この記事の目次 CONTENTS
クラストップレベルの性能のスペーシア
スペーシアはなぜ売れなかったのか?
今回の新型はN-BOXを超える全高に!
新型スペーシアのクラストップの燃費
発売時期は?
価格にも注目

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

クラストップレベルの性能のスペーシア

東京モーターショーで、スズキは新型スペーシア/スペーシアカスタムのコンセプトモデルを公開した。コンセプトモデルということだが、クルマの完成度は非常に高い。いつ発売されてもおかしくないくらいの仕上がりだ。

スズキ スペーシアは、軽自動車の中でスーパーハイト系と呼ばれるカテゴリーに属する。スーパーハイト系は、非常に人気の高いカテゴリー。多くのカテゴリーがある軽自動車の中でも最も売れているジャンルになっている。

背が高いことから生まれる広い室内を生かし、使い勝手が良いことから子育てファミリー層がメインターゲットだ。

使いやすさを重視した装備

使い勝手を重視したことから、両側スライドドアを装備。そのため、車両価格が高価なのも特徴だ。

この人気カテゴリーにおいて、スペーシアは販売台数面で大きくライバル車に対して引き離されている。2017年上期の販売台数では、N-BOXが1位で94,601台、2位はタントで65,225台。

N-BOXが圧勝という状況だが、スペーシアはタントに対しても大きく引き離され48,406台と低迷。N-BOXの約半分程度の販売台数となっている。 

クルマとしての性能はトップレベル

販売台数で大敗しているスペーシアだが、クルマとしての性能はトップレベルだ。マイルドハイブリッド機能とクラストップの軽量化ボディの恩恵で、燃費は32.0㎞/Lとクラストップ。ボディが軽いので、ライバル車より軽快で力強い走行性能も魅力だ。

スペーシアはなぜ売れなかったのか?

クラストップレベルの性能を持ちながら、スペーシアはなぜ売れないのか?

それは、デザインが理由と言われている。このクラスの軽自動車には、ファミリー層向けの標準車の他に、より個性的なデザインとしたカスタム系が用意されている。このカスタム系の人気が高い。

このカスタム系のデザインは、デザイン性というよりも、とにかく迫力があって派手に見えるかが最も重視されている。ところが、スペーシアカスタムは、やや上品でおとなしい顔だったのだ。これが、明確に販売台数の低迷に結び付いた。

異例のフェイスチェンジでテコ入れも

スズキもこのまま低迷させておくことができないということで、モデル末期だというのに、異例のフェイスチェンジを行ったカスタムZを投入。同時に、価格が高いと言われていた部分も改善。買い得感のある価格とした。これが、功を奏してカスタムZは人気モデルとなり、販売台数もやや右肩上がりになった。

しかし、最強のライバルといえるN-BOXがフルモデルチェンジ。商品力をかなり強化して登場。そのN-BOXから顧客を奪うのは容易ではない。スペーシアもフルモデルチェンジ時期ということもあり、東京モーターショーでその存在をアピール。N-BOXを追撃する準備を着々と整えている。

今回の新型はN-BOXを超える全高に!

新型スペーシアのボディサイズは、全長3,395×全幅1,475×全高1,800mmとなった。注目したいのは全高。N-BOXの全高1,790㎜よりも10㎜高くなっている。この全高はクラストップレベル。現行のスペーシアより+65㎜大きくなった。これは、という1,735㎜なので65㎜も全高が高くなっている。

これだけ全高を高くしたのには訳がある。現行モデルのスペーシアは、小さく見えたことも売れない理由のひとつ。さらに、当然、全高を高くすれば室内高も高くなり、室内も広く感じる。また、背の高いものを積むときにも便利だ。リヤシートを倒せば、自転車なども楽々積み込むことができる。

新型スペーシアカスタムのデザインは、前回の失敗を生かし、迫力系のデザインになっている。とにかくグリルが大きく、押し出し感がある。画像だけでは分からないが、LEDヘッドライトも採用されているようにも見え、夜間での存在感もある。

ただ、N-BOXカスタムは、LEDだけでなくこのクラスで初となる、流れるように光るシーケンシャルウインカーを装備している。目立つアイテムがどれだけ投入されているかにも注目したい。

新型スペーシアのクラストップの燃費

新型スペーシアに搭載されるパワーユニットは、スズキの誇るマイルドハイブリッドのSエネチャージであることは確実だろう。ターボモデルにもSエネチャージが搭載されるはずだ。

注目したいのは燃費。現行スペーシアには、クラス唯一のマイルドハイブリッドが搭載されていて、燃費はクラストップの32.0㎞/L。フルモデルチェンジしたばかりのN-BOXの燃費は27.0㎞/Lなので、大きな差となっている。このハイブリッドシステムもさらに進化し低燃費化されていると思われる。

ただ、新型スペーシアは全高が高くなっているので車重が増えている可能性が高い。こうなると、マイルドハイブリッドで燃費が向上しても、車重が重くなるので、相殺されて現行の32.0㎞/L前後の燃費になるのではないかと予想した。燃費に関しては、クラストップを維持しそうだ。

 

発売時期は?

新型スペーシアの発売日に関して、スズキからは一切インフォメーションがない。ただ、予想は十分にできる。自動車販売では、1~3月は最も重要な繁忙期となる。スズキの営業側としては、当然、このタイミングで新型スペーシアを投入し、イッキに販売したいと考えるはずだ。

逆算すると、12月末頃に発表・発売となると予想できる。年末に発表し、年末・年始に初売りCMを大量投入するのではないだろうか。

価格にも注目

そして、新型スペーシアの価格。もちろん、今の段階では不明。ただ、価格設定は、ライバルのN-BOXをかなり意識しているはすだ。スズキは、マイルドハイブリッドを搭載しながらN-BOXと同等レベルの価格で勝負してくる可能性が高い。

ライバルのN-BOX G・EX Honda SENSINGが約160万円。新型スペーシアの上級グレードも約160万円前後になると予想した。また、N-BOXには、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「ホンダセンシング」が全車標準装備。

スズキは、安全装備に対して積極的ではなく、見た目の価格で勝負に出る営業スタイルをとる傾向が強い。自動ブレーキを装備しないグレードでN-BOXより安さを訴求する可能性も高い。