日産は、電気自動車(EV)であるリーフをベースとしたにスポーツグレードである新型リーフ ニスモ(NISMO)を設定し発売を開始した。ニスモ(NISMO)とは、日産のモータースポーツ部門を受け持つ関連会社だ。国内では、スーパーGTなど、多くのモータースポーツで輝かしい実績を多く残している。

この記事の目次 CONTENTS
エコカーイメージの強いリーフのスポーツグレードが用意された訳とは?
リーフのもつ低重心パッケージを生かしたニスモ
ハイグリップタイヤと専用サスペンションで、大幅に操縦安定性を向上
走りを堪能したいのなら、Bレンジ(e-Pedalオフ)がおすすめ
空力にもこだわったエアロパーツを装備
日産リーフ ニスモ(NISMO)の価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

エコカーイメージの強いリーフのスポーツグレードが用意された訳とは?

日産リーフは、2017年10月にフルモデルチェンジされ2代目になった。プラットフォーム(車台)など基本部分は、初代リーフと共通。しかし、従来の30kWhの容量をもつ駆動用リチウムイオンバッテリーを40kWhにアップ。航続距離を大幅に伸ばし400㎞とし実用性を向上。

日産は、近年ニスモ(NISMO)グレードの設定をした車種を徐々に増やしている。日本では、エアロパーツなどを装備したスポーツグレードの人気が高いからだ。ニスモ(NISMO)グレードは、GT-RやフェアレディZといったスポーツカーだけでなく、ノートやマーチ、ジューク、セレナといったモデルにまで多岐に及んでいる。

EVのレース「フォーミュラE」にリーフが参戦!

電気自動車というと、エコカーの代名詞的でスポーツモデルとして縁遠いイメージが強い。そんなリーフにニスモ(NISMO)グレードを設定したのには、それなりの訳がある。それは、ニスモが電気自動車で争われるフォーミュラEに参戦するからだ。

ニスモは、ABB FIA フォーミュラE選手権の第5シーズン(2018~19年シーズン)に参戦を決定。フォーミュラEは、電動フォーミュラカーによるレースで、技術開発の場としてだけでなく、電動化に積極的なメーカーとしてのアピールもある。そのフォーミュラEに参戦することで、日産=電気自動車というブランドイメージをより強固にする狙いもある。その日産が送り出している電気自動車がリーフ。リーフにニスモグレードを設定することで、電気自動車はエコだけでなく、走りも楽しめことをアピールしたいのだ。

リーフのもつ低重心パッケージを生かしたニスモ

電気自動車の走る楽しさは、モーター駆動であること。モーターは、特性としてアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発生する。そのため、かなり刺激的な加速性能を示す。ガソリンエンジンのように、スロットルバルブが開き、エンジンの回転が最大トルクが発生する回転数まで待たなくてよい。アクセル操作に対する圧倒的な加速レスポンスは、モータードライブの大きな魅力だ。

重心が低くバランスが良いリーフ

もうひとつの魅力が低重心パッケージだ。電気自動車は、大きく重い駆動用バッテリーを搭載する。リーフは、この大きく重い駆動用リチウムイオンバッテリーを床下に搭載。クルマの最も低い場所に大きく重いバッテリーが搭載されているので、クルマの重心高は低くなる。また、ある程度前後の重量バランスも考えて設置できる。前後の重量バランスもよい。重心高が低く、前後の重量バランスがよければ、当選、運動性能も高くなる。

こうした高い運動性能をもつリーフだが、一般向け車両となると、あまり尖ったことができない現実がある。運動性能というより、乗り心地の良さや扱いやすさを重視したのが標準車のリーフだ。
リーフニスモは、こうしたリーフ本来持っているスポーツモデルとしての素性を生かしたモデルなのだ。

ハイグリップタイヤと専用サスペンションで、大幅に操縦安定性を向上

リーフニスモなら、標準車ではできなかった楽しい走りに特化したモデルにすることが可能となった。
まず、手を入れられたのがタイヤ。標準車のリーフには、航続距離を伸ばすためにエコタイヤが装着されている。そこで、ニスモはハイグリップの18インチコンチネンタル ContiSportContact5(225/45R18 )を装着。タイヤサイズは 、1インチアップされた。

ハイグリップのタイヤを得たことで、メカニカルグリップが大幅にアップ。このグリップ力を生かすために、専用サスペンションも装着した。フロントで、標準車比減衰力を25%アップ、リヤを33%アップした。やや硬めで、操縦安定性を重視したダンパーを装備したことで、クルマのロール(傾き)を適度に抑制。安定した姿勢で、より速い速度でカーブを走り抜けられるようになった。

走りを堪能したいのなら、Bレンジ(e-Pedalオフ)がおすすめ

また、走行制御系システムも変更された。専用にチューニングされた電動パワーステアリングやインテリジェント トレースコントロール(コーナリング安定性向上システム)を採用した。レーンチェンジやS字コーナーなど、ステアリングの切り返しが発生するシーンでの高い安定性とライントレース性を実現している。

パワーユニット制御系も、リーフニスモ専用コンピューター(VCM)が搭載された。最大出力そのものに変化はないものの、標準車よりも、力強く俊敏なアクセルレスポンスと素早い加減速の応答性を実現している。日産によると、リーフニスモの走りをより楽しみたいのなら、Bレンジ(e-Pedalオフ)がおすすめだという。

空力にもこだわったエアロパーツを装備

リーフニスモには、スポーティなエアロパーツが装着された。このエアロパーツは、カッコだけでなく空力特性も重視された機能性の高いものだ。デザインは、ニスモロードカーシリーズの特長である「レイヤードダブルウイング」を共通採用。空気抵抗を悪化させることなくダウンフォースを向上させた。ダウンフォースは、空気の力でクルマを路面に押し付ける力。走行中の走行安定を向上させる効果がある。

さらに、ホイールの空力へにもこだわった。ホイール表面を流れる空気抵抗の低減も実現した。

日産リーフ ニスモ(NISMO)の価格

ニスモの販売価格は、4,032,720円。
低重心パッケージとモータードライブというリーフの素性の良さをより生かしたスポーツモデルとなった。走行性能を重視したというと、一般の人にとっては、ちょっと縁遠いイメージが強くなる。しかし、リーフニスモは、それほど尖った仕様になっていないので、ルックス重視で選んでも乗り心地や運転のしやすさなど不満の無いレベルになってる。