2023年、車の維持費はどうなる?走行距離税・エコカー減税・車検の法定費用

2023年、車の維持費はどうなる?走行距離税・エコカー減税・車検の法定費用

走行距離税やエコカー減税など、政府・与党内で車の維持費に関する議論が多かった2022年。これらの税制度や車検代が2023年の車の維持費にどう影響するのか、最新情報を含めて解説します。

走行距離税の導入は「今後検討」

2022年10月の税制調査会で検討課題に挙げられた走行距離税。こちらはまだ検討段階であり、2023年に導入されることはありません。 しかし2026年度には自動車税制の見直しが検討されており、日本でも採用される可能性があります。

走行距離税とは?

走行距離税とは、その名の通り走行距離に応じて徴収される税金のことです。排気量を課税基準とする自動車税に代わる案として、2018年ごろから導入の是非が議論されています。また最近は税負担の少ない電気自動車のみに課税する案も出ています。

走行距離税検討の背景

走行距離税検討の背景にあるのは、自動車関連の税収減少です。電気自動車やハイブリッド車の普及などにより、自動車税をはじめとする車体・燃料課税の税収は大幅に減少。この15年間で約1.7兆円減っています。この税収減少を補うため、走行距離税が検討されるようになりました。

「電気自動車のみ」課税の可能性も

現在の自動車関連の税収減少に大きな影響を与えているのは、電気自動車の普及です。なぜなら電気自動車は、以下のように各種税金の負担額が少ないからです。

  • ガソリン税…ガソリンを使わないのでかからない
  • 環境性能割…非課税
  • 自動車税・軽自動車税…排気量ゼロなので最低額の課税のみ

上記に加え、エコカー減税やグリーン化特例による税制優遇もあります。こうした理由から、現在は走行距離税を電気自動車のみに導入する案や、モーター出力に応じた税金を課すといった案が出ています。

走行距離税の課題

走行距離税に関しては、日本自動車工業会や消費者、政府与党内からも多くの反対の声が上がっています。その理由は、以下のような課題があるからです。

  • 地方への負担増大
  • 運送業界・交通業界への負担増大
  • 個人情報漏洩の危険性

走行距離税を導入した場合、車への依存度が高い地方の人々、また運送業や交通業への負担が大きいです。

さらに走行距離に応じて課税するためには、車の走行距離を正確に把握する必要があります。例えばGPSを使って走行距離を計測する場合、自宅の位置や移動先の情報が外部に洩れる可能性もゼロではありません。

そもそも二重課税の問題を指摘する声も

走行距離税は「税金の二重取りである」という批判も多いです。

そもそも1Lのガソリン代のうち、約54円はガソリン税です。そのガソリン代に10%の消費税を上乗せした金額を私たちは払っています。走行距離が長いほど、ガソリン税や消費税の総額は上がります。走行距離税が導入された場合、これらに加えて支払う税額が増えるのです。

また、鈴木財務相は走行距離税の検討について「(電気自動車は)ガソリン車よりも重量があり、道路の損壊に与える影響がむしろ大きい」と言及。しかし、車重を基準にした税金には既に自動車重量税があり、走行距離税の導入は税金の二重取りであるという指摘もあります。

海外での走行距離税の導入事例

海外では、既に走行距離税を導入している国や地域があります。今後日本が走行距離税を導入する場合、こうした事例をもとに課税額や実施方法を決定していく可能性もあるでしょう。

  • ニュージーランド…基準額は車種ごとに異なる。1,000㎞あたり最低5,000円程度~
  • ドイツ…車重7.5トン以上の貨物車両のみ走行距離に応じて課税
  • アメリカオレゴン州…実証実験中。無線通信で走行距離を計測

導入はいつから?いくら課税される?

2022年12月時点で導入は決定されておらず、実施する場合の課税額も不明です。

一部では、ニュージーランドの「1,000kmあたり5,000円程度~」を参考にするのではという見方があります。上記の課税額で1年あたりの走行距離を5,000~1万kmとして試算した場合、最低課税額は2万5,000円~5万円程度です。

エコカー減税制度は「3年間延長」

エコカー減税は、環境性能が高い車に対して初期の自動車重量税を減税する制度です。時限立法で2023年4月末に終了の予定でしたが、制度の3年間延長が12月16日に決定しました。また2023年末までは優遇基準を厳格化せず、現行基準が据え置かれることになりました。

エコカー減税の現行基準

※現行基準のエコカー減税。2023年12月末までこの基準が据え置かれる

延長と据え置きの背景

今回エコカー減税が延長され、現行基準も据え置かれた背景には、半導体不足による新車の納期遅れがあります。新車の納期遅れでは、車種によって半年~1年待ちの状態が発生。エコカー減税の対象車を購入した人が、納期遅れで予定外の支出を強いられることがないよう調整されました。

なお2023年度に基準を見直す予定だった環境性能割(自動車の取得時に支払う税金)の税率も、同様の理由で2023年末まで現行税率区分を据え置くことになっています。

2024年からは優遇基準を段階的に厳格化

走行距離税の章で触れた通り、自動車関連の税収減少は政府の大きな課題です。特に現在は新車の約7割がエコカー減税の対象であり、「対象車種が多すぎる」という指摘もあります。そのため2024年からは、優遇基準が段階的に厳格化される予定です。

自動車税に関わるグリーン化特例も3年間延長

エコカー減税とよく似た制度として、グリーン化特例があります。これは電気自動車やプラグインハイブリッド車を新車で購入した場合、購入翌年度分の自動車税・軽自動車税が減税される税制優遇です。

グリーン化特例も時限立法で、2023年3月末に期限を迎える予定でした。しかしこちらも制度の3年間延長が12月16日に決定しています。

車検時に払う自賠責保険料は「値下がり」

車検時に支払う自賠責保険料は、2023年4月から値下がりすることになりました。ただし車検証の電子化に伴い、印紙代は2023年1月から微増します。

自賠責保険料は1割程度の値下げ

自賠責保険料については、保険料の一部に組み込まれている「賦課金」の100~150円の値上げが夏頃に決まっていました。しかし交通事故件数や保険金支払額の減少を受け、賦課金を除く保険料が1割程度値下げされることになりました。

車検の印紙代(手数料)は200~300円程度の値上げ

車検の印紙代は、車検証の電子化に伴い値上げされます。

車検証は普通車で2023年1月より順次電子化されていきます。しかしながら今回電子化される情報は一部のみ。そのためICタグが付いた厚紙の車検証が交付されます。発行に今まで以上の経費がかかるため、印紙代が値上げされました。

値上げ幅は検査の種類(新規・継続)等で異なりますが、概ね200~300円です。2023年1月4日から値上がりします。

2026年度には自動車税制が見直しへ

車の維持費に関して、2023年は大きな値上がりがなく済みそうです。

しかし自動車関連の税収が減少する中、政府は2026年度に自動車税制を見直す方向で検討しています。これまでの「車の取得、保有、利用、走行」で設定されていた課税制度が抜本的に見直されることになりそうです。今後はこうした税制度を踏まえてよりお得な車を選ぶようにしましょう。

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221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。