この記事の目次 CONTENTS
アクセラ改め、マツダ3へ
クラスを超えた質感をもつマツダ3
ドライビングポジション生かすこだわりのシート
世界初!ハイブリッドを超える?新世代エンジン「SKYACTIV-X」
静粛性を大幅に向上した新型マツダ3
すべてのグレードで優れた安全装備をもつ
マツダ3価格
マツダ3スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

アクセラ改め、マツダ3へ

マツダは、アクセラから改名した新型のマツダ3の発売を開始した。
従来、欧州などではマツダ3と呼ばれており、今回のフルモデルチェンジから車名を統一している。

クラスを超えた質感をもつマツダ3

マツダ3の基本コンセプトは「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」だ。
デザイン、走行性能、静粛性、質感などの基本要素を一新している。

外装デザイン

外観デザインは、お約束の「魂動デザイン」を継承している。
日本の美意識でもある「引き算の美学」により、不要なデザイン要素を削ぎ落した。

分かりやすいキャラクターラインを持たない滑らかなボディが特徴だ。
滑らかな面構成により、光のあたり方次第で微妙な陰影をみせる。
見るたびに、新鮮な印象を受ける。

新型マツダ3のボディタイプは、従来通り5ドアハッチバックとセダンの2つだ。
このモデルから、5ドアハッチバックをファストバックと呼んでいる。

ボディパネルで共用しているのはボンネットフードだけで、フェンダーからドア、ルーフなど、ほとんどすべてのボディパネルが異なっている。
あえて同じ車名で異なるデザインに挑戦したのだという。

ただ、引き続き「魂動デザイン」を採用した点で、従来のアクセラのデザインを大きく変革するものではなく、アクセラのデザインを継承発展させたような印象がある。
セダン、ファストバックともに、大きめの開口部を持つフロントグリル、長めのボンネットフードを持つロングノーズ、太めのCピラーなどを採用しており、これらはアクセラを継承するものといえる。

内装・インテリア

新型マツダ3のデザインにおける「引き算の美学」の考え方はインテリアにも採用され、水平基調をベースに要素を削ぎ落したシンプルな造形とした。
美しさ、上質感と運転に集中できる心地よい空間という機能性を融合させるとともに、コックピットにある操作機器、情報などすべての要素をドライバー中心に左右対称に配置している。
同時にそれらがドライバーに正対する造形とすることで、人とクルマの一体感を向上させた。

シフトレバー付近の操作系は、スイッチ類もかなり整理されスッキリとした印象が強い。

こうしたデザインだけでなく、質感も高い。
マツダ3のシボは、本物のレザーが持つ質感を表現するために、日本の革職人と共同で開発された。
ひとつのパターンで冷たい印象の従来のものとは異なり、部位によりさまざまなパターンをもつ。
本物のレザーならではの不均一さを再現したのだ。

その他、触感なども高いレベルにありCセグメントのコンパクトカーとは思えない質感に仕上がっている。

ドライビングポジション生かすこだわりのシート

マツダは、すべてのモデルでドライビングポジションにこだわり続けている。
こだわりのドライビングポジションを突き詰めていくと、シートも重要な役割をもつ。

そこで、マツダは人間が本来的に持つバランス保持能力を生かし、さらにしっかりとしたドライビングポジションが取れるシートを開発している。

このシート、お尻をグッとシートバックに押し付けるように座ると、なぜかピッタリとハマる感覚がある。
ハマる感じはするのだが、窮屈感がないのも特徴だ。
さらに、多様な体格をカバーできるよう各調節機構の調整幅を拡大した。

また、大腿部を保持するためのチルト調節機構を新設定し、従来から採用しているオルガン式アクセルペダルやブレーキをより適切に操作できるようになった。
さらにドライバーの疲労を軽減してくれる構造になっている。

カーブなどで強い旋回Gが発生しても、しっかりと体を支えてくれるので、適切な運転操作ができる。

世界初!ハイブリッドを超える?新世代エンジン「SKYACTIV-X」

新型マツダ3には、計4タイプのエンジンが用意された。
1.5Lと2.0Lのガソリンと1.8Lのクリーンディーゼルターボ。そして、注目の新時代ガソリンエンジンである「SKYACTIV-X」だ。

この「SKYACTIV-X」は、世界初の技術を採用したエンジンで、独自の燃焼方式「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」を採用している。

「SKYACTIV-X」は、エンジン回転の伸びの良さと、排気浄化性などに優れる火花点火(SI)式のガソリンエンジンの良さと、初期レスポンスやトルク感、燃費に優れる圧縮着火(CI)式ディーゼルエンジンのメリットを、独自の着火方式によって両立させている。

エンジンの使用状況に合わせて、より効率的な方式を選択して走行する。
端的に言えば、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所をあわせ持つ技術だ。
今までなく革新的なエンジンで、この技術は世界初となる。

新型マツダ3では、さらにマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid(エム ハイブリッド)」を組み合わせ、燃費性能のさらなる向上を得た。

トランスミッションは、従来の6速ATをメインとして設定している。
相変わらずミッションの多段化は行われておらず、今や6速ATでは古さを感じる。
また、マツダはMTファンに向けて、一部車種には6速MT車も設定している。

新型マツダ3の燃費は、ファストバックの1.5Lガソリン(AT、FF)が16.6㎞/L(WLTCモード)、2.0Lガソリンが15.6㎞/L、1.8Lディーゼルが19.8㎞/Lとなっている。
SKYACTIV-X搭載車の燃費については、現在非公表だ。

新型マツダ3には、車両安定化技術である従来のGVC(G・ベクタリング・コントロール)の進化版であるGVCプラスが装備された。
新たにブレーキによる車両姿勢安定化制御を追加し、旋回中のドライバーのハンドル戻し操作に応じて外輪をわずかに制動する。
車両を直進状態へ戻すための復元モーメントを与えることで、車両が振られるなどの挙動を抑制し安定性を向上させる。

静粛性を大幅に向上した新型マツダ3

新型マツダ3では、快適性や静粛性を大幅に向上してる。
タイヤからサスペンション、ボディを通じて伝わる振動や音を独自の技術で減衰し、室内の静粛性を向上させ、快適な室内としている。

また、オーディオにもこだわり、人間の特性に合わせて新開発したオーディオシステム(8スピーカー)を採用した。
一部のグレードには、Bose社との共同開発したBoseオーディオシステム(12スピーカー)がオプション設定されている。

すべてのグレードで優れた安全装備をもつ

新型マツダ3では、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」をより熟成させた。
センサーやレーダー、カメラからの情報を連携させ、協調制御の精度や性能を向上させている。

また、「ドライバー・モニタリング」を新設定。居眠りやわき見などと思われる状態を検知すると、ドライバーに注意喚起を行い交通事故のリスクを軽減する。

その他、同一車線内で先行車に全車速で追従走行できる「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」、フロントサイドレーダーで見通しの悪いT字路などで死角から接近してくる車両を検知しドライバーに注意喚起する「前側方接近車両検知(FCTA)」などを新設定した。

こうした新設定された安全装備の多くはオプション設定となっている。
しかし、歩行者検知式自動ブレーキや誤発進抑制制御など、多くの予防安全装備を全車標準装備化しているため、どのグレードを買っても安心だ。

安全装備を小出しにオプション設定するメーカーとは異なり、マツダ3に乗るすべての顧客に、平均水準以上の安全を提供している点は高く評価したい。

マツダ3価格

マツダ3 ファストバック

・15S (FF)6MT/6EC-AT:2,181,000円
・15S 6EC-AT 4WD:2,413,200円
・15S Touring(FF)6MT/6EC-AT:2,273,880円
・15S Touring 6EC-AT 4WD:2,506,080円
・20S PROACTIVE(FF)6EC-AT:2,470,000円
・20S PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT:2,588,800円
・20S L Package(FF)6EC-AT:2,649,000円
・20S Burgundy Selection(FF)6EC-AT:2,719,200円
・XD PROACTIVE(FF)6EC-AT:2,740,000円
・XD PROACTIVE 4WD 6EC-AT:2,972,200円
・XD PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT:2,858,800円
・XD PROACTIVE Touring Selection 4WD  6EC-AT:3,091,000円
・XD L Package(FF)6EC-AT:2,919,000円
・XD L Package 4WD  6EC-AT:3,151,200円
・XD Burgundy Selection(FF)6EC-AT:2,989,200円
・XD Burgundy Selection 4WD 6EC-AT:3,221,400円
・X PROACTIVE(FF)6EC-AT/6MT: 3,140,000円
・X PROACTIVE 4WD 6EC-AT/6MT:3,372,200円
・X PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT/6MT:3,258,800円
・X PROACTIVE Touring Selection 4WD  6EC-AT/6MT:3,491,000円
・X L Package(FF)6EC-AT/6MT:3,319,000円
・X L Package 4WD  6EC-AT/6MT:3,551,200円
・X Burgundy Selection(FF)6EC-AT/6MT:3,389,200円
・X Burgundy Selection 4WD 6EC-AT/6MT:3,621,400円

マツダ3 セダン

・20S PROACTIVE(FF)6EC-AT:2,470,000円
・20S PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT:2,588,800円
・20S L Package(FF)6EC-AT:2,649,000円
・XD PROACTIVE(FF) 6EC-AT: 2,740,000円
・XD PROACTIVE 4WD  6EC-AT:2,972,200円
・XD PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT:2,858,800円
・XD PROACTIVE Touring Selection 4WD 6EC-AT:3,091,000円
・XD L Package(FF)6EC-AT:2,919,000円
・XD L Package 4WD  6EC-AT:3,151,200円
・X PROACTIVE(FF)6EC-AT:3,140,000円
・X PROACTIVE 4WD  6EC-AT:3,372,200円
・X PROACTIVE Touring Selection(FF)6EC-AT:3,258,800円
・X PROACTIVE Touring Selection 4WD  6EC-AT:3,491,000円
・X L Package(FF)6EC-AT:3,319,000円
・X L Package 4WD 6EC-AT:3,551,200円

マツダ3スペック

代表グレード:マツダ3 ファストバック XD PROACTIVE(FF)

ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,460×1,795×1,440
ホイールベース[mm] 2,725
車両重量[kg] 1,410
総排気量[cc] 1,756
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 85(116)/4,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 270(27.5)/1,600-2,600
燃料 軽油
ミッション 6速AT
サスペンション(前:後) マクファーソンストラット:トーションビーム
WLTCモード燃費 19.8㎞/L
最小回転半径 5.3m