ホンダは、主力コンパクトカーのフィットに特別仕様車「コンフォートエディション」を設定し発売を開始。
フィット特別仕様車コンフォートエディションは、「HYBRID・F」と「13G・F」をベースに「360°スーパーUV・IRカット パッケージ」や「運転席&助手席シートヒーター」などを標準装備化。主に室内の快適性を重視した特別仕様車になっている。

この記事の目次 CONTENTS
ホンダ フィットとは、こんなクルマ
ターゲットは女性?紫外線カットをすべての窓に!日焼け対策万全の特別仕様車
お買い得感はいまひとつ
ホンダ フィット特別仕様車コンフォートエディションの価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ホンダ フィットとは、こんなクルマ

現行のホンダ フィットは、3代目で2013年9月にフルモデルチェンジした。3代目フィットのハイブリッドシステム、2代目フィットのIMAから、SPORT HYBRID i-DCDへと変更され、36.4㎞/Lという低燃費を実現。

リコール連発となった3代目フィット

この3代目フィットは、発売直後から大きな問題が発覚。なんと、SPORT HYBRID i-DCDを起因とする、リコールを連発。このリコールにより、顧客の信用を失った。フィットは、国内ホンダを支えるモデル。それだけに、圧倒的人気を誇っていたトヨタ アクアを超える販売台数が期待された。しかし、リコールの連発により、出ばなをくじかれてしまった。

2016年のマイナーチェンジで静粛性アップ

フィットはその後、存在感を示せないまま2016年6月にマイナーチェンジ。このマイナーチェンジでは、ボディ剛性のアップによる乗り心地の向上や、静粛性が高められた。ハイブリッドシステムの改良などにより、燃費性能も37.2km/Lへと向上している。さらに、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるホンダセンシングも用意。しかし、軽自動車のN-BOXが全車標準装備化しているのに、フィットは残念ながら標準装備化されなかった。

販売台数は回復せず、ノートやアクアを超えられなかったフィット

完成度の高めたマイナーチェンジだったのだが、販売台数は回復しなかった。2016年度の販売台数は、98,923台。シリーズハイブリッドを搭載した日産ノートe-POWERに完全に敗北。2017年度も同様に、99,734台を販売するも、ノートやアクアを超えることはできなかった。

初代や2代目フィットは、Bセグメントのコンパクトカーの中で、常にトップ争いをしていたモデル。しかし、3代目フィットは2017年販売台数では、3位の座に甘んじている。本来の実力が発揮できていない状態だ。

こうした状態になったのは、ガソリン車しかなかったノートにシリーズハイブリッドのe-POWERが投入されたことでことが大きい。そのため、このクラスの販売合戦は非常に厳しいものとなっている。

激戦化している以上、6~7月の繁忙期を迎えるにあたり、なんらかの手を打たないとフィットのジリ貧は確実。そこで、少しでも話題性や利便性で、存在感をアピールしようと投入されたのが、特別仕様車フィット コンフォートエディションというわけだ。

ターゲットは女性?紫外線カットをすべての窓に!日焼け対策万全の特別仕様車

特別仕様車フィット コンフォートエディションは、360°スーパーUV・IRカット パッケージが標準装備されていることが特徴。日焼けの原因にもなる紫外線(UV)を約99%カットし、暑さのもととなる赤外線(IR)を軽減するガラスをすべての窓に採用している。こうしたUV・IRカットガラスは、フロントウインドウや運転席・助手席側のウインドウのみになっていることが多く、360°という設定はほとんどない。乗員全員を日焼けから守り、快適に過ごせる仕様となっている。

冬には運転席と助手席シートヒーターで暖かく

そして、「運転席&助手席シートヒーター」。この機能は、とくに冬場に大活躍する。まだ、エンジンが冷えていてヒーターがあまり効かないときは、特に重宝する。ただ、シートヒーターは腰やお尻を中心に直接暖めるので、ヒーターは弱めでも十分に暖かく、頭がボーっとするのを抑えてくれる。

一度シートヒーターのありがたさを感じると、もはや装備されていないクルマには乗りたくなくなるくらい快適さである。

夏場と冬場に分けられるが、女性の人気が高い装備。特別仕様車コンフォートエディションは、主に女性をターゲットにしたようにみえる。

お買い得感はいまひとつ

フィット ハイブリッドF特別仕様車コンフォートエディションの価格は1,847,880円。ベース車に対して、32,400円高だ。プラスされた装備の価格という点では、少しだけお買い得だ。お買い得車という訳ではなさそうだ。

買い得感がないのは、プラスされた装備が、特別仕様車のみに用意されたもので、他のグレードでは、設定もなくオプション選択することはできない。特別仕様車の装備が欲しければ、コンフォートエディションを買うしかないからだ。そのため、特別安価な設定にする必要がないからだ。

ただし、このやり方は微妙。フィットは今、Bセグメントのコンパクトカーで3番目という順位にいる。1位の座なら、こうしたやや強気な特別仕様車でも売れるだろう。
しかし、フィットのように厳しい立場にあるモデルは、ライバル車には無い装備で買い得感を出して提供しないと、顧客から見向きもされない可能性が高い。

ホンダ フィット特別仕様車コンフォートエディションの価格

・HYBRID・F 特別仕様車 COMFORT EDITION FF 1,847,880円/4WD 2,042,280円
・13G・F 特別仕様車 COMFORT EDITION FF 1,461,240円/4WD 1,655,640円

主な特別装備の内容

HYBRID・F COMFORT EDITION
(HYBRID・Fの装備に加えて)
・360°スーパーUV・IRカット パッケージ
・運転席&助手席シートヒーター

13G・F COMFORT EDITION
(13G・Fの装備に加えて)
・360°スーパーUV・IRカット パッケージ
・運転席&助手席シートヒーター
・アームレスト付センターコンソールボックス(アクセサリーソケット<DC12V>付)

ボディーカラー

・ブリティッシュグリーン・パール(特別仕様車専用色)
・モーニングミストブルー・メタリック(特別仕様車専用色)
・プレミアムアイボリー・パール(特別仕様車専用色)
・プラチナホワイト・パール
・ミッドナイトブルービーム・メタリック
・プレミアムクリスタルレッド・メタリック
・ルナシルバー・メタリック
・クリスタルブラック・パール
・ルージュアメジスト・メタリックインテリアカラー
・プレミアムブラウン・インテリア(メーカーオプション)
・ニュアンスブラック(HYBRID・F COMFORT EDITION)
・ブラック(13G・F COMFORT EDITION)