ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ スープラと姉妹車関係の新型BMW Z4

BMWは、2シーターのオープンカーであるZ4をフルモデルチェンジし発売を開始した。

新型BMW Z4は、このフルモデルチェンジで3世代目となった。
トヨタとの提携から生まれたモデルで、トヨタ スープラと姉妹車関係にあり、エンジンやプラットフォーム(車台)など、主要部分はBMW製だ。

今のところ、Z4はオープンボディのみ展開だ。
スープラはクーペのみの設定で、それぞれ差別化されている。

ただ、長いモデルライフのなかでこの状態を維持するのは難しく、いずれそれぞれの車種共にオープンボディとクーペボディをラインアップするだろう。

安定したBMWらしいデザイン

新型BMW Z4の外観デザインは、低く睨みの効いたデザインがいかにもBMWらしいものとなった。
とくに、サイドのシルエットは、ロングノーズ&ショートデッキというFR(後輪駆動)らしいスタイルだ。

一方、同じ車台(プラットフォーム)を使うスープラのデザインは、サイドのシルエットは同様なものだが、とにかくキャラクターが複雑だ。
ある意味、かなり個性的だが賛否両論を巻き起こしている。

これに対し、BMW Z4はスポーツカーらしいシンプルでシャープなデザインとして概ね好評だ。

ルーフはハードトップではなく幌タイプとなった。
幌になったことで軽量化され、重心高の低下にも貢献している。
ルーフの開閉は、50km/hでの走行中でもわずか10秒で開閉でき、オープンカーのなかでも際立って短い開閉時間だ。

タイトなコックピットながら、最新のAIも活用したインテリア

新型BMW Z4は、他のBMW同様にインストセンターを運転席側に傾けたドライバー・オリエンテッドのインテリアデザインが採用されている。
なかなかタイトなコックピットで、運転席に座るとクルマとの一体感を感じるデザインだ。
日本仕様は、右ハンドルのみの設定だ。
メーターパネルは全面的にデジタル化され、センターコンソール上部には、10.25インチの大型ディスプレーが配置された。

装備面では、AIを活用した最新のBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが搭載された。
「OK、BMW」で起動し、音声会話だけで車両の操作、情報へのアクセスが可能になる。
運転中でも視線を外すことなくカーナビの目的地変更などが可能になり、安全運転にも寄与する。
また、起動コマンドは、オーナーによって自由に設定できる。

ワイドな全幅に、短い全長という優れた運動性能を誇るボディサイズ

新型BMW Z4ボディサイズは、先代モデルよりひと回り大きくなった。
全長が85mm長い4335mmになり、全幅は75mm拡大して1865mmに、全高は15mm高い1305mmになった。
しかし、ホイールベースは25mm短縮されて俊敏性を高めている。
よりワイドにしてホイールベースを短くしているので、その運動性能の向上はスペック上からも分かる。

短めの全長はともかく、1800mmを大きく越えた全幅はとてもコンパクトなボディとはいえないものだ。
道幅の狭い日本ではやや扱いにくさがある。

また、オープンボディとはいえ、車両重量もやや重い。
ボディ剛性のアップ狙った結果ともいえるが、もう少し軽くしたいところだ。

直6 3.0Lターボエンジンは350ps&500Nmを発揮

新型BMW Z4に搭載されるエンジンは2機種だ。
トランスミッションは、全車に8速ATが組み合わされる。

20i系に搭載されるのは直列4気筒2.0Lエンジンで、最高出力145kW(197ps)/4500rpm、最大トルク320Nm/1450~4200rpm。
WLTCモードの燃費はは12.6km/L(JC08モード燃費では14.9km/L)となった。

M40iに搭載される直列6気筒3.0Lエンジンは、最高出力250kW(340ps)/5000rpm、最大トルク500Nm/1600~4500rpm。この直6エンジンは、かなりパワフル。

0-100㎞/h加速は、わずか4.5秒で、スポーツカーらしい瞬発力をもつ。
WLTCモード燃費は12.2km/Lで2.0Lターボの20iとあまり大きな差がない。
JC08モード燃費では13.2km/Lとなった。

Mスポーツには、さらに走行性能を向上させる装備をプラス

BMWのスポーツブレードであるMスポーツには、さらなる走行性能を向上する装備を用意した。
BMW Z4sDrive20i M Sportには、Mスポーツ・サスペンションに加え、オプションで電子制御ダンパーを備えたアダプティブMスポーツ・サスペンション用も展開される。

最もスポーティなグレードであるZ4 M40iには、アダプティブMスポーツ・サスペンションを標準装備した。
さらに、コーナリング後の加速性の向上や安定性等を向上させるMスポーツ・ディファレンシャルも搭載する。

このほか、バリアブル・スポーツ・ステアリングをZ4として初めて全車に標準装備した。
ステアリングのギアレシオを連続的に変化させ、より少ない操舵力で俊敏なレスポンスを発揮するため、駐車場やタイトな道では取り回し性能も向上する。

新型BMW Z4の選び方「Mスポーツしかない!」

予算なんて気にしないという人は、M40iがベストだろう。
Z4らしさを十分に堪能でき、サーキット走行まで楽しめる。
すべてにおいて満足度の高い1台になる。
価格は8,350,000円からと、かなり高価だ。

M40iほど速くなくていいというのであれば20i系になる。

BMWらしい走りを味わえ、それほど豪華さは必要無いというのであれば、エントリーグレードのsDrive20iも悪くはない。
価格も5,660,000円からと、Z4の中ではリーズナブルな設定だ。

ただ、600万円に近い価格帯なのに、ストップ&ゴー付き前走車追従式のクルーズコントロールでない点は非常に物足りない。
今時、この価格帯のクルマにこれくらいの装備がないというのは微妙だ。
こうした物足りなさに関して納得できれば、価格的にも魅力的だ。

中間グレードともいえるsDrive20i Sport Lineの価格は6,150,000円からとなっている。
sDrive20i M Sportは6,650,000円となった。

価格差は50万円と少々微妙な価格設定だ。
大きな装備差は、MスポーツサスペンションやMスポーツ専用のエアロパーツ類とステアリングホイールなどになる。

50万円差であれば、おすすめしたいのはMスポーツだ。
Mスポーツ専用の装備がプラスされたことで、走りもルックスもやはりMスポーツが上になる。

とくに、日本ではMスポーツ系の人気が非常に高い。
そのため、リセールバリューで大きな差になるのだ。
50万円余分にお金を出しても、短期の乗り換えならリセールバリューの差でかなり元が取れる。

新型BMW Z4価格、スペックなど

sDrive20i 5,660,000円
sDrive20i Sport Line 6,150,000円
sDrive20i M Sport 6,650,000円
M40i 8,350,000円

燃費、スペックなど

代表モデルはZ4 M40i

  • 全長4,335mm、全幅1,865mm、全高1,305mm
  • ホイールベース2,470mm
  • 車両重量1,570kg
  • 排気量2,997cc、直列6気筒ツインパワー・ターボ・エンジン
  • 最高出力 250kW(340ps)/5,000rpm
  • 最大トルク 500Nm/1,600-4,500rpm
  • 燃費 12.2km/L(WLTC)