ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW3シリーズとAudi A4

輸入車のシェアがわずか12%ほどしかない日本。それでも輸入車、中でもドイツ車のステータス性は高く、BMW3シリーズやAudi A4の売れ行きは好調だ。BMWとアウディの中でも程よいサイズ感で使いやすいこの2台。「どちらにしようか」と迷う人も多いモデルなので、それぞれの特徴を比較しながらご紹介したい。

BMWの世界戦略車、3シリーズ

BMW 3シリーズ_外観

3シリーズはBMWから販売されている高級乗用車で、その歴史は古い。1975年に初代が発売されて以降、40年以上経った今でも看板モデルとしてブランドを支えている。日本の道路事情に合ったサイズ感、求めやすい価格、BMWならではの高級感など、バランスの取れたモデルといえるだろう。

現行モデルは2012年から発売されている6代目で、2015年にはマイナーチェンジを施されている。ボディタイプは、セダン、ツーリング、グランツーリスモの3タイプ。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドが用意されている。

ヨーロッパ市場のベストセラーモデル、Audi A4

アウディ A4_外観_正面

A4は、アウディから発売されている高級乗用車で、前身のアウディ80、アウディ90に代わって1994年にデビュー。A3と並ぶアウディの主力モデルで、激戦区ともいえるDセグメント市場において、年々存在感を増している。

現行モデルは2015年から発売されている5代目で、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。ボディタイプは、セダン、アバント(ステーションワゴン)の2タイプ。ディーゼルが日本未導入のためガソリンエンジンのみのラインナップ。

使いやすさの3シリーズ、デザイン性のA4

3シリーズのインテリアは、BMWらしい飽きのこないシンプルなデザインで、ドライバーの操作性を重視している。運転中でも操作しやすいようスイッチ類がドライバー側に7度傾いたレイアウト、運転中でも車両情報を得られやすい大きなメーターを採用。運転することを大事に設計している辺りに、ブランドの意思を感じる。

対するA4は、直線基調という点ではBMWと共通するものの、細かいパーツを多用し先進的で高級感が雰囲気を演出している。シンプルながら高い質感を備えるアウディのデザインセンスは、クルマ離れが叫ばれる今日でも、若い人にも人気がある。

パーツの質感、先進性、高級感などを比較すると、A4に軍配が上がる。しかし「運転に集中したい」「ドライブを楽しみたい」という人には、3シリーズのインテリアに宿る精神が心地よいだろう。

BMW 3シリーズ_インテリア
アウディ A4_インテリア

ブランドのカラーが反映されたエクステリア

続いてエクステリアの方はどうだろうか。

3シリーズは、スポーティーでスタイリッシュな印象を受ける。BMWを象徴するキドニーグリル、長いボンネットと短いトランクフードが大きな特徴だ。精悍なマスク、美しい流麗なシルエットは、BMW伝統のデザインといえる。また日本の交通事情に合わせて、日本仕様車については車幅を1800㎜に抑えた、使いやすいサイズ感もポイントが高い。

一方のA4は、シンプルでシャープといった印象。アウディのトレードマークとなるシングルフレームグリル、マトリックスLEDなど、シンプルながらディテールにまでこだわりが感じられる。最新モデルでは装飾パーツが増え、高級感が増している。

エンジンは世界的なダウンサイジングの流れへ

少し前までは、高級車といえば大排気量+多気筒エンジンが主流だった。しかし、最近では世界的な環境対策として、従来エンジンの動力をそのままにダウンサイジングへと変化。3シリーズ、A4ともにその影響を受けている。

以前は4リッターV8エンジンを搭載した過去もあった3シリーズだが、現行の6代目では1.5リッター直列3気筒、2.0直列4気筒、2.0直列4気筒ディーゼル、3リッター直列6気筒エンジンという4種類を展開。1.5リッターというとパワー面で心配だが、ターボの技術が進んでいることから、昔の2リッターと同水準の動力性能が確保されている。

対するA4のエンジンは、1.4リッター直列4気筒、2.0リッター直列4気筒,3.0リッターV型6気筒エンジン(S4)という3種類。こちらもパワー不足が懸念されるが、ターボチャージャーにより遜色のないパワーをもつ。FFモデルにはミラーサイクル技術を採用、力強いトルクを発揮する。

燃費ではディーゼルモデル導入の3シリーズが有利

ダウンサイジングを進めているのは、燃費性能を上げて環境に配慮するため。世界的に、多くの車種がモデルチェンジを重ねるたびに燃費性能が向上している。

3シリーズの燃費はJC08モードで13.5~21.4km/L。ガソリンエンジンで最も低燃費な(グレード)だと17.2km/L、3.0リッター6気筒エンジンの340iでは13.5km/L。ディーゼルモデルの各グレードでは21.4km/Lという高燃費性能をほこる。

対するA4は、最も燃費瀬能が優れている1.4リッター4気筒エンジンで16.6km/L。2.0リッター4気筒エンジンの2.0TFSIの4WDモデルで15.5km/Lだ。アウディの多くのモデルに共通だが、燃費性能という点ではいまひとつということが多い。高級車にも環境性能が求められる時代だけに、今後の性能向上に期待したい。

BMW3シリーズ_外観

走りを楽しむなら3シリーズ

3シリーズといえば、その高い走行性能。ほどよく引き締まったスポーツセダンらしいハンドリング、そして軽快ながらも操作感のあるステアリング。そんな走りを支えているアダプティブMサスペンションは、ドライバーの運転スタイルや路面状況にあわせてサスペンションを自動的に調整してくれる。

対するA4には、新開発の4輪5リンクサスペンションシステムと可変ダンパー機構が採用されている。これにより素直で軽快なステアリングフィールを実現、乗り心地も向上している。

スポーティーな走りを楽しむなら3シリーズ、コントロール性を重視する人にはA4をおすすめしたい。

安全予防技術が充実しているのはA4

A4は、2015年にモデルチェンジしたこともあって、最新技術が投入されている。フラッグシップモデルのA8にも搭載された予防安全システム「アウディプレセンス」の最新世代を搭載。複数のセンサーやカメラによる最高水準の安全テクノロジーを標準装備。

また、このA4でもオプションとして搭載できるバーチャルコックピットにも注目したい。今までメーターがあったところがフルスクリーンのナビになっているのだが、これにより視線を逸らすことなく運転が続けられる。「たったそれだけ」と思われがちだが、実際に運転してみると、非常に完成度が高い。集中力が途切れないため、事故予防にも貢献してくれるだろう。

アウディ A4_外観_正面

モデル末期の3シリーズは少し物足りない

2018年といわれるモデルチェンジを前に、モデル末期を迎えている3シリーズ。安全装備という点ではどうしても不利な戦いになる。現状搭載している安全装備は、衝突回避・被害軽減ブレーキやドライビング・アシストくらい。しかしモデルチェンジ後は、すでにモデルチェンジを済ませた5シリーズに搭載されているような、半自立走行機能などが搭載されるのではと期待されている。

購入のアドバイス

A4は、シンプルで先進性を求めるドライバーに向いている。いち早く最新技術が搭載されるエクステリアやインテリア、飽きのこないデザインは「これぞアウディ」といえる。

それに対して「駆け抜ける歓び」を求める人には3シリーズがおすすめしたい。インテリア、走りなど、全てが走るためにデザインされているといっても過言ではない、一本筋が通った一台だ。すでに現行モデルの中古車もそれなりに出回っているため、「新車ではちょっと」という人でも手が届きやすい。中古車も視野に入れれば、走行性能が高い上級グレード、さらには5シリーズも視野に入る。

ぜひこだわりに合った一台を見つけてほしい。