この記事の目次 CONTENTS
ユニークな癒し系デザインをもつコンパクトSUV
小さなボディサイズながら、優れた使い勝手が魅力
優れた安全装備を標準装備化しない姿勢には疑問が残る
力強さと優れた低燃費性能を両立
4WDは悪路を苦にしない走破性も魅力
スズキ クロスビーの選び方
スズキ クロスビーの価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ユニークな癒し系デザインをもつコンパクトSUV

スズキは、コンパクトSUVとなる新型クロスビーの発売を開始した。

新型クロスビーのデザインは、軽自動車のハスラーとよく似たデザインが採用されている。良くも悪くも二匹目のどじょう狙いとも見えるが、商売としては正解だ。

軽自動車のデザインは、迫力系が強く支持されている。その中で、こうした迫力系デザインに違和感を感じていた顧客が、愛らしいデザインをもつハスラーを絶賛。ハスラーは、いっきに人気軽自動車となった。

迫力系が高い人気を誇る

SUVのデザインも同様で、迫力系が高い人気を誇る。ただ、コンパクトSUVで迫力系というのは、ややバランスが悪い。スズキは、ハスラーでの成功体験があることから、人気のコンパクトSUVにもハスラーのようなデザインを使い癒し系コンパクトSUVというユニーク差で勝負に出ている。

新型クロスビーのボディサイズは、全長3,760×全幅1,670×全高1,705㎜となった。このボディサイズは、Aセグメントと呼ばれトヨタ アクアなのどのBセグメント車より、ひと回り小さい。そのため、最小回転半径も4.7mと軽自動車並みの機動性を誇る。

小さなボディサイズながら、優れた使い勝手が魅力

新型クロスビーのインパネデザインは、なかなかSUVらしいタフさを感じるものだ。コンパクトカーということもあり、広さを強調する横基調のデザインが施されている。SUV感を出すために力強い2本のパイプフレームをモチーフとし、力強さとタフさを強調した。また、色にもこだわった。インパネとドアトリムには、アイボリーカラーのパネルを採用。より明るく、開放感のある室内空間に仕上げている。

また、色へのこだわりにはシートにも及ぶ。カラーは、ブラックをベースとしながら、車体色に対応した3色(イエロー、オレンジ、アイボリー)のシートパイピング(HYBRID MZ)とカラーアクセントが採用された。なかなかオシャレなインテリアに仕上がっている。

限られたスペースを有効に使う工夫が満載

使い勝手面では、さすが小さなクルマを得意とするスズキ車だ。限られたスペースを有効に使う工夫が満載だ。ラゲッジスペースは、ラゲッジ側からも操作可能なシートバックスライドレバーを採用し、状況にあわせてラゲッジスペースの荷室容量の拡大調整が可能となっている。

その収納力はなかなか優れている。後席を倒さずに9.5インチのゴルフバッグを真横に搭載が可能だ。ラゲッジ下には、アンダーボックススペースが用意され2WD車81L、4WD車で37Lの容量を確保。FF車では、ベビーカーなどを縦に積むことも可能。さらに、ラゲッジアンダーボックス取り外しができ水洗いが可能となっている。

優れた安全装備を標準装備化しない姿勢には疑問が残る

新型クロスビーには、優れた安全装備が用意された。リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後方の障害物を検知する「後退時ブレーキサポート」や、後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーを搭載。

そして、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム /ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストを用意。

グレードにより安全装備はオプション

基本的にスズキは安全装備の標準装備化には消極的だ。相変わらず、販売価格を重視する姿勢から脱却できていない。

まず、上級グレードのMZには標準装備化されている。これは、十分に評価できる。しかし、エントリーグレードのMXにはオプション設定という状況。

そもそもクルマは、誤って使えば人を殺すことがある製品で多くの交通死亡事故死を生んできた。しかし、技術が進歩し歩行者との衝突などの可能性を大きく引き下げることができるこうした安全装備が開発された。こうした装備の価格がクロスビーの場合、約11万円までに下がってきているのなら、人を殺すことがある製品を売り利益を上げる自動車メーカーは積極的に標準装備化し、自らの責任を果たす必要がある。

安全装備をオプションとして、安全を顧客任せにしてしまう姿勢は、自らの責任を放棄するのと同じことだ。

力強さと優れた低燃費性能を両立

新型クロスビーに搭載されたエンジンは1種類のみ。1.0L直噴ターボエンジンにマイルドハイブリッド機能を組み合わたものだけだ。とても、シンプルな仕様だ。このエンジンの出力は99ps&150Nm。1.0Lのダウンサイジングターボなので、自然吸気1.5L車並みの最大トルクを誇る。

新型クロスビーの車重は、FF車で960㎏とSUV系としてやや軽量。この軽量ボディの恩恵もあり、150Nmものトルクがあれば、力強い走りが期待できそうだ。組み合わされるミッションは、CVTではなく6速AT。ATなので、CVTよりはダイレクトな走行フィーリングが期待できる。

マイルドハイブリッド機能を搭載した新型クロスビーの燃費は、FF車で22.0㎞/Lという低燃費性能をもつ。

4WDは悪路を苦にしない走破性も魅力

カワイイ顔をしたクロスビーだが、意外と本格的な4WD機能をもつ。駆動方式は、FFと4WDを用意。デザイン重視のSUVのようにも見えるが、最低地上高は180㎜も確保している。これだけあれば、多少のオフロードであれば、ほとんど苦にしない走破性を誇る。

4WD機能は、通常走行時では前輪側よりに駆動力を配分。滑りやすい雪道などでは、前後輪に最適な駆動力を配分するビスカスカップリング式の4WDシステムを採用。

多彩な走行モード

また、走行モードも多彩だ。パワフルでスポーティーな走りを実現する「スポーツモード」、雪道やアイスバーンでのスムーズな発進をサポートする「スノーモード」を新採用。4WDには、ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」も標準装備されている。

スズキ クロスビーの選び方

クロスビーのグレード体系は、シンプルな2グレード。エンジンは1.0Lターボ+マイルドハイブリッドの1種類なので、基本は自分の欲しい装備が装着されている方を選べばいい。

ただ、エントリーグレードのMXは、重要な安全装備であるスズキセーフティサポートパッケージがオプション設定。スズキセーフティサポートパッケージの価格は106,920円なので、積極的に装着したい。このオプションをプラスすると、MXの価格は約187万円となる。

になると、価格はそれなりにアップする。降雪地域の人やウインタースポーツなどを積極的にしている人なら4WDは必須。通常の使い方ならFFでも十分だろう。

グレードは2種類からチョイス

最上級グレードのMZの価格は2,003,400円。スズキセーフティサポートパッケージをオプション装備したMXとの価格差は約13万円になる。

この約13万円の価格差で、LEDヘッドランプなどとクルーズコントロール、本革巻きステアリングホイールとシフトノブ、パーソナルテーブル、IRカット機能付きフロントガラス、プレミアムUV&IRカットガラスなどがプラスされる。

こうした装備は好み次第というところ。基本的には、LEDヘッドランプなどは安全性も高く、存在感もアピールできるのでお勧めのアイテムなのでMZをお勧めしたい。これに、全方位モニター用カメラパッケージ(45,360円)を選択すれば十分な仕様となる。

4WDになると、価格はそれなりにアップする。降雪地域の人やウィンタースポーツなどを積極的にしている人なら4WDは必須。通常の使い方ならFFでも十分だろう。

スズキ クロスビーの価格

・HYBRID MX 2WD 1,765,800円/4WD 1,908,360円
・HYBRID MZ 2WD 2,003,400円/4WD 2,145,960円