トヨタ アルファード/ヴェルファイア vs 三菱デリカD:5徹底比較!ミニバン対決

トヨタ アルファード/ヴェルファイアと三菱デリカD:5を徹底比較。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能など様々な項目で調査。
豪華さ・快適さを求めるならトヨタ アルファード/ヴェルファイア、ロングドライブや悪路走行なら三菱デリカD:5がおすすめだ。

この記事の目次 CONTENTS
トヨタ アルファード/ヴェルファイアの特徴
三菱デリカD:5の特徴
1.燃費比較
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.今のクルマを高く売る方法
10.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ アルファード/ヴェルファイアは、大型ミニバンの中で大ヒットモデルとなっている。
2018年度の登録車販売台数ランキングでは、アルファードが14位で63,351台を販売。
ヴェルファイアは、41,429台を販売し25位となった。
直接のライバルとなる日産エルグランドはランク外、やや小さいホンダ オデッセイが15,353台で40位となっている。
アルファードとヴェルファイアという姉妹車で、トヨタはトータル10万台以上を販売し、このクラスではライバル不在といえる人気を誇る。

そんなアルファードとヴェルファイアより、やや小さいボディサイズながら独自の世界感を持つミニバンが三菱デリカD:5だ。
高級路線がメインのミニバンマーケットの中、オフローダーミニバンの唯一無二のモデルとして、存在感をアピールしている。
デリカD:5は、2019年2月に大幅マイナーチェンジした。
その後、販売台数は少ないものの堅調な販売が続いている。

高級路線の代名詞ともいえるミニバンの王者アルファードとヴェルファイア。
高級路線とは全く異なるオフローダーミニバンとしてユニークさをアピールするデリカD:5。
まったく異なるキャラクターをもつ2台のミニバンを徹底比較評価。その魅力を深掘りする。

トヨタ アルファード/ヴェルファイアの特徴

現行のアルファードとヴェルファイアは、30型と呼ばれている。
アルファードは、2015年にフルモデルチェンジし3世代目。
ヴェルファイアは先代の20型から投入されたモデルのため、2世代目となる。

トヨタ アルファード トヨタ アルファード

30型アルファードとヴェルファイアは、「大空間高級サルーン」を開発テーマとして、高級路線を徹底追求。
その象徴ともいえるのが、エグゼクティブラウンジと呼ばれる最上級グレードだ。
2列目のキャプテンシートを最後端までスライドさせると、まさに超広大で贅沢なスペースが広がる。
この超豪華仕様のエグゼクティブラウンジの価格は、ガソリン車で約650万円。
高級セダンから乗り換える顧客も多い。

そして、30型アルファード/ヴェルファイアは、2018年1月にマイナーチェンジを行った。このマイナーチェンジでは、さらに30型アルファード/ヴェルファイアの魅力を引き出した。押し出し感重視の迫力系フェイスは、さらに過激さを増大。これが、大好評となる。
そして、大幅に遅れていた予防安全装備である「トヨタセーフティセンス」を標準装備化した。

ヴェルファイア トヨタ ヴェルファイア

また、3.5Lエンジン車は、さらにエンジンの出力アップとパフォーマンスを向上。
ようやくアイドリングストップ機能が装備され、燃費性能も改善されている。
ATも6速から8速へ多段化された。
大幅なマイナーチェンジにより、30型アルファードとヴェルファイアは、スキの無い仕様となっている。

三菱デリカD:5の特徴

三菱デリカD:5は、2007年にデビューし、すでに13年目に突入したロングセラーモデルだ。
デリカD:5は相次ぐ三菱の不祥事がありながらも、長期間に渡り1,000台/月前後をコンスタントに販売しているモデルだ。

デリカD:5 三菱 デリカD:5

ロングセラーモデルとなった理由は、やはりオフローダーミニバンとしてのユニークさだ。
デリカD:5以外に、オフロード走行ができるミニバンは存在しない。
そのため、キャンプやアウトドアスポーツなどを好むユーザーに支持されてきた。
多くの荷物と人を運びながら、オフロードも走れるのはデリカD:5だけだ。

その後、デリカD:5は細かい仕様変更や改良を繰り返した。
しかしさすがに13年も経過すると、予防安全装備や燃費性能など、最新のマーケットニーズに対応しきれなくなってきたのは事実である。
端的に言えば、古臭くなってきた。
このまま放置すればロングセラーモデルどころか、ジリ貧状態の後、姿を消すことは確実。

そこで、三菱は大きな決断を試みる。
基本骨格などは共通だが、デザインやエンジン、4WD制御など重要な部分を刷新。
フルモデルチェンジに近いくらいの、大幅マイナーチェンジを2019年2月に行った。
さらに、高級路線が中心のミニバンマーケットを意識して、オフローダーミニバンながらエアロパーツ類を装備し上質さをアピールするアーバンギアを投入した。

デリカD:5アーバンギア デリカD:5アーバンギア

エンジンについても大幅改良された2.3Lディーゼルエンジンを搭載。
全車4WDのみという大胆な設定としている。

1.燃費比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は4点
デリカD:5の評価は4点

圧倒的な低燃費性能を誇るハイブリッド車のアルファード/ヴェルファイア

30型アルファード/ヴェルファイアに搭載された2.5Lハイブリッドの燃費は、18.4㎞/L(JC08モード)とクラストップの数値。
2.1トン程度の重量級ボディで、この低燃費値はさすがハイブリッドだ。

そして、2.5Lガソリンはアイドリングストップ機能付きで11.6~12.8㎞/Lとなっている。
まずまずといった燃費値といえる。
しかし、今時アイドリングストップ機能がオプションという設定は、ハイブリッド車を売っているにもかかわらず、環境に対する意識が低すぎる。
3.5L車は10.4~10.8㎞/L。これも、クラス平均値程度の燃費値だ。
燃費値という面では、ハイブリッド車以外、それほど目を見張るような数値ではない。

一方、デリカD:5は2.2Lクリーンディーゼルエンジンと8速AT+4WDの組み合わせで、燃費は13.6㎞/Lとなっている。
とくに優れた燃費値ではないものの、30型アルファード/ヴェルファイアの2.5Lガソリン車を上回る燃費値となった。
さすがにハイブリッド車と比べると、大きな差になる。
しかし注目したいのはディーゼル車の燃料は軽油である点だ。
ハイブリッド車が使うレギュラーガソリンと軽油の価格差は、20円/L前後軽油のほうが安価。
そのため、燃費値は大きな差になっているものの、燃料費という視点で見れば、かなりハイブリッド車に近い燃料費になる。
また、デリカD:5に搭載されたディーゼルエンジンは、高速道路などでは優れた実燃費値を記録する。ロングドライブ派におすすめだ。
逆に渋滞の多い市街地では、ハイブリッド車が優れた実燃費値を記録するケースが多い。
どちらも、得意な領域があるのが特徴だ。

2.価格比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は2.5点
デリカD:5の評価は4点

ライバル不在の人気車アルファード/ヴェルファイアは、超強気の価格設定

単純に最上級グレードを比較すると、30型アルファード/ヴェルファイアはもはや異次元の高価格帯に突入している。
30型アルファード/ヴェルファイアの最上級グレード、エグゼクティブラウンジSのハイブリッド車の価格は約750万円。デリカD:5の最上級グレードPは約430万円(価格はともに消費税10%時)。
もはや、比較する意味がないほどの差だ。
それほど、30型アルファード/ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジは、高級路線へとシフトしている。

人気グレードの価格比較では、30型アルファードSR Cパッケージでも約570万円。
ここでも、価格比較しても意味がない大差になっている。
もちろん、装備は30型アルファード/ヴェルファイアが上回るものの、デリカD:5が大きく劣るという部分もそれほどない。

30型アルファード/ヴェルファイアは、もはや無敵の王者。
それゆえに、かなり強気の価格になっている。
とくに、ハイブリッド車はその傾向が強い。
惚れ込んで30型アルファード/ヴェルファイアを購入するのであれば、十分に納得がいくかもしれない。
ただ、コストパフォーマンスを求めるのであれば、デリカD:5の魅力はかなり大きい。

3.購入時の値引き術

アルファード/ヴェルファイアの評価は4点
デリカD:5の評価は3点

大幅値引きが期待できるアルファード/ヴェルファイア

30型アルファード/ヴェルファイアは、高額車なので増税後はしばらくの間、買い控えの影響を受ける可能性が高い。
しかも高額車で利益が大きいこともあってか、すでに値引き額は拡大中。
競合さえしっかりとすれば、大幅な値引きが期待できるモデルだ。
買い手が有利になる2~3月は、とくに値引き額アップが期待できるので、3月末の登録を目指しじっくりと商談したい。

30型アルファード/ヴェルファイアは、本来、日産エルグランドがライバル車となる。
しかしエルグランドは、もはやまったく売れていないため、競合相手にはならない。
30型アルファード/ヴェルファイアは、セダンに代わる高級車のあり方を追求しているモデルでもあるため、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズ、クラウンハイブリッド、スカイラインハイブリッドなどのセダンと競合させてみるとおもしろい。
「基本セダンかなぁ、と思っているのだけど、アルファード/ヴェルファイアも高級感あるねぇ」くらいで、ちょっと見に来た程度から商談してみるとよい。
あくまで、高級セダンが本命と思わせることが重要だ。
本命が30型アルファード/ヴェルファイアとなれば、値引き額は上がらなくなる。

デリカD:5はユニークなモデルのため、指名買いの顧客が多い。
そのため、値引き額が意外と小さい。
大幅な値引きを引き出すためには、指名買いの顧客ではないことをアピールする必要がある。
そのためには、まずライバル車の設定が重要だ。
ミニバンではオデッセイハイブリッド、30型アルファード/ヴェルファイア、場合によっては3列シートSUVのCX-8とも競合させてみるとよい。
さらに、商談はじっくりと時間をかけて行いたい。
営業マンが「値引きするので買ってください」と、自ら言うくらい焦らせてみるのも効果的だ。
もちろん、商談時期は各社決算を迎える直前の2~3月がよい。

4.デザイン比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は4点
デリカD:5の評価は3点

両車とも、押し出し感ある迫力重視系で高評価

30型アルファード/ヴェルファイアのフロントフェイスは、大胆不敵な迫力重視系。
薄型のLEDヘッドライトにすることで、睨みの利いた威圧感ある顔となっている。
本来、クルマの運動性能を考えると、低床フロアを使い、全高を低くして重心高を下げたいところだ。
低重心化することで、より安定感のある走行性能が得られるからだ。
全高が低ければ、走行中の空気抵抗が減り、燃費も向上する。
しかし、マーケットの要求は、より大きく見えること。
そのため30型アルファード/ヴェルファイアは、先代と同等の全高を維持。
顔も大きくして迫力を与え、マーケットのニーズに応えている。

アルファードのフロントフェイス アルファードのフェイス

30型アルファード/ヴェルファイアのデザインは、徹底してマーケットインの手法を貫く。
その結果、こうした大型ミニバンを好むユーザーの心をガッチリと掴んでいる。

一方、販売台数は多くなかったとはいえ、独自の路線でロングセラーモデルとなったデリカD:5。
2019年2月の大幅マイナーチェンジ前のモデルは、押し出し感や迫力とは無縁で、オフローダーミニバンらしいタフネスさの中に愛着を感じさせるデザインだった。
しかし、どこかでアルファード/ヴェルファイアへのコンプレックスがあったのか、大幅マイナーチェンジ後には一気に方向転換し、押し出し感や迫力を出したデザインへ変更された。

デリカD:5アーバンギアのフロントフェイス デリカD:5アーバンギアのフェイス

プレステージ性や迫力を重視するために、三菱のデザインコンセプトであるダイナミックシールドを採用。
ダイナミックシールドを中心に、左右に縦型LEDのヘッドランプを装着。
かなり個性的なデザインになった。

アーバンギア系は都会派ミニバンの要素を入れ、エアロパーツ類を装着。プレステージ性を高めている。
アーバンギア以外のグレードは、期待値の高いオフローダー的イメージが強い。
アンダーガードなどで、オフローダー感を演出している。
ただ、タフネス感を出しているものの、どうもこの迫力フェイスとの相性は良くないかもしれない。
マーケットインなデザインだが、大幅マイナーチェンジ前のモデルのようなユニークさは失った印象が強い。

5.室内空間と使い勝手

アルファード/ヴェルファイアの評価は4.5点
デリカD:5の評価は3点

豪華絢爛! 圧倒的な室内空間をもつアルファード/ヴェルファイア

30型アルファード/ヴェルファイアのホイールベースは、非常に長く3,000mmもある。
この長さは、クラストップレベル。
ホイールベースの長さは広さに直結するため、30型アルファード/ヴェルファイアの室内空間はとても広い。

アルファードの室内 アルファードの室内

しかも大きく見えることが重要というデザイン要件を満たしたことで、全高が高い。
上部のスペースも余裕たっぷりなので、なかなか開放感のある空間に仕上がっている。

30型アルファード/ヴェルファイアの3列目シートは、左右跳ね上げ式。
3列目シートを跳ね上げると広大な荷室が出現する。
しかも、そのフロアの下にも収納スペースがあり、背が高い荷物も立てて積載することができる。

アルファードの荷室 アルファードの荷室

また、最大1,160mmの助手席スーパーロングスライド機能をもっている。
最後端に助手席をスライドさせれば、2列目シートだけでなく、助手席も足元スペースが余裕たっぷりな贅沢仕様になる。
オットマンが装備されたグレードなら、さらにリラックスして移動できる。

アルファードのオットマン アルファードのオットマン

また、ハイブリッドならではの装備が100V 1500Wのアクセサリーコンセントだ。
グレードにより異なるが、3個もしくは5個装備できる。
このコンセントがあれば、停電時にちょっとした家電用品が使えるようになる。
もちろん、キャンプなどでも便利だ。
ガソリンさえあれば、クルマが発電し電力を供給してくれるので、停電時に役立つクルマといえる。

デリカD:5のホイールベースは、2,850mmと30型アルファード/ヴェルファイアと比べるとやや短い。
そのため前後方向の室内スペースや室内高は、完全に30型アルファード/ヴェルファイアが上回る。とはいえ、決して狭いという印象はない。

デリカD:5アーバンギアの内装 デリカD:5アーバンギアの内装

内装は大幅マイナーチェンジで、より大きく変化し、より高級感が出た。
インパネ周りの質感も大幅に向上している。
しかし、30型アルファード/ヴェルファイアと比べると、車両価格がまったく違うこともあり、上質感は30型アルファード/ヴェルファイアが大きく上回る。
使い勝手面では、シートアレンジは豊富なのだが、とくに際立って便利な機能というものがない。
30型アルファード/ヴェルファイアが一枚上手といった印象だ。

6.安全装備の比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は3点
デリカD:5の評価は3点

高額車なのに両車共に微妙な仕様

30型アルファード/ヴェルファイアは、大幅に遅れていた歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備した。
この「トヨタセーフティセンス」はバージョンアップされたもので、夜の歩行者と昼間の自転車を検知できるようになり、リアルワールドでの実用性をより向上させている。
また、ニー、サイド&カーテンエアバッグも全車標準装備なので一定レベルの安全性能を得た。

アルファードの運転席 アルファードの運転席

ところが、ベーシックな安全機能さえオプション設定してしまうのがトヨタの悪癖。
後側方から車両が接近すると注意・警報を発するブラインドスポットモニター、後退時に接近する車両があると注意・警報を発するリヤクロストラフィックアラートなどが、一部のグレードを除きオプション設定となっている。
死角の多い大型のミニバンにとって、とてもありがたい装備である。
コンパクトカーであるマツダ デミオに標準装備されているくらい安価な予防安全装備を、高額なミニバンがオプションというのは、トヨタの安全への取り組みを疑問視したくなる仕様となっている。
この程度の安全装備くらい、早急に標準装備化を進めるべきだ。

同様にデリカD:5も微妙な仕様となっている。
歩行者検知式自動ブレーキは全車標準装備。
ニー、サイド&カーテンエアバッグも全車標準装備となっており、一定の安全性能はクリアしている。

デリカD:5アーバンギアの運転席 デリカD:5アーバンギアの運転席

しかし、30型アルファード/ヴェルファイアと同様に、後側方車両検知警報システム、後退時車両検知警報システムなどは、1グレードで標準装備、1グレードでオプション設定だ。
その他の2グレードでは、装備不可となっている。
30型アルファード/ヴェルファイアと同様に、これくらいの装備は高額車なので標準装備化すべきだ。
三菱は何かと不祥事続きでブランドイメージが悪いのだから、こうした安全装備を積極的に標準装備化してブランドイメージを向上させるべきだろう。
両車とも購入時には、こうしたオプションを積極的に選択したい。

7.走行性能の比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は3.5点
デリカD:5の評価は4点

SUVさえも凌駕するデリカD:5の悪路走破性

30型アルファード/ヴェルファイアは、フルモデルチェンジ時にリヤサスペンションをダブルウィッシュボーン式に変更した。
これは、20型アルファード/ヴェルファイアがライバルだった日産エルグランドに、乗り心地や操縦安定性で大きく差を付けられていたからだ。
このサスペンションにより、30型アルファード/ヴェルファイアの乗り心地や操縦安定性は大幅に向上している。
ただ、大きく見せるために全高を1,950mmとしたため、どうしても重心高が高い。
高速道路上の大きなカーブでの安定感には欠けていて、多少フラフラする。

2.5Lハイブリッドのシステム出力は197ps。
力強いとはいえないものの、必要十分な加速力を誇る。
ハイブリッド車ということもあり、静粛性は非常に高い。
高級ミニバンに相応しいものとなった。

車両価格は比較的安価なものの、中途半端な印象が強いエンジンが2.5Lガソリン車。
CVTの制御も上手く、実用面ではまずまずの力強さをもつ。
182ps&235Nmという出力をアウトプットする。
ただ、アイドリングストップはオプション、燃費も平均的、高速道路などではやや非力感もあり、アクセルを深く踏みがちになるとエンジン音が高まり、静粛性も悪くなる。

アルファードのエンジンルーム アルファードのエンジン

3.5LのV6ガソリンエンジンの出力は、圧巻の301ps&361Nmを誇る。
この大パワーを生かし、約2.1トンという重量級ボディをグイグイと引っ張る。
ミニバンとは思えないくらい、かなり速い。
このエンジンはかなり高回転型で、6,600回転まで回る。
まるで、スポーツカーのようなエンジンだ。8速ATもスムーズで快適。

デリカD:5に搭載されたエンジンは、2.2Lのクリーンディーゼルエンジン。
出力は145ps&380Nm。
ディーゼルエンジンは、最大トルク値が大きい点が特徴だ。
380Nmというトルクは、3.8L自然吸気ガソリンエンジン並み。
これだけの大トルクがあるため、2トン級のボディをストレスなく加速させる。
マイナーチェンジで装備された8速ATの恩恵もあり、高速クルージングや市街地でのスムーズさも魅力的だ。

デリカD:5アーバンギアのエンジンルーム デリカD:5アーバンギアのエンジン

ただデリカD:5は、悪路での走破性を高めるため、最低地上高は185mmと高い。
そのためデリカD:5の重心高は高く、カーブではやや大きく車体が傾くなど、オンロードでの安定感はそれほど高くない。

しかし、悪路になるとデリカD:5の走りは輝きを増す。
普通のミニバンでは走り抜けられないような悪路では、もはや何事もないように走り抜ける。
また、都会派SUVなどでも厳しいような超悪路でも、デリカD:5は強力なトラクション性能でグイグイと前に進む。
もはや、立派なオフローダーといえる。
これは、三菱独自のAWC(All Wheel Control)技術によるものだ。悪路での走りは非常に楽しい。

このように、30型アルファード/ヴェルファイアとデリカD:5の走りは対極にあるといってよい。
深い雪道や荒れたオフロードを走ることがあるのなら、デリカD:5という選択になる。
「とにかく高級感で勝負。悪路は絶対走らない」というのであれば、30型アルファード/ヴェルファイアになる。

8.リセールバリュー比較

アルファード/ヴェルファイアの評価は4.5点
デリカD:5の評価は3.5点

リセールバリュー王? まったく値段が下がらない30型アルファード/ヴェルファイア

ミニバンは非常に人気のあるカテゴリーということもあり、リセールバリューが高いモデルがほとんどだ。
リセールバリューは、クルマを売却するときの価格。
例えば同じ300万円のクルマで3年後に売却した場合、A車は200万円、B車は150万円という価格になったとしよう。
この場合、A車のリセールバリューは高く、B社のリセールバリューは安いということになる。
この数値は、短期間で乗り換える人には重要な数値だ。
リセールバリューが高ければ、次のクルマを購入する場合、支払金額が少なくて済むメリットがある。

アルファードのリヤエンド

30型アルファード/ヴェルファイアは、ミニバンの中でもトップレベルといえるリセールバリューの高さを誇る。
中古車マーケットでの人気も、非常に高い。
そのため、中古車価格は高値を維持。
1、2年落ちの高年式中古車など、新車価格とそれほど変わらない価格で売られているほどだ。とくに、エグゼクティブラウンジや豪華装備が付いた上級グレード、ハイブリッド車のリセールバリューは、特に高くなっている。
こうした仕様であれば、まず外しはしない。
ただ、ボディカラーも重要で、白や黒系のボディカラーが人気。
それ以外だと、少しリセールバリューが低くなる。

デリカD:5は、オフローダーミニバンとしてユニークな価値をもつミニバンであることから、リセールバリューは高い。
しかし、三菱は相次いだ不祥事によりブランドイメージが良くない。
そのため他のミニバンと比べると、若干リセールバリューは低くなっている。
大幅マイナーチェンジ後のデリカD:5のリセールバリューは、今後どう変化するか少々判断が難しいが、大幅に低くなることはないだろう。
三菱車の中では、安心できるモデルだ。

デリカD:5アーバンギアのリヤエンド

また30型アルファード/ヴェルファイア同様に、上級グレードで豪華装備が装着されたモデルのリセールバリューは、さらに高くなる。
ボディカラーも同様に、白や黒がよい。

30型アルファード/ヴェルファイアのリセールバリューは非常に高いため、デリカD:5は一歩以上譲るといった状況となっている。
リセールバリューを重視するのであれば、30型アルファード/ヴェルファイアがおすすめだ。

9.今のクルマを高く売る方法

手間を惜しんだら負け!

まずしっかりと理解してほしいのは、クルマは売却先で大きく価格が異なることが多いという点だ。
それこそ数万円から数十万円までと、金額の差も大きい。
ここで失敗すると、大きな損失となる。
中古車大手のガリバーの調査によると、約44%の人が1社でしか査定をしていないという。
この約44%の人はそのまま下取りに出したと予想できる。
こうした人の多くは、かなり損をしている可能性が高い。

そもそもの話だが、買取店の存在理由は下取りより高価で売却できることだ。
下取り価格に負けていたら、商売として成り立たない。
そのため、まず自分のクルマの適正価格を知ることが重要。
クルマの乗り換えが決まったら、まず買取店へ行き査定してもらおう。
できれば、複数店舗で査定することがおすすめだ。
その上で下取り価格と比べることで、売却車両の価値が分かる。
売却先の営業マンに複数店舗で競合していることを告げれば、さらに査定価格がアップすることもある。
何度も査定しに行くとなると時間がかかるが、その分査定価格がアップすると思えば納得できるだろう。
その上で、最も高値を付けたところに売ればいい。
複数店舗で査定するという手間を惜しんでは、大きな損をする可能性が高くなるのだ。

複数の店舗に行く時間がない、という人には中古車大手のガリバーが運営する「ガリバーオート」と呼ばれるスマートフォンアプリがおすすめだ。
クルマの写真を撮り送信、簡単な質問に答えるだけで買取価格が表示される。
こうしたアプリを使って、下取り価格と比べてみるのもいいだろう。
価格に納得がいけば、アプリ内から売却することも可能だ。

10.まとめ・総合評価

アルファード/ヴェルファイアの総合点は30点
デリカD:5の総合点は27.5点

使い方次第で、人それぞれ評価が異なる

30型アルファード/ヴェルファイアとデリカD:5は、クルマのキャラクターが対極にあるためクルマの使い方により評価は全く異なる。

30型アルファード/ヴェルファイアの場合、とにかく豪華で快適に移動したいという人向けだ。
そして、迫力系デザインが大好きな人、ということになる。
しかし、悪路は走れない。

トヨタ ヴェルファイア

デリカD:5は、海や雪山、キャンプなどアウトドアでロングドライブ&悪路走行が想定される人向けとなる。
30型アルファード/ヴェルファイアほど豪華で快適ではないが、優れた悪路走破性はミニバントップ。
趣味に使うクルマとしての価値は非常に高い。

三菱 デリカD:5

自分のライフスタイルと、どんな使い方をしたいかという点で比較すれば、答えは明確になる。