春になり就職や進学などの新生活のために、2~3月はクルマを購入する人がイッキに増える。その中でも軽自動車は、地方都市などで生活の足として重要視される交通手段のひとつだ。実用車のためなるべく安い価格で購入したいという人も多いだろう。
今回は、中古軽自動車の失敗しない選び方をご紹介。また、ボディタイプ別のおすすめのクルマも合わせて掲載。中古軽自動車の購入を検討している方、必見の記事だ。

この記事の目次 CONTENTS
1.中古軽自動車選びで損しない購入術とは?
2.「安物買いの銭失い」になりがちな中古軽自動車選び
3.予算がない場合の選び方とは?
4.用途が異なる3つのボディタイプ
5.実は狙い目?ロールーフ系ハッチバック
6.バランスが良く総合力が高いハイト系ワゴン
7.家族におすすめなスーパーハイト系

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.中古軽自動車選びで損しない購入術とは?

軽自動車の選び方はとても難しい。まず、軽自動車というカテゴリーの中に3つのボディタイプが存在する。
中古のものは年式により現行型や旧型などが含まれ、さらに複雑だ。不用意に選ぶと扱いにくいだけでなく損をすることにもつながるため、購入する前にしっかりと検討しよう。

2.「安物買いの銭失い」になりがちな中古軽自動車選び

中古軽自動車選びで避けたいのが「お買い得であればいい」という考え方。価格だけで選ぶと、軽自動車はリセールバリューが高いため痛い目に合う確率が高い。

低年式でも高値がつきやすい

中古軽自動車は、人気が高いので低年式のものでも高値になりやすい。人気のN-BOXなどでは、2012年という7年落ちでも60~90万円がボリュームゾーン。当時の新車価格が130~160万円なので、7年落ちでも半額程度にしかなっていない。
また、一定の故障リスクがあり、例えば7年落ちのものだと故障が出始める時期だ。当然修理代が必要で、中古車とはいえ新車と同じくらいの金額が必要である。故障が重なると想像以上の出費が必要になり、まさに「安物買いの銭失い」になってしまうため注意が必要だ。

3.予算がない場合の選び方とは?

予算が少ないときは、できるだけ高年式で保証期間が長いクルマを選ぶことが重要。現金をある程度持っているのなら、それを頭金に、ローンで1~2年落ちの高年式車、もしくは登録済未使用車を買うのがおすすめだ。

お買い得感のある登録済未使用車という選択も

登録済未使用車とは、ディーラーの都合で買い手がいないなどの理由で、自社名で登録したクルマのこと。ほとんど新車の状態だが、登録されているため中古車扱いになる。新車価格より値引いて販売されているのでお買い得感がある。
登録済未使用車は初回車検まで期間が長い、なるべく登録から6ヶ月程度以内のモデルがおすすめだ。

低年式よりも高年式の方が断然お得!

例えば最新のN-BOXで2018年式であるなら、110~140万円位がボリュームゾーン。60~90万円がボリュームゾーンの7年落ちモデルに対して約50万円増額するだけで2018年式が買える。1年落ち程度なら新車保証が継承されているので、少なくとも新車登録から3年までの間にはほとんど故障による修理代がかからない。つまりN-BOXの場合、約50万円で故障のリスクを回避できる。

しかも、2018年式であれば、現行モデルなので満足度は高い。さらに、5年乗っても一定の下取り、もしくは買取価格が付くので次の乗り換えも容易になる。N-BOXも登録済未使用車がおすすめだ。

4.用途が異なる3つのボディタイプ

中古軽自動車の選び方で重要なのは、ボディタイプと主な使い方だ。軽自動車には、最もベーシックなロールーフ系ハッチバックとハイト系ワゴン、スーパーハイト系ワゴンの3タイプに分類される。それぞれボディタイプ毎に使い勝手面で向き不向きがあるため、車種を選ぶ前にクルマの個性を知ることが大切だ。

ボディサイズの規定がある軽自動車

軽自動車にはルールがあり、ボディサイズなどが規定以内であることが決められている。まず、排気量は660㏄以下。ボディサイズは、全長が3,400mm、全幅1,480mm、全高2,000mm以下である。全長と全幅は室内スペースの関係上、どの軽自動車も規定以内ギリギリまで広げられており、ボディタイプでは全高のみが異なる。

5.実は狙い目?ロールーフ系ハッチバック

ロールーフ系ハッチバックは、あまり人気の無いカテゴリーなので価格も手頃なものが多いということが特徴。全高が高くないので、車重は600㎏台と軽く、燃費も良い。ロールーフ系ハッチバックも2タイプに分かれており、実用性重視タイプと女性に人気のある個性派タイプに分類される。

燃費に優れた実用性重視モデル

実用性重視のモデルは、スズキ アルトやダイハツ ミライースなどが挙げられる。

例えば、最新のスズキ アルトは、37.0㎞/Lという低燃費を誇るため、毎日の通勤などで乗る人におすすめ。しかし、室内スペースはそれほど広くないのでファミリーには不向きだ。

内外装がオシャレで可愛らしい個性派モデル

アルトラパンやミラトコットは、女性向けにオシャレで可愛らしい内外装が特徴だ。

例えば、ミラトコットは歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備が充実しているため特におすすめだ。

アルトラパンの登録済未使用車は80万円台から手に入る。このクラスの装備は簡素化されていることが多く、なるべく上級グレードを選ぶといいだろう。

6.バランスが良く総合力が高いハイト系ワゴン

ハイト系ワゴンは、全高1,650mm前後の軽自動車だ。スーパーハイト系とロールーフ系の中間といった全高をもつ。そのため、居住性や燃費性能、使い勝手に関してバランスがよく、多くの人が満足できるジャンルになっている。
迷ったらハイト系ワゴンを選んでおけばハズさないだろう。ただし、ほとんどのモデルがスライドドアではなく通常のヒンジ式ドアになので注意が必要だ。また、このモデルもスズキとダイハツが多くの登録済未使用車を流通させている。

登録済未使用車が多く流通するボディタイプ

ハイト系ワゴンに属する車種は多く、代表車種はスズキ ワゴンR/ハスラー、ダイハツ ムーヴ/ムーヴキャンバス/キャスト、ホンダN-WGNなど。
例えば、スズキ ワゴンRにはマイルドハイブリッドシステムが搭載されており、33.4㎞/Lという低燃費を実現している。登録済未使用車は80万円台で手に入れることができる。

予防安全装備の有無もチェックのポイント

このクラスも低年式になると、ほとんどのモデルに歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備が装備されていない。高年式モデルの中にも装備されていないものがあるため、しっかりと確認する必要がある。

7.家族におすすめなスーパーハイト系

スーパーハイト系は、1,800mm前後という高い全高をもち、両側スライドドアをもっている点が特徴だ。背が高く両側スライドドアを装備しているため、大人もあまりかがまずに乗車できる。高齢者や小さな子供がいる家庭などが使う場合、非常に利便性が高い。
ただし、背が高いだけに車重900㎏台と重いので、660㏄の自然吸気エンジンでは動力性能的にやや物足りない印象だ。そのため燃費もあまり良くなく、最新のN-BOXで27.0㎞/Lである。全高が高いため重心が高いことも難点で、カーブでは少々不安定だ。

購入時にはオプション装備の有無も確認

スーパーハイト系の代表車種は、ホンダN-BOXやスズキ スペーシア、ダイハツ タントなどで、多くの登録済未使用車が流通している。タントの登録済未使用車なら、100万円台くらいから手に入れることができる。
人気のカテゴリーだが、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備は、現行モデルで高年式に限定される。オプション装備のため、  購入時には装備の有無も確認しておくといいだろう。