軽自動車は国内専用車ということもあり、世界的に見てもかなり特殊なカテゴリーだ。ユーザーニーズをより細かく反映し、様々なジャンルが用意されている。その中には、ユーザーの性別まで分けて開発されたモデルもあり、世界的に見ればかなり稀有な存在だ。
今回比較するダイハツ ミラトコットとスズキ アルトラパンは、女性をターゲットに開発された軽自動車である。この記事では、2台のデザインや燃費、値引き額など計8項目で比較・評価する。購入を検討している方にぜひ読んでいただきたい。
- この記事の目次 CONTENTS
- 1.ダイハツ ミラトコット、スズキ アルトラパンの特徴
- 2.燃費比較
- 3.価格比較
- 4.購入時の値引き額比較
- 5.デザイン比較
- 6.室内空間と使い勝手
- 7.安全装備の比較
- 8.走行性能の比較
- 9.リセールバリュー比較
- 10.今のクルマを高く売る方法
- 11.まとめ・総合評価
1.ダイハツ ミラトコット、スズキ アルトラパンの特徴
女性ユーザーをメインターゲットにしたベーシックな軽自動車、ミラトコットとアルトラパン。
ダイハツ ミラトコットの特徴
ダイハツは、新型の軽自動車であるミラトコットを2018年6月に投入した。
新モデルだが、実質的にミラココアの後継モデルである。「誰でもやさしく乗れる、エフォートレスなクルマ」をコンセプトとして、低価格であることにもこだわった。
スズキ アルトラパンの特徴
2015年に登場したアルトラパンは、ラパンシリーズの3代目だ。角を丸くしたスクエアなボディに丸いヘッドライトを組み合わせ、可愛らしいデザインとしている。
ラパンはフランス語でウサギという意味をもち、随所にウサギをモチーフにしたデザインが使われている。
2.燃費比較
ミラトコットの燃費性能は28.9㎞/L(JC08モード)、アルトラパンは35.6㎞/L。
軽量ボディとエネチャージで、燃費はアルトラパンが圧勝!
エネチャージで燃費化したアルトラパン
アルトラパンにはエネチャージと呼ばれる低燃費技術が投入されている。
これは、減速時に発生するエネルギーを利用し発電し、鉛バッテリーと高効率のリチウムイオンバッテリーに充電するというものだ。
加速時に蓄えた電力を電装品に供給してエンジンへの負担を軽減することで、低燃費を実現した。
ボディの軽量化も燃費に差を出す要因
アルトラパンは、スズキの軽量化技術により車重が軽量化された。
アルトラパンが680㎏なのに対して、ミラトコットは720㎏である。小さな排気量のエンジンでは、こうしたわずかな差も燃費に影響する。
副変速機構付CVT採用で差を付けたアルトラパン
アルトラパンには変速比幅の大きい副変速機構付CVTが採用されている。
そのため、とくに高速域ではエンジンの回転数が下がり、低燃費を可能にした。
燃費よりも価格設定を重視したダイハツ
ダイハツは、価格を重視し安価で提供することをコンセプトのひとつとしている。
そのため、あえてエネチャージのような技術を採用していないことが、燃費性能差として大きく表れている。
ミラトコットの燃費評価
アルトラパンの燃費評価
4.5点
3.価格比較
エントリーグレードの価格帯は同程度だが、充実した安全装備が標準装備化されているミラトコットがややお買い得だ。
歩行者検知式自動ブレーキが標準装備されているミラトコット
ミラトコットの価格帯は、1,074,600~1,296,000円でサイド&カーテンエアバッグが標準装備されている。
また一部グレードを除き、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備も兼ね備えている。
装備されている自動ブレーキは対車両のみのアルトラパン
アルトラパンは、1,077,840~1,389,960円で、ミラトコットに用意されているサイド&カーテンエアバッグはオプションでも用意されていない。
また、歩行者が検知できないタイプの簡易型自動ブレーキのみが装備されている。これは対車両のみで低速域時しか作動しないため、性能的に大きな差がある。
ミラトコットの価格評価
4点
アルトラパンの価格評価
2点
4.購入時の値引き額比較
両車ともにお買い得な登録済未使用車が大量発生中。
両車の競合でさらなる値引きが期待できる
ミラトコットは新型車だが、すでに値引きされて販売されている。
アルトラパンは、すでにモデル中期から後期といったモデルなので十分な値引きが期待できる。
どちらを買うにせよ、この2車を競合させれば納得できる値引き額が提示されるだろう。
中古車扱いなのに新車コンディション「登録済未使用車」
両車とも新車を購入するより、登録済未使用車がおすすめだ。
登録済未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で買い手がいないのに売ったことにするため自社名義で登録した車両のこと。
一度登録すれば中古車扱いになるので、登録済未使用車として多くの中古車店に並んでいる。基本的に登録しただけの車両なので、状態はほとんど新車同様。
中古車扱いのため、新車価格より大幅にお買い得な価格で販売されている。
新車値引きより、登録済未使用車がお買い得
何度も商談して新車値引きを引き出すよりも、登録済未使用車は最初からお買い得であるのが魅力だ。
また、大量に流通しているので登録済未使用車同士を競合させれば、さらなる値引きも可能だろう。
ただし、現車販売のためグレードや色、オプションなどを自由に選ぶことができない。
流通量が豊富で選びやすいアルトラパン
ミラトコット、アルトラパン共に、売れ筋グレードが100万円前後から手に入る状態で、新車価格から20万円程度の差はあるだろう。アルトラパンの方が、流通量が豊富で選びやすい状況だ。
ミラトコットの値引き額評価
4点
アルトラパンの値引き額評価
5点
5.デザイン比較
両車共に角を落とした四角いボディに、丸形ライトを組み合わせた可愛らしいデザインがベースとなっている。
シンプルな可愛らしさをもつミラトコット
ミラトコットは自然体でいられるようなシンプルで愛着のわくデザインで、全体的にスッキリ感していて好感度は高い。また水平基調のスタイルで見切りがよいデザインになっている。
全体的にボディサイズがつかみやすく、運転しやすい。
丸目のライトがキュートなアルトラパン
アルトラパンは「ぬくもりのあるカタチ」をコンセプトとしており、丸目のライトがキュートなデザイン。 ミラトコットより、若い女性を意識しているような可愛らしさがある。
ミラトコットデザイン評価
4点
アルトラパンデザイン評価
4点
6.室内空間と使い勝手
使い勝手面では、一長一短といったところ。
ミラトコットは2名乗車で便利なUSB充電口を用意
やや丸みを帯びたデザインで、後席シートバックは一体可倒式となっている。
またUSBの充電口が2つ用意されており、スマートフォンの充電などの用途で使用できるためより便利になった。
アルトラパンのUSB充電口は特定のグレードのみの設定
やや直線的なデザインでシートは2分割タイプの可倒式となっている。そのため荷物を搭載する場合、色々とアレンジが可能だ。
USBの充電口はオプションの全方位モニター用カメラパッケージ車にしか用意されていないため、購入の際はしっかり確認したい。
両車ともインパネデザインと室内空間はほぼ同等
インパネデザインが使われ、両車とも水平基調のデザインで広さをアピール。
また、シート生地は軽自動車にありがちな実用車的なものではなく、上質感があり居心地がよい。
室内の広さはほぼ同等。両車共にハイト系ワゴンなどと比べるとややタイトな印象があるが、必要十分なスペースといえる。
ミラトコット室内空間評価
4点
アルトラパン室内空間評価
4点
7.安全装備の比較
安全性能面では、軽自動車の中でも高いレベルの安全性能を得たミラトコットが完勝。
1グレード以外は先進予防安全装備が標準装備化のミラトコット
安全装備は圧倒的な差でミラトコットが優れているといえる。
ミラトコットも完全とは言えないが、1グレードを除き歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるスマートアシストⅢが標準装備化されている。
さらに、サイド&カーテンエアバッグも標準装備化されているため、軽自動車としては高いレベルの安全装備を得ている。
自動ブレーキの進化が遅れているアルトラパン
発売が古いこともあり、装備されている自動ブレーキは対車両のみで30㎞/h以下の速度に限定される簡易型だ。デビュー当時はこれで十分だったが、こうした安全装備の進化は早く、最近では歩行者検知式自動ブレーキが当り前の状況になった。
しかしスズキは安全対策について消極的であるため、サイド&カーテンエアバッグはオプションでも装備できない仕様となっている。
ミラトコット安全装備の評価
4点
アルトラパン安全装備の評価
2点
8.走行性能の比較
両車とも街乗り中心の割り切った仕様となっている。
ミライース同様、街中での使い勝手を重視したミラトコット
プラットフォーム(車台)はミライースと共通のものを使用している。
ミライースは生活の足として開発され、低価格であることと街中での使い勝手を重視したベーシックな軽自動車だ。
60㎞/h以下の速度域なら乗り心地は十分なもので、カーブでの安定感もそこそこといった印象。この領域ではミラトコットの方が新しいこともあり、アルトラパンを上回る。
高速道路の走行は向かない両車
ミラトコットは価格を重視したことにより、スタビライザーと呼ばれる車両を安定させる部品が無い。アルトラパンの仕様も同じで、速度が上がるほどクルマの安定性がどんどん欠けていく印象だ。そのため高速道路などのカーブでは、やや不安感が増す。
両車共に高速道路などを使って、どこか遠くへドライブに行くというようなキャラクターではない。
また、ミラトコットのCVTからはキーンというような高周波の音が絶えず聞こえてきてやや耳障りだ。
力強さという点では、アルトラパンがやや勝る。
ミラトコットは、エンジンが5,200回転の時に最大トルク60Nmに対し、アルトラパンは4,000回転で63Nmを発揮する。わずかだがアルトラパンの方がより低回転で、ミラトコットを上回る最大トルクを発揮している。
また、アルトラパンの方が車重は軽く、CVTもよりワイドであるためより力強く走る印象だ。
ミラトコットの走行性能評価
3点
アルトラパンの走行性能評価
3点
9.リセールバリュー比較
両車ともに個性派モデルということもあり、高いリセールバリューを維持。
中古車の流通が少ないミラトコットが優位
軽自動車は中古車でも高い人気を持つ。
ミラトコットとアルトラパンは、個性派ということもありファンを多く持ち、両社共にほぼ互角のリセールバリューだ。
ただし、中古車の絶対的な流通量の少なさから、しばらくの間はミラトコットがわずかに優位だろう。
売却するタイミングは2年目以降
注意したいのは売却のタイミングだ。
ミラトコット、アルトラパン共に登録済未使用車が多い。そのため、1年落ち程度の高年式モデルのリセールバリューはやや低くなる。2年目以降は徐々に価格が下がるので、2年くらいは乗り続けたほうがよい。
ミラトコットのリセールバリュー評価
3.5点
アルトラパンのリセールバリュー評価
3点
10.今のクルマを高く売る方法
軽自動車以外も高値の売却が期待できる1~3月。
高価買取を狙うなら、1~3月に売却せよ
中古軽自動車は非常に人気が高いため、いつでも高値で売却が可能だ。
その中でも1~3月は、より高値で売却できる。4月以降は就職や入学などの新生活が始まるため、通勤通学で軽自動車を使う人が増え、需要も増えるのだ。
需要が増えるタイミングで買取価格が高値になる
中古車店の多くは、1~3月に多くの中古軽自動車を仕入れるため買取価格が高値になる。さらに中古車販売店の多くが3月末に決算を迎えこともあり、売却価格が増す。
軽自動車以外もこのタイミングで売却するのがおすすめだ。
下取りに出す前に、買取店での査定がおすすめ
とくに高値が期待できるのは買取店の中でも、中古車の販売しているお店。
オークションを通さずに直接次の顧客に売却できるため、中間マージンがかからないからだ。
買取店より価格が低い可能性があるディーラー下取り
注意したいのがディーラーでの下取り。
ディーラーの下取りは、新車が納車されてから通常2~3ヶ月後の価格で処理されるケースが多い。
下取車は入庫してからディーラーの中古車部に運ばれ、自社で販売するかオークション、もしくは業販するのかという判断に時間がかかる。
その間に中古車の価値はドンドンと下がってしまうため、現在の価格を提示する買取店より価格が低いケースが多いのだ。
11.まとめ・総合評価
安全装備重視ならミラトコット、燃費ならアルトラパン
本来ならば、性能的に新しいミラトコットがアルトラパンを大幅に上回っていて当然だ。
ところが、燃費性能や力強さはアルトラパンが勝っている状況。対して、ミラトコットは安全装備で圧勝といった様相を呈していて、ほぼ互角といった印象だ。
デザインを除けば、購入時に何を重視するのかが選択のポイントになる。
安全装備を重視するならミラトコット、燃費性能や力強さが重要ならアルトラパンといった選択がいいだろう。
どちらも、新車より登録済未使用車がおすすめ!
どちらを選ぶにせよ、おすすめしたいのは新車ではなく登録済未使用車だ。新車より大幅に安価な価格設定がされているので、かなり買い得感が高い。もはや、新車を購入する理由が見つからないくらいだ。
こうした登録済未使用車は店頭に並んでいなくても、中古車店に頼めば探してくれるケースが多い。とくに、全国に販売店をもつ中古車店なら、容易に見つけてくれるだろう。
ダイハツ ミラトコットの総合点
29.5点/40点
スズキ アルトラパンの総合点
27.5点/40点
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ダイハツ ミラトコット
スズキ アルトラパン
ミラトコットのカタログ情報
- 平成30年6月(2018年6月)〜令和5年12月(2023年12月)
- 新車時価格
- 107.5万円〜145.2万円
ミラトコットの在庫が現在28件あります
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