この記事の目次 CONTENTS
BMW5シリーズとBMW7シリーズ
インテリアの質感や室内の広さはやはり7シリーズ
7シリーズの大排気量エンジンは希少な存在に?
しっかりした走りの5シリーズ、ソフトな7シリーズ
半自動運転機能ではやや5シリーズが優勢
オプションやエンジンにも妥協しない買い物を

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW5シリーズとBMW7シリーズ

BMWの中核を担う5シリーズと最上位に君臨する7シリーズ。「BMW以外のブランドは考えられない」という方も「走りにこだわって今回はBMW」と考えている方も、5シリーズと7シリーズのどちらかを選ぶというのはなかなか難しいだろう。

フラッグシップモデルの7シリーズはBMWの持てる全てを注いで作り上げたモデルだが、5シリーズのスポーティさ、使いやすさも捨てがたい。今回はそんな悩みを解決するため、5シリーズと7シリーズを徹底的に比較していきたいと思う。

「ビジネスアスリート」の5シリーズ

BMW上位モデルの5シリーズ 外観

5シリーズは、1972年から発売されている中型高級車で、シリーズの中で最も古い歴史をもつ。現行モデルは2017年より販売されている第7世代で、キャッチフレーズは「ビジネスアスリート」。ラグジュアリーな7シリーズとスポーティな3シリーズの中間に位置し、ビジネスマン向けの機能が満載だ。

ボディタイプはセダンとツーリングの2種類、パワートレインはガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの3種類をラインナップ。

「フラッグシップモデル」の7シリーズ

BMW 5シリーズ 外観

7シリーズは、1977年から発売されている大型高級車でFセグメントに分類される。言わずと知れたBMWのフラッグシップモデルで、現行モデルは2015年から発売されている第6世代。キャッチコピーは「ドライビング・ラグジュアリー」で、最上位の名に恥じない快適性やモダンなデザインが実現されている。

ボディタイプはセダンのみ、パワートレインはガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの3種類。

インテリアの質感や室内の広さはやはり7シリーズ

5シリーズのキャビンに入ると、とにかくその質感の高さに驚かされる。BMWといえばシンプルなインテリアというイメージだがもはや過去の話。無塗装のプラスチックが出ている部分は少なく、木目パネルやステッチのついたソフトパッドばかりが目に入る。メーターリングのついた液晶メーター、LEDルームランプ、タッチパネルに対応したワイドディスプレイなどマテリアルにもこだわりが感じられる。上位モデルならではの風格といったところだろうか。

しかし最上級セダンの7シリーズになると、さらにその上を行く。上記のような装備はもちろんのこと、後ろでゆっくりとくつろぐための装備、例えば後部ドアの灰皿、前席のシートバックのオーナメントパネル、センターコンソール後部にはエアコンのパネルなども用意されている。

BMW5シリーズツーリング_インパネデザイン

ワイドな外見の5シリーズ、迫力のある7シリーズ

エクステリアに目を向けると、5シリーズは、キドニーグリルと切れ長なヘッドライトによってワイドな印象を受ける。ヘッドライトには、BMW発祥の「イカリング」とも呼ばれる「アダプティブLEDライト」を標準装備(523i以外)。リアはシンプルなデザインで、赤く塗装された大型コンビネーションランプを装着する。

7シリーズの方は、大型のキドニーグリルと最新鋭のヘッドライトが織りなす、迫力のある顔つきが印象的だ。そのヘッドライトには、LEDライトの2倍の照射距離や対向車への自動防眩機能をもつ「BMWレーザー・ライト」を搭載。リアのマフラーフィニッシャーにはグロス塗装がされるなど、ディテールへのこだわりも忘れていない。大きなボディも手伝って何とも言えない存在感がある。

7シリーズの大排気量エンジンは希少な存在に?

5シリーズのエンジンは、2.0L直列4気筒DOHCガソリン、2.0L直列4気筒DOHCディーゼル、3.0L直列6気筒DOHCガソリンの3種類をラインナップ。全てターボが備わっている。このうち、3.0Lの540iには四輪駆動のxDriveが選択可能、ほかのグレードには伝統的なFRを採用。

対する7シリーズ。2.0L直列4気筒DOHCガソリン、3.0L直列6気筒DOHC、4.4LV型8気筒DOHCガソリン、6.6LV型12気筒DOHCガソリンの4種類をラインナップ。全てターボが搭載されるが、4.4Lモデルの750i/750Liと6.6L四輪モデルのM760Li xDriveにはツインターボが採用されている。

注目すべきはM760Li。ダウンサイジングが主流になってきた現在でも、6.6Lの大排気量エンジンが採用されている。今後ダウンサイジングはさらに拡大するといわれているので、購入できる最後のチャンスになるかもしれない。

燃費性能はボディサイズを考えると7シリーズ

BMW5シリーズ 外観

5シリーズの燃費は、カタログ値(JC08)で12.5~21.5km/L。3.0Lガソリンモデルの540iが12.5km/L、ディーゼルモデルの523dが21.5km/Lである。先代から大幅な軽量化とマイクロハイブリッド・テクノロジー搭載のブレーキ・エネルギー回生システム、8速ATの採用などにより、低燃費を実現している。

対する7シリーズは、同じくJC08モードで7.6~15.6km/L。最低値はツインターボ搭載4WDの「750Li」などが7.6km/Lで、最高値は2.0Lハイブリッドの740e iパフォーマンスが15.6km/L。「カーボン・コア」を採用した軽量化など、BMWの電気自動車によって培われた技術を惜しみなく投入することで、130kgの軽量化と低燃費を実現している。

同じ3.0Lガソリンモデルで比較すると、535iが13km/L、740iが12.2km/L。車格や車重を考えると、740iの方が燃費性能に優れていることがわかる。

しっかりした走りの5シリーズ、ソフトな7シリーズ

BMWを検討するなら、外せないのが「走り」のフィーリング。どんなにインテリアやエクステリアが素敵でも、そのBMWが掲げる「駆け抜ける歓び」が感じられないなら、BMWに乗る意味はないと言い切っても良いほどだ。

5シリーズのサスペンションは、フロントが新開発のダブルウィッシュボーン、リアには5リンク式を採用。大きなホイールにはランフラットタイヤが装着されるものの、最新技術により従来と変わらない乗り心地を実現している。路面に対して、しっかりとしなやかに対応するような乗り心地を楽しめる。

対する7シリーズは、フラッグシップモデルらしく、VIPを後ろに乗せて快適に過ごしてもらうことにも配慮した、滑らかで静かな乗り心地を備えている。それでいて、カーボンを使ったボディによって、大柄なサイズが気にならないほど乗り味が軽やかで、自分で運転した時には充分ドライブの楽しさを味わえる作りになっている。

快適装備が充実の7シリーズ

5シリーズには、オプションだがダイナミック・ダンピング・コントロールが設定されている。これにより常に快適な乗り心地を保つことができる。起伏のある路面やコーナーで、サスペンションの特性を自動的に制御してくれる優れものだ。

7シリーズの方もみてみたい。740i/740Liには、「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」が標準装備される。フロント・ウィンドウに設置されたステレオカメラによって前方の路面状況を検知、適切なサスペンション調整を継続的に行う。これにより、素直なハンドリングと乗り心地の良さを実現している。

ハンドリングや乗り心地といった快適性は、やはり最新技術搭載の7シリーズが優勢だ。

半自動運転機能ではやや5シリーズが優勢

5シリーズと7シリーズには、半自動運転機能「ドライビング・アシスト・プラス」が搭載されている。

車体前方のレーダーとルームミラー固定部のカメラによって先行者と車線を検知、渋滞時には先行車追従のサポートを行う。また車線逸脱警告システムや衝突回避サポートなどと組み合わせることで、安全かつ快適なドライブを実現している。

モデルチェンジをむかえたばかりの5シリーズでは、白線認識プログラムが7シリーズより優れている。ただ、どちらも世界最高レベルの機能が搭載されていることに違いはない。

オプションやエンジンにも妥協しない買い物を

BMW5シリーズ 外観

オーナードリブンカーという色合いが強い5シリーズ、後部座席にVIPが乗ることも想定したショーファードリブンカーという色もある7シリーズ。どちらも新車で買うと高額なだけに、どうしても安いグレードに目を向けがちだ。
ただBMWの走りを楽しむなら、どうせならちょっと良いエンジンを搭載したグレードに乗りたいもの。また自分の個性や価値観が如実に表れるものだけに、インテリアや装備、オプションにまでこだわりたいところ。
「そうすると予算が…」という方は、中古車も含めて検討してみてはどうだろうか。中古車在庫の中には、未使用のまま陸運局に登録だけされた、未使用車もある。自分のこだわりを満たしつつ、しかし値段としては手頃な掘り出し物が見つかる可能性もあるので、新車だけに絞らず、まずは広く候補を検討してみてほしい。