新型カローラスポーツ VS オーリス徹底比較

初代トヨタ カローラスポーツは、2018年6月に登場。カローラスポーツの登場により、同じCセグメントと呼ばれるコンパクトカーであったオーリスがラインアップから姿を消しているため、カローラスポーツはオーリスの後継車ということになる。
オーリスの走行性能や安全性能を進化させて誕生したカローラスポーツは、快適な乗り心地とスポーティな走りを手に入れ、運転が楽しめる車となった。この記事では、カローラスポーツとオーリスの性能を比較。変更点や購入時期などを分かりやすく解説している。ぜひ、購入の際の参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
トヨタ カローラスポーツの歴史・概要
コンセプト&エクステリアデザイン
インテリア&装備
走行性能、メカニズム
おすすめはカローラスポーツか?それとも、オーリスか?
新車値引き交渉のポイント
トヨタ カローラスポーツ価格
トヨタ カローラスポーツスペック情報

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ カローラスポーツの歴史・概要

初代トヨタ カローラスポーツは、2018年6月に登場。TNGA(トヨタ ニュー グロバル アーキテクチャ)による新プラットフォーム(車台)が採用された。このプラットフォームは、基本的にプリウスと共通となる。

オーリスの後継者となったカローラスポーツ

カローラスポーツの全長は4,375㎜で、Cセグメントと呼ばれるコンパクトカーに属する。トヨタは、このクラスにオーリスを投入していたが、カローラスポーツの登場により、オーリスはラインアップから姿を消している。そのため、国内マーケットにおいて、カローラスポーツはオーリスの後継車ということになる。

パワーユニットはプリウス・オーリスと同じ

カローラスポーツに搭載されたパワーユニットは2タイプ。プリウスと同じ1.8Lハイブリッドとオーリスにも搭載されていた1.2Lターボだ。
1.8Lハイブリッドは、最も燃費のよいグレードでJC08モード燃費34.2㎞/Lを達成している。1.2Lターボの燃費は19.6㎞/L。オーリスはハイオクガソリン仕様だったが、カローラスポーツではレギュラーガソリン仕様になった。
カローラスポーツの駆動方式は、1.8LハイブリッドはFF(前輪駆動)のみの設定。プリウスには4WDの設定があるが、カローラスポーツに4WDの設定はされていない。1.2Lターボには、FFと4WDが設定されている。

トヨタ オーリスの歴史・概要

事実上の先代モデルとなるオーリスは、2012年に登場。デビュー直後に搭載されていたエンジンは、1.5Lと1.8Lエンジン。JC08モード燃費は、1.5Lが18.2㎞/L、1.8Lが16.0㎞/Lとなっていた。
また、オーリスにはスポーツグレードであるRSが用意されており、こちらは1.8Lのハイオクガソリン仕様で燃費は14.4㎞/Lだった。

ハイオクガソリン仕様により販売台数が伸び悩んだオーリス

その後、オーリスは2015年にマイナーチェンジ。この時に、トヨタ初となるダウンサイジングターボエンジンである1.2Lターボが登場。燃費性能は19.4㎞/Lとなり、ラインアップの中では、最も低燃費なエンジンとなった。しかし、ハイオクガソリン仕様となっており、日本マーケットのニーズを全く無視した設定となった。
販売台数が伸び悩むオーリスは、2016年にようやく1.8Lハイブリッド車を投入。このハイブリッドシステムは、3代目プリウスのもので燃費性能は30.4㎞/Lとなった。

コンセプト&エクステリアデザイン

カローラスポーツ、オーリスともに外観デザインには、トヨタのデザインコンセプトである「キーンルック」が採用されている。
このキーンルックは、アンダープライオリティと呼ばれるデザイン手法とセットになっており、台形形状の大型ロアグリルにアッパー部を合わせた立体的な造形となっている。全体的に、シャープな目つきのデザインで、スポーティな印象が強い。

洗練さが増したトヨタのデザインコンセプト「キーンルック」

オーリスで採用された当時、やや違和感が強く好き嫌いがハッキリするデザインだったが、色々な車種に採用されていく中で、徐々に洗練されてきている。
カローラスポーツのフロントフェイスも、非常に彫りの深い複雑な造形で構成されており、オーリスのキーンルックよりかなり洗練されたものとなった。

インテリア&装備

コネクティッドサービスに積極的なカローラスポーツ

歩行者検知式自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグが全グレードに標準装備されているため、予防安全装備は充実している。オプションのリヤクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニターを装備すれば、さらに安全性能は高くなる。
また、コネクティッドサービスを導入。車載通信機DCMを全車に標準搭載し、T-Connectサービスを3年間無料で提供する。
T-Connectサービスは、車両データをディーラーと共有し、スムースな点検や修理を受けることが可能。さらに、事故などでは専門オペレーターによる通報や救急車の手配なども含まれるので安心だ。

予防安全装備が物足りないオーリス

デビュー時が2012年ということあり、重要な予防安全装備が装着されていない。2015年のマイナーチェンジで、ようやく自動ブレーキが用意されたものの、歩行者が検知できないトヨタセーフティセンスCとなった。しかも、自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグが標準装備されているのは、一部の上級グレードのみ。中古車購入時には、こうした装備が標準装備されたモデルを探す必要がある。

インパネ周りは広さをアピール

カローラスポーツ、オーリスともにインパネは、広さをアピールする水平基調のデザインでまとめられている。

カローラスポーツはシャープでスポーティさをアピール。
モニターは、センターコンソール上部に設置され視認性がよいのが特徴。スポーティなG Z系には、スポーツシートが標準装備される。

オーリスはスッキリとしたシンプルさがある。

走行性能、メカニズム

どちらのエンジンも走りは楽しめるが、ハイブリッドシステムの比較では大きな差がついた。

カローラスポーツは低重心化で快適な乗り心地に

TNGAにより低床低重心フロアになっている。そして、ハイブリッド車の大きく重いバッテリーは、リヤシート下付近に設置されているため、低重心化と前後の重量バランスが良い。また、カーブでのクルマの傾きも少なく、なかなかスポーティでしっかりとした走りを披露する。比較的路面の凹凸が少ない道路での乗り心地は、なかなか快適。
オプションのAVS(Adaptive Variable Suspension system)装着モデルは、5つのドライブモードを設定。サスペンションやエンジン特性などが変化する。走行シチュエーションに合わせて選択でき、色々と走りが楽しめる仕様となっている。

実用性重視のエンジンでも運転が楽しめるクルマに

1.8Lハイブリッドは、オーリスの1.8Lハイブリッドの進化バージョンということもあり、アクセル操作に対してリニアな反応を示す。優れた重量バランスとサスペンションの効果も加わり、気持ちよく走れるクルマに仕上がった。
1.2Lターボは、ようやくオーリスのハイオクガソリン仕様からレギュラーガソリン仕様に変更となった。エンジンも良く回るが、ダウンサイジングターボの欠点でもある、高回転でのパワフル感がない。スポーツというより、実用性重視のエンジンといった印象だ。
この1.2Lターボ車には、トヨタ車では数少ない6MT車が用意された。この6MTには、発進時やシフトチェンジ時もストレスなくマニュアル運転を楽しめるiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)を搭載。iMTは、国内トヨタ車初搭載された技術だ。

オーリスはやや硬めの乗り心地で機敏さをアピール

まず注意したいのが1.5L車だ。この1.5Lだけ、リヤサスペンションがトーションビーム式になっている。1.8Lハイブリッドと1.2Lターボ、1.8Lはより上級なダブルウィッシュボーン式で、乗り心地や操縦安定性という面では上回る。オーリスのサスペンションは、総じて硬めのセッティング。この年代のコンパクトカーとしては、なかなかキビキビと気持ちよく走る。1.8Lエンジンは、燃費やパワー感含め特徴がないという点が特徴。

1.8Lハイブリッドシステムは進化型システムが有利

1.8Lハイブリッドシステム比較では、レスポンスの良さや燃費も含め、進化型システムを搭載したカローラスポーツに軍配が上がる。1.2Lターボもオーリスはハイオクガソリン仕様。これだけガソリン代が高騰すると非常に選びにくい。

おすすめはカローラスポーツか?それとも、オーリスか?

走り、メカニズム共に圧勝のカローラスポーツがおすすめ!

 

走行性能や安全性能、燃費に装備など、カローラスポーツがすべてにおいて圧勝。新型車なので、当然の結果だ。オーリスもなかなかスポーティな走りを披露するものの、1.5Lと1.8Lもパワーユニットが古い。また1.2Lターボもハイオクガソリン仕様なので、燃料費という面では選びにくい。唯一、ハイブリッド車のみが選んでもよいと思わせる。

オーリスは、あえて選ぶ理由が見つからない

ただ、意外とオーリスの中古車価格が高いのだ。オーリスは、新車では販売不振だった。新車で売れなかったモデルは、中古車でも人気が無く、リセールバリューが悪い傾向にある。ところが、オーリスは流通量が少ないこともあり意外と高値が付いおり、ハイブリッド車だと、2016年式で180万円前後がボリュームゾーンだ。中古車価格が安いのであれば、あえてオーリスのハイブリッド車という選択も悪くはない。ただ、これだけ中古車価格が高いとフォルクスワーゲン ゴルフなども狙える価格になるので、あえてオーリスを選ぶ理由が見つからない。

新車値引き交渉のポイント

トヨタ カローラスポーツは、また発売されて間もない車種。そのため、容易に値引きに応じてはくれない。

購入の狙い目は増税後の2020年2~3月

より多くの値引きを期待したいのであれば、1年以上購入を待つのが最善の策になる。ちょうどデビューから1年が経過する2019年10月には、消費税が10%にアップされる予定だ。増税後は、駆け込み需要の反動から販売台数が大きく下がることが予想できるため、あえて、販売台数が落ち込んだ増税後に買うというのもありだ。とくに、増税後の2020年2~3月の需要期は、大幅値引きが期待できそうだ。
2~3月は、決算月ということもあり、自動車販売業界最大の繁忙期。売り手よりも買い手が圧倒的に有利になる時期だ。こうした時期を狙うのも値引きのコツだ。

国産車のみでなく輸入車も入れて競合したい

値引きを引き出すために重要なのは、やはりライバル車との競合。国産車でライバルになるのは、同じCセグメントに属する、マツダ アクセラスポーツやスバル インプレッサスポーツなど。カローラスポーツの販売は中々好調なため、ライバル車と競合させても、そう簡単には乗ってこない可能性が高い。
そこで、高い人気を誇るCセグメントの輸入車を加えてみるといいだろう。フォルクスワーゲン ゴルフやボルボV40は、モデル末期なので大幅値引きが期待できる。こうした輸入車が大幅値引きした見積書を持って商談に望めば、トヨタ営業マンのハートに火を付けることも可能かもしれない。

下取価格の事前調査で売却のリスクを回避

値引きと同様に大切なのが、下取り車の売却。新車見積書を取る前に必ず買取店に行って査定し、下取り車の適正な価格を知ることが重要だ。これで、新車見積りに記載される下取価格が適正かどうか、判断できる。
せっかく値引きできても、下取り車の適正な価格を知らずに損をすれば、値引きの努力は水の泡となる。買取店での査定で、こうしたリスクを回避できる。

更に高く売りたいなら個人間売買もおすすめ

2019年10月からの増税後は、買取店や下取りも当然、こうしたコストが含まれる。時間と手間がかかっても、とにかく高く売りたいというのであれば、個人間売買がおすすめ。消費税もかからないし、中間マージンもないので、より高く売れる。しかし、フリーマーケット系やオークション系サイトでは、名義変更がされなかったり、お金が振り込まれないなどのリスクが高いというデメリットがある。
こうしたリスクを回避でき、安心して車の売買ができるサイトがある。中古車大手のガリバーが開設しているクルマの個人間売買専門サイト「ガリバーフリマ」だ。中古車を知り尽くしたガリバーが開設したサイトで、代金の回収や名義変更をガリバーが代行してくれる。
代行してくれる分、多少手数料が必要だが、売買に多くの書類が必要なクルマという商品を、まったく知らない他人との間で取引するのは、リスクが高過ぎる。こうしたリスクを回避できるのであれば、手数料程度は安いものだろう。

トヨタ カローラスポーツ価格

2WD車

 
グレード名 価格
HYBRID G 2,527,200円
HYBRID G “Z” 2,689,200円
HYBRID G “X” 2,419,200円
G “Z” 2,419,200円
G 2,257,200円
G “X” 2,138,400円

4WD車

 
グレード名 価格
G “Z” 2,613,600円
G 2,451,600円
G “X” 2,332,800円

トヨタ カローラスポーツスペック情報

トヨタ カローラスポーツ HYBRID G “Z”

 
全長×全幅×全高 4,375×1,790×1,460㎜
ホイールベース 2,640㎜
車両重量 1,400㎏
JC08モード燃費 30.0㎞/L
エンジン 型式 2ZR-FXE
排気量(L) 1.797
最高出力(kW[PS]/rpm) 72[98]/5,200
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 142[14.5]/3,600
モーター 最高出力(kW[PS]) 53[72]
最大トルク(N・m[kgf・m]) 163[16.6]
システム全体(kW[PS]) 90[122]
バッテリー ニッケル水素