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悩ましき2台 シトロエン C4ピカソ と BMW 2シリーズ アクティブツアラー


クルマ選びって楽しいですよね。でも、最後に選ぶ決め手ってなんだろう?って思うこと、ありませんか。このコーナーは、クルマ選びで悩み疲れたそんなアナタの背中をドーンと押しちゃいます。迷える子羊よ、存分に迷いたまえ・・・・

今回は、ミニバン大国日本に海外の仏独から送り込まれた刺客、「シトロエン C4ピカソ」と「BMW 2シリーズ アクティブツアラー」をお送りします。選ぶなら、どっち!?


◆海外製ミニバンの良さとは?


新車販売ランクの上位を占めるのは、各社が渾身の力を込めて開発したミニバンたち。トヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイア、日産のセレナ、そしてホンダのステップワゴンは激しいシェア争いを繰り広げています。そのほかアルファード/ヴェルファイア、エルグランドの戦いなどもあり、日本ではいまやすっかりミニバンがふつうのクルマになりました。広く、人も荷物も積めて、シートアレンジや使い勝手が追求されており、人気が出るのも当然といえますね。

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ミニバンは1980年代初頭に、アメリカでクライスラー・ヴォイジャー、日本で日産 プレーリー、フランスでルノー・エスパスがほぼ同じ時期に同時発生的に似たようなコンセプトのモデルが登場し、アメリカで使用されていた名称「ミニバン」が世界的に浸透しました。フランスでは1990年代にルノーがメガーヌ・セニックの販売が成功したことで各社がフォロワーを出し、現在では重要なジャンルのひとつとなりました。


◆欧州で大ヒット!シトロエン C4ピカソ

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日本のミニバンはかつての1ボックスカーの延長上にあるため、基本的には3列シートで6~7人乗り、背も高くバン型、なのに対し、欧州のミニバンのスタンダードとなったメガーヌ・セニック以降は乗用車のシャーシの上に背が高いボディを構築する手法を取ったので、5人乗りがメイン、それにホイールベースが延長されて7人乗り、というラインナップが多く、7人乗りでも2列目3列目シートは収納出来るものの、車内の雰囲気はあくまでも背が高い乗用車という感覚です。

現行モデルで2代目となるシトロエンのミニバン「C4ピカソ」も、その車名が示す通りハッチバック車C4の「背が高い版」で、5人乗りと「グランドC4ピカソ」という7人乗りを持ちます。売りは独創的なデザインと快適性です。広い視界、座り心地の良いシート、乗り心地の良さで、どこまで走ってもいつまで走っても疲れにくいのです。一度に移動する距離が多い欧州ではコンチネンタルツアラーとしての性能が大事なのですが、日本でも長距離移動の時はそれが発揮される瞬間です。


◆FFのBMW!2シリーズ アクティブツアラー

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後輪駆動(FR)のセダン、クーペ、コンバーチブル、ステーションワゴンをメインに車種展開をしていたBMWですが、メルセデス・ベンツやVWの自国ライバル、そして欧州各社が次々とミニバンを登場させて好調なセールスをみせていることへの対抗策を持っていませんでした。

そこで、BMWはついに「禁じ手」ともいえる前輪駆動(FF)を採用した2シリーズ アクティブツアラーを送り出して来ました。FFの採用に賛否別れましたが、傘下のミニで養われた技術はBMWらしいハンドリングに昇華し、FFなのに乗ればBMWらしさに溢れているのが特徴です。後部に+2のシートを追加した「グランツアラー」もラインナップされるほか、クリーンディーゼルも用意されるなどバリエーションの多さも魅力です。

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◆決め手は、どこに!?


欧州ミニバンは広さや使い勝手では国産ミニバンの敵になりません。ですが、ハンドリングの良さによる運転の楽しさと安定性、長距離を走ったあとの疲労の違いなどに大きなアドバンテージがあります。ミニバンを買うというよりは「背が高いハッチバック」を買うイメージではありますし、価格帯は違うのですが、もしミニバンを買うというときは欧州製ミニバンも対象に入れてみてください。

なお、シトロエンとBMWの違いは、どちらも乗って楽しいのですが、運転して楽しいのはBMW、そして快適性ではシトロエンがわずかに勝る、という印象です。メーカーの個性がよく出ていて、面白いですね。


◆迷える子羊よ、迷いは消えただろうか


ということで、迷っているアナタ、いかがでしたでしょうか。気になったらぜひ現車に乗り、触れ、いろいろ感じてみてくださいね。
くるま選びは楽しくもあり、そして悩むもの。これからもいろいろな視点でのクルマ選びをこのコーナーで提案出来たら、と思います。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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