この記事の目次 CONTENTS
自動車税も軽減されるようになったが…
クルマ購入時に大きな負担になっていた取得税
燃費の良くないモデルには新税制が
慌てて買わなくてもいい?増税後に値引き勝負?

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

クルマの購入は、増税前か後かどちらが得かというと、どちらも微妙だ。
消費税が10%になったあとしばらくの間、クルマの買い控えが発生し、経済悪化の可能性があり、多くの自動車関連税が減税もしくは廃止されることが決まっている。
しかし、財源確保のため、環境性能割といった増税がある。

自動車税も軽減されるようになったが…

消費税増税に伴い、自動車税は10月1日以降下記のように変更になる。

排気量 減税金額
1,000cc以下 4,500円
1,000cc超~1,500cc以下 4,000円
1,500㏄~2,000㏄以下 3,500円
2,000㏄超~2,500㏄以下 1,500円
2,500㏄超~ 1,000円

主に2000㏄以下のクルマにおいて減税額が大きい点が特徴だ。
税負担が減るのはよいが、減税金額は少なく、インパクトに欠ける。

クルマ購入時に大きな負担になっていた取得税

クルマの購入時に、やはり気になるのが取得税。
取得税は現在、登録車が3%、軽自動車が2%だ。課税対象額は、車両価格にたいしておおよそ90%となっている。

300万円の新車なら、300万円×90%で270万円が課税対象。
この270万円に3%の課税なので、8.1万円となる。

増税により取得税が撤廃されると、この8.1万円を支払わなくてもよくなるので、大きなメリットだ。

では、消費税はというと、8%だと24万円だったが、10%になると30万円だ。
差し引き6万円多く税金を支払うことになる。

取得税8.1万円が無くなり、6万円多く消費税を徴収されるので、このケースであれば2.1万円のメリットがある。

燃費の良くないモデルには新税制が

ところが、そんなに国は甘くない。環境性能割と呼ばれる税制が新設されるのだ。
これは、燃費基準に対し0~3%の範囲で4段階の課税がされるという制度。
課税されるのに環境性能(割)? と思う方もいるだろう。正確には環境性能割(増)だ。

3%課税されれば、従来の取得税と同等。さらに、消費税アップ分2%上乗せされるので、従来よりも増額されてしまう。

なるべく安くお得に購入するには?

取得税減税分のメリットを享受したい場合、環境性能割が0%のクルマを買うしかない。
それ以外のクルマは、増税前も後もほとんど変わらない。

登録車の環境性能割は、2020年度燃費基準+20%以上のクルマが0%の課税。それ以下のクルマは、燃費性能により1~3%の課税がされる。

2020年度燃費基準+40%のクルマは増税前に買いたい

さて、いつクルマを買うのが良いかという話を難しくしているのが、現在のエコカー減税。

2020年度燃費基準+40%の車両のみ、2019年9月末まで取得税は非課税。
この車両に関しては、取得税の撤廃された後は、環境性能割も0%。つまり、単純に2%の消費税増税分が負担となるのだ。
こうしたタイプのクルマは、増税前の購入がおすすめになる。

それ以外の2020年度燃費基準+20~+30%の車両は、エコカー減税で25%もしくは50%減税となっている。
こうした車両は、取得税の廃止で環境性能割も非課税対象。
つまり、2%増税されても取得税分3%が無くなるので、増税後に買った方がほんのわずかだがメリットがあるだろう。まぁ、ほとんど変わらないと言ってもいい。

2020年度燃費基準+20に達していないクルマは、もはやほぼ増税と思っていい。

2020年度燃費基準+40%を達成しているクルマの特徴

多くのハイブリッド車やEV、クリーンディーゼル車が該当する。こうしたモデルは、増税前に購入しておきたい。
よほど納期の長いモデルでなければ、増税前に十分間に合うクルマが多い。納期を事前に調べ、逆算して契約日を決めて商談したい。もちろん、ライバル車と競合させて大幅値引きを狙いたい。9月は半期決算になり、大幅値引きが出やすい時期だ。

とはいえ、2%の差は新車購入時には微妙な金額になる。新車値引きなどで、どうにでもなる範囲内だ。増税されるからといって、慌てて買う必要はないだろう。

慌てて買わなくてもいい?増税後に値引き勝負?

増税前の駆け込み需要の反動で、増税後しばらくの間クルマが売れない状況になることが予想できる。
こうならないために、ディーラーでは10月以降登録になったクルマには増税分相当額以上の値引きや、ローンの金利減などの対策をとってくるだろう。
こうなれば、増税前でも後でも値段は大きく変わらない可能性もある。むしろ、増税後は値引きが大きくなりお得になるケースも多くなるだろう。

あくまで予測だが、自動車業界最大の繁忙期となる2~3月になり、各社年度の販売目標が未達になりそうな状況だと、これはもう大幅値引き合戦になる可能性が高い。
こうなると、もはや増税後の方がお買い得になる。
1月くらいから、他社のライバル車と競合させ商談を始めるといいだろう。

ただ、今年は東京モーターショーがあり、続々と10月以降新型車が投入される可能性が高い。
東京モーターショーと新型車によるプラス需要により、増税後も販売台数があまり落ち込まない可能性もある。こうした状況になると、新型車の値引きは少々厳しいものになるだろう。