この記事の目次 CONTENTS
8年振りのフルモデルチェンジで7世代目へと突入した新型BMW 3シリーズ
是か非か?ついに全幅1,800mm越え!
より彫りの深い精悍さあふれるフェイスデザイン
AIが導入され「OK、BMW!」で起動するインテリジェント・パーソナル・アシスタント
まさかの3眼カメラ!大幅に進化した予防安全装備
日本専用チューニングの2.0L直4ターボエンジンを用意
新型BMW3シリーズの選び方「ディーゼル車が出てから!」
BMW 3シリーズ価格とスペック一覧

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

8年振りのフルモデルチェンジで7世代目へと突入した新型BMW 3シリーズ

BMWは、高級セダンである3シリーズを8年振りにフルモデルチェンジし発売を開始した。
新型となった3シリーズは、これで7世代目となる。

BMW3シリーズは、国内BMW車の中でも古くから支持されている。
グローバルでは、初代3シリーズが1975年に登場。その後40年以上にわたり発売され、世界累計販売は1,500万台以上を達成した基幹モデルである。

国内の3シリーズはスポーツセダンとして認知されており、クルマ好きを中心に人気を得ている。
そのため、ファンから開発コードで呼ばれている点が特徴で、今回登場した7代目3シリーズはG20と呼ばれている。

人気セダンであることに変わりはないが、国内の販売状況はやや劣勢というところだ。
永遠のライバルでもあるメルセデス・ベンツCクラスには、2014年以降販売台数で負け続けている。
今回のフルモデルチェンジを機に、巻き返しを狙いたいところだろう。

是か非か?ついに全幅1,800mm越え!

新型BMW3シリーズに新プラットフォームが採用された。
これにより、ボディサイズが先代モデルより拡大されている。

新型3シリーズのボディサイズは、全長4,715x全幅1,825x全高1,430mm、ホイールベース2,850mm。
先代モデル比で、全長が+70mm、全幅は+25mm、ホイールベースは+40mm大きくなっている。

ボディサイズのポイントは、全幅が1,800mmを超えたことだ。
先代3シリーズは、日本マーケットに多い全幅1,800mm以下という立体駐車場を使う顧客が多いことから、日本仕様はドアハンドルを変更するなどし、全幅を1,800mm以下にした。

国産車では、ほぼ日本専用車となるトヨタ クラウンも同様の理由から、全幅1,800mmを死守している。
残念ながら新型3シリーズは全幅1,800mmを超えてしまったが、このことが今後、販売面でどう影響するか注目だ。

より彫りの深い精悍さあふれるフェイスデザイン

新型BMW 3シリーズのデザインは、基本的に先代3シリーズのイメージを継承。
パッと見た瞬間は、それほど大きく変わった印象がない。
ところが、じっくりと見比べてみるとまったく異なるデザインになった。

特に象徴的な部分がキドニーグリルのデザインだ。
先代3シリーズは2パーツに分かれたグリルデザインだったが、今回は1つのフレームで縁取られた。
キドニーグリルそのもののデザインも変更され、より立体的で水平方向への広がりを表現。
こうしたデザインにより、さらにワイドで低重心感のあるフロントフェイスとなった。

また、ヘッドライトやバンパーなどのデザインはより彫りの深いものとなり、精悍さあふれるものとなった。
また、リヤのコンビネーションランプはL字型デザインを継承しているものの、グッと細くなった。
これにより、フロント同様にリヤ周りもワイド感が強調され、より安定感のあるシルエットになっている。

AIが導入され「OK、BMW!」で起動するインテリジェント・パーソナル・アシスタント

少々前に、メルセデス・ベンツがAクラスに「ハイ!メルセデス!」で起動する自然対話式音声認識機能を投入した。
新型3シリーズにも同様の機能を持ち、初のAIを活用した新開発のBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが導入された。

この機能も、音声会話により車両の操作、情報へのアクセスを可能とする。
今までのような決められた言葉に限定されず、自然な会話に近い言葉でドライバーの指示や質問を理解し、適切な機能やサービスを提供。
AI機能があることから、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習していく。

BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの起動は「OK, BMW(オーケー、ビー・エム・ダブリュー)」。
メルセデス・ベンツの機能と異なるのは、起動言語が1つではなく、例えば「XXX(例:サンニーマル)」など任意に設定することができる点だ。

正直、「OK、BMW」も「Hi、メルセデス」も起動言語としては少々長い気がするので、短めの言葉に設定すればより扱いやすくなるし、愛着も沸いてくるだろう。

まさかの3眼カメラ!大幅に進化した予防安全装備

自動運転か技術の進化と共に、年々進化を続ける予防安全装備。
新型BMW 3シリーズの歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備も大幅に進化している。

今回のフルモデルチェンジでは、日本で初となる高性能3眼カメラを採用した。
この予防安全装備は、320i Standard以上のグレードに全車標準装備されている。

日本メーカーが採用しているカメラ数は、一部のメーカーを除き、ほとんどの場合でコスト重視のため1眼カメラを採用。
もちろん、1眼カメラでも十分な機能を誇るレベルにはあるが、BMWはさらにその上を目指した。

当り前だが、1眼カメラよりも3眼カメラの方が圧倒的に多い情報量を得られる。

この高性能3眼カメラシステムは、長距離、中距離、周辺監視と個々のカメラに役割を与えている。
そのため、より詳細な情報を得ることができ、正確なレーンキーピング性能と、より離れた場所の危険予測や、広い視野での危険予測を可能とした。
こうした機能をさらに向上させた先に自動運転技術がある。

また、3眼カメラで得た膨大な情報を処理するために、毎秒2兆5000億回の演算能力を持つ画像処理プロセッサーを搭載。
この圧倒的な視覚情報量に加え、レーダーによる正確な距離計測情報を統合して瞬時に処理。
より正確で確実、そして素早い運転支援と安全性を可能としている。

日本専用チューニングの2.0L直4ターボエンジンを用意

新型BMW3シリーズには、2タイプの2.0L直4ターボエンジンが用意された。
売れ筋となる320i系は、184ps&300Nm。330i系は258ps&400Nmという出力になる。
まずは、2タイプのガソリン車のみの設定され、先代3シリーズで人気が高かったディーゼルや、環境性能に優れたPHEVも投入される予定だ。

高出力の330i系のエンジンは、ほぼ全ての常用回転域で50Nmものトルク増を実現した。
最高出力は6psアップと、よりパワフルな仕上がりだ。

この出力増は、高精度ダイレクトインジェクションシステムの改良や、燃料噴射圧力は従来から200bar高い350barとなったことが上げられる。
こうした技術によって、燃焼室により細かい霧状の燃料が直接噴射されることで、燃焼効率が向上した。

その他、クランクシャフトの軽量化、内部摩擦の抑制、熱管理の最適化も行われた。
BMWらしいレスポンスの良さとクリーンな排ガス性能をもつエンジンに仕上がっている。

そして、国内でメインとなる320i系には、日本専用チューニングが施された2.0L直4ターボエンジンが投入された。
基本的に、330i系エンジンの出力をやや抑えたエンジンになる。

このエンジンは、欧州などで販売される初期生産モデルには設定されていなかった。
しかし、パワフルだが高価になる330i系のみでは、日本マーケットで販売面で厳しい状況になる。
日本では、やはり人気の中心になる320i系が必要だ。

そこで、こうした日本のオーダーを本国のBMWが聞き入れ、導入直後から日本専用チューニングを施した320i系が生まれたのだ。

BMWは、販売台数は少ないものの日本マーケットを重要視し、日本を主要6カ国のひとつとしている。
そのため、よりきめ細かく日本マーケットのニーズに対応できたのだ。

新型BMW3シリーズの選び方「ディーゼル車が出てから!」

新型BMW3シリーズは、今のところガソリン車のみの設定。
しかも、2.0L直4ターボエンジンの出力違いで320iと330iの2つしか選択肢が無い。
これではやはり選びにくい。しかも、今時ガソリン車のみ。

先代3シリーズのように、エコカー減税の恩恵を受けることができるディーゼルやPHEV。
または、BMWらしいパワフルさが魅力の直6 3.0Lターボなどのように、選択肢が増えてから本格的な買い時になる。

2.0L直4ターボエンジンでもよいというのであれば、やはりおすすめは320i系。
330i系はパワフルだが、Mスポーツ比較で49万円の価格差がある。

パワーの差はあるものの、日常では320i系で十分。
よりパワフルなエンジンが欲しいというのであれば、やはり3.0L直6ターボエンジンを搭載したモデルを待つ方がよい。

320i系のグレード選びは、Mスポーツ一択だ。
グレードはSEとスタンダード、Mスポーツが用意されている。
ただし、SEは価格訴求用のオトリグレードで、装備も貧弱なので除外。
スタンダードかMスポーツという選択肢になる。

価格差は60万円とやや開いているものの、BMW本来の走りの良さを感じさせるのは、やはりMスポーツだ。

また、短期間での売却となると、Mスポーツのリセールバリューの高さは魅力的。
スタンダードとは大きな差になることが予想される。
こうなるとやはり、Mスポーツを選んだ方が無難だ。

BMW 3シリーズ価格とスペック一覧

車両価格と搭載機能は以下の通りだ。

320i SE 4,520,000円
320i Standard 5,230,000円
320i M Sport 5,830,000円
330i M Sport 6,320,000円
代表グレード BMW 320i M Sport
全長x全幅x全高(mm) 4,715×1,825×1,430
ホイールベース(mm) 2,850
エンジン 直列4気筒DOHCガソリンターボ
総排気量(cc) 1,998
最高出力(kW [ps] / rpm (EEC)) 135[184]/5,000
最大トルク(Nm [kgm] / rpm(EEC)) 300[30.6]/1,350-4,000
燃費消費率 JC08モード(km/L)15.2
燃料消費率WLTCモード(km/L) 13.1
トランスミッション 8速AT