域で累計販売台数4,750万台を超える。
そして、2019年9月に12代目となるカローラが登場。
先代カローラは、セダンをカローラ アクシオと呼んでいたが、12代目カローラからアクシオの名が外され、カローラと単一名で呼ばれるようになった。
また、ワゴンモデルのカローラ フィールダーは、カローラ ツーリングへと車名が変更されている。
12代目カローラは、先代アクシオからボディサイズを大幅にアップ。
全長は95mm、全幅は50mmも大きくなっている。
完全にひと回り上のCセグメントと呼ばれるクラスに属するようになった。
これは、Cセグメント車に使用するGA-Cプラットフォーム(車台)が採用され、グローバルでカローラブランドを統一する流れを受けてのことだ。
パワーユニットも1.5Lハイブリッドから1.8Lハイブリッドへ。
ガソリンエンジンは、1.8Lと1.2Lターボとよりパワフルなものが搭載されている。
一方、初代ホンダ インサイトは、1.0LのハイブリッドシステムIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を搭載し、1999年にデビューした。
空気抵抗を低減するため、リヤホイール上部の半分を覆うリヤホイールスカートを装備した独特のスタイルが注目された。
そして、2009年2月に登場した2代目インサイトは、1.5LのIMAを搭載。
プリウスキラーとしての役割を担っていたものの、プリウスに大敗を喫してしまう。
そして、しばらくインサイトの姿は消えていたものの、3代目ホンダ インサイトが2018年12月に登場した。
3代目インサイトのボディサイズは、全長4,675mmと大幅に拡大。
Cセグメントのセダンとしているが、全長4,715mmのDセグメント車であるBMW3シリーズなどに近いボディサイズをもつ。
ボディサイズ云々というより、もはやインサイトという名前だけが同じで、まったく異なるクルマになったといえる。
3代目インサイトに搭載されたパワーユニットは、ホンダの主力ハイブリッドシステムである「SPORT HYBRID i-MMD」のみ。
エンジンはダウンサイジングされ1.5Lとなっている。
ややボディサイズは異なるが、同じCセグメントに属するセダン。
しかも、両車はハイブリッド車がメイン。
そんな注目のセダン2台を徹底比較した。
トヨタ カローラの特徴
走りはよいが、予防安全装備に物足りなさあり
トヨタ カローラには、GA-Cプラットフォームが採用されている。
このプラットフォームは、プリウスやC-HR、カローラスポーツなどと基本的に共通。
カローラスポーツは、GA-Cプラットフォームを使った後発モデルということもあり、動的性能が進化、運動性能面で高く評価されている。
カローラはそのカローラスポーツよりさらに後発ということで、熟成がより進み、走って楽しいセダンに仕上がっている。
搭載エンジンは、1.8Lの自然吸気エンジンと1.2Lターボ、1.8Lハイブリッドが用意された。
主力となるのは、1.8Lハイブリッドだ。
1.2Lターボには、なぜか6MTのみが設定されている。
重要な予防安全装備では、夜間の歩行者や昼間の自転車が検知できる最新の「トヨタセーフティセンス」が全車に標準装備化された。
ただ、誤発進抑制機能であるインテリジェントクリアランスソナー、後側方車両接近警報など、ベーシックな装備がグレードによりオプション設定、もしくは装着不可になっているなど、安全装備面では消極的だ。
安全装備面では消極的だが、コネクティッドサービスは積極的だ。
7インチディスプレイは、全車標準装備。
DCM(専用通信機)も標準装備されており、一部オプションとなるがSOSコールやスマートフォンと連携し、施錠や車両の駐車位置確認、ナビの目的地設定、オペレーターサービスなどが使用できる。
ホンダ インサイトの特徴
新世代のハイブリッドシステムを搭載
ホンダ インサイトの全幅は1,820mmと、Cセグメントのセダンとしてはかなりワイドだ。
水平基調のグリルなどが組み合わされていることから、さらにワイド&ローなフォルムを強調。
切れ長で睨みの効いたヘッドライトも組み合わされ、なかなか迫力あるフェイスとなっている。
インテリアは、シンプルながら上質感もある。
そして、インサイト最大の特徴は、新世代のハイブリッドシステムである1.5L「SPORT HYBRID i-MMD」。
基本的にクラリティPHEVと同じシステムを採用しているが、細部をインサイト用に最適化。
クラリティPHEVほどEV的な走りはしないものの、効率性の高いハイブリッドシステムに仕上がっている。
インサイトは車体が大きいこともあり、後席のスペースは十分。
トランクも広く、実用性も高い。
1.燃費比較
トヨタ カローラの評価は4.5点
ホンダ インサイトの評価は4.5点
燃費性能は、ほぼ互角?
トヨタ カローラの燃費は29.0㎞/L(WLTCモード)、1.8Lガソリンは14.6㎞/L、1.2Lターボは15.8㎞/Lとなった。
ガソリン車の燃費に関しては、平均的数値でとくに注目すべき点はない。
ハイブリッド車は、わずかだがインサイトの28.4㎞/Lを上回っている。
この数値は、最も燃費値のよいグレードのもの。
車重をベースに比較すると1,370㎏のカローラW×Bは25.6㎞/L、インサイトLXは28.4㎞/Lとなり、インサイトが勝る。
だが、上級の人気グレードとなるとカローラW×Bは25.6㎞/Lなのだが、インサイトは車重が1,390㎏となるEXブラックスタイルは25.6㎞/L。
こうなると、完全に互角になるのだ。
カローラ、インサイトともにハイブリッド車の燃費は世界トップレベルだ。
2.価格比較
トヨタ カローラの評価は3点
ホンダ インサイトの評価は2.5点
基準車比較ではN-WGNが買い得感あり
トヨタ カローラ ハイブリッド車の価格は、2,403,500~2,750,000円。
ホンダ インサイトにはガソリン車が設定されていないため、ハイブリッド車での比較になる。
インサイトの価格は、3,322,000~3,696,000円となっている。
価格だけみると、90万円前後という大きな価格差となった。
この価格差は、同じCセグメントのセダンとはいえ、ボディサイズの差によるものも大きい。
カローラの全長は4,495mm、全幅は1,745mm。
対してインサイトの全長は4,675mm、全幅は1,820mmだ。
完全にひと回りインサイトの方が大きい。
装備面の大きな差はナビやETC、そしてパワーシートなど。
カローラは、モニターが標準装備なのでTコネクトナビキットでも110,000円と意外とリーズナブル。
これらの装備分をプラスしても、インサイトの価格差は70万円前後ということになる。
カローラには、パワーシートが無いなど少々微妙なところもあるが、価格という面ではインサイトよりリーズナブルといえる。
3.購入時の値引き術
トヨタ カローラの評価は3点
ホンダ インサイトの評価は3.5点
しばらく値引きは厳しい?しかし、タイミング次第では大幅値引きも
トヨタ カローラは、まだデビュー直後ということもあり、しばらくの間は値引きゼロということになる。
一方ホンダ インサイトは2018年12月に登場しているので、約1年が経過。
そろそろ値引き額が大きくなってくる頃だ。
2019年は消費税が10%になったことで、若干買い控えもあり、マーケットはなかなか厳しい状況。
この流れのまま、自動車販売業界最大の繁忙期である2~3月を迎える。
マーケットは厳しい状況のまま、各社決算となるだろう。
当然のことながら、自動車販売業界にはノルマがあり、これを達成しなくてはならない。
こうなると、値引きを抑えるなどと言っていられなくなる。
むしろ、「大幅値引きしてでも売ってこい」という状態になるだろう。
完全に買い手が有利な状況になるのは確実だ。
デビュー直後とはいえ、カローラも一定の値引きを提示してでも販売しなくてはならなくなるだろう。
もちろん、インサイトも同様だ。
ただ、何もしなければ値引き額はアップしないので注意したい。
値引きさせるために重要なのは、ライバル車同士を競合させること。
カローラとインサイトだけでなく、フォルクスワーゲン ゴルフ、マツダ3なども加えてみるといいだろう。
こうしたライバル車の見積書を先に取り、カローラもしくはインサイトは「とりあえず見に来た」程度で商談を始めるとよい。
本命は、あくまで他車であることを感じさせながら商談。
価格次第では、カローラもしくはインサイトもありと伝えてみるといいだろう。
3月末の登録ギリギリまで引っ張れば、さらに値引き額は伸びてくる可能性が高い。
4.デザイン比較
トヨタ カローラの評価は3点
ホンダ インサイトの評価は4点
好き嫌いが出そうなカローラ。正統派迫力系のインサイト
トヨタ カローラのデザインは、すでにデビューしているカローラスポーツと似たフロントフェイスとし、カローラシリーズとして統一感を持たせている。
このフロントフェイスのデザインは、トヨタのキーンルックが採用され、かなりユニークなものとなった。
ただ、どうもこのデザインは好き嫌いが明確に出るようで、セダンを好む保守層にどう判断されるか、注目したい。
リヤのデザインは、水平基調のリヤコンビネーションランプを装着しワイド感を強調。
セダンらしい安定感のあるリヤビューになっている。
ホンダ インサイトのデザインは「品格」がテーマ。
高級セダンには、必要な要素だ。
品格を表現するために、フェイス部分の面積は薄くすることで低く見せ、さらに水平基調のグリルを装備。
1,820mmというワイドな全幅もあり、ワイド&ローを強調するスタイリッシュなデザインになった。
薄型のやや睨みの効いたヘッドライトデザインも加わり、高級セダンらしい迫力も手に入れている。
また、ルーフラインはクーペのように流麗だ。
セダンというより、流行りの4ドアクーペといえるシルエットをもつ。
リヤフェンダーは大きく張り出したようなデザインで、力強さを表現している。
カローラのデザインについて、フロントフェイスはやや先鋭的。
リヤデザインは、フロントフェイスとは大きく異なり、意外なほどコンサバ。
そのため、ややチグハグな感じもある。
インサイトは、欧州車的なワイド&ロー感がありスタイリッシュなセダンとはいえ、全体のバランスもよい。
5.室内空間と使い勝手
トヨタ カローラの評価は4点
ホンダ インサイトの評価は3.5点
落ち着いた大人の高級車インサイト。コネクティッドサービスで一歩先行くカローラ
室内空間の広さでは、ボディサイズがひと回り大きくホイールベースの長いホンダ インサイトが勝る。
カローラのホイールベースは2,640mm。
インサイトは、2,700mmとなっている。
ただ、それほど大きな差はなく、カローラのパッケージングもなかなか高いレベルといえる。
セダンとして大きな違いとなっているのが、インパネデザインだ。
カローラは滑らかさとシャープさを組み合わせた、スポーティな若々しいデザインになっている。また、Aピラーを細形化して良好な視界を確保し、安全運転にも貢献している。
一方、インサイトはカローラとは逆に、シックで落ち着いた雰囲気のあるデザイン。
高級セダンにふさわしいデザインになっている。
高級セダンのインパネデザインとしては、やはりインサイトがやや上をいく。
ただし、センターコンソール中央に設置されたモニターは、やや古さを感じさせる。
今時はドライバーの視線移動を最小限にするため、ダッシュボード上に設置するのがトレンドだ。
装備面では、カローラのコネクティッドサービスが勝っている。
一部オプションなどの装備があるが、事故が起きた時などに衝突を感知し、オペレーターがドライバーと交信できるSOSサービスがある。
ドライバーが意識を失っているときには、救急車などを手配してくれるサービスだ。
また、クルマから離れていてもドアロックなど一部の機能を遠隔操作できる「マイカーサーチプラス」など、多彩な機能が用意されており利便性は高い。
6.安全装備の比較
トヨタ カローラの評価は3.5点
ホンダ インサイトの評価は4点
性能差や機能に一長一短がある予防安全装備
まず、重要な歩行者検知式自動ブレーキ。
カローラは昼夜の歩行者検知と昼間の自転車検知が可能。
約10~80㎞/hの速度域で作動する。
対してインサイトは、約100㎞/h以下で作動する。
作動速度の高さではインサイトが勝るが、夜間の歩行者検知や昼間の自転車検知という面ではカローラが上を行く。
また、アクセルとブレーキの踏み間違え事故を抑制する機能である、カローラの「インテリジェントクリアランスソナー」は、一部グレードのオプションとなっている。
インサイトは全車標準装備だ。
車線変更時に、後側方から接近する車両を検知・警報を発する機能では、カローラの「ブラインドスポットモニター」が全車オプションだ。
インサイトでは、1グレードを除き全車標準装備となっている。
インサイトは全般的に、ホンダの予防安全装備パッケージである「ホンダセンシング」が多機能で標準装備化されている。
カローラの場合は、一部インサイトを上回る性能をもつ同様な安全装備があるが、多くがオプション設定だ。
自分で選ぶ必要があり、予算がどんどんと膨らむ傾向にある。
ただ、どちらも一長一短といった印象が強い。
ただ、インサイトはエントリーグレード以外は、ほぼ必要な予防安全装備が標準装備化されているので選びやすい。
7.走行性能の比較
トヨタ カローラの評価は4.5点
ホンダ インサイトの評価は3.5点
どちらも、もっとモーターの存在感が欲しい
トヨタ カローラでは、運転中の目線の動き、旋回時の姿勢、ライントレース性などドライバーが感じる動きを解析し、ドライバーの頭の位置が振られる量が少なくなるよう、サスペンションセッティングを最適化した。
その結果、優れた乗り心地とスポーティなハンドリングを両立した。
このサスペンションセッティングが絶妙。
乗り心地は非常に優れており、路面の凹凸もしなやかに吸収する。
それでいて、ステアリング操作に対してしっかりと反応。
とくに、ハイブリッド車は前後の重量バランスもよく、優れたハンドリング性能を披露してくれた。
同じGA-Cプラットフォームを使うプリウスと比較すると、もはや別のクルマのようだ。
ホンダ インサイトも前後の重量バランスがよく、なかなかスポーティなハンドリング性能をもっている。
直進安定性や静粛性も高く、高速道路などのクルージングも楽だ。
ただ、乗り心地面ではカローラがやや上といった評価になる。
カローラのほうが、フロアの振動やタイヤのゴツゴツ感が感じられなかった。
カローラのハイブリッドシステムは、エンジンの回転だけが先に高まっていくような「ラバーバンドフィール」がかなり改善されており、アクセル操作に対してリニアに加速するようになった。
ただ、アクセルの踏み込み量が多いと、エンジンの回転が高くなり、モータードライブ車らしさがあまりない。
インサイトも同様で、カローラよりはモーターの存在感があるものの、ノートe-POWERのような大トルクによる加速感に乏しい。
発電機の役割をもつエンジンは、アクセルの踏み加減によってエンジンの回転を高めたり低くしたりする。
こうなると、もはや普通のガソリン車に乗っているようだ。
モータードライブ車なのに、まるでガソリン車のように走られると、なんのためにモータードライブ車を買ったのかよく分からなくなりそうだ。
もっと、モーターの大トルクをダイレクトに感じさせる走行フィールが欲しい。
8.リセールバリュー比較
トヨタ カローラの評価は3点
ホンダ インサイトの評価は2.5点
セダン不遇時代ゆえに、見通しの立たないリセールバリュー
国産セダンは、クラウンを除き完全に瀕死状態のマーケット。
ほとんどの既存車種のリセールバリューは悪い。
今回、新規車種として投入されたカローラやインサイト両車ともに、しばらくの間は高いリセールバリューはつかないだろう。
カローラは、トヨタ車全般にリセールバリューが高いことから、極端な落ち込みは少ないと予想できる。
それでも、リセールバリューが高いと呼ばれるモデル並みには届くことはない。
同じカローラでも、ワゴンのツーリングは一定のニーズがあるので、中の上くらいのリセールバリューになると考えられる。
カローラでリセールバリューを気にするのであれば、ツーリングを購入したほうがよい。
ホンダ インサイトはデビューから1年が経過したが、中古車の流通量は少ない。
そのため、中古車価格は高値を維持しているので、リセールバリューは今のところ高めで推移している。
ただ、マイナーチェンジが行われる頃になれば、そこそこの量の中古車が流通するだろう。
こうなると、セダンは人気が無いため、中古車がダブつくことが予想でき、リセールバリューは下落の一途感がある。
インサイトの場合、手放すタイミングはマイナーチェンジ前がおすすめだ。
まとめ・総合評価
トヨタ カローラの総合点は28.5点
ホンダ インサイトの総合点は28点
スポーティなカローラか? 大人のインサイトか?
トヨタ カローラとホンダ インサイトは、同じハイブリッドセダンだが、ハイブリッドシステムやデザイン、ボディサイズ、走行性能など大きく異なる部分が多い。
この異なる部分をチェックして、自分に合うモデルを選ぶと良い。
イメージでざっくりと分けると、カローラはデザインや走りがスポーティ。
インサイトは、上質で大人の走りと空間をもつ。
燃費は同レベルなので、それほど気にすることはない。
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カローラのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和1年10月(2019年10月)〜現在
- 新車時価格
- 193.6万円〜333.8万円
カローラの在庫が現在5件あります
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