この記事の目次 CONTENTS
10ベストカーの中から、今年のナンバー1が選ばれる!
「アルファロメオ復活の狼煙となるか!?」アルファロメオ ジュリア
「運転支援技術が大幅進化。優れた高速域での安定性」BMW5シリーズ
「超個性はデザインで魅了する」シトロエンC3
「スカンジナビアンデザインで洗練されたSUVをアピール」ボルボXC60
「優れた実用性が魅力」フォルクスワーゲン ティグアン

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

10ベストカーの中から、今年のナンバー1が選ばれる!

今年のナンバー1となるクルマを選ぶ2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベストカーが発表された。

この10ベストカーは、全31台のノミネート車の中から自動車評論家、ジャーナリスト、有識者からなる選考委員の投票で選ばれた10台。この10台に選ばれることだけでも名誉なことだ。そして、この中から、再度投票が行われ、12月11日(月)に2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤーが決定する。

まさかの日産、スバルが辞退でさらに混戦ムードに

さて、2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤーだが、やや波乱含みのスタートとなった。それは、日産とスバルが完成検査不正問題。この2社は、完成検査不正問題でエントリーを辞退。異例な幕開けとなった。

今年のカー・オブ・ザ・イヤーは、日産リーフが有力候補の一角に上がっていただけに、賞レースはより激戦の荒れ模様となりそうだ。

スバル、日産という2社がエントリー辞退という異例のスタートになったことで、輸入車有利という見方もあったが、蓋を開けてみれば10ベスト中、国産車5台、輸入車5台と例年通り。輸入車は、BMW 5シリーズやボルボXC60、アルファロメオ ジュリアあたりが高い評価を得ている様子。国産車を含め、どのモデルが選ばれるか分からないような混戦状態になっている。

今回そんな2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー10ベストカーをレポート。レポート順は、ノミネート順となっている。ここでは輸入車5台をご紹介。

「アルファロメオ復活の狼煙となるか!?」アルファロメオ ジュリア

新世代のアルファロメオの先鋒として登場したジュリア。ジュリアからFR(後輪駆動)のプラットフォーム(車台)が採用され、今後、多くの派生車が登場する。ジュリアは、強豪ばかりのDセグメントに属する。ライバルは、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズ。こうしたライバルと勝負するため走行性能にこだわった。

優れた走行性能を得るために、前後の重量バランスは50:50とした。アルファロメオらしいスポーティでクイックなハンドリングで、爽快な走りを披露する。

やや環境性能的に物足りない

搭載されたエンジンは、ディーゼルやPHEVなどの設定は無くガソリン仕様のみ。これは、やや環境性能的に物足りない。

クアドリフォリオ設定で走行性能のパフォーマンスが上昇

走行性能を誇るモデルのイメージリーダーとして、BMWのMやメルセデス・ベンツのAMGに相当するクアドリフォリオが設定された。クアドリフォリオは、ハイパフォーマンスモデルに相応しく、カーボンパーツを多用し大幅に軽量化。エンジンは、V6 2.9Lターボで510ps&600Nmをという大出力を誇り4WDとなっている。

「運転支援技術が大幅進化。優れた高速域での安定性」BMW5シリーズ

BMW5シリーズは、フルモデルチェンジしたとは思えないくらい外観デザインが変わったように見えない。とはいえ、それほど代わり映えしないデザインを選択したということは、世界的に支持されているデザインでもあるということだろう。

外観デザインに大きな変更はないものの、先進予防安全装備や運転支援技術は大幅な進化している。車外から駐車をサポートするリモート・コントロール・パーキングなども用意されている。

優れた運動性能が5シリーズの魅力

そして、まさにBMWが自らビジネスアスリートと呼ぶだけあり、優れた運動性能が5シリーズ魅力でもある。優れた空力性能で、ドンドンと速度を上げても、クルマはピタッと道路に張り付いたように安定。卓越した高速域のスタビリティをもつ。

PHEV用意でさらにパワーユニットが豊富

さらに、パワーユニットが豊富だ。ガソリンとディーゼルエンジンだけでなく、PHEVも用意。PHEVは、普及を目指すという目的のために、かなりリーズナブルな価格設定とされているのも魅力的だ。

「超個性はデザインで魅了する」シトロエンC3

シトロエンC3は、Bセグメントに属するコンパクトカー。しかし、見た目はSUVに見える異色のモデル。さすが、デザインで注目されるシトロンだ。

実用面でも優れた効果を発揮

このC3のボディサイドには、エアバンプ(Airbump)と呼ばれる装備がある。いわゆるドアエッジモールを巨大化させたようなものだ。この装備は、よりSUV風デザインに見せるだけでなく、実用面でも優れた効果を発揮。ドアエッジモールが巨大化しているようなものなので、ドアの接触による傷からボディを守ってくれる。

絶妙なボディサイズ。しかし燃費は少々物足りない

また、C3のボディサイズは絶妙。SUVルックなのに、全高は1,495mmと低い。日本には、全高1,550㎜以下という制限の立体駐車場が多い。SUVルックながら、こうした立体駐車場に対応しているので、駐車する場所を選ばない機動性を誇る。




C3に搭載されるパワーユニットは、直3 1.2Lターボのみ。出力は110ps&205Nmとなっていて、なかなかパワフル。しかし、燃費は18.7㎞/Lと少々物足りない状況となっている。

「スカンジナビアンデザインで洗練されたSUVをアピール」ボルボXC60

ボルボは、スゥエーデンのメーカー。洗練されたデザインが魅力のスカンジナビアンデザインで、ドイツ車とは明らかに異なるテイストで存在感をアピールする。迫力重視系SUVデザインが多い中、XC60はなかなかスタイリングで好感度は高い。また、北欧神話に登場するトール神のもつハンマーをモチーフにしたT字型のヘッドライトが特徴。このデザインは、最新ボルボデザインのアイコンでもある。

搭載されるパワーユニットも、ドイツ車に負けないくらい豊富。フランス車やイタリア車より一歩先に行っている印象だ。 ガソリンエンジンは、直4 2.0Lターボで254ps&350Nmと320ps&400Nmの2タイプを用意されている。そして、大トルクと低燃費が魅力の2.0Lのディーゼルエンジンもラインアップ。

ツインエンジンと呼ばれるPHEVに注目

そして、ボルボは電動化技術にも積極的。ツインエンジンと呼ばれるPHEVに注目したい。320ps&400Nmの2.0Lターボエンジンとモーターの組み合わせで、かなりパワフル。EVでは45.4㎞走行可能なので、日常的な使い方ではほとんどガソリンを使うことはない。

「優れた実用性が魅力」フォルクスワーゲン ティグアン

フォルクスワーゲン ティグアンは、CセグメントのコンパクトSUV。全長は4,500㎜と短いのだが、全幅は1,840㎜もあるため、意外なほど大きく見え存在感がある。ただ、狭い道の多い日本では、全幅1,840㎜というコンパクトカーはやや扱いにくい。ところが、そうしたデメリットも感じさせないくらい、小回りは得意。最小回転半径は5.4mで、さすが実用性にこだわるフォルクスワーゲン車という印象だ。

クルマとしての実用性にも優れている

その実用性の高さを感じさせる部分は、まだまだある。ラゲッジルームは、全長が4,500㎜と短いのに荷室容量は615Lと広大。最近のSUVは、デザイン重視で荷室が狭いモデルが多い中、ティグアンはクルマとしての実用性にも優れている。

環境性能の面では物足りない・・・

ただし、環境性能という点では物足りない。エンジンは直4 1.4Lターボのみの設定。ディーゼルも無ければ、PHEVもない状況。また、駆動方式はFF(前輪駆動)のみ。4WDの設定もない。やや、割り切りすぎな印象がある設定だ。