この記事の目次 CONTENTS
ワイドだが小回りがきく、5代目新型 RAV4
シャープでスピード感のあるデザインを採用
好感度が高い、シンプルなインパネデザイン
カンペキと呼べるまで、あともう一息な安全装備
トヨタブランド初の2.0LガソリンエンジンとCVT
なんと3つもの4WDシステムを用意!
トヨタRAV4の選び方
トヨタ RAV4価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ワイドだが小回りがきく、5代目新型 RAV4

トヨタは中型SUVである新型RAV4の発売を開始した。
新型トヨタRAV4は、今回のフルモデルチェンジで5世代目となった。

新型トヨタRAV4のボディサイズは、全長4,600×全幅1,855×全高1,685mm。
ライバル車の全長は、日産エクストレイルが4,690mm、マツダCX-5が4,545mmのとなっている。
新型RAV4は、ライバルに対してちょうど中間的なサイズといえる。

新型RAV4の全幅は、1,855mmとかなりワイド。
狭い日本の道では、やや扱いにくいサイズだ。
取り回しの良さの指標となる最小回転半径は、19インチホイールを履いた一部グレードが5.7m。
このクラスの標準的数値となっている。

しかし、18インチホイール以下のホイールを履くグレードでは、最小回転半径が5.5mとなった。
5.5mという数値は、このクラスでは小回りがきき、扱いやすく感じるレベル。
全幅がややワイドで、狭い道でのすれ違いには気を使うものの、狭い駐車場などでは小回りがきいて扱いやすい。

シャープでスピード感のあるデザインを採用

5代目となった新型トヨタRAV4の開発コンセプトは「Robust Accurate Vehicle With 4 Wheel Drive」。
SUVらしい力強さと使用性へのきめ細かな配慮を兼ね備えた4WDモデルであることを意味する。

そして、デザインコンセプトは「Adventure & Refined」。
「アクティブで力強いワクドキ感(Adventure)」と「都会にも似合う洗練さ(Refined)」を併せ持つデザインとした。

ライバル車の多くが、豊かな面の張りをもち重厚感を感じさせるデザインを採用するなか、新型RAV4はシャープさとエッジを効かせたキャラクターラインが際立つ。
SUVのなかではスピード感のあるデザインともいえる。

オフロードイメージを象徴する「Adventure(アドベンチャー)」

そんな新型RAV4には、オフロードイメージを象徴するグレード「Adventure」が設定されている。

「Adventure」は、より直線的な線のイメージが強い専用デザインが採用された。
フロントグリルとフロントスキッドプレート、フロントバンパー、フロントフォグランプベゼル、19インチホイールが専用となり、スピード感のあるデザインのなかに、SUVらしいタフネスさをプラスしている。

直線的なラインが多用されたこともあり、ややロボット感のあるデザインになったように感じるが、こうしたデザインが採用されたSUVはほとんどなく、新鮮な印象を受ける。

魅力的なデザインとなった「Adventure」。
しかし、残念なことに主力となるハイブリッドシステム搭載車には用意されていない。
「Adventure」の人気が高くなれば、ハイブリッド車にも「Adventure」仕様が用意される可能性もある。
「Adventure」仕様のハイブリッド車が欲しい場合、少し待ってみるのもいいだろう。

好感度が高い、シンプルなインパネデザイン

新型RAV4のインパネは、シンプルでクリーンなデザインにまとめられた。
また、水平基調のデザインとすることで、広々とした印象もアピール。
ドアミラー取付位置の最適化や三角窓もスッキリとまとめられていて、良好な前方視界を確保している。

ありがちなSUVのインパネデザインというと、オフローダー的なタフネスさを強調しがちで重厚感のあるものが多い。
新型RAV4はこうした傾向とは異なるプレーンなイメージが強く、軽快感のある都会派SUVといったイメージを上手く表現した。

ただ、シートカラーは定番のブラックベースのものが多く、やや味気ない。
「Adventure」には、オーキッドブラウンの専用合成皮革に、流行りのオレンジステッチをプラスし若々しさやオシャレ感を演出。
ブラックベースのインテリアが売れ筋とはいえ、もう少し大胆なカラー訴求も欲しいところだ。

カンペキと呼べるまで、あともう一息な安全装備

重要な予防安全装備では、昼間の自転車と昼夜の歩行者を検知可能な自動ブレーキを含む予防安全装備「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備した。

自転車検知ができる自動ブレーキを装備したクルマは、まだまだ数少ないのが現状。
今回投入された最新のトヨタセーフティセンスは、高いレベルの予防安全装備といえる。

せっかく高性能な予防安全装備であるトヨタセーフティセンスを標準装備化したのに、詰めが甘く営業面ばかりが重視される点がいかにもトヨタらしい。

営業面で少しでも価格を安く見せたいのは分かる。
しかし、アクセルとブレーキの踏み間違えによる衝突の被害軽減が可能なインテリジェントクリアランスソナーや後側方車両接近警報、後退時車両接近警報などの装備が、一部グレードでは省かれオプション設定となっているのだ。

売れ筋グレードが300万円を超えてくるような価格のモデルなら、こうした安価な安全装備は標準装備化が当たり前の時代だ。
すでに、ライバル車であるCX-5では類似装備が全車標準装備されており、早急に全車標準装備化が望まれる。

エアバッグ関連では、ニーエアバッグやサイド&カーテンエアバッグが標準装備化されているので、どのグレードを買っても安心だ。

安全装備はオプション装備化するが、流行りのコネクティッドサービスは全車標準装備。
しかも、T-Connectサービスを3年間無料で使えるという太っ腹ぶりを披露する。
このコネクティッドサービスは、安全面でも大きく貢献する装備だ。

とくに、ヘルプネットと呼ばれる機能大きなメリットがある。
突然の事故や急病時、ヘルプネットボタンを押すだけで専門のオペレーターに繋がる。
オペレーターは、車両位置情報に基づいて、迅速に緊急車両を手配が可能。

さらに、エアバッグが作動しドライバーが意識を失っているような事故時などには、事故のレベルをコンピューターで自動診断できる。
救急車や、状況によりドクターヘリ等の早期出動判断を行うD-Call Netにも対応している。

トヨタブランド初の2.0LガソリンエンジンとCVT

新型RAV4には2つのパワーユニットが用意された。

1つ目は、トヨタブランドとして初採用になった直4 2.0Lダイナミックフォースガソリンエンジンだ。
このエンジンは世界トップレベルの最大熱効率40%を達成し、パワフルさと低燃費を両立したエンジンとなった。
出力は171ps&207Nm。燃費はWLTCモードで15.2㎞/L(4WD)という低燃費性能を誇る。

このガソリンエンジンと組み合わされるのは、こちらもトヨタブランド初採用のダイレクトシフトCVT(ギヤ機構付自動無段変速機+10速シーケンシャルシフトマチック)。
従来のCVTに対して、発進用ギヤを追加。ギヤによるダイレクト感のある発進加速が魅力で、CVTにありがちなラバーバンドフィールを払拭している。

速さと超低燃費を両立した2.5Lハイブリッド

2つ目のパワーユニットが2.5Lのハイブリッドシステムだ。
基本的にカムリと同じもので、システム出力(E-Four)は163kW(222PS)とかなりパワフル。
これだけの出力を持ちながら、燃費はWLTCモードで20.6㎞/L(E-Four)という超低燃費を実現している。

トヨタには、同じ2.5Lのハイブリッドシステムを搭載したハリアーがある。
ハリアーのシステム出力は145kW (197PS)なので、いかに新型RAV4がパワフルか分かる。

さらに、新型RAV4はハリアーよりも100㎏程度軽い。
こうなると、加速性能などは新型RAV4が圧倒的。
このクラスでは、以前最速と言われていたフォレスターの2.0Lターボ車が姿を消してしまっているだけに、新型RAV4の2.5Lハイブリッドはクラストップレベルの俊足といえるだろう。

なんと3つもの4WDシステムを用意!

新型RAV4には、なんと3つのもの4WDシステムが用意された。

一般的に1つの車種に1つの4WDシステムが一般的。
新型RAV4にはハイブリッドがあるため、2つの4WDシステムになるのは理解できる。

しかし、さらにもう1つの4WDシステムの追加するというのは異例。
効率やコストを重視するトヨタらしくないのでは? と感じる。

さまざまな事情があるにせよ、顧客にとっては選択肢の幅が広がったことはありがたいことだ。
こうした設定ができるのも、先代RAV4が世界的に大ヒットからといえる。

注目は世界初「ダイナミックトルクベクタリングAWD」

そんな4WDシステムでの注目は、世界初となる「ダイナミックトルクベクタリングAWD」だ。

このAWDシステムは走行状況に応じて、前後トルク配分に加え後輪トルクを左右独立で制御できる。
走破性はもちろん、左右輪の回転差を使った「トルクベクタリング機構」を使い、より曲がりやすくし、ドライバーの狙い通りのラインを安定した車両姿勢で走行できるようになった。
駆動力の前後配分は50:50、左右0:100~100:0の間でトルク配分する。

そして、もう1つ新開発された4WD機能が、ハイブリッド車用のE-Fourだ。
従来通り後輪をモーターによる駆動する。
今回は後輪の最大トルクを増加させ、前後輪トルク配分を100:0から最大20:80まで変更可能な新制御を採用した。

後輪トルクを上げたことで、降雪時や雨天時における登坂発進時の安心感が向上している。
また、後輪に80%ものトルクが配分されることで、後輪を豪快に滑らせて走るるような走りも可能となった。
ただ、悪路などでの走破性は「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が上回る。

そして、従来のAWD機能である「ダイナミックトルクコントロール4WD」は、価格の安いエントリーモデルに装備される。
前後の駆動力配分は、最大前後50:50という一般的なものだ。

トヨタRAV4の選び方

新型トヨタRAV4のグレード選びは、まずハイブリッド車かガソリン車かという選択から始まる。
ガソリン車とハイブリッド車の価格差が、約60万円と非常に大きいためだ。

これだけ価格差に加えて、燃費差による燃料費で元を取るのは、エコカー減税分を差し引いても不可能だろう。

ガソリン車で十分と言いたいところだが、やはりおすすめはハイブリッド車だ。
世界的にクルマの電動化が進んでいるなかで、これから5年後を見据えた場合、今あえてガソリン車を選ぶというメリットは少ない。

エコカー減税などの節税メリットもなく、リセールバリュー面でも不利になる。
走行性能面でも、2.0Lのガソリン車で4WDだともう少しパワーが欲しいと思ってしまう。
スムーズで力強い加速力を誇る2.5Lハイブリッド車との差は大きい。

ハイブリッド車を選択した場合、グレードはハイブリッドXかハイブリッドGの2択になる。
ハイブリッドXには、FF(前輪駆動)と4WDがある。
価格差は約25万円と大きいので、雪道などを走らない人はFFでも十分だ。

4WD車を比較すると、ハイブリッドXとハイブリッドGの価格差は約37万円になる。
主に豪華装備と安全装備の差だ。

ハイブリッドXはインテリジェントクリアランスソナーやリヤクロストラフィックオートブレーキ、ブラインドスポットモニターなどの予防安全装備がオプション設定になっており、物足りない仕様。
これらをオプション選択すると、10万円弱程度価格がアップする。

これらの安全装備は日常的に使えるものが多いので、積極的に選んでおきたい。
基本は、ハイブリッドXを選び、必要なオプションをプラスするという考え方がいいだろう。

トヨタ RAV4価格

■2.0Lガソリン車
RAV4 X 2WD(FF) 2,608,200円
RAV4 X 4WD 2,835,000円
RAV4 G 4WD 3,202,200円
RAV4 G "Z package"  4WD 3,348,000円
RAV4 Adventure 4WD 3,137,400円
■2.5Lハイブリッド車
RAV4 HYBRID X 2WD(FF) 3,202,200円
RAV4 HYBRID X 4WD 3,450,600円
RAV4 HYBRID G 4WD 3,817,800円