汗で色が変わるシート?

 
汗で湿ったシートというのは、なんとも不快なものです。特にレザーシートなど吸水性が低いシートの場合、お尻や背中の後ろが蒸れて、いやな思いをしたことがある人も意外に多いのではないでしょうか。

そんな汗に注目したのが日産のデザイナー。オランダのデザインブランド「Droog」と共同で、発汗を検知する繊維技術「SOAK」を開発したそうです。それを日産のコンパクトSUVであるJUKEに搭載したコンセプト動画が公開されました。

動画では、最初は青っぽいシートが、汗を検知すると黄色っぽく変わっているのが確認できます。

https://www.youtube.com/watch?v=_TUtOR75HD0

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なぜ汗に注目したのか?

 
汗をかくと色が変わるというのは、ともすると「あまりありがたくない機能」のようにも思えます。汗でTシャツの色が変わるというのは、決して誇れるものではありません。にもかかわらず、日産はなぜ汗に注目したのでしょうか。

実は、汗を通して脱水症状を起こしていないのかを確認するのが目的だそうです。だから単なる汗で色が変わるのではなく、汗の成分から脱水症状を起こしていないかを確認し、脱水症状の兆候があれば色が変わる仕組みになっています。

そのため、休憩してクルマから降りる時にシートが目に入ると、自分が脱水症状を起こしかけていることが分かります。

また「SOAK」が用いられているのはドライバーシートの背中部分だけではありません。確かに背中はドライバーがよく汗をかく場所の一つで、脱水を起こしていないか検知しやすい場所です。しかしドライバーは、運転中は自分が座っているシートを見ることはできません。そのため、背中のシートの色が変わるだけでは不十分だと考えたのでしょう。日産では、ハンドルを握る部分にも、この「SOAK」を採用しています。
 

脱水症状は運転時のリスクを大幅に上昇させる

 
日産が脱水症状を検知するこのようなシートを開発したのは、実は脱水が、運転の安全性に深刻な影響があるからだといいます。脱水症状の主な症状は以下の通りです。さらにひどくなると、失神なども起こすことがある、危険な症状です。

・のどの渇き
・めまい
・吐き気
・ぼんやりする
・脱力感
・疲労および嗜眠
・イライラする

日産によれば、脱水症状の運転への影響も大きく、路上で事故を起こす確率が2倍に増えるそうです。これは血中アルコール濃度が0.08%を上回った場合と同じ数値であるとのことで、脱水症状の危険性を示しています。特に注意力が低下し、何か起こった時の反応が遅れるため、ミスにつながるといいます。

しかも、2/3のドライバーが、自分が脱水症状を起こしていることに気づけていないそうです。また現状では、運転中の脱水症状の危険性についても、ほとんど認識されていません。

実用化の目途は?

 

脱水症状を起こさないよう、ドライバーに水分補給を促そうという取り組みは画期的です。日産は、過去にも飲酒運転防止のコンセプトカーを開発するなど、適切な運転を促す取り組みには積極的で、その姿勢は素晴らしいです。

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日産、飲酒運転の根絶に向けて飲酒運転防止コンセプトカーを開発
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しかしながら、シートの色を変えることで脱水状態になっていることを知らせるという仕組みが有効なのかは疑問が残るところです。

第一に、この「SOAK」を意欲的に搭載する人が思いのほか少ない可能性があります。汗をかいているという状態が同乗者にバレるのは、たとえそれが安全のためであっても、恥ずかしいでしょう。特に女性ドライバーにとっては、あえて外す機能になりかねません。

もう一つが、数多くのアラート機能が搭載されている中で、埋もれてしまう可能性があるということです。様々なボタンや音で注意を促される中で、悪意がないまま何となくシートの色の変化を見逃してしまうということもあるかもしれません。

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日産の「SOAK」もまだ開発段階で、量産モデルに搭載されるといったような情報は今のところありません。もしかしたら搭載されないままお蔵入りの可能性もありますが、もし実用化を目指すなら、よりドライバーが気付きやすく、かつ恥ずかしさを覚えないような機能に仕上がることを期待しています。(もしかしたら、自動運転がさらに実用性を増す方が早いかもしれませんが)

一人のドライバーとしては、「眠たい時やアルコールを摂取した時には運転しない」というのと同じように「運転中の水分補給に気を付ける」ということを心掛けていきたいものです。脱水症状を防ぐためには、以下のポイントに注意してください。

●1~2時間に1回15分以上の休息
●休憩時に100~200mlの水分補給
●休息時に車中の空気をリフレッシュ(エアコンの影響で車内の空気が乾燥)
●休息時の車外でカラダを動かしてリフレッシュ
●利尿作用のあるカフェイン飲料を飲まない。同乗者もアルコールは控える
●スポーツドリンクや経口補水液の常備

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